海外駐在生活のメリットのひとつに、海外保険に加入できる点があげられます。海外保険は日本の保険と比べて利回りが良く、長期運用をすれば元本が保証されるプランもあり、駐在員に人気が高いのも頷けますです。
そこでこの記事ではシンガポール在住の日本人が知っておきたい資産運用方法として、シンガポールの保険商品を解説します。
図解やデータを使って比較していますので、シンガポール在住で海外投資に興味のある方はぜひ参考にしてください。
シンガポールと日本の保険会社の格付け
保険商品を検討するうえで見ておきたいのは、各保険会社の格付けです。こちらはシンガポールと日本の保険会社の格付け表になります。
|
S&P |
Moody’s |
Fitch |
設立年 |
Prudential |
AA |
Aa2 |
AA |
1849 |
AIA |
AA- |
Aa3 |
– |
1919 |
AXA |
AA- |
Aa3 |
AA- |
1817 |
Manulife |
AA- |
A1 |
AA- |
1897 |
NTUC |
AA- |
– |
– |
1970 |
GE |
AA- |
Aa1 |
– |
1908 |
Tokio Marine |
A+ |
Aa3 |
A+ |
1879 |
日本生命 |
A+ |
A1 |
– |
1889 |
縦軸はシンガポールに進出している保険会社名、横軸は各企業の金融資産や健全性などを評価する格付け会社です。
S&Pを見ていくと、こちらで紹介している保険会社はAAやAA-と評価されています。S&PではAAA(トリプルエー)からDまでカテゴリー分けされており、AAはAAAに次ぐ評価の高さです。※
大切なお金を預けていくうえで、格付けは企業の安定性を見る重要なポイントになるので、確認しておきましょう。
また保険会社の歴史も重要視してください。設立年が短い保険会社より100年以上経営してきた保険会社の方が、実績やノウハウがあります。長く経営できるだけの理由がありますので、確認してください。
※出典:S&P の格付け定義等
シンガポールの金融商品は利回りが高い
日本やシンガポール、アメリカの商品を比較しました。
商品 |
日本 |
シンガポール |
アメリカ |
定期預金1年 |
0.01% |
1.00% |
2.00% |
各国株式指数(リーマンショック後の回復度) |
316%(日経225) |
210%(新加ST指数) |
375% (S&P500) |
債券/10年国債 |
0.10% |
1.75% |
1.65% |
保険商品10年運用 |
0.50% |
3.60% |
3.50% |
不動産 |
3.25% |
4.50% |
4.58% |
日本の銀行金利は0.01%と他の国と比べると非常に低いです。また債券や国債も同じことがいえるでしょう。しかしシンガポールやアメリカも下がってきているので、この先はどうなっていくのかわかりませんが、まだ運用対象にはなり得るのではないでしょうか。
保険商品を比較すると、日本は10年運用しても0.50%なのに対して、シンガポールは3.60%と大きな差があります。シンガポールでは投資先としての保険運用は安定しているので人気が高いです。
駐在員として海外にいる間に、このような商品を検討しておくと将来の資産形成に役立つのでおすすめします。
シンガポールの保険商品の安定性の根拠とは
シンガポールの保険商品は安定しており人気があるとお話ししました。その安定性の根拠はどこからきているのでしょうか。
下記の図解を見てください。
こちらはある保険会社の商品ページを一部抜粋したものです。
まずは左上の『asset class』を見てください。この商品はどのような割合で運用しているのかの大枠を開示しています。
こちらを見るとFixed Income(債券)ではおよそ7割、そのほかのPublic Equity(公開株式)などでおよそ3割となっていますが、それ以上細かい運用先の開示はありません。これが保険商品の良いところでもあり、悪いところでもあります。
実際に自分で資産運用の経験がある方からすれば、「どこに運用しているのかわからない保険商品の不透明さはあり得ない、信頼できない」と思われる方もいるのではないでしょうか。
ただ保険商品の詳細な運用割合を見ても、投資初心者には理解するのは難しいでしょう。詳しくない状態で資産運用をお任せできるのは大きなメリットでもあります。わからないからこそ保険商品は投資初心者でもはじめやすいといわれているゆえんでもあります。
知識は今後勉強して身につけていけば問題ありません。
考え方は人それぞれです。自分の考え方や価値観などと照らし合わせたうえで、保険商品に加入するかどうかを検討してはいかがでしょうか。
シンガポールの保険商品のリターン確認方法
とはいえ、実際の運用結果がどのようになっているのかを知らないと不安ですよね。シンガポールの保険会社であれば、一定期間ごとの運用状況の開示はされているので安心してください。
図解では『Investment Returns』にあたります。ここ3年間の平均リターンは4.9%、5年間は3.29%、10年はまだ運用期間に達していないため、記載されておりません。
この情報の開示は台湾や香港、アメリカなどの国にはありませんので、シンガポールは購入する方にとっての参考資料になるでしょう。
直近のリターンがどれくらいか確認できれば、保険商品の購入するかどうかの材料になるので確認してください。
シンガポールの保険商品はミドルリスク・ミドルリターン
シンガポールの保険商品は債券や株式を組み入れて運用します。そこに私たちの意見や考えは反映されません。
シンガポールの保険商品の安全性はある程度運用すれば元本を守りつつ、利回りも確保できる点です。いいところどりをした金融商品といえるでしょう。
海外の貯蓄型保険は『ミドルリスク・ミドルリターン』といえます。シンガポールの保険商品もこの黄色の枠内におさまるので、バランスの良い商品です。
シンガポールの保険商品で海外資産運用しよう
シンガポールの保険商品の解説をしました。
シンガポールの金融商品は日本と比べて、総じて利回りが高いです。保険商品を10年運用した場合、日本の利回りは0.50%に対して、シンガポールは3.60%と7.2倍もの差がつきます。
一定期間運用すれば元本が確保され、さらに上振れ部分の利益は還元されるという商品もありますので、安全性も高いです。
シンガポール在住の日本人で海外資産運用先を探している方は、一度検討されてはいかがでしょうか。