所得税を節税しながら年金準備もできる保険商品『QDAP』

日本における所得税の納税方法は毎月の給与から源泉徴収されています。
自動的に引かれているので、意識していない方も多いのではないでしょうか。

一方、香港の所得税は1年分をまとめて納税します。
1月が納税のタイミングなのですが、1年分まとめて払うのでかなりインパクトが大きいです。

この所得税を節税しつつ、年金準備もできる保険商品『QDAP』(Qualifying Deferred Annuity Policy)について、詳しく解説していきます。

QDAP導入の背景

QDAPが導入されてからまだ5年も経っていません。
まだ新しい保険商品といえます。

QDAPが導入された理由、それは自主的な年金準備を促すためです。

では、なぜQDAPが導入されたのか、背景を見ていきましょう。

香港の平均寿命は世界でトップクラス

香港は世界的に見ても平均寿命が長い国です。
日本と香港が、長寿国ランキングの1位2位を争っているニュースを見たことがある方もいるのではないでしょうか。

退職後には20年以上の生活が待っています。
仕事を辞めたあとも長生きするため、生活のコストがかかるのです。

退職後にかかる生活コストが高すぎる

香港は生活コストが非常に高いことで知られており、特に不動産は「世界で最も高い」とまでいわれています。

日本だと家賃は給与の1/3までにおさえましょう、といわれていますが、香港だと平気で給与の半分以上払ってる方もいます。

生活コストの高さは家賃に限りません。
食事代や生活用品などもかなり高いです。

たとえば、日本食を食べに居酒屋に行ったとします。

大衆的なお店でさえも、ひとり当たりのお会計が1万円をこえることも珍しくありません。

また、インフレが激しく、モノの値段はどんどん上がります。
レストランで前回と同じ食事を注文しようとした際、半年前の価格よりも1割ぐらい値上がりしていることもザラにあります。

公的年金が日本よりも保障が薄い

香港は生活コストが高い割には、公的年金の保障が薄いです。

日本も公的年金の保証が薄く、このままだと老後の資金が足らないという試算を出しました。
そこで、政府が個人の資産形成をうながすように、『NISA』や『iDeCo』のような制度を打ち出しています。

香港の保障は日本よりもさらに薄いです。

ある調査によると、退職後から一生を終えるまでにかかる生活コストは、数百万ドルといわれています。
日本円に換算すると、おそらく5,000万円でも足りないかもしれません。

そのため、政府主導で個人に年金準備をうながしているのです。

QDAPの節税効果

実際にどれくらいの節税効果があるのか見ていきましょう。

最大HKD60,000の所得控除が受けられます。
※MPF任意積立と合わせて上限HKD60,000

所得税の計算をする際は、さまざまな控除を含めます。
たとえば、配偶者控除や扶養控除などがありますよね。

その控除の欄に『QDAP』があります。
そこで最大HKD60,000の控除が得られるのです。

控除の金額は分かったけど、節税額はどれくらいなのか気になりますよね。

香港では所得税の計算方法は2種類あるのですが、ここでは一般的な累進税率を使います。
この累進税率は2%から最大17%で計算される方法です。

最高税率の17%で計算した場合、

所得控除  所得税率   節税額
HKD60,000  ×   17%   =  HKD10,200

となります。

結構大きな節税額ですよね。

QDAPの豆知識

最後にQDAPの豆知識や注意点をお伝えします。

①QDAPとして認められた年金保険のみ節税可能

香港では年金保険とうたっている保険商品はたくさんあります。
ただ、QDAPとして認められている商品は半分もありません。

つまり、すべての年金保険が節税できるわけではないのです。

QDAPとして認められている商品のパンフレットには

このロゴがついています。

節税をする場合は、必ずQDAPのロゴが付いている商品を選びましょう。

②加入タイミングに注意

香港の給与申告の対象期間は、毎年4月から翌年の3月末と決められています。

仮に2021年4月から2022年3月の給与申告期間で所得控除したい場合は、2022年3月までに保険成立させなければなりません。

つまり『2月から3月上旬には申込み手続きを実施』しておく必要があります。

もし4月以降に加入すると、次回の対象期間での申告になるので注意してください。

今回は控除を有効に活用するための大事なタイミングについてお知らせいたしました。

商品のスペックについてはあえて解説していませんので、
QDAPについて詳しく知りたい方は、弊社までぜひお問い合わせいただければ幸いです。

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