【2024】歴史的な円安による海外機関投資家の動き|海外金融業界の時事ニュースを解説

2024年に入り、進み続ける円安・ドル高に終わりが見えません。2024年4月29日には、1990年4月以来となる1ドル160円の大台まで上昇し、歴史的な円安となりました。この急激な為替の動きによる悪影響を避けるため、政府・日銀は2度に渡って為替介入を実施しています。このドル売りによって若干円高に戻しましたが、その後、また引き続きジリジリと円安に動いています。

従来の輸出大国というイメージとは異なって、現在の日本は輸入に大きく依存する経済になっています。例えば、エネルギーは94%、食料は63%を輸入に頼っており、近頃では日本の各産業で急激に広がるデジタル分野においても、AIやEコマース、クラウドサービスなどを手掛けるのは海外企業です。

こうした海外の物品やサービスを購入するために、日本から海外に流出する資金が増大していることも円安の圧力となっています。こうした構造的な問題により、今後日本には貿易赤字が定着していく可能性があります。

最近物価が上がっているという感覚をお持ちの方も多いと思いますが、現在の日本は輸入依存度が高いため、為替が円安に動くと、物価上昇など国民生活に与える影響が大きくなる構造となっています。

訪日外国人観光客によるインバウンド消費が増えているというニュースをよく耳にしますが、実はこの規模は輸入の増加には到底及びません。この昨今の円安は、エネルギー価格の高騰や物価上昇など、私たちの家計にも大きな影を落としはじめていて、さらなる円安に対する不安の声が高まっています。このまま円安が続けば、いずれ日本経済に深刻な悪影響をもたらすでしょう。

日米の金利差が円安を引き起こしている

この歴史的な円安の一番大きな要因は、日本と米国の金利差にあると言われています。高い金利の通貨で運用した方が低い金利で運用するより高い利益が見込めるため、元来お金というものは、金利が低い方から高い方に流れる性質を持っています。

FRBが利上げを続けている一方で、日銀の大規模金融緩和による低金利が続いているため、日本円で運用するよりも米国ドルで運用した方が高いリターンが見込め、円安に動いているという仕組みです。

日米の金融政策の違いによって引き起こされる金利差が、昨今の歴史的な円安の要因となっています。また、2024年から政府が開始した新NISAによって、海外市場に投資する個人の日本人が増えていることも、昨今の円安を後押ししているとも言われています。

円安が引き起こす日本経済の悪化

2月15日に発表された、23年10~12月期の実質GDPの内訳を見ると、円安によって輸出は10.7%伸びていますが、国内需要はマイナス0.2%でした。この内需の失速の要因は円安です。世界的にエネルギー価格は落ち着きを見せはじめていますが、日本では円安の影響で物価高が進んでおり、家計の財布の紐が締まって内需が落ち込んでいます。

政府・日銀が通貨防衛の姿勢を見せることで、海外機関投資家の円売りが減速して円安の流れが止められるはずですが、現状日銀の政策転換も積極的ではない状況となっています。

一方の米国の金利も、当社は24年中に5回の利下げを行うとの観測でしたが、想定以上に米国内の景気が強く、大幅な利下げをする必要性が薄れており、そのシナリオは6月以降にずれ込んでいます。こうした日米の金融政策の違いから、日米金利差は縮まらず、円安が続く状況となっています。

海外投資家の動き

日銀が大規模な金融緩和策を維持していることで、ドルを保有する海外投資家からみると、日本円の調達コストは安くなっています。

このことから、海外投資家による日本市場への資金流入が活発になっています。また、近年の世界的な流れを受けて、日本企業を取り巻く環境や企業文化が、株主を重視する方向に変化しています。

これを受けた海外投資家が、これまで安く放置されていた日本の企業の再評価を進めることで、優良な事業の買収機会にもつながっています。こうした海外投資家のマネー流入に支えられて、2024年日経平均株価は33年ぶりの高値をつけています。

一方で、海外投資家は、保有する日本株の円安に伴う為替損失リスクを回避する目的で、日本株買いと円売りを同時に行っているため、日本株高と円安が連動して起こっています。

さらに、機関投資家は円を調達して高利回りのドル資産を買うキャリートレードを増やしていることもあり、このような海外機関投資家の動きが、さらなる円安を加速させています。

まとめ

こうした歯止めのかからない円安の状況の中、海外の機関投資家は円の下落によって著しく割安となった日本の資産を買い進めています。

しかしながら、日本にとってこの円安による海外資本の流入という状況は、日本の経済の高成長や内需拡大による好景気、金利上昇をもたらすチャンスでもあります。

日本としては、昨今の円安傾向によって起こっている海外投資家からの資金流入をうまく利用しながら国内経済を成長させるという、したたかさが求められています。

円安により日本の資産を買い進める令和の黒船…さすがの日本人も身に迫る違和感を直視する時が来ているのかもしれません。

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