米大統領選、トランプ氏の当選による株価への影響


2024年11月5日、世界中が注目するアメリカ大統領選挙が行われ、共和党のドナルド・トランプ氏が勝利を収めました。当初の報道では史上稀に見る接戦で、結果が判明するまで少なくとも数日はかかると言われていました。しかし、蓋を開けてみれば、トランプ氏は主要な接戦州を含む312の選挙人票を獲得し、カマラ・ハリス氏に圧勝して再び大統領に選ばれました。

市場関係者の間では、このトランプ氏の大勝利によって、今後のアメリカの政策と経済指針が金融市場にさまざまな影響を与えると注目されています。今回は、このトランプ氏の大統領当選がどのように経済に影響を及ぼすか、どのセクターに及ぶか、そして今後の株価がどのように動いていくのか解説します。

トランプ氏の経済政策


トランプ氏が大統領に当選したことによって、当選前に彼が掲げていた政策が実際に施行されることが見込まれます。その中でも、主に以下の方針が株価にポジティブな影響を与えると予想されています。

減税政策

トランプ氏は前任期中に法人税の引き下げを行い、これが企業利益の増加に繋がりました。今回も減税政策が行われ、企業のキャッシュフローが増えて、配当や株主還元が強化されることが期待されています。この減税政策は、特にS&P 500のような大手企業が恩恵を受ける可能性があり、株価が上昇すると見られています。また、個人減税の延長や追加の税制優遇策などが導入されれば、消費者の購買力が強化されて、消費関連株のパフォーマンスが改善する可能性もあります。

規制緩和

トランプ氏はエネルギー、金融、製造業など、特定セクターの規制緩和を進めることに意欲的です。規制緩和による収益改善が実現すれば、このセクターの企業の株価にプラスの影響があると予想されています。特にエネルギー業界は、石油や天然ガスへの投資や、掘削活動の拡大方針を表明しており、化石燃料関連の企業が恩恵を受けることになるでしょう。

政策リスクと不安要素


トランプ大統領が行う政策は、期待される一方で不安要素もあり、株価にネガティブな影響を与えかねないとも言われています。どのようなリスク要素があるのかを解説します。

通商政策

トランプ氏は「アメリカ第一主義」を掲げ、他国との貿易摩擦を激化させるとみられています。貿易摩擦が激化することでアメリカの企業のコスト負担が増加し、利益が減少すると懸念されています。特に、中国に対しては強硬な姿勢をとっており、トランプ氏が再び大統領になることで、対中関税が引き上げられて貿易戦争が再開される可能性が高くなります。

中国市場に依存する企業にとっては収益減のリスクであり、株価にネガティブな影響を及ぼすでしょう。前任期中も、中国市場への依存度が高いテクノロジー関連株が、かなり不安定な動きを見せていました。

移民政策の強化

トランプ氏は、移民に対して強硬な姿勢をとることで知られています。この移民に対する規制の強化が、一部の業界に悪影響を与えるのでは、と考えられています。特に、農業や飲食業、建設業など、移民が多く就労している業界では、労働力不足が深刻化し、人件費の上昇につながって収益が悪化する可能性があります。

政局の不安定化

トランプ政権は突発的な政策が多く、すぐに方針が変わることで知られています。これはマーケットにとっては不安要素でしかなく、前任期中もSNSでの過激な発言や突然の政策変更、予測不能な行動を繰り返し市場に混乱を招きました。トランプ氏の再選で株価の変動要素が高まって、一部の投資家は、リスクの回避に向かうかもしれません。

イーロン・マスク氏の影響

イーロン・マスク氏は選挙中、トランプ陣営に多額の献金をしています。トランプ氏は、選挙で勝てばマスク氏を政府効率化担当の役職に任命することを約束しており、先日その通りの声明を発表しました。トランプ氏によれば、マスク氏の効率化に向けた起業家的な取り組みが大規模な構造改革を促進し、無駄な業務が多いアメリカの政治体制全体に良い意味でのショックを与えるとしています。詳細はまだ明らかになっていませんが、マスク氏の過激な取り組みによって、市場が混乱する可能性があります。

トランプ再選と投資家たちの動き


2016年の大統領選挙でトランプ氏が当選した際は、トランプ政権の掲げる減税や財政出動などへの期待から、金利、株式、米ドルが急激に上昇しました。NYダウは45%、 S&P500は34%も上昇し、この米国株式市場の上昇に引っ張られる形で、日本をはじめとする世界の株式相場も上昇しました。この動きは「トランプ・ラリー」と呼ばれ、投資家たちの活発な取引が起こりました。しかし、株価は短期的に上昇したものの、長期的な視点で見ると過激な政策によるリスクの高まりや、国際関係が不安定化する可能性があります。

今回も選挙戦の最中から、トランプ氏が当選すれば、株高、ドル高のトランプラリーが始まる、といわれてきました。そして実際に、大統領選の開票が進んだ11月6日は、トランプ氏の優勢が報じられると共に、株高、ドル高が進みました。日経平均も上昇が加速して、最終的な株価は1,000円以上の上昇を見せています。同じくドルも上昇し、11月6日のドル円為替は151円台半ばから154円台半ばまで一気に円安が進みました。今回のトランプ・ラリーも一過性のものなのか、あるいは持続的なものなのかについては、慎重に見極めていく必要があるでしょう。

まとめ


トランプ氏が大統領に就任したことで、株価への直接的な影響が高まる一方で、政策の不安定性もあり、投資家にとっては一長一短という側面があります。減税政策や規制緩和など、特定のセクターの企業には好影響が見込まれる一方で、貿易摩擦や移民政策の影響を受ける企業には悪影響であると考えられています。今後のアメリカ経済と株式市場がどのように進展するかは、引き続き注目していきたいポイントです。私たち一般投資家(普通の人)としては、どちらに振れても大丈夫な資金環境を作っておきたいですね。

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