タイの証券商品投資方法とそのメリットデメリット

タイの証券商品投資方法とそのメリットデメリット

目次

目次

はじめに

1. タイの株式市場概観

2. 投資方法

3. メリットデメリット

4.まとめ

はじめに

旅行先、移住先としても日本人に人気を誇るタイですが、ビジネス、投資の観点からもその成長性を安全性のバランスから注目されています。 今回は、そんなタイの証券商品への投資の仕方や、そのメリット、デメリットなどを解説していきます。

タイの株式市場概観

まず、タイの証券商品の投資にあたって前提知識となる株式市場の基礎知識について簡単に押さえておきます。

タイの株式市場は2つ

タイの株式市場は、SET市場とmai市場の2種類があります。SET市場というのは日本で言う東証一部のような大企業、歴史ある企業が上場している市場。mai市場は、日本で言うマザーズのような新興企業・ベンチャー企業が入っている市場です。それほど厳密に押さえておかなければならない事柄ではありませんがご自身が投資を考えている銘柄がどちらに属するかは投資判断の参考にはなるのではないでしょうか?

➣3種類の証券のうち日本人が購入できるのは2種類

日本の証券商品は一つの銘柄に複数種類があるということはありませんが、タイの証券は以下の3種類に分かれます。

①ローカル株(L株):タイ人のみ購入可能な株。議決権がある。

②フォーリン株(F株):外国人が購入可能な株。議決権がある。 ③NVDR:タイ人でも、外国人でも購入可能な株。議決権がない。 日本人が購入することができるのはフォーリン株とNVDRです。その違いは保有する株式分の議決権の有無。しかし、フォーリン株は市場に流通している量が少なく、銘柄も限られている上に、相対的に割高な価格で取引されることになります。

結論としては、基本的におすすめなのはNVDR。よほど資産があり、新興の企業に対し議決権を有して経営に口を出していきたいという場合は別ですが、基本的にはいち個人が資産運用をしていくというレベルにおいては一般的に議決権を有することは重要視されません。議決権が行使できないことをデメリットに感じなければNVDRの取引の方が価格や流動性の面で優位性があります。

タイの証券商品への投資方法

タイの証券商品への投資の仕方は、2通りあります。現地に駐在されている場合でも、住民票の有無によってどちらのパターンで対応できるかが異なりますので、ご注意ください。

➣ ①タイ株を取り扱っている国内業者の口座を開設する

まず、日本に住民票がある場合、国内のタイ株を取り扱っている証券会社の口座を開設することでタイ株の取引が可能になります。タイ株は比較的メジャーな投資先であり、大手どころでもたとえば楽天証券やSBI証券といった会社の口座を開設していると、タイ株への投資が可能になります。

ただし、日本の業者からでは代表的な銘柄への投資は可能ですが、全ての銘柄に投資できるわけではありません。

 

➣②タイの業者の証券口座を開設する

住民票を日本から外している場合、現地の業者の口座を開設して取引を行うのが最も手軽に投資できる手法です。

SBIタイオンライン証券など、日本語のサポートが豊富な現地の証券会社もあるので、外国語での開設、運用に自信がない方でも手軽に始めていただくことができます。

 

メリット

➣タイの株式市場全体が拡大傾向にある

タイという市場自体が、長期的にみると成長を続けており、日本企業から見ても中期的に有望な市場と考えている声が多くみられます。

加えて、政治的にも安定しておりカントリーリスクが低いことも市場の魅力として挙げることができます。

➣高配当の銘柄が多い。(超大手の株も高配当。)

タイの株式市場の配当は、日本の市場と比較して高い配当が出ることが特徴として挙げられます。大手企業でも4%を超える配当率を出している銘柄もありますし、高配当な銘柄に絞って探してみると10%代、10%後半といった銘柄を見つけるのも難しくありません。

➣小額からの投資も可能

日本で株式投資を始めるにあたっては数十万円といった資金が必要となってきます(低位株など絞れば事情は変わってきますが)。タイの証券商品は数千円単位からでも選択肢が豊富なので、一度口座を開設してしまえば投資を始めるハードルは低いです。

➢差金決済がないため資金効率が良い

日本でデイトレ―ドのような超短期の売買を現物取引で行う場合、当日売買した銘柄を再度売買することは「差金決済」としてシステム上禁止されています。タイの証券取引においては差金決済という概念は存在しないため、同じ銘柄を回転売買することで効率の良いトレードも可能です。

➢(日本に住民票がない場合のみ)キャピタルゲインが非課税

日本に住民票を置いていると、証券商品の売買におけるキャピタルゲインが課税対象となりますが、タイは当然、海外在住であればタイ株の売買におけるキャピタルゲインは非課税です。なお、インカムゲイン(配当)については課税対象であり、天引きされた金額が振り込まれる形になります。

デメリット

続いて、タイの証券商品に投資するデメリットを見ていきます。証券商品に共通するもの、タイもしくは外国の商品に投資すると特有のものなど存在しますが、改めてご確認ください。

➢元本割れが起こりうる

株式をはじめとする証券商品は値動きが大きく、投資額が目減りしてしまう、元本割れのリスクを常に抱えています。また、値上がり自体はしていても、売買の手数料を差し引くとトータルでは損失となっていた、というような「手数料負け」のリスクもありますので、注目しておく必要があります。

➢リスク(変動幅)が日本の証券商品と比べて相対的に高い

タイの株式への投資は高い成長が期待できる銘柄も多いですが、逆に言えば、成長せずに急落、倒産してしまうようなリスクも高いと言えます。日本の企業に投資する際にも同様の視点が必要ですが、投資先が新興国である点は今一度念頭に置き、リターンが期待できる分、リスクもあることを認識しておきましょう。

➢為替リスクがある

海外投資特有のリスクとして、為替によるリスクがあります。投資自体では(手数料等含めて)元本を増やすことができたとしても、いざ日本円で手元の口座に戻そうと思った時に、円安が進行してしまっていると、元々用意していた日本円から比較して目減りしてしまうというリスクもあります。

➢(現地口座の場合)日本円での入出金ができない

現地の口座で株の取引を行う場合、日本円で直接行うことができず、バーツに両替してから証券会社に入金するというプロセスが必須になります。先述の為替リスクの面とも関わってくるので、認識しておきましょう。

➣外国人は信用取引ができない

長期投資重視であればあまり関係ありませんが、トレーダーにとって致命的なデメリットとして、信用取引が行えないことが挙げられます。レバレッジがかけられないというだけでなく、当然空売り(ショートポジション)を取ることもできないため、短期の取引においては現地人のトレーダーと比較してかなり不利な条件で戦わざるを得なくなります。

➢タイムリーな投資情報の入手が困難

タイの証券口座は日本語での情報提供は充実しておらず、また現地の情報を得ようにも日本語はおろか英語の情報も十分に入手できないことも多いです。タイムリーに投資先の最新情報を入手できない点をリスクの一つとして認識しておく必要がありそうです。

 

まとめ

成長市場であるタイの証券商品への投資は、市場自体の成長性に加え、高い配当や、キャピタルゲイン非課税など数多くのメリットがありますが、ルール上の制限も少なくありません。メリット、デメリットを比較しながら投資判断をしてみてください。

セミナーお申し込みはこちら

Insurance110では世界各地に拠点があります。
各国に滞在する日本人ファイナンシャルプランナーが、
無料で保険の相談をお受けします。

記事監修:INSURANCE 110 DIRECTOR 才田 弘一郎
日本・海外で累計2,000名以上のお客様の資産運用をサポート。
香港、シンガポール、日本、アメリカなど世界各国の保険やオフショア商品の事情に精通。
日本人に適した「出口戦略」を意識した堅実な資産運用の提案が得意。