海外生活環境
海外居住者は日本の年金をどう受け取るのが良いか?受け取り方の違いによるメリットや注意点を解説
老後の生活が近づいてくると、年金のことが気になり始めるものです。海外に住んでいる方や、海外移住をお考えの方の中には、「そもそも日本で加入していた公的年金を受け取れるのか」「受け取る場合はどのように受け取れるのか」と不安に感じている方もいるでしょう。 結論から言うと、海外にいても日本の年金は受給可能です。ただし、いくつか留意すべきポイントがあります。 そこで本記事では、海外居住者が日本の年金を受け取る方法や、受け取り方の違いによるメリット・注意点について解説します。老後も海外生活を続ける予定の方や、老後に海外移住を検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてください。 日本で加入した年金は海外にいても受け取り可能 日本で加入していた公的年金は、受給開始年齢に達した時点で海外居住者となっている場合でも受け取ることができます。ただし、日本に居住している場合と同様に、年金を受け取るためには受給資格要件を満たすことが必要です。 公的年金(老齢年金)の受給資格要件 老齢年金の受給資格を得るための要件は日本にいる場合と同様です。具体的には、「国民年金または厚生年金に10年以上加入していること」と、「65歳に達している」の2つです。 なお、1つ目の「10年以上加入していること」という要件は、以下の3つの期間を合計してカウントします。 海外居住者の中には、海外移住するにあたって日本の住民票を抜く手続きをした方もいるでしょう。この場合、出国日以降の期間が3つ目の「カラ期間」に該当します。一方、日本の住民票をそのままにした状態で国民年金保険料を支払わなかった場合、その期間は「未納期間」となり、「10年以上加入」の計算に含まれないため注意が必要です。 また、海外駐在など会社の厚生年金に加入していた方や、海外移住にあたって国民年金に任意加入した方は、それらの期間が1つ目の保険料納付済み期間としてカウントされます。 年金を受け取るためには請求が必要 受給資格の要件を満たしていても、受給開始年齢に達しただけで自動的に年金が支給されるわけではありません。日本の年金制度では、「自ら請求手続きをしなければ支給されない」ため、必ず年金の請求を行う必要があります。 海外居住者の場合は、国際郵便を利用して書類を提出する方法や、一時帰国時に年金窓口を直接訪問する方法などで手続きを行うことが可能です。 手続きの提出先は、日本国内の最終住所地を管轄する年金事務所、または街角の年金相談センターになります。 海外居住者は日本の年金受け取りを2つの方法から選択可能 ここからは、海外に居住しながら日本の年金を受け取る方法について見ていきましょう。受け取り方法は、以下の2つのうちいずれかを選択することができます。 手続きの詳細についてはここでは省略しますが、年金請求時に「外国居住年金受給権者用」の所定の用紙を使用して、受取口座を指定する必要があります。詳しくは、日本年金機構の公式サイトなどでご確認ください。 日本の口座で受け取る 日本国内に本人名義の銀行口座があれば、年金振込先口座として指定することが可能です。この場合、年金保険料納付状況に応じて計算された年金額が日本円で振り込まれます。 海外(居住現地)の口座で受け取る 海外の居住地にある現地の金融機関口座を、年金の振込先口座として指定することも可能です。 この場合、日本円で計算された年金額が、現地通貨などの外貨に換金されて振り込まれます。送金される通貨は国ごとにあらかじめ指定されており、居住国で実際に使われている通貨とは異なる場合もあります。 たとえば、口座がシンガポールにある場合はシンガポールドルで送金されますが、香港や台湾の場合は米ドルで送金されます。 どちらが良い?海外で年金を受け取る際に考えるべきポイント 海外に居住している方の場合、現地で普段使っている口座で年金を受け取るのが一般的です。一方で、日本に帰省する機会が多い方などは、日本国内の口座で受け取るほうが使い勝手が良いというケースもあるでしょう。 日本の口座か、海外の口座か――いずれを選ぶにしても、海外居住者が日本の年金を受け取る際には、いくつか考慮すべきポイントがあります。これらのポイントを踏まえて、ご自身にとって最適な受け取り方法を選択しましょう。 為替の影響 海外の口座で年金を受け取る場合、日本円から外貨に両替されるため、為替の影響によって毎回の受取額が変動します。為替が円高に動けば外貨ベースでの受取額は増え、円安になると減るということになります。年金は2ヵ月ごとに2ヵ月分ずつ、偶数月の15日(土日の場合は前営業日)に支払われる仕組みです。したがって、自分で為替のタイミングを選べないことを知っておきましょう。 令和7年度時点の厚生年金の標準年金額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む)を例に、米ドルで送金されるケースで見てみましょう。標準年金額は、日本円ベースでは月額232,784円、1回あたりの支払い(受取り)額は2ヶ月分の465,568円となります。 これをもとに、2025年2月と4月の各15日時点の為替レートを用いて上記支払い額を米ドルに換算してみます。 2025年2月15日 2025年4月15日 為替レート 1ドル=約152円 1ドル=約143円 米ドル換算額 約3062.95ドル 約3255.72ドル 1回あたりの受取額に約190ドルの差が出ていることがわかります。 受け取る年金が国民年金(老齢基礎年金)だけの場合でも見てみましょう。満額で受け取れる場合の年金額(令和7年度)は月額69,308円、1回あたりの支払い額は138,616円です。 同様に米ドルに換算してみます。 2025年2月15日 2025年4月15日 為替レート 1ドル=約152円 1ドル=約143円 米ドル換算額 約911.95ドル 約969.34ドル 1回あたりの受取額の差は約57ドルです。 日本の口座で受け取る場合でも、為替の影響がまったくないわけではありません。例えば、海外に居ながら受け取った年金をオンラインバンキングなどで海外送金したり、現地で買い物に利用したりする場合です。ただし、この場合は、為替の動向を見ながら自分で送金や利用のタイミングを調整できる可能性があります。 為替手数料 海外口座での受け取りには、手数料が発生することもあるため注意が必要です。先ほどは米ドルへの換算額の例を紹介しましたが、実際の送金時には為替手数料(両替手数料)を含んだ両替レートが適用されます。 また、振込手数料は国(日本側)が負担するため発生しませんが、受取先の金融機関によっては受取手数料がかかる場合があります。前述したように年金は2ヵ月ごとに支払われるため、受る取るたびにこの手数料を負担することになります。 なお、日本の口座で年金を受け取り、その後に自分で海外送金を行う場合には、振込手数料(海外送金手数料)が別途発生しますので、こちらも留意しておきましょう。…
マレーシアでおすすめの資産形成方法は?教育環境や為替の状況、おすすめのオフショア投資を解説
マレーシアに駐在しており、将来に向けて資産形成を始めたいと考えていませんか。マレーシアで資産を築こうとしても、何から始めればよいのかわからず、戸惑う方も多いでしょう。しかし、マレーシアに適した資産形成方法を把握しておけば、駐在中に効率よく資産を築くことができます。 この記事では、マレーシアでおすすめの資産形成方法を解説します。教育環境や為替の動向、さらに知っておくべきオフショア投資についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。 マレーシアの教育環境や為替の状況は? マレーシアに駐在したばかりの方は、まだ現地の環境を十分に把握しきれていないかもしれません。そこでまずは、マレーシアがどのような国なのか、その特徴についてご紹介します。 言語や多様な価値観を学べる マレーシアは、アジアでもトップクラスの英語力を誇り、さまざまな民族が共存する多民族国家です。公用語はマレー語ですが、英語力ランキングではシンガポール、フィリピンに次いで第3位にランクインしており、英語を学ぶ環境としても非常に優れています。 また、多民族国家ならではの魅力として、異なる文化や価値観に触れられる点も挙げられます。民族ごとに異なる思想やライフスタイルを一つの国で体験できるため、多様な視点を学び、視野を広げる絶好の機会となるでしょう。 親日的な国なので過ごしやすい マレーシアは親日的な国であり、日本人にとって非常に過ごしやすい環境といえるでしょう。これまで日本を出たことがない方にとっては、海外での生活は不安やストレスが多く、時には過酷に感じられることもあります。生活環境だけでなく、周囲の人々が日本人に対して友好的でない場合、その暮らしにくさはさらに増すでしょう。 しかし、マレーシアでは1981年に打ち出された「ルック・イースト政策(東方政策)」の影響もあり、多くの親日家がいます。現地の人々が日本人に好意的であれば、文化的な違いを感じにくく、日本にいるときと大きく変わらない感覚で生活することが可能です。 リンギットから円に戻すときはレートを確認 マレーシアの為替レートは日々変動しているため、リンギットを円に換える際には、レートの確認が欠かせません。これはマレーシアに限らず、海外で資産形成を行う際の基本でもあります。将来的に日本へ帰国する場合、現地通貨を円に換える必要があるため、為替の動きには常に注意を払うべきです。 特に円に換えるタイミングは慎重に見極める必要があります。リンギットと円の価値がほぼ同じ時期であれば為替差益は出ませんが、リンギットが強く円が弱いタイミングで換金すると、損をする可能性があります。反対に、円高の時期に換えれば、為替差益を得ることができ、資産形成の効率を高めることができます。 マレーシア駐在中にできる資産形成の方法 マレーシア駐在中に資産形成を始めたいけれど、何から手をつけてよいかわからず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。海外での資産形成にはさまざまな方法がありますが、効率よく資産を築くためには、駐在先の国に適した方法を選ぶことが重要です。 ここでは、マレーシアの環境に合った資産形成の方法について、わかりやすく解説します。 駐在の場合にオススメしやすい香港の貯蓄保険商品 マレーシアに駐在している方には、香港の保険商品を活用した資産形成がおすすめです。香港の保険には、高いリターンが期待できる点や、満期時に日本の銀行口座へ日本円で出金可能な点など、多くのメリットがあります。 給与の一部を保険商品に投資することで、投資額の2倍以上のリターンを期待できる場合もあります。また、100万円以上の余剰資金があれば、年利3%以上(現在は約6%)の複利運用も可能で、長期的に安定した資産形成を目指す方には非常に適した手段といえるでしょう。 さらに、香港の保険商品は、香港以外の通貨での出金にも対応しており、もちろん日本の銀行口座への送金も可能です。また、子どもへの相続や贈与も可能なため、ご自身に万が一のことがあった場合でも、大切な家族に資産をスムーズに引き継ぐことができます。 「家族の将来に安心を残したい」と考える方にとって、有力な選択肢の一つとなるでしょう。 マレーシアには、保険商品以外にも不動産投資・銀行定期預金・パーム油農園投資などの方法があります。それぞれの特徴は以下の通りです。 特に異動の多い駐在員にとっては、各国の税制を気にせず、本帰国後も変わらず税の繰り延べや複利運用を継続できる点で、保険商品は非常に有利な選択肢といえます。 ただし、資産形成にはさまざまな方法があるため、それぞれの投資手段の特徴を比較したうえで、自分にとって最適なものを選ぶことが大切です。 キャピタルゲインゼロのメリットを得られる マレーシアは、キャピタルゲイン(投資による利益)に課税しない制度を採用しており、投資に非常に適した国といえます。キャピタルゲインとは、株式やファンドなどへの投資で得た利益のことを指し、マレーシアではこれに対する課税が基本的にゼロです。つまり、投資で得た利益をそのまま手元に残せるという大きなメリットがあります。 一方、日本ではキャピタルゲインに対して約20%の課税があるため、投資で得た利益の一部を納税しなければなりません。その点、マレーシアで投資を行えば、通常であれば納税に充てるはずの20%分をそのまま貯蓄や再投資に回せるため、より効率的に資産を増やすことが可能になります。 高いリターンを期待するならオフショア投資 マレーシア駐在中に高いリターンを狙いたい方には、オフショア投資がおすすめです。投資を行っても、リターンがわずかであれば継続するモチベーションは下がってしまいます。せっかく投資を始めるなら、中長期的にしっかりとしたリターンが見込める方法を選びたいところです。 その点、オフショア投資は、税制優遇や高利回りの商品が豊富にそろっているため、長期的な資産形成を目指す駐在員にとって非常に魅力的な選択肢となるでしょう。 オフショア投資とは? オフショア投資とは、海外の金融商品などを通じて、国外で資産運用を行う投資手法のことを指します。日本国内でも投資は可能ですが、高度経済成長期以降、日本経済は長期的に停滞しており、今後急激に活発化する見通しも立ちにくいのが現状です。こうした背景から、多くの日本人投資家が成長性や税制面で有利な海外市場、つまりオフショア投資に注目するようになりました。 ただし、どこの国でもよいわけではないという点には注意が必要です。オフショア投資のメリットを最大限に享受するには、キャピタルゲイン非課税や低税率などの税制優遇が整っている国を投資先に選ぶ必要があります。税制面で有利な国を選ぶことで、投資で得た利益をしっかり手元に残すことができ、効率よく資産形成を進めることが可能になります。 具体的なオフショア投資先としては、ドバイ、香港、シンガポールなどが挙げられます。いずれも税制優遇があり、高いリターンが期待できる商品を提供している国です。これらの国の制度や商品内容を比較検討し、自分の投資目的に合った最適な投資先を見極めることが重要です。 オフショア投資のメリット オフショア投資には以下のようなメリットがあります。 海外の金融商品は、日本国内の商品と比べて高い利回りが期待できるのが特徴です。もちろん投資である以上、元本保証がないリスクは伴いますが、それは日本での投資でも同様です。高いリターンを求めるのであれば、一定のリスクは受け入れる覚悟も必要です。 ただし、もし元本を守りつつ、世界中へ分散投資できる手段があるとしたら…その一つの選択肢が「オフショア投資」です。 オフショア投資には特定の国に限定されるという制約がなく、複数の国に分散して投資を行うことが可能です。世界には、税制優遇を提供している国が40カ国以上あり、それぞれの国で扱う金融商品には特色があります。それらの中から、高利回りが期待できる商品を複数選ぶことで、リスクを分散しながら資産を大きく増やす可能性が広がります。 また、前述のとおり、オフショア投資の大きな魅力は「税制優遇」です。課税によって利益が削られることが少ないため、得られたリターンを効率よく資産形成に活用することができます。将来に向けて、より強固な資金基盤を築きたい方には、非常に有効な手段といえるでしょう。 マレーシア駐在中の資産形成の相談は110Financial Supportへ 親日的で教育環境にも優れたマレーシアに駐在される方には、オフショア投資を活用した資産運用がおすすめです。海外の金融商品への投資は不安に感じることもあるかもしれませんが、高いリターンが期待できるという大きなメリットがあります。 特にマレーシアでは、投資で得た利益に対する税金(キャピタルゲイン税)がかからないため、駐在中により効率よく資産を形成できる絶好のチャンスと言えるでしょう。 香港の金融商品への投資を検討される方は、110Financial Supportまでご相談ください。海外での資産運用に精通した日本人スタッフが在籍しており、お客様一人ひとりのご希望や状況を丁寧にヒアリングしたうえで、最適な資産形成プランをご提案いたします。 将来のために安心できる運用をスタートしたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
海外出張に必須の持ち物を徹底解説!必要なもの一覧と渡航前に見ておきたい海外トラブル3選もご紹介
海外出張を控えているけれど、「何を持っていけばいいかわからない」「現地で必要なものを買えるか不安」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。 国内出張とは異なり、海外出張では忘れ物が命取りになることも。特に現地でのビジネスの成功に直結する場面も多いため、事前準備と持ち物チェックリストの作成が欠かせません。 この記事では、海外出張に必要な持ち物一覧を紹介するとともに、機内に持ち込むものと預けるものの違いや、トラブル事例もあわせて解説します。PDFやExcel形式のチェックリストにしたい方も参考になる内容です。一週間以上の長期出張や女性出張者向けの注意点、便利な持ち物についても触れています。 海外出張には何が必要?持ち物リスト一覧 初めての海外出張を控え、「何を持っていけばいいの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。ここでは、海外出張に持っていきたい持ち物リストをご紹介します。 海外出張に持っていくものリスト 海外は日本と異なる点が多く、必要なものを忘れてしまうと現地で簡単に手に入らないこともあります。出張中に困らないよう、あらかじめ持ち物をしっかりと準備しておくことが大切です。 海外は日本と違い、必要な物資がすぐに現地調達できない場合があります。以下は最低限必要な海外出張の持ち物リストです(1週間を想定)。 日本国内であれば、コンビニやスーパー、ホームセンターなどでほとんどのものを簡単にそろえることができます。しかし、渡航先によっては日本のような店舗がない場合もあり、同じものでも価格が非常に高くなることがあります。そのため、必要なものはできるだけ日本で用意して持参するようにしましょう。 機内に持ち込める荷物 以下は手荷物として機内に持ち込むことができる代表的なアイテムです。 これらの荷物は飛行機内に持ち込めるため、すべて手荷物用のかばんに入れておきましょう。電子機器は手荷物検査の際に取り出す必要があるため、すぐに取り出せる場所に入れておくのがおすすめです。 ⚠モバイルバッテリー・リチウムバッテリー搭載機器は、必ず機内持ち込みとしてください。預け入れ荷物に含めることは禁止されており、空港で取り出しを求められるケースもあります。 ▶ 参考:ベトナム航空 荷物制限ページ 空港に預け入れる荷物 持っていく荷物をすべて飛行機の中に持ち込むとなると、大荷物になります。そのため、すぐに使うことのない荷物は空港に預け入れましょう。 ※モバイルバッテリーは含めないこと 渡航先までの距離が長い場合は、アイマスクを機内に持ち込むのがおすすめです。周囲の光を遮ることで、快適に眠ることができ、移動中の時間をよりリラックスして過ごせます。 健康に不安がある人は薬を持っていくことがおすすめ 持病がある方や、環境の変化で体調を崩しやすい方は、日本から常備薬を持参することをおすすめします。海外でも薬は手に入りますが、現地の製品はその国の人々の体質や体格に合わせて作られているため、日本人には合わない場合があります。万が一に備えて、日本製の薬を持っておくと安心です。 薬や体温計があると万が一の際に安心 普段から服用している薬や、頭痛薬・風邪薬などを持参しておけば、出張中に体調を崩しても安心です。前述のとおり、海外製の薬は日本人の体質に合わない場合があり、現地での医療費が高額になることもあります。日本の健康保険は使えないため、海外旅行傷害保険などに加入していない場合、気軽に病院を受診するのは難しいのが現実です。そのため、薬はできるだけ日本から持参するようにしましょう。 また、環境の変化で体調を崩しやすい方は、些細な体の変化にも注意が必要です。たとえば、耳のかゆみや虫刺され、肌のひび割れなど、日常とは異なる環境では気になる症状が増えることもあります。こうした不調に備えて、かゆみ止めや保湿クリームなども用意しておくと安心です。 さらに、自分の体調を客観的に把握するために、体温計も忘れずに持っていきましょう。なお、水銀体温計は機内に持ち込めませんが、電子体温計であれば持ち込みが可能です。 常備薬を持っていくときの注意点 常備薬を持っていくときは、以下の点に注意しましょう。 参考:厚生労働省「海外渡航先への医薬品の携帯による持ち込み・持ち出しの手続きについて」 空港での手荷物検査で薬を提示するよう求められた場合に備えて、薬の名称や服用理由がわかる書類(処方箋や医師の診断書など)を用意しておくと安心です。また、渡航先によっては特定の薬の持ち込みが禁止されていることがあります。事前に渡航先の大使館や政府機関のホームページで、医薬品の持ち込みに関する規制を必ず確認しましょう。 チェックしておきたい海外出張トラブル3選 海外出張は日本国内の出張とは異なる部分が多いため、思わぬトラブルが起こる恐れもあります。ここでは、チェックしておきたい海外出張トラブル3選を紹介します。 ①ホテルに必要なものがそろっていなかった 宿泊先のホテルに到着し、「ようやく一息つける」と思った矢先に、必要なものが備え付けられていなかった…というトラブルも少なくありません。アメニティの内容はホテルによって異なり、歯ブラシやボディタオル、シャンプーなどが揃っている場合もあれば、最低限のものしか用意されていないこともあります。 ホテルの周辺にコンビニやスーパーがあれば問題ありませんが、近くに店舗がない地域では、必要なものをすぐに入手できないこともあります。また、現地で購入すると予想以上に高額になるケースも。こうした事態を避けるためにも、必要な日用品はできるだけ日本から持参しておくのが安心です。 ②財布やカバンを盗まれた 日本人が海外でよく遭遇するトラブルのひとつが、スリによる被害です。日本では、財布やスマートフォンをカバンに入れたままにしていても盗まれることはほとんどなく、レストランで席を離れても荷物が無事であることが当たり前になっています。 しかし、海外では治安が日本ほど良くない地域も多く、少しの油断が被害につながることがあります。気づかぬうちに財布やスマホが盗まれていたり、席に置いたはずのカバンがなくなっていた…といったケースも珍しくありません。 このようなトラブルを防ぐためにも、貴重品は常に身につけて持ち歩き、目を離さないようにしましょう。 特に人混みや観光地、公共交通機関の中では注意が必要です。 ③渡航先の食べ物・飲み物にあたってしまった 渡航先で食べ物や飲み物が合わず、体調を崩すケースは珍しくありません。日本は衛生環境が整っており、水道水をそのまま飲めるほか、食事についても高い安全性が保たれています。 しかし、海外では日本と同じ基準の衛生環境が整っているとは限らず、水道水や生ものを口にしたことで胃腸を壊すケースも多く見られます。暴飲暴食や現地の食文化への急な適応が原因になることもあるため、注意が必要です。 これまで胃腸のトラブルを経験したことがない方でも、念のため胃腸薬を持参しておくと安心です。 食あたりへの備えとして、整腸剤や下痢止めなどの常備薬を用意しておきましょう。 海外出張時のトラブルには労災保険と海外旅行保険が使える 海外出張中に病院を受診する事態になった場合は、「労災保険」または「海外旅行保険」を活用しましょう。業務中のケガや病気には労災保険が適用されますが、業務外でのトラブルや体調不良については、海外旅行保険がカバーすることになります。 万が一に備えて、通訳サービス付きの海外旅行保険に加入しておくことをおすすめします。 現地の病院では言語の壁が大きな負担となりますが、通訳サポートがあれば、症状の説明もスムーズに行え、より的確な治療を受けられる可能性が高まります。 海外駐在時の資産形成のお悩みは110Financial Supportまでご相談を 海外出張に行く際は、さまざまなものを用意していく必要があります。日本のように、必要なものをすぐに調達できるかがわからないため、ここで紹介したリストを参考に、荷物をまとめましょう。機内に持ち込めるものと預け入れるものを分けて用意すれば、搭乗前に慌てずに済みます。 110Financial Supportでは、各国の金融商品や保険プランを活用しながら、海外で生活する日本人の現状および将来設計そして資産承継までを考慮したグローバルな保障の確保と資産形成・管理をサポートいたします。具体的なアドバイスや運用のご相談は、いつでもお気軽にお問い合わせください。専門スタッフが丁寧に対応いたします。
【対談企画】台湾に移住する人必見!台湾の基本情報から生活、お金の面での情報まで徹底質問【後編】
いつも香港のお話を教えていただいている110グループの才田氏との対談の場に、今回は台湾で国際金融アドバイザーとして活躍されている宮本氏をお招きし、台湾移住に関する様々な情報を教えていただいています。 後編となる本記事では、香港移住の中でも、お金事情をメインに、台湾でのおすすめ資産運用や銀行口座開設、日常生活での決済手段などに関する情報をお届けします。台湾移住の準備に向けてぜひ参考にしてください。 〜対談スタート〜 台湾移住するなら資産運用は必須 資産の自己防衛が大事 高林:「台湾でも公的年金だけでは老後生活を送るのは難しいというお話をいただきましたが、資産の自己防衛としてやはり自分たちで運用をしたり、蓄えたりしていくことが大切だなとあらためて思いました。台湾に移住される方や移住を検討される方に向けて、台湾での資産運用としておすすめの方法や注意点などがあればぜひ教えていただきたいです。」 宮本:「資産運用と年金はつながる部分があります。先ほど年金のお話をした際、お話ししませんでしたが日本の厚生年金は実はものすごく素晴らしい制度なんです。世間では年収の壁とかいろいろ言って、まるで悪者のように言われることもありますが、厚生年金は本当に良い制度だと思います。何が良いかというと、ひとつは保険料が天引きされる点ですね。天引きを嫌がる人も多いですが、人間は弱い生き物ですので、実は(自分でしようと思っても)ほとんどの人は貯められません。天引きしてもらえるからこそできるものであって、それを国の制度としてやってくれるのは素晴らしいことだと思っています。それと運用の規模が個人とは違いますよね。素人ではできない巨額のお金を運用してくれています。そして、何よりすごいことですが、会社が保険料を半分払ってくれているんですよね。ですので、多くの人が思っている以上に厚生年金としてお金が貯まっているんですよね。この素晴らしさを国が国民にアピールしていないのは、私としてはすごく残念に思っていて、もっと伝えるべきだと思っています。 そのうえで、厚生年金に加入していた人が台湾とか、海外に移住することでどうなるかというと、この貴重な厚生年金がなくなってしまうんですよね。それって大きな資産を失うのと同じことなんです。だからこそ、海外に出る人は自分で何かをやらないといけないんです。国が強制的にやってくれなくなりますから。このことをまず意識として持ち、自分でやると決めていただきたいです。では海外で何ができるかというと、法律によるルールやしがらみによって日本ではできなかった海外の金融商品や運用制度などを利用できるようになります。日本にいながら海外の投資ができる商品もありますが、海外で直接やることによってコスト削減ができます。日本は手数料や中間コストが高いものがたくさんありますので、同じことをやっても結果が違ってきます。それが海外で資産運用をするメリットのひとつですね。 台湾でやるとすれば、まず簡単にできるものとして外貨預金があります。日本にも米ドル建て預金など外貨預金がありますが、台湾は日本より手数料が安いですし、優遇制度も多々あります。金利も台湾のほうが高めですね。ただ、金利は4~5%で良いとしても物価上昇率がそれ以上に高いので、実際にはそれだけで良いかといえばそうではない部分もあります。」 才田:「日本の厚生年金制度が良くできているというのは、私も思います。ただ、海外に出るとそれを続けられる人と続けられない人がいて、さらに台湾では最低でも入らないといけないものがあるようですが、香港では何もありません。会社と個人で毎月支払う年金的なものはありますが、インフレ率の高い香港で将来65歳から30年間そのお金だけで生きていけるかといったら絶対無理ですね。家賃すら支払えない状況になるのではないかと思います。そういった点では台湾でも香港でも、現役で元気なうちに何かお金に動いてもらうものを自分が利用するというのが大切だと思います。社会全体で守るというのが厚生年金の仕掛けですが、海外ではその仕掛けを利用するのは難しいので、海外に一歩を踏み出す場合にはそのことを大きなテーマとして持っておくことが大切ではないかと思っています。 日本人移住者におすすめ資産運用法 高林:「宮本さんに再びお聞きしたいのですが、110グループが取り扱っている貯蓄型保険を含め、台湾でできる資産運用の種類や方法をお伺いしたいです。」 宮本:「台湾では株式投資をしている人が多いです。若い人からお年寄りまで株が大好きで、電車のなかでも皆さんスマートフォンで株式のチャートを見ながらニコニコしたり、渋い顔をしたりしている人たちをよく見ます。ただ、台湾で言葉がわからない日本人がそれをやるかというと難しいと思います。株式投資をやるなら日本で、日本語でやるといいと思います。敢えて台湾で、日本人がやりやすいものということで言うと、例えば銀行が紹介してくれる物として、優遇金利の付いた短期の定期預金があります。簡単ですし、日本人移住者にもやりやすいと思います。あとは貯蓄型保険ですね。貯蓄型保険にも大きく3つありまして、「現地通貨(台湾元)建ての保険商品」と「外貨建ての保険商品」、外貨建てでは米ドル建てが一番多いです。米ドル建ては台湾元建てよりも金利も高いですし、2年ぐらいで元本越えして、それ以降は増えていきますので日本の方にもやりやすいと思います。あとひとつは「投資信託」のようなものですね。日本のNISAやiDeCoに似たようなものが台湾にもありますので、利用しやすいと思います。」 高林:「以前、才田さんとの対談のなかで、最後にお金をどこで使うかという出口のお話をしていただいたのですが、台湾では出口によって資産運用のやり方が変わってくるのでしょうか。」 宮本:「その方が貯めたり増やしたりしたお金をどこで使うかを考えておくことは必要ですが、まず台湾に移住すると台湾の銀行で口座を作りますよね。その口座で貯めたお金を日本でセブンイレブンやローソンなんかにあるATMでお金を引き出せるんです。ですので、お金を取り出すという意味ではとくに問題はないと思います。日本に戻ってしまうということになれば台湾にあるお金を日本に戻す必要があります。日本から海外へ海外送金するのは面倒だったりできなかったりすることもあるのですが、台湾から日本への海外送金は簡単にできますので、それも問題ないと思います。」 才田:「私もこれまで何度か『できれば海外に出てみるのが良い』というようなお話をさせていただいたことがありますが、それでも最終的には日本に戻るという方も一定数いらっしゃるんですね。そういう点では、先ほど不動産のお話も出ましたが、日本に持って帰れない資産ではなく、日本に持って帰りやすい、移動させやすい資産をいくつか持っておくのが良いと思います。自分が貯めたお金を自分で使いたいというのはもちろんですが、やっぱり一緒に生活をしている家族、自分が大切にしている人に資金が確実に渡るようにしておくのがいいかなという気がしています。」 台湾の銀行口座開設 高林:「台湾に移住されてまず銀行口座の開設をするというお話でしたが、銀行の選び方や開設時の注意点などはありますか。」 宮本:「香港だと非居住者であっても口座開設できるようですが、台湾で口座開設するためには、まず居住者でなければできません。それが前提になりますが、口座開設は比較的簡単にできます。ただ、居住証明は必要です。通常は皆、居住証というものを持っていますが、居住証を提出する必要があります。外国人はパスポートも求められますね。手続きも簡単で、当日中に口座開設もでき、キャッシュカードも受け取れます。日本の感覚とあまり変わりません。 どの銀行が良いかですが、台湾は銀行の数も多いのですが、日本でいう都市銀行というか、一般的に看板をよく見かける銀行だと利便性もいいし安心だと思います。会社にお勤めの場合は、振込手数料などの都合もあって一般的には会社が銀行名を指定してきますので、指定された銀行で作ることになると思います。」 才田:「宮本さんが仰ったように、香港では非居住者でも口座を作れる可能性があります。利便性の面でも最近はアプリでいろんなことができるようになっています。日本の口座があればいいという考え方もありますが、日本の銀行だと海外送金がすごく面倒ですし、逆に海外のお金を日本に持ち込むといったことも考えると、台湾から2時間ぐらいで来られる香港にも口座を開設しておくというような発想に広げていただくのもいいですね。そうすればどこの銀行口座であってもおおむね維持したまま移動もできますし、将来の選択肢も広げられるのかなと思います。せっかく海外に出られるのであればいろいろな可能性を見ていくのがいいのではないかという気がします。」 台湾の決済手段 高林:「この対談を通して、これから2国間の活用などといった上級編の話も展開していけるかもしれませんね。あと、決済手段についてもお伺いしたいのですが、キャッシュレスとか現金決済とか、台湾はどのような感じでしょうか。」 宮本:「生活のなかでの決済手段はキャッシュレス、とくにタッチ決済が進んできています。タッチ決済は日本のSuicaのようなカード決済とLineペイのようなスマホ決済、あともうひとつありますが、大きくはこの3種で、日本のようにたくさんの○○ペイがあるわけではありません。中国大陸ではもうほとんど現金を使わないと聞いていますが、台湾ではそんなことはありません。現金も使えますし、ピッ、ピッとキャッシュレス決済も皆さんやっていますね。もちろん、クレジットカードも使えます。」 子連れで移住の場合に必須の台湾の教育事情 台湾でどのタイプの学校に入れるか 高林:「駐在の方など、お子様連れで移住される方もいると思いますが、お子様の幼稚園や学校は皆さん、どのような選択をされているのか気になる方も多いと思います。お子様連れで台湾に来られる場合の教育事情などを教えていただきたいです。」 宮本:「大きく分けると3つあります。駐在の方はほとんどの場合、日本人学校に入れられています。台湾では現在、小学校と中学校があり、台北には1校あります。台中と高雄にもあります。 もうひとつはインターナショナルスクールですね。台湾には結構数も多くありまして、アメリカ系、ヨーロッパ系が多く、そういうところにお子様を入れている日本人の方もいらっしゃいます。インターナショナルスクールに入れる方は、どちらかというと駐在員よりこちらで事業をやられている方が多いですが。あと、どう表現すればいいのかわからないのですが、学校でありながら勉強だけではなく、人生教育のようなことも教える学校もあって、そういうところに入れている日本の方もいらっしゃいました。 あとは、現地、台湾の公立学校にお子様を入れる方も私の周りには結構いらっしゃいます。それが、現地採用や事業をされている方ではなく、駐在で来られているのに台湾の公立学校に入れているという方にも何人かお会いしています。」 高林:「駐在で来られて現地の学校に入れられるというのは、何か狙いや意図のようなものがあるのでしょうか。」 宮本:「私も理由をお聞きしたいのですが、せっかく台湾に来たし、国際色を養えていいのではないか、ということでした。お子さんは小学1年で入学して4ヵ月ぐらいでペラペラになっているそうで、家庭でも中国語を使い出したなんて言われていました。ただ、駐在で行く親にとっては大変ですよね。中国語がペラペラというわけではないですけど、PTAとか学校とのやりとりとかたくさんありますよね。それは全部中国語なので、一番親が大変ですよね。」 才田:「私もよく耳にしますが、(駐在員の)旦那さんは仕事で必要なので中国語や英語を話せる人が多いですが、幼稚園を選んだり、学校やPTAとのやりとりをしたりというのはお母さんが動くわけですよね。奥さんは学校の対応が大変と言いますが、旦那さんは奥さんの対応が大変とかって聞きますね。まあ、どこかでそれぞれパワーは要りますね。子どもにチャレンジングなことをしてもらおうと思えば思うほど、親もしっかりチャレンジできる器量は要るなとお話をお聞きして感じました。それでも、文化の違いの体験は今しかできないことかもしれませんし、せっかくですので親の頑張り様次第かなとも思いながらお聞きしていました。」 宮本:「あと、結果的に奥さんのほうが言語レベルは上がっていくという話も聞きますね。会社の通訳が付きませんからね。」 才田:「ママ友との交流のなかで使う単語をキャッチしていきますからね。」 子どもの言語教育は 高林:「言語のところでお聞きしたいのですが、英語や中国語を学ばせたいとか将来のポテンシャルを加味して選ばれる方もいるのではないかと思うのですが、台湾にお住まいの日本人の皆さんはどのように考えられているかご存じでしょうか。あと、日常生活の言語についてもお伺いしたいです。」 宮本:「せっかく中国語圏に来たから中国語を学ばせたいという方もいらっしゃいますし、国際色豊かになってもらいたくて英語系のアメリカンスクールやヨーロッパ系のインターナショナルスクールとかに入れる方もいらっしゃいます。比率としてどちらが多いかはかわかりませんが、せっかく海外に来たので海外の学校に入れたいという親御さんは多いですね。 日常生活の言語は、台湾では当然中国語です。ただ、中国語でも台湾語というのもあるんです。こちらでは台湾語を使っている年配の方がたくさんいらっしゃいます。私と同年代の方でも、とくに南の方に行くと台湾語を使う方がいます。私もよくハイキングや山登りに行くのですが、挨拶をすると台湾語で喋られたりします。台湾語はわからないので中国語でお願いしますって言いますが。ですので、世代によりますが、日常では中国語と台湾語を両方使う感じですね。日常生活のなかで英語を使うことはないです。では、旅行者や移住者などはどうするかというと、日本よりは英語を使える方は圧倒的に多いので安心かと思います。」 高林:「日本語ができる方も多いのでしょうか。」 宮本:「日本統治時代が1945年までの50年間ありましたので、80代以上の方は結構流暢に日本語を話す方が多いです。台湾の老人ホームのようなところに行くと、普通に日本語を話されている老人の方々もいらっしゃいます。ただ、時代の経過とともに流暢な日本語を話される方は減ってきていますが、第二外国語で日本語を選択したり、日本が好きで片言の日本語を話す方はたくさんいます。こちらが日本人だとわかれば日本語で話しかけてくる人が多いです。あとは、日本人がよく行く様なお店には日本語を話せるスタッフがたくさんいますので、言葉の心配をする必要はほぼないと思います。」 才田:「アニメの影響も大きいですよね。日本に留学したこともないのにアニメで覚えたと言って、アニメキャラ的な日本語を話す人もいますね。」 宮本:「かなり大きいですね。」 高林:「私の知り合いにもアニメで日本語を覚えたという方はいますね。」 海外移住希望者にひと言 高林:「最後にお二人に締めの言葉をお願いします。」 才田:「まずは私から。私が宮本さんと一緒に台湾での立ち上げの仕事をしていたときに、香港と大きく違うなと思ったのが人を雇う時のことですね。例えば、香港では人を雇おうとすると必ず交通費を要求されますが、台湾は昼食代なんですよね。台湾にはそれぐらい食の深さがあり、食べることを大切にしていますよね。韓国同様、台湾は日本から一番近い海外の国ですが、こんなに日本に近いところに、こんなに日本のことを好きに思っている国があるということに気づいていただけると思います。資産運用云々の話もありますが、まずは一歩海外に出てみて、そのなかで感じること、できることをひとつずつ順番に学んでいければいいということを今回の対談のなかで知っていただけたと思います。まずは今回の情報を旅行などで楽しむためにも活用していただければいいかなと思っています。またどこかでお会いできればいいと思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします。」 宮本:「冒頭の気候のお話のなかでひとつお伝えし忘れたのですが、台湾には杉がないので花粉症の方にはすごく喜ばれます。飛行機で降り立った瞬間に全然違うそうです。私は花粉症がないので感じないのですが、花粉症の方は皆さん、台湾は天国だって仰います。 先ほど、才田さんが海外に出て日本の良さがわかると言われましたが、まさしくそのとおりだと思います。とくに今、日本のニュースを見ると年金の話題がよく出ますが、それを見ると『日本人はわがままな国民』なんて感じます。税金などは政治家にもっと頑張ってもらって無駄のないように効率的に使ってもらわないといけませんが、年金に関しては別です。年金はパイが決まっていますし、ある程度の運用も決まっています。たくさんもらいたいけど払うのは嫌という人もいますが、それはないですよね。もともとパイが決まっているのでたくさんもらいたければたくさん払う必要もある、払いたくなければたくさんもらえません。海外にいるとそういったこともわがまま的に感じます。台湾に移住すると、ある意味、良い面、悪い面の両方がありますが、そのわがままから解き放たれますよね。上手に自分でやれば海外でお金を増やすことはできると思います。そういったところに目をつけていっていただきたいです。」 高林:「海外移住に関する対談をさせていただくと、あらためて日本の良さを意識できるなと私も感じます。宮本さん、才田さん、本日はどうもありがとうございました。」
【対談企画】台湾に移住する人必見!台湾の基本情報から生活、お金の面での情報まで徹底質問【前編】
アジア圏と一口に言っても国が違えば気候風土や文化、習慣および意識の仕方などが違います。日本から見れば同じように見えても、実際に現地で仕事や生活をするとなれば、事前に各国の違いをつかんでおくことが大切です。 そこで今回は、いつも香港のお話を教えていただいている才田氏との対談の場に、110グループ台湾で国際金融アドバイザーをされている宮本氏をお招きし、台湾移住に有益な情報を教えていただきました。宮本氏は自ら台湾に拠点を移され、8年以上にわたって駐在員はじめ日本人移住者をメインに台湾での資産管理や資産保全に関するサポートをされています。台湾の基本情報から台湾での社会保障や医療事情、銀行口座開設や資産管理、教育まで、台湾移住を検討するために役立つさまざまな情報をお話いただきましたので台湾移住の準備をされている方はぜひ参考にしてください。 〜対談スタート〜 台湾の基本情報 地理的にも人情的にも日本に近い国 高林:「宮本さん、本日はどうぞよろしくお願いいたします。早速ですが、台湾に移住したい方、検討されている方に向けて、台湾の位置や気候、過ごしやすい時期など基本的な情報を教えていただけますか。」 宮本:「まず台湾の位置関係ですが、まさに『アジアのど真ん中』に位置しています。南にはフィリピン、北には中国、西に香港、シンガポールなど、そして東に日本があります。東京からだと飛行機で大体3時間くらいですね。大阪からだと2時間半、九州から2時間くらい、沖縄からは1時間程度で、とても日本と近いです。場合によっては日帰り旅行もできるのでは、というほどです。 台湾の人口は2,300万人少々なのですが、年間900万人くらいの人が海外旅行をしていて、そのうち大半が日本に行っていると聞きます。台湾の人は日本人のことが大好きなんです。地理的にも感情的にも日本と台湾は近い関係にあり、日本にも行きやすいし、日本からも来やすいです。ただ、コロナ以降は日本から台湾に来る人の数は回復していないようでして、日本からも台湾に人を招き寄せたいということで、私もボランティアで『台北と東北を結ぶ』といったプロジェクトに参画させていただいています。 気候に関しては、南の島をイメージされがちなのですが、案外四季もあります。例えば、12月~2月は少し寒い日がありますし、コートやダウンを着て街を歩いている人も多いです。12月末で気温14度ぐらいですので、まあこれは『冬を楽しんでいる』という感じかもしれません。現地の人は冬と表現していますが私の感覚では気温的には秋といったほうが近いです。ただ、日本の四季と違うのは、台湾は基本的に1年間を通して暑いです。ですので、暖房器具とか、家自体も断熱性能があまりよくないので冬場は室内に冷たい空気が入り込んで結構寒く、寒さに耐え凌ぎながら日々暮らしているという感じです。極寒ではないですが。 実は台湾には3,000メートル級の山が約270~280座あるんです。日本は公式データではたしか21座だったと思いますから10倍以上ですね。それでいて国土が日本の10分の1ですから、狭い敷地に高い山がぎゅっと詰まった感じで、標高が高いところと低いところで気候が全然違います。亜熱帯気候からから寒帯までバラエティに富んでいます。それによって植生や生き物も多種多様です。蝶を例に挙げると、たしか400種くらいと聞いています。面積に比例して考えるとブラジルレベルだそうです。台湾では固有種だけでも40~50種くらいいると言われています。イギリスではたしか蝶々自体が70種(日本は250種)ぐらいしかいないそうです。もちろん他の生物もそんな感じでたくさんいて、住んでいいてもすごく面白い気候帯ですね。」 才田:「香港と共通していると思って聞いていましたが、暖房器具に弱いですよね。寒くなってくると、寒さを凌ぐ手段がヒーターを買うか、家の中でダウンを着るしかないんですけど、暖かそうにみえる台湾もそうなんですね。」 宮本:「そうですね。まさしくそんな感じです。」 高林:「春夏秋冬でみると気温的にはどのような感じでしょうか。」 宮本:「暑いときは35~36度ですね。日本だと暑いときに40度ぐらいになる時もありますが、そのようなことはあまりなくて、暑い期間がすごく長いという感じです。寒いときでは、気温が一桁台になることはなく、10~11度で寒いと思う感じです。2月になると気温が一桁台になることがありますし、台北市の近くには1,000メートルくらいの山があるんですが、そういうところでは数年に1回くらい、ほんの少しですが雪が降ることがあります。台湾は面積も九州と同じくらいですが、南北感の距離も九州のように縦長で300キロメートルくらいの距離がありますので、南北での気温差は結構あります。一番南には高雄という大きな都市があるのですが、そこはすごく暑いようです。高雄から台北に来た人は皆さん『涼しい』と言います。」 才田:「香港のスタッフが言っていましたが、『日本はオーブンレンジの中にいるようなジリジリした暑さで、台湾や香港は湿気があるので蒸し器の中にいる暑さ』のようです。気候面でも台湾と香港はつながっている感じですね。」 宮本:「そうですね。私自身は日本に戻ると24時間以内に皮膚がパキパキになります。夏でもですが、冬はとくに24時間持たないです。唇も頬も、手の指先も。以前はあかぎれになったことがなかったのですが、台湾に7年も8年もいると身体が慣れてしまうのでしょうね。最近は本当にあかぎれがひどいので、冬場に日本に戻るときにはドキドキします。」 才田:「本当に乾燥がすごいですよね。パキパキ感が。何か塗っておかないと、そのまま(皮膚が)外れてしまうような感じですよね。」 宮本:「本当に怖いですね。」 高林:「そうなんですね。前回の対談で、才田さんに香港の『緩やかな四季』についてお聞きしましたが、台湾もそれに近いのかなと思いました。」 台湾の食文化 高林:「生活する上では食事も大切です。台湾の食文化について教えていただけますか。」 宮本:「台湾といえば皆さん、中華料理を思い浮かべると思いますが、日本人が一般的に思い浮かべる辛くて、塩分が強くて脂っこい中華料理とはずいぶん違うと思います。台湾の料理はむしろその真逆で、基本的に非常に薄味というか、塩分がほぼありません。わりと甘めな味付けなので日本人の口に合うと思いますが、塩分が少ないという部分では日本人には物足りないと思います。その辺りの(台湾の)ラーメン屋にふらっと入ってラーメンを食べると、日本人の方々は失敗じゃないかと言うぐらい塩分が無いです。でも、看板に『日本人向けの味』などと書いていたり、日本人向けの味と台湾人向けの味を選べたりするところもあります。私は血圧が高めだったのですが、台湾に来て塩分が少ない生活をしているので肉体的には良いのかなと思います。でも、脂分は日本に比べて何倍も多く感じます。スーパーマーケットに行っても油の一斗缶サイズのものを売っていますし、それだけ油の消費量が多いのでしょうね。 中華料理といってもすごく幅が広くて、同じ中国大陸(以下中国)でも地方で食べる物が違いますよね。香港でもそうですよね。でも、台湾は歴史的に大きく2度中国から人口が集まっているんですが、中国のいろんなところから人が来ているので、人種のるつぼというか、いろんな文化が入り乱れています。ですので、台湾の人が日常的に食べるわけではないですが、日本でよく食べるような中華料理も食べることもできます。 あと、台湾はそんなに大きな国ではないですが、北と南で結構違いがあります。南に行けば行くほど甘味になる傾向があります。台北のほうは、日本の東京に相当しますが、いろんな味が楽しめます。 それと、香港もそうかもしれませんが、台湾の人は日本ほど自炊はしないですね。朝食も大抵外で食べますし、お昼は弁当持参で来る人も多いですが、夜も外食文化があって、食事をするところは日本以上にあります。ただ、魚に関しては意外に、とくに台北は少ないんです。台湾は四方を海に囲まれているので私も台湾に来たときは魚介をたくさん食べられると思っていたのですが、意外に少なく、スーパーマーケットに行ってもほとんどないですね。淡水魚が売られていることもあるのですが、あまりおいしくはありません。 市場とかに行けばありますが、それでも少ないですね。というのは、最初にお話ししたように台湾は周りを色んな国で囲まれているので実は漁場がすごく狭いんですね。漁獲量がすごく限られているんです。その点、日本は太平洋、日本海、東シナ海等々、東西南北に漁場があって、世界有数の漁場に恵まれた国だというのは台湾に来てから感じました。このあいだ台湾で回らない鮨屋に行ったのですが、1人当たり日本円換算で5~6万円くらいかかりました。おそらくですが、日本だと、銀座で4万円、築地で2~3万円、福岡だと1万5,000円というレベルの鮨屋ですよ。」 高林:「ありがとうございます。お魚の話は興味深いですね。台湾の代表的な料理や日本料理店なんかはどのようなものが食べられるんでしょうか。」 宮本:「台湾料理の有名どころとしては牛肉麺ですね。『ニュウロウミェン』といいますが、牛肉が入ったラーメンで、台湾への観光客は一番よく食べる料理だと思います。あと、『魯肉飯(ルーローハン)』といって甘辛味の豚肉の粗挽きをご飯の上にのせた料理ですが、これも庶民の味としてよく食べます。水餃子もですね。中国では焼餃子はあまりないのですが、台湾は日本の統治時代が50年あったからかどうかはわかりませんが、台湾では焼餃子も結構あります。日本食に関しては、多分、海外では世界一と言えるほど、種類も豊富で選択に苦労することはないです。日本のチェーン店もほぼ台湾で展開していると思います。代表的なところでは牛丼チェーン店3種、店舗数も多いですね。回転寿司チェーン店やサイゼリアなどもたくさんあります。ただ、基本的に値段は高めですね、でも、そのなかでウナギは安いと思います。ウナギは味のレベルも高く、価格も安いです。これは漁場が近いし、ウナギの養殖にも成功していて安く手に入るようです。」 台湾の治安 高林:「台湾に行ったことがない方にも台湾での食事についてよくイメージできるかと思います。ありがとうございます。あと、海外にあまり行ったことがない方は治安面も不安があると思うのですが、現在の台湾の治安状況はいかがでしょうか。」 宮本:「治安はすごくいいですね。私も色んな国に行っていますが、多分、台湾は(そのなかでも)一番安全な国だと思っています。私が8年近く住んでいるなかで身の危険を感じたことは一度もないです。日本人のほとんどは、台湾、香港、中国は一緒だと思っているようなのですが、全く違います。道徳、言葉、考え方、習慣、生活様式、アイデンティティなど、全く異なります。ですので治安面でも違いますね。私自身、中国に住んでいたこともありますが、中国では危険を感じたり、怖いと思ったりしたこともありましたし、人口比で考えると比較できないかもしれませんが昨年も凶悪事件が9件ぐらいありましたよね。とはいっても、どんな安全な国でも行ってはいけない場所というのは必ずあり、台湾にもあります。行かない方がいいといわれている場所に敢えて行くことがなければ問題はないと思います。スリや盗難なども注意しておく必要はありますが、あまり聞くことがなく、日本と同じような感覚だと思います。 ただ、治安とは違う危険があって、交通状況は良くないですね。急に自動車の運行量が増えたということや、駐車場の数が少ないこと、バイクがものすごく多いことなんかがあって、路上の事故や危険が多いです。私も歩いていて足の爪先をバイクに轢かれたことがあります。まあ、爪先だったのでたいして痛くはなかったですが、ぶつかりそうになってヒヤッとすることは何度もあります。」 街の綺麗さも日本並み 高林:「ありがとうございます。日本だと歩行者優先ですが、その点は違うのですね。街の景観や雰囲気はいかがでしょうか。」 宮本:「街の雰囲気は日本に似ていると思います。私自身は台湾も綺麗だとおもうのですが、台湾人が日本に行くと皆さん日本は綺麗だと言いますね。綺麗の感覚が台湾人と日本人で異なるのかもしれませんが、台湾には街にゴミ箱もきちんとあって、ゴミ箱に物を捨てるという習慣もあり、綺麗好きです。街並みも綺麗だと思います。都会は車やバイクが多いですが。でも、街中には高層マンションや百貨店などもありますし、あまり日本の都市部と変わらないのではないでしょうか。コンビニもたくさんありますよ。」 高林:「日本のブランドのお店も多いので安心感もあるなというのは、私の記憶にもあります。」 宮本:「他の国に行った時の感覚は、同じアジアのなかでも例えば中国とかフィリピンにいった時の感覚と比べると、台湾は日本にいる感覚に近いですね。」 台湾移住前に知っておくべき諸情報 台湾移住のビザは? 高林:「ビザについてお聞きしたいのですが、観光旅行でビザの要否や移住者はどういうビザで来られているかご存じでしょうか。」 宮本:「私はビザの専門ではないので詳しいお話はできませんが、駐在で来られる方は皆さん就労ビザを取得して来られていますね。ご家族は皆さん帯同ビザで来られています。最近は留学で来られる方も増えていますが、その場合は学生ビザですね。主にはこの3種ではないでしょうか。現地採用でこちらに来られたり、起業されたりしている方も就労ビザを取られています。観光旅行であれば3ヵ月以内の滞在であればとくにビザを意識して来られる方はいないと思います。 ビザの取りやすさで言うと、他の国とあまり変わらないのではないでしょうか。ただ、こちらで起業しようという場合はビザの枠もありますし、現地人を採用するなど取得条件を満たす必要もあります。」 高林:「ちなみに、今は台湾に住まれている日本人はどれくらいいらっしゃるのでしょうか。」 宮本:「正確な数は把握していませんが、在留登録をされている方は2万4,000人くらいだったと思います。2万6,000人くらいいたのが減って、そのあと少し増えた感じです。」 高林:「コロナの後はどのような感じですか。」 宮本:「コロナの後、減ったのですが、今は少し増えてきているというのは最近聞きました。登録していない人もいますし、短期・中期で来られている方も多いので、トータルとしては3万人くらい日本人が住まれていると聞きます。」 高林:「一般的には就労ビザ、帯同ビザというところですね。」 宮本:「そうですね。」 台湾ではどこに住むか? 高林:「台湾に住むとなればどこに住むのが良いのか、家賃も含めて教えていただきたいです。」 宮本:「私は台北に住んでいるので、南の方とか他の都市の事情には詳しくないですが、私の肌感覚としては地域によって家賃の幅が大きいことは感じます。本当に場所によって家賃が違いますので比べるのは難しいですが。」 高林:「日本人駐在員の方達はどのような地域に、どのような価格帯で住まわれているのでしょうか。」 宮本:「駐在の方達は会社の近くや都市中心部の良い地域に住まわれていますね。台北には台北駅を中心に衛星的にいくつか良い地域があって、便利な地域に住んでいる方が多いです。そういう地域では家賃は日本円で20万~30万円でしょうか。家族帯同で来られている方々は日本人学校の周りに住んでいる方がほとんどです。そういうところでは、部屋数も3部屋ぐらいの物件で家賃30万円前後ですね。 まあ、これは家賃を会社が出してくれるから住めるのでしょうが、私のように駐在ではなく単身でやっている者は、中心部から少し離れた場所で、家賃が9万数千円という感じです。少し離れた場所とはいえ、ドア to…
【対談企画|後編】香港生活に必要なお金と資産管理の方法とは?家賃相場から税金・社会保険・年金まで
香港で多くの日本人の資産管理や移住に関するサポートをされているシニアコンサルタントの才田氏に海外移住される方々に有益な情報を教えていただいているこのコーナー。 後編となる本記事では、香港移住の中でも、お金事情をメインに、香港の平均的な家賃相場や社会保険の仕組み、銀行口座開設から資産管理に関する情報をお届けします。香港移住の準備に向けてぜひ参考にしてください。 INSURANCE 110 DIRECTOR/シニアコンサルタント才田 弘一郎 日本・海外で累計2,000名以上のお客様の資産運用をサポート。香港、シンガポール、日本、アメリカなど世界各国の保険やオフショア商品の事情に精通。日本人に適した「出口戦略」を意識した堅実な資産運用の提案が得意。 〜対談スタート〜 香港ではどこに住むか 香港は家賃が高い 高林:「香港へ移住される方々はどのようなところに住まれているのでしょうか。」 才田:「どういうレベルの住宅に住みたいかにもよりますね。香港では家賃は場所と面積で大体決まりますが、とにかく高いです。山手になればなるほど家賃が上がります。日本の駐在の方が一般的に住まれているのは香港ドルで5万ドルくらい、日本円では100万円ぐらいのところでしょうか。責任者として役職の高い方であれば150万~200万円くらいのもっと高いところに住まれている方もいるようです。だからといってすごくキレイなところというわけではないようですが。 駐在ではなく、単身で、現地採用で来られる方は選べる範囲がすごく限られますが、それでも日本円換算で安くて15万~20万円くらいになると思います。香港に移住してくるという方は、こちらでしっかり稼ぐという目的や資産があって来られる方が多いと思いますが、ご自身が住みやすかったり、お子様を学校に送りやすかったりと、目的に応じて住居選びをされるといいと思います。あと、日本のようにインフラの整備はあまりされていませんので、例えば水回りのトラブルなどはよく聞きます。住宅に関しては日本のように満足度が高い住居を選ぶのは難しいと思いますので、その点は心得られていた方がいいですね。」 高林:「ありがとうございます。ホテル代なども高いですか。」 才田:「駐在でホテル暮らしをされている方もいらっしゃいます。ホテルのサービスを受けられるメリットはありますが安くはないですね。ただ、先程から高い、高いと言っていますが、これは為替の関係もあります。今は円が安すぎるため日本円換算でお話しするとどうしても高くなってしまうということもあります。それでもやっぱり家賃やホテル代はコロナ以降ずっと上昇傾向にあるようです。」 香港移住時のお金事情 香港での銀行口座の開設 高林:「海外に住むことになると銀行口座も必要ですが、香港ではどのように銀行口座を開設されるのが一般的ですか。」 才田:「香港での外貨(収入)を受け取るための給与口座が要りますね。個人のお金を動かせる現地の口座が必ず必要になりますが、香港ではインターナショナルバンクといわれる銀行が多々あります。イギリス系だとHSBCやスタンダードチャーターズ、中国系だとバンクオブチャイナ、アメリカ系のシティバンク、シンガポール系のDBSあたりでしょうか。各国の巨大バンクといわれる銀行が香港に支店を出していますので、どの銀行を選んでもいいと思いますし、まずは香港にずっと根付いているHSBCやハンセン銀行の口座を開設されるのもいいと思います。HSBCはどの国に行っても使えることを前提としている銀行に口座を開設しておくと、将来的にも口座を維持するために楽なのではないかと考えています。マルチカレンシー口座といって12種類ぐらいの通貨を保有できるのも便利だと思います。 大手銀行の子会社としてオンライン専業銀行なども続々と設立され、最近では銀行なのに仮想通貨を購入できるZA Bankなどもあり、まだまだ世界の金融センターとしては先端を走っているといえます。 とはいえ、最近日本から転勤して来られた方で、書類不十分だったり、銀行とのコミュニケーションがうまく取れなかったりして口座が開設できないということもありました。ですので、銀行から求められる書類をきちんと準備して来ることが大切です。 こちらで香港IDを取る前に銀行口座を開設されるのであれば、まだ香港での各種証明書がなかったりしますので、まず日本居住者というステイタスで開設することになるかもしれません。香港での各種証明書はまだ取得できてなくても(給与など)お金を受け取る必要があることもありますので、状況を考えながら開設し、その後、本人確認情報含めいろいろアップデートするという方法もあるかと思います。(日本とは違い)銀行の窓口に行ってすぐに口座開設できるというものではありませんので、準備はしっかりしてから来るようにご注意いただきたいです。」 高林:「話が少しズレるかもしれませんが、以前香港の銀行口座を開設して外貨を活用する、というお話をしていただいたかと思うので2点お聞きしたいです。1つ目は香港では現地に住んでいなくても口座開設ができるかどうか。もう1つは香港で口座を開設し帰国が決まったあと、日本帰国後も香港にそのまま口座を維持しておけるのか、教えていただきたいです。」 才田:「まず、1つ目の香港に住んでいなくても香港で口座を開設できるかというご質問ですが、基本的には開設できます。ただ、住所証明を出せる国に住んでいるという条件はあります。居住地の住所証明がなければ書類の送り先もないということですし、どこの国の課税になるかも明確になりませんよね。ですので、自分の居住地をはっきりさせて、その証明も出せるのであれば開設できると思っていただいていいと思います。 2つ目のご質問については、例えば先ほどお話ししたHSBCはワールドワイドに展開している銀行ですので、日本はもちろんイギリスやアメリカに行かれても口座を維持しておくことは可能だと思います。 ただし、2年とか一定期間口座内の資金移動やログインなど何もなければ口座凍結となり、その後数年経つと一旦お金が香港政府に預けられてしまいます。凍結解除するためには手続きの手間や時間、費用がかかりますので、住所変更はもちろん口座を維持するための管理や手続きはきちんとすることが大切です。最近では、居住国が変わった際には居住国の電話番号登録や納税番号、日本でいうマイナンバーのような番号を登録するよう求められますので、これらへの対応はきちんとすることが必要です。」 高林:「口座凍結されてしまった方はどうすればいいのでしょうか。」 才田:「どこでどのように凍結したかによっても変わりますが、日本にいて凍結した場合はまず自分で電話をしてみることですね。本人であれば解決できる可能性はあります。そのうえで凍結解除に必要な書類を教えてもらって郵送することで解決できる場合もあります。ただ、電話だと英語か広東語で話す必要があり、上手く通じない可能性もありますので、その場合には旅行などのついでに現地の窓口に行くのが一番簡単な方法だと思います。もし現地に行くのが難しいようでしたら、あくまで翻訳・通訳代行という形になりますが、弊社のグループ会社が銀行とのやりとりや手続き方法のアドバイスはさせていただいています。必要でしたら弊社が提供している『お困りごとサポート(OSSJ)』をご用命いただければと思います。」 香港での税金手続き 高林:「ありがとうございます。海外にいらっしゃる日本人の中にはフリーランスの方や会社にお勤めの方、日本と香港の両方で所得がある方などいろんなケースがあると思いますが、香港居住の日本人の方々は一般的にどのような税金手続きをされているでしょうか。」 才田:「駐在の方か、現地採用の方か、こちらで事業をされている方かなどによって大きく変わりますね。駐在の方はご自身で税金関係の手続きなどをされることはほぼないようよう思います。最近新しく来られる駐在の方はわかりませんが、通常であれば税金などの問題がないように香港での納税関係はすべて会社が行うところがほとんどだと思いますので、日本の天引きのようにされているのではないでしょうか。 ただ、そもそも香港では日本のような源泉徴収というシステムがなく、みんな毎年確定申告をします。ですので、香港での現地採用という形で雇用されている方はご自身で確定申告をされます。確定申告は4月から翌年3月までの1年分の所得を5月、6月ぐらいに申告し、納税の必要があれば1月ぐらいに納税通知書がくるというサイクルです。日本とは違い、会社員でも確定申告が必要ですのでその点は注意が必要です。紙面で申告する方法が一般的なのですが、最近ではeTAXを使って、オンラインで短時間・スムーズに税務申告をする方がスマートですので、現地採用として勤務されている方は、すぐにでも申請した方がいいですね!」 香港の社会保険・年金事情 高林:「社会保険や年金についてもお聞きしたいです。」 才田:「香港では日本のような健康保険制度はありません。その代わり、政府が運営する病院が各エリアにたくさんあり、必要な時に診てもらえる環境は整っています。いわゆる現物支給的な感じでしょうか。日本円で1,000円~2,000円で済むくらい医療費も非常に安いです。 ただ、みんなが利用するので、例えばお腹が痛くて病院に行っても待っている間に治ったということもあるぐらい待たされてしまいます。ですので、海外から香港に移住されている方の多くは民間のクリニックを利用するようになりますが、民間のクリニックには上記のような公的制度がないため個人で医療保険を準備する必要があります。民間の医療保険はプランによって手術や入院だけだったり、オプションで通院でも給付されたりといろいろありますので、必要性や保険料に応じて選択されるといいですね。 病気にならず保険を利用しなければ掛け捨てになりますが、医療機関にかかる必要が生じた場合は民間のクリニックは医療費が非常に高いので、預貯金を保険という形に変えて備えておくのがいいと思います。例えば、中耳炎で10万円、尿管結石で140万円、盲腸で200万円…などなど、円換算するとより高額に感じますね。」 高林:「公的病院と民間クリニックの違いは料金だけで、何かほかにも違いがあるのでしょうか。」 才田:「そうですね。医療技術的なものは全然変わらないと思います。ですので、民間の保険にお金をかけるかどうかの違いはすぐに診てもらえるかどうかです。(医療機関側は)患者の緊急度によって早く診るか、待たせるのかの選別をしています。 公的機関を使って待たされるのは緊急度が低いという考え方もできますが、それでも民間の医療機関はお金をたくさん払う分、早く診てもらえますのでどちらがいいかはご自身で選ぶ必要があります。 日本人は(一定割合の自己負担のみでどこでも順番に診てもらえる)健康保険システムに慣れていることもあり、例えば子供が病気で泣いてるのに数時間あるいは翌日まで待てず、とにかくすぐ診てもらえるところに連れて行くという方が多いのではないでしょうか。香港に住む場合には、日本で健康保険料を払うくらいの費用負担と考えて、香港の民間医療保険に支払うのが心の安心は買えるだろうと思います。」 高林:「本来なら病気にならないことが一番だと思うのですが、海外に移住する前に予防接種を受けたり、現地でも最低年に1回は健康診断を受けたりしたほうがいいでしょうか。」 才田:「駐在であれば、出国前に会社が肝炎系の予防接種を推奨したりすることはあると思います。これらの予防接種を受けて来られる方が多いように感じます。香港には定期健診や定期的な予防接種のルールというのがありませんので、来られた後もあくまで日本の会社の福利厚生のなかで受診される方はいると思います。 基本的に駐在の場合は、健康管理を含めた労務管理は日本の基準に従いますので、香港にいる場合でも1年に1回は健康診断を受けるという日本のルールのもと、日本と100%同じ内容とはいきませんが、弊社でも日本語のわかる機関での健康診断のアレンジメントをさせていただいています。」 高林:「民間の医療保険への加入がおすすめとのことですが、選び方についてアドバイスをいただきたいです。」 才田:「医療保険の保険料は安くはないですし、使わなければ掛け捨てになってしまいます。医療保険を準備することは大切ですが、日本(の健康保険)と同じように通院しても保障を得られるほうがいいのか、手術などの大きな部分に保険をかけるのかに分けて、効果的な医療費への備えをすることを検討されるのがいいと思います。 例えば、先ほども事例として出ましたが、尿管結石で日帰りで超音波手術を受ける場合、日本円で140万円ぐらいかかるそうです。そうなると、旅行か何かのためにせっかく貯めていたお金を使うことになってしまい、人生のライフプランが数年分逆戻りすることになる可能性もありますよね。 ちょこちょこ通院するからその分も保障してほしいというのであればフルカバーというタイプを選ばれるといいと思いますが、貯金で払うより保険料のほうが高くなる可能性もあります。 どちらを重視するかは個人の環境や状況にもよりますが、治療費を払うための医療貧乏にならないようにということだけは心がけていただきたいです。ただ、保険加入するためにはさまざまな加入条件もありますので、保険を検討される際にはまずご相談いただくのが一番かなと思います。」 高林:「医療保険に加入したいという方はどこに相談すれば良いのでしょうか。」 才田:「今回のテーマのように香港に移住ということであれば、ぜひ弊社110(ワンテン)にご相談いただきたいですね。グループ内にメディカル担当として香港の医療保険事情に詳しい者もおりますし、複数の保険会社の中からその方に合った医療保険のご紹介させていただきます。」 才田:「あと、年金のご質問もありましたね。香港では、日本でいう確定拠出年金、企業型DCやiDeCoのような制度で、給料の一定割合を掛金として個人+企業で差し引き、運用するような制度はあります。ただ、こうして国や企業が個人の老後資金づくりのためにサポートしている制度で老後資金が充分まかなえるようになるとは香港の人はみんな思っておらず、個人で株式などへの投資や年金型の保険に加入、海外の不動産に投資などしたりして、投資に対する意識が高いと感じています。 私が電車に乗っているときなども、みんなスマホで株式ボードをずっとチェックしたりしているのをよく見ます。香港で国が医療や年金を保障するのは本当に最低限であると考えておかれるのがいいと思います。(日本人の方にとっては)海外でしかできない資産運用を活用しながら将来的に日本でも使えるような年金づくりをしっかりされておくのがいいのではないかと思っています。」 香港でのお金の置き場所は…
【対談企画|前編】香港に移住する人必見!香港の基本情報からビジネス、生活面の基本情報まで徹底質問
香港で多くの日本人の資産管理や移住に関するサポートをされているシニアコンサルタントの才田氏に海外移住される方々に有益な情報を教えていただいているこのコーナー。このコーナーをご覧いただく方のなかには、実際に香港への駐在が決まったり、香港への移住を検討されたりと、香港生活に必要な情報を探している方も多いのではないでしょうか。 そこで、今回は香港への移住にスポットを当てて、香港の基本情報から香港での生活、仕事、社会保険や教育、資産管理まで、香港に来られる前に知っておきたいさまざまな情報を教えていただきました。前編となる本記事では、香港の基本情報を中心にお届けします。香港移住の準備に向けてぜひ参考にしてください。 INSURANCE 110 DIRECTOR/シニアコンサルタント才田 弘一郎 日本・海外で累計2,000名以上のお客様の資産運用をサポート。香港、シンガポール、日本、アメリカなど世界各国の保険やオフショア商品の事情に精通。日本人に適した「出口戦略」を意識した堅実な資産運用の提案が得意。 〜対談スタート〜 香港の基本情報 日本から一番近い国際金融センター 高林:「香港は距離的にも文化的にも日本と近いことはご存じながら、具体的なイメージができない方もいらっしゃると思います。最初に香港の基本的な情報を教えていただけますか。」 才田:「まず地理的なことから説明すると、飛行機で九州、沖縄と南に下っていくと台湾がありますが、そこからそのまま横方面、中国大陸側に1時間程度飛行すると中国の広州というエリアに入ります。その一端に香港があります。地図で言うと、日本地図の下のほうに沖縄があり、台湾があり、そのもう少し南側に位置します。」 高林:「東京からだと(飛行機で)5時間程度ぐらいでしょうか。」 才田:「東京の羽田または成田空港を利用される方は4時間半~5時間くらいですね。季節(風の流れ)によっても変わりますが。福岡空港からだと大体3時間以内で行き来ができます。なので、海外といっても、非常に近い海外ですね。日本から一番近い国際金融センターが香港になります。」 高林:「香港のメインの空港はどちらになるのでしょうか。」 才田:「ランタオ島にある香港国際空港ですね。詳しい場所はGoogleマップでご覧いただけると思いますが、香港全体の左側に位置しています。都心までは空港からそのまま乗れるエアポートエクスプレスという新幹線のような列車でほぼ一直線で行け、とても便利です。所要時間も20分少々ぐらいですね。バスでは都市部まで小一時間で、価格も安いです。時間を優先するなら少々価は張りますがエクスプレス、価格優先ならバスですね。目的地や時間に応じてどちらかを選ばれるといいと思います。同行者が何人かいらっしゃる場合は大型タクシーやウーバーを利用される方もいらっしゃいます。こちらも中心部まで小一時間程度です。」 高林:「詳しく教えていただきありがとうございます。香港にはどれくらいの日本人の方が住まれているのですか。」 約1万人の日本人が香港に居住 才田:「香港には日系企業が千数百社と多くありますが、円安の影響もあって現地化が進んでいます。新型コロナやデモなどの社会的な問題もあり、5年前には約3万人と言われていましたが、現在は定住されている日本人は1万人程度になっているようです。といっても、FOODエキスポや香港開催のさまざまなイベントが多くありますので、香港に出入りされている日本人の方は新型コロナ収束後からまた徐々に増えてきているようです。定住者(駐在)というよりは出張という形で増えているのではないでしょうか。」 高林:「東南アジアはじめ、海外では日本人街みたいなエリアがありますが、香港にもありますか。」 才田:「リトル・トーキョーとか、海外には日本人街がある国もあるようですが、実は香港にはそういったエリアはないようです。香港は全体的に治安が安定していますし、狭さの利便性というか、電車、バス、タクシーなどでどのエリアでも30分くらいで移動できます。なので『日本人が多いな』というエリアはありますが、エリア一角が日本化しているようなところはないですね。香港島の太古(タイクー)エリアですとか、九龍(クーロン)エリアには日本の小学校や幼稚園があることもあって日本人が多めに住んでいるようです。私自身も離れたところに住んでいますし、さまざまなエリアに住まわれている方のほうが多い気がします。」 高林:「日本食レストランやお店が多く集まっているエリアはあるのでしょうか。」 才田:「飲食店やショッピングという面で言うと、香港島側であれば、中環(セントラル)や弊社のオフィスもある銅鑼湾(コーズウェイベイ)のエリアでは日本のメーカーが進出してきています。ドンキホーテもあります。九龍(クーロン)でしたら突端部分にある尖沙咀(チムサーチョイ)に日本食レストランが集まっているようです。でも、家賃が高いので、展開できる企業規模にもよりますし、実際には香港のいろんなところにありますね。最近では日本の外食チェーン店がたくさん香港に進出してきていて、例えば、スシロー、すき家、松屋、サイゼリア、ミスタードーナツなんかもあります。エリアによって日本食店のカテゴリは分かれますが、香港の至る所で日本食を食べられます。」 高林:「香港では日本食も食べられますが、やはり食事は中華系が多いのでしょうか。インド系やイタリア系など世界のさまざまな料理も食べられるでしょうか。」 才田:「ニューヨークと同じで、香港も『人種のるつぼ』と言われているぐらい、中華系、インド、アジア、ヨーロッパ、アメリカ等々さまざまな文化の人々が共存しています。ですので、ヨーロッパであればギリシャ料理、スペイン料理など各国々のメニューがあります。インド料理店、中華料理も各地方の料理が揃っています。日本料理のお話もしましたが、各県の有名ラーメン店、一押しの焼酎などもあり、多種多様な食事を選ぶことができます。住んでいて食事で困ったことはないと思います。」 高林:「すごくいいですね。日系のスーパーマーケットなんかもあるのでしょうか。」 才田:「日本のイオンもありますが、ローカルなスーパーマーケットでも日本の調味料などは買えます。先ほどお話ししたドンキホーテでも日本の食材、調味料がたくさん売られていますし、香港で日本の物が揃わないということはほぼないと思います。最近では円安の関係で、香港で買うよりも日本に戻られた時にまとめて買って来られるほうが安いと思いますが。」 香港の治安は? 高林:「それはすごく便利ですね。先ほど治安の話がでましたが、香港はスリや盗難、デモなど何か気をつけるべきことがあれば教えてください。」 才田:「どの国でもそうですが、行かない方がいいというエリアは香港にもあります。地元の人も避けるようなエリアに行くと何かに巻き込まれる可能性はありますが、旅行者にしろ生活者にしろ、通常に行動する範囲においては私自身も危険を感じることはありません。例えばタクシーなど、コミュニケーション不足で遠回りされて多めに料金を請求されたなどといったことはありがちですが、犯罪に巻き込まれるというようなことはほとんど聞きません。ただ、どの国でもそうですが、年末年始やクリスマスなど人がたくさん集まる時期は窃盗団なんかも一緒に入ってきますので気をつけた方がいいですね。」 高林:「ありがとうございます。(駐在の)ご家族帯同で来られてる方も多いと思いますが、過度に気を遣いすぎる必要はないということですね。」 才田:「そうですね。皆さん、ある程度安心して住まれていると思います。香港の方は、子供や妊婦、年配の方など、いわゆる優先者という方々にとても優しいと思っています。皆がそうではないですが、日本だと電車の中で妊婦さんが立っていても寝たふりをして席を譲らない人もいますよね。香港では『すぐに呼びかけてきて席を譲ってくれた』なんて話は色んな方から聞きます。」 高林:「ベトナムとか東南アジアもそういう傾向ですが、香港も近いのかなと思いました。香港の基本情報として最後に教えていただきたいのですが、香港の気候はどうでしょうか。」 才田:「私自身は『緩い四季がある』というような言い方をしています。最近は日本も四季がなくなってきている感じですが、香港ではチャイニーズ・ニュー・イヤー(1月末~2月はじめ頃)を明けた頃から急に蒸し暑くなりはじめて気温も30℃前半まで高くなります。その後4月、5月頃は(日本の)梅雨のような雨の多い季節になり、台風が来て、急に夏っぽい気候になり、蒸し暑さに加えて日射がキツくなります。それでも基本的に湿度がとても高く、女性は肌に潤いを感じられたり、気温が高くなりすぎなかったりと、おそらく日本の最近の夏の暑さよりは過ごしやすいのではないでしょうか。『日本は乾燥して暑いオーブンレンジの中にいる感じで、香港は蒸し器の中にいる感じ』と表現する香港人もいましたが、香港の気温は高くなっても34℃程度がMAXだと思います。 この状態が8月、9月と続いて10月になると徐々に秋めいた乾燥した空気になってきます。10月後半頃から12月ぐらいまで、湿度が低く、空気もきれいなとても過ごしやすい季節になります。香港は南方にあるため暑いのではとよく聞かれるのですが、私が体験したなかで一番低かったのは7℃くらい、10℃を下回ることはあります。1年のうち1週間だけダウンジャケットが欲しいと感じることがあります。」 高林:「一応、四季はあるけど気温の変化は日本のように激しくはないということなんですね。ありがとうございました。」 子連れで移住の場合に必須の香港の教育事情 香港での教育システム 高林:「お子様連れで香港に来られる方は教育面も気になると思います。幼稚園や学校など、香港でのお子様の教育について皆さんどのようにされているのか情報があれば教えていただきたいです。」 才田:「香港にはフランス系、イギリス系、アメリカ系などのインターナショナルスクールがたくさんあります。中学校までは日本人学校もあります。 私が特定の学校を推奨するものではないと思いますので、オープンスクールなどにお子様と一緒に行かれてみて、実際に学校の教育環境や指導の仕方などを見ながら、どういう教育を受けさせたいかによって選ばれるといいと思います。その際は将来的なことも考えることも大切だとは思います。例えば、ずっと香港にいらっしゃるとか、将来的に日本に戻られるとか。ずっと移住されるのであれば英語を身に着けた方がいいですし、しかも移住先がずっと香港なのであればローカル言語の広東語もできた方がいいのではないでしょうか。言語にしても英語ベースで広東語も学べる、または広東語ベースだけど英語も学べる学校、あるいは香港は中国の一部でもあるので中国語を教える学校も増えてきていて選択肢はたくさんあります。実際にお子様に合うかどうかをしっかり見定められるのがいいでしょう。弊社のスタッフに実際に自分の子をどこに入れたという話はたくさん聞いていますので、必要であれば何かしらの情報提供はできるのではないかと思います。 ただ、香港は日本と違って9月からスタートなので、それに合わせて1年ぐらい前から探し始めたほうがいいと思います。」 高林:「香港では街中や職場などで使う言語は異なるのでしょうか。」 才田:「ベースは広東語です。音の高さも9声あると言われていて、発音に気をつけないと意味が変わって全然通じなくなってしまいますが、日本人が頑張って広東語を話すと現地の人は喜んでとてもいい対応をしてくれる方も多いです。書類のベースは英語ですので英語が話せる人も多いです。1997年に香港返還となって一国二制度が始まり、中国の方も多く入ってきていますので、4声の中国語(普通語)での会話も一般的になってきている気がします。ベースは広東語ですが、ビジネスの場では英語もしくは中国語が一般的ですね。」 高林:「では、街中のほとんどの店では英語は通じると考えて大丈夫でしょうか。」 才田:「それがですね、イギリスやアメリカで英語を学んだ方々は、香港の英語はわからないとよく言います。日本でジャパニーズイングリッシュと言われるのと同じだと思いますが、現地の元々の発音がベースになって英語を話したりするので、英語は通じるけど、たまに理解できたりできなかったりしますね。まあ、それもコミュニケーションのひとつとして楽しんでいただければいいと思いますし、日本国内とは違っておおよそ英語が使える環境だと思います。」 高林:「駐在で来られる日本の方は英語メインだと思いますが、仕事のために広東語を勉強される方なんかもいらっしゃいますか。」 才田:「駐在で来られる方は基本的に英語か中国語のどちらか、もしくは両方がビジネスレベルでできる方が多いと思います。広東語はマストではないですが、ローカルの方々と積極的にコミュニケーションをとって仲良くなるための追加の言語学習として学ばれている方はいるかと思います。」 高林:「英語は必須なんですね。」 才田:「英語は必要ですね。何をするにせよ、英語力は合ったほうがいいと思います。できれば指示ができるレベル、最低でもコミュニケーションが取れるレベルの英語力があると大分違ってくると思います。」 香港移住の準備について 香港移住のためのビザ 高林:「ここまでは香港の生活環境に関する内容をお伺いしましたが、続いて実際に移住するとなった場合についてお聞きしたいと思います。 まずは海外移住するにあたってビザについて考える必要がありますが、香港にはどのようなビザがあるのでしょうか。また、才田さんの周りの方々はどのようなビザをで来られている方が多いのか教えていただきたいです。」 才田:「基本的に、私の周りにいらっしゃる方は就労ビザといって、香港で正式に働くことが許可されているビザを取得されている方、家族に帯同して移住する家族ビザで来られる方が多いです。最近は企業の姿勢も変わってきているようで、1年限定の就労ビザのようなトレーニングビザ(研修ビザ)で来られて香港を経験して帰国される方も多いようです。あとは、最近は香港政府もあまり積極的ではないですが、投資家ビザですね。主に事業投資として香港に事業資産を落としてもらうためのビザがあります。昔は不動産やファンドへの投資も良かったのですが、審査も最近厳しくなってきたり、投資家ビザも変わってきていると聞きます。就労ビザを含め、正規のビザで滞在されて7年経つとパーマネントビザという、香港への永住権を得られるビザを取得できます。これら5種類のビザのどれかを持たれている方が多いですね。ビザ取得の難易度は香港の経済状況や、香港人の就職率、世論などによって大きく変わりますので、適宜情報を集めておきたいですね。」…
【2025】オーストラリアにおけるワーキングホリデーの現状|海外金融業界の時事ニュースを解説
ワーキングホリデーは、二国間の取り決めに基づいて、一定期間の休暇を過ごす活動とその間の滞在費を補うための就労を相互に認めている協定で、多くの場合、18歳から30歳前後までの若者を対象に働きながら外国語の習得や生活体験ができる制度です。日本は、1980年12月にオーストラリアとワーキングホリデー協定を結んだことをはじめとして、現在は30カ国と取り決めがあります。40年弱と長い歴史のあるワーキングホリデーですが、最近ではその在り方が大きく変わってきているようです。今回は、ワーキングホリデーの概要と近年のトレンドを紹介します。 人気の渡航先オーストラリア 日本は現在、オーストラリアやカナダ、韓国など30カ国とワーキングホリデー協定を結んでいますが、その中でも一番人気の渡航先はオーストラリアです。2024年は9カ月間で1万2000件のワーキングホリデー・ビザが発給されていますが、その半分はオーストラリアで発行されています。理由は、オーストラリアの日本人向けワーキングホリデー・ビザは人数制限がなく、約42.5万円以上の貯金があれば良いといったクリアしやすい条件であること、そしてビザの取得についてもオンラインで簡単に数分で完了するという手軽さにあります。 さらに、オーストラリアは給与水準が高いこと、留学よりもお金をかけずに英語を学べることも魅力です。その7割は女性で、飲食店や農場で働いている人が多いのですが、清掃業や住み込みで育児支援を行う人など、その働き方もさまざまです。 円安で加速したワーキングホリデー利用者 近年、空前の円安が進んでいます。その結果、本来は語学や異文化交流が目的だったワーキングホリデーを、日本の厳しい職場環境から逃れるための出稼ぎとして活用する若者が増えています。例えば、オーストラリアの農場で収穫作業をすると、週に1000豪ドル、ピーク時になると2500豪ドルになります。これは、日本円で月給に換算すると100万円にもなります。若い世代にとってこの金額は日本で普通に働いても稼げる金額ではないため、日本での厳しい生活をリセットするために渡航する人が増えているのです。少し前であれば、カフェで日本人従業員を募集すると、数名しか応募がない状態でしたが、近年は募集広告を地元紙に出せば、数十人の日本人が職を求めて殺到する状況であるといいます。 30年間以上、給与水準が上がらず、生活が困窮している派遣社員やフリーターといった日本の若者が、効率よく安定して稼げる職業を求めてワーキングホリデーに殺到するのも仕方がないのかもしれません。日本において働き手不足が叫ばれている状況を見ると、日本人が働きたいとすら思わない日本は、既に先進国ではなくなっているのかも知れません。 オーストラリアにおける日本人ワーキング・ホリデー滞在者の変化 働き口を求めて若者のワーキングホリデー渡航が増える一方で、元来のキラキラした”ワーホリ”のイメージと逆行して、オーストラリア短期滞在の外国人が不当な待遇を受けて困窮するという状況が報告されています。例えば、現地で仕事を見つけられない日本人が家賃滞納で住居を追い出されてホームレス化し、地元ボランティア団体による無料の食料配布に集まっていたり、女性の場合は生活苦のあまり夜の世界に踏み出すケースもあるようです。 なぜこのような事態になっているのでしょうか。最も大きな要因は、英語の読み書きが堪能ではない日本人が仕事を探している、という点にあります。以前はワーキングホリデーというと、英語を話したい、英語のスキルをアップさせたいという若者が多かったためこのような状況が生まれることはレアケースでした。 しかし、前述のとおり英語を話すことが目的ではなく、ただ高額な給料が欲しいという出稼ぎ感覚で、そこまで英語が堪能ではない日本人の渡航が増えた結果、読み書きが堪能なフィリピン人や韓国人に負けて最低賃金を下回る給与で働かざるを得ない、という状況もあるようです。また、とにかく仕事にありつくために、雇用主や同居人からセクハラを受けた女性もいます。さらに、給与が歩合制で、英語力が低いことから十分に稼げないために、雇用主がビザ延長に必要な証明書類を出さないケースも確認されています。雇用主やマネージャーなどが自国民を優遇して、それ以外の国籍の人を差別することもあるそうです。 一般的に、日本人は大人しくて文句を言わないために、不利な扱いを受けてしまう傾向が強いです。こうした背景には、昨今の円安の影響で日本人観光客が大幅に減ったことがあります。以前は、ホテルや土産店、レストランにとって、日本語を話せる従業員は大切な存在でしたが、最近は円安の影響で、そもそも日本人の観光客がオーストラリアに来ないので、日本語しか話せない日本人は必要なくなって来ているのです。 行政による対策 オーストラリアは農業大国であり、オーストラリア人が敬遠しがちな農作物の収穫作業をワーキングホリデー滞在者などの外国人の若者に依存しています。こうした構造があるにもかかわらず、外国人への差別が横行している背景には、当局による悪徳業者の取締りが不充分であることが指摘されています。これを受けて、オーストラリア政府や連邦議会でもこの問題を取り上げはじめています。 連邦議会ではワーキングホリデーに関する諮問がなされ、各国大使館との連携強化などの対応策が提言されました。また、2021年には日本政府がジュネーブでの国連人権理事会によるレビューにおいて、オーストラリアにおけるワーキングホリデーを含めた短期滞在者の労働環境の改善に向けた取組の強化を求めるなど、オーストラリア政府・連邦議会に対して継続的に待遇改善に向けた働きかけを行いました。 さらに、情報共有及びネットワーキングのために、オーストラリア各地で活動するエージェントを集めたオンライン会議を開催しています。現在は制度の改善を図る努力がなされつつあり、一部で待遇の改善も見られますが、なかなか対策が追いつかずに引き続き問題事案が発生し続けているのが現状です。 ワーキングホリデー渡航前に私たちが心掛けるべきこと 行政の力による課題解決以外に、私たちが心掛けるべきことはどのようなものがあるでしょうか。まずは、ワーキングホリデーで渡航する前に、正しい情報を収集することが大切です。海外生活が初めてなのにも関わらず、ワーキングホリデーのメリットばかりに目が行き、情報を十分に持たずに渡航した結果、トラブルに巻き込まれる日本人は多くいます。渡航先国の最低賃金をはじめ、仕事に関する情報や住居、その国の法律に関する情報は、大使館や総領事館、エージェント、日本人コミュニティ誌やウェブサイトなどから集められます。自分を守る意味でも、必要最低限の情報を理解した上で、渡航するようにしましょう。 また、相談相手を持つことも重要です。何か問題に直面した際にサポートを提供してくれるオーストラリア側の機関もありますし、日本で言う労働基準監督署にあたる組織に相談をして未払い給与が支払われたケースもあります。オーストラリア人権委員会や労働組合、大使館や総領事館、ワーキングホリデーを支援するエージェントなど、問題が発生したら、しかるべく機関に積極的に相談してサポートを得ることをおすすめします。 おわりに ワーキングホリデーの楽しい部分だけを見て、十分な情報を持たずに渡航してしまうと、さまざまな問題を引き起こす原因となります。まずは自分で情報を収集して正しい知識を身につけ、また適切な相談相手を確保することで、多くのトラブルを回避できます。ワーキングホリデーを有意義なものとし、日本人の若者がオーストラリアにおいて良い経験を積むために役立つ制度にしていくためにも、十分な予備知識を持った上で渡航することをおすすめします。
スイスへの移住は早めの計画が大事!日本人が取得できるビザを紹介
スイス移住を将来的に考えている人の中には、スイスに関する情報が少なく、移住にはどのような手続きが必要であるかわからずに困っている人もいると思います。移住の目的にはさまざまなものがありますが、仕事や留学をはじめ老後の移住先としてスイスを考えているなら早めの計画が大切です。特に、ビザの種類や取得条件を事前に把握し、計画的に準備を進めましょう。 スイスには多くの魅力がありますが、物価や国の制度も異なるため移住を実現するためには資金計画もしっかりと立てる必要があります。本記事では、日本人が取得できるビザの種類や、スイス移住のメリット・デメリットについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。 スイス移住の際に必要なビザの種類 スイスに移住する際には、目的に応じたビザを選ぶ必要があります。日本人が取得できるビザは複数あり、取得のために必要な条件を理解しておくことが重要です。 日本人が取得可能なビザには、以下の4つがあります。 ・就労ビザ ・ゴールデン・ビザ(黄金ビザ) ・ヤングプロフェッショナル ・永住権(永住許可証) それぞれ詳しく説明します。 就労ビザ 駐在や転職などでスイスで働く際には、雇用契約の種類や滞在期間に応じて種類のことなる「就労ビザ」を取得する必要があります。日本人が取得できる主な就労ビザは以下の3種類です。 ・許可L ・許可B ・許可G 滞在期間や雇用形態に応じて適用されるビザが異なるため、条件を事前にしっかり確認しておきましょう。それぞれのビザについて、詳細を解説します。 許可L (L Permit) 許可Lはスイスに1年未満の短期滞在用のビザです。応募者は3〜12ヶ月間の有効な雇用契約が必要です。また、有効期間が満期になった場合も、引き続き雇用契約があれば更新できます。 許可B (B Permit) 許可Bはスイスに1年以上移住したい人向け(長期滞在用)のビザです。応募者は少なくとも12ヶ月の雇用契約が必要です。許可Lと同様に、ビザの有効期間が満期になっても、継続した雇用契約があれば更新できます。 許可G (G Permit) 許可Gはスイス周辺のドイツやフランス、イタリアに住む人が国境を超えてスイス国内で働くためのビザです。許可Gを取得している場合、最低週に1度、居住している国に戻る必要があります。 ゴールデン・ビザ(黄金ビザ) ゴールデン・ビザ(黄金ビザ)は、スイスへの移住を希望する富裕層向けの特別なビザです。主に高額な納税やスイス国民に雇用機会を提供する新会社を設立することによって取得できます。 ゴールデンビザ取得に必要な納税額は25万スイスフラン(約4,300万円)から100万ユーロ(約1億7,000万円)です。納税額は地方自治体と税理士との交渉によって異なります。日本人の場合、5年間の滞在許可が与えられ、スイス国内で自由に生活する権利が与えられます。 ゴールデン・ビザを取得すれば、スイス国内で自由に生活でき、公共サービスや高度な医療サービスを受けられます。このビザは富裕層にとって魅力的な選択肢ですが、申請するためにはスイス政府や専門家との連携が必要です。 *1スイスフラン173円(2024年10月15日現在) ヤングプロフェッショナル ヤングプロフェッショナルはスイスと日本の間で締結された協定に基づいて発行される、若いプロフェッショナル向けの特別なビザです。これは、主に18歳から35歳までの若年層がスイスで仕事をしながら、専門スキルや国際的な経験を積むことを目的としています。このビザを利用することで、スイス国内で最大18か月間の就労が可能となり、特にキャリアの初期段階で国際的な視点を広げたい人に向いています。 このビザを取得するためには、スイスの雇用者と、個人契約によって雇用されることが条件です。高等教育の学位に相当する職業上の技術、または知識を持っていれば申請が可能です。ワーキングホリデーよりも申請の上限となる年齢が高いことも魅力です。 永住権(永住許可証) スイスの「永住権(永住許可証)」は、スイス国内に長期間滞在し、就労や居住を自由に行うための権利を与えるビザです。継続して10年以上合法的に滞在した外国人に対して発行されます。 永住許可証を取得すると、スイス国内での滞在期間の制限がなくなり、自由に転職や居住地の変更ができるほか、スイスの高度な社会保障制度や医療サービスを利用できます。 しかし、1年以上以上継続してスイスから離れると失効してしまうことや、3年ごとの更新が必要といった条件が課されているため、長年永住権を持ち続けるのは至難の業とも言えます。 スイスに移住する5つのメリット スイス移住には、多くの魅力があります。自然の美しさや高い生活水準だけでなく、さまざまなメリットがあなたのスイスでの生活を豊かにするでしょう。 スイス移住の5つの主要なメリットを説明します。 ①治安が良い スイスは、世界的にも治安の良い国の1つです。日本人移住者にとって治安の良さは大きな安心感を与えてくれます。都市部でも犯罪発生率は低く、特に暴力犯罪やテロの脅威が少ないのが特徴です。 街中の警備や公共機関の整備も整っており、兵役制度もあることから国中で治安体制が充実しており、住民や観光客が安全に過ごせる環境が整えられています。さらに、スイスは中立国としての立場を長年維持しており、政治的安定も他の国に比べて高いことから、移住先として長年人気があります。 ②アルプスの自然がたくさんある スイスといえば、アルプスの雄大な自然が象徴的です。スイスに移住すると、四季折々の美しい風景に囲まれた生活を楽しめます。冬はスキーやスノーボードなどのウィンタースポーツが盛んで、世界中から観光客が集まります。 夏には、ハイキングやキャンプ、サイクリングなどのアウトドア活動を楽しめるため、家族連れやアクティブなライフスタイルを求める人々にとって理想的な環境です。また、自然保護区や湖も豊富で、都会の喧騒から離れてリフレッシュできるスポットも数多く存在します。 日本の夏に比べ、日中の平均最高気温が28度程度と低く、夏の北海道や高原のリゾートと似た気候で快適に過ごせます。 ③周辺のヨーロッパの国へ気軽に旅行できる スイスはヨーロッパの中心に位置しており、周辺の国々へ気軽に旅行できる立地も魅力です。フランス、イタリア、ドイツ、オーストリアと国境を接しており、車や電車を使えば数時間で周辺の国々へ旅行できます。 また、スイスの交通インフラは非常に発達しており、ヨーロッパ各国への鉄道や飛行機のアクセスも便利です。週末や休暇には、パリやミラノ、ミュンヘンなど、主要都市への小旅行が楽しめます。 スイスは、加盟国であれば自由な移動を可能にするジェンゲン条約の加盟国であり、協定国間の移動であれば入国審査の手続きが簡素化されています。移住者にとってはヨーロッパの多様な文化や観光地を手軽に体験できる絶好の機会です。 ④公立教育が無料…
タイのクルマ産業の衰退と日本車メーカーの苦戦|海外金融業界の時事ニュースを解説
はじめに タイは早くから日本の自動車メーカーが進出し、自動車産業で働く日本人駐在員も多い国です。また、タイに限らず東南アジアの多くの国は、これまで日本車が圧倒的なシェアを謳歌してきた市場でもあります。しかし、トレンドがガソリン車から電気自動車(EV)に移行している現在、中国メーカーが莫大なPR予算を投入し販売台数を伸ばしており、タイを中心とした東南アジア市場で状況が変わりつつあります。最近は日本車メーカーの存在感が薄まり、海外駐在員の帰任も増えています。今回は、タイ自動車産業の背景を解説します。 バンコク国際モーターショーでの異変 東南アジア最大の自動車生産国であるバンコクで、毎年春に開催される自動車の展示会がバンコク国際モーターショーです。トヨタやホンダ、日産など日本のメーカーをはじめ、さまざまな国の主要ブランドが参加する、東南アジアで最も大きな自動車イベントの1つとなっています。 タイのモーターショーの独自の魅力は、会場で新車の購入予約ができるということです。会場限定の低金利キャンペーンなどの特典が用意されているため、新車購入を目的に家族で訪れる人も多く、気に入ったクルマがあればその場で予約購入していくというのが通例です。そのため、バンコク国際モーターショーにおける新車受注台数は、タイの新車市場における人気のバロメーターとも言われています。そんな中、2023年のバンコク国際モーターショー会場における開催期間中の受注実績ランキングで異変が起きました。 1位は例年通りトヨタ、2位はホンダと日本のメーカーでしたが、その2社に続き、上海汽車(MG)が3位、長城汽車(GWM)が5位、BYDが9位と、中国の自動車メーカーがトップ10に3社もランクインしたのです。 コロナ禍前の2019年の同じランキングでは、中国メーカーは1社のみ、10位に入っていただけであることを考えると、コロナ禍を経てわずか4年で、中国車メーカーが急速に勢いを伸ばしている事がわかります。 中国勢の大躍進 タイは長らくトヨタ、日産やホンダ、三菱自動車など、日本の自動車メーカーが大きなシェアを獲得してきた市場です。タイ人にも、中国製品は信用できないが、日本製品は品質が良く憧れもあるといったように、日本ブランドに対する信頼が根付いており、街を走るクルマの9割以上が日本車だと言われています。 一部の富裕層にはハイブランドの欧州車が人気であるものの、自動車といえば日本のクルマというイメージが定着している国であると言えるでしょう。ところが、バンコク国際モーターショー会期中の新車受注台数ランキングに変化が起きているように、近年状況は激変しつつあります。 タイの街中でも中国車を見かける頻度が明らかに高くなり、日本車の牙城を崩しつつあるのが現状です。タイをはじめとする東南アジアの多くの国では、これまで日本の自動車が大きなシェアを獲得してきましたが、近年中国勢が莫大な予算を投入して販売数を伸ばしています。 中国のメーカーがこのままシェアを拡大していけば、東南アジア市場における日本車のシェア率は大きく下がる可能性もあります。日本の自動車メーカーは、これまでにない窮地に立たされているのです。 なぜ日本メーカーが苦戦しているのか なぜタイにおいて、日本車メーカーのシェア率が下がっているのでしょうか。これには、昨今のEVの台頭が大きく関係しています。タイの自動車市場は、トヨタが60年以上前に進出して以来、メーカーとの強固なサプライチェーンが構築されていました。ところが、このサプライチェーンはエンジン車主体の生産態勢であるため、電気自動車に乗り換える海外の買い手の動きにうまく対応できていないのが現状です。これは、日本の自動車メーカーがEVで大きく出遅れていることを表しています。 また、タイの自動車生産自体の落ち込みも原因の1つです。タイの自動車生産台数は、この1年で落ち込み続けており、業界の見通しでは2024年の自動車生産台数は昨年の190万台から170万台に下振れると予想されています。一方で、EVセクターは急成長しており、中国のBYDなどから多額の投資を呼び込んでいるものの、落ち込みをカバーできるほどではありません。この痛みは既に業界全体に広がりつつあり、各メーカーが減産や雇用削減に伴って、日本のメーカー向けに長年部品を供給している部品メーカーのでも工場の生産量の減少、人員縮小が始まっています。 拡大するEVとの競争の激化による輸出面の落ち込みと、国内自動車市場の停滞というダブルパンチがタイの自動車産業を圧迫しており、悪化した市場から簡単に抜け出せなくなっています。現在は、1990年代終盤のアジア通貨危機やコロナ禍の時期より悪いと見るべきでしょう。こうした状況の中で、自動車部品業界は政府に対して、外国メーカーのエンジン車とかハイブリッド車生産向けインセンティブを強化してほしいと要望しており、政府も対策に本腰を入れはじめています。 中国製品に対するイメージの変化 タイでは、日本製品は壊れにくく信用できるという考えが根強くありますが、若い世代はそこまで日本製にこだわりはなく、スマホも家電もクルマも中国製でいいと考える人も増えています。むしろ中国製はクールだというイメージが浸透しつつあります。こうしたタイ人の心境変化は、バンコク国際モーターショー会場にも表れています。2023年会場の中国車ブランドのブース面積は、4年前には想像もできなかったほど広いスペースが確保され、BYDやMGといったブランドが、最大の面積を持つトヨタに迫る規模の広いブースを展開していました。 そして、イベント中の中国ブランドのブースはコロナ前では考えられないほどの混雑ぶりでした。また、タイの市民にとって新車は大きな買い物であり、日本車よりも価格の安い中国車は魅力的に映ります。さらにタイではガソリン代も高いため、ガソリン車よりもエネルギーコストの安いEVを選ぶ人が多いこと、さらにEVは購入時の税金が安いということも相まって、中国車の購入を検討する人が増えているのです。 おわりに 昨今のEVの台頭によって、自動車市場のトレンドは変わりつつあり、タイにおける日本自動車メーカーの苦戦がはじまっています。タイでの自動車の売り上げは東南アジア市場全体に大きく影響を与えるともいわれています。また、近年の中国のブランディングによって、タイの人々の中国製品に対する気持ちの変化も起こり始めており、日本車の牙城が崩され始めていると見るべきでしょう。

