50代から考える資産運用ポートフォリオ│最強の配分例と現金比率を専門家が解説

監修者情報

INSURANCE 110 Director 才田 弘一郎

日本・海外で累計2,000名以上のお客様の資産運用をサポート。
香港、シンガポール、日本、アメリカなど世界各国の保険やオフショア商品の事情に精通。日本人に適した「出口戦略」を意識した堅実な資産運用の提案が得意。自身も同世代として、50代からの資産形成や老後資金準備に関する相談を多数受けている。

50代は人生で最も重要な資産運用の転換期です。これまで積み上げてきた資産を「守りながら増やす」という新たなステージへの移行が求められます。しかし、多くの50代が「定年までに間に合うのか」「どの程度のリスクを取るべきか」「現金をどのくらい保有すべきか」といった悩みを抱えています。

本記事では、50代特有の資産運用の課題に対して、実践的で具体的なポートフォリオ構成方法を解説します。新NISA、iDeCo、現金・預金、保障最適化のバランスをどう取るのか、リスク許容度に応じた配分例、そして今日から実行できるアクションプランまでをご紹介します。この記事を読めば、あなたの状況に最適な資産運用×保障最適化戦略が明確になります。

Contents

50代からの資産運用×保障最適化が重要な理由

50代が資産運用に真摯に取り組むべき理由は、単に老後資金を増やすという目的だけではありません。定年までの限られた時間、インフレによる資産価値の目減り、そして予期せぬ健康リスクなど、50代特有の課題に立ち向かうための重要な手段となります。統計データと人生設計の観点から、その重要性を掘り下げていきましょう。

定年までの時間が限られている

50代から定年を迎えるまでの期間は、一般的に約10年です。この期間は、20代や30代の頃のように長期的な視点でリスクを取ることが難しくなる一方、老後の生活の質を左右する最後の資産形成期間となります。この「ラストスパート」とも言える時期に、いかに効率的かつ戦略的に資産を運用するかが、豊かなセカンドライフの鍵を握ります。

定年までの時間軸と資産形成の関係

投資の基本原則の一つに、「時間はリスクを軽減する」という考え方があります。長く運用を続けることで、市場の一時的な変動の影響を平準化し、安定したリターンを期待できるのです。しかし、50代ではこの「時間」という強力な武器が限定的になります。そのため、ハイリスク・ハイリターンな投資で一発逆転を狙うのではなく、より安定的で計画的な資産配分、すなわちポートフォリオの構築が不可欠となります。具体的には、年齢の上昇とともに株式などのリスク資産の割合を徐々に減らし、債券などの安定資産の割合を増やしていくといった調整が求められます。

年金だけでは不足する老後資金・医療費用

多くの人が老後の収入の柱として期待する公的年金ですが、それだけでゆとりある生活を送るのは難しいのが現実です。総務省の「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の実収入は約24.4万円であるのに対し、消費支出は約28.2万円となっており、毎月約3.8万円の赤字が生じています [1]。

65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、毎月の可処分所得(実収入から税金などを差し引いた額)213,791円に対し、消費支出が250,330円となっており、不足分36,539円は貯蓄等で補填している状況です。

また、50代は保険や保障を見直す最後の好機とも言える年代です。現在健康であればあるほど、見直しの効果を得やすく、将来への安心にもつながります。もし現在健康であればあるほど、見直しの効果と安心につながりますし、老後生活資金の追加準備として、この不足分を補い、趣味や旅行などを楽しむためには、年金以外の収入源、すなわち資産運用による収益が不可欠となるのです。

インフレリスクと資産価値の目減り

現在の日本は、長年のデフレから脱却し、インフレ(物価上昇)の時代へと突入しています。これは、同じ金額のお金で買えるモノやサービスの量が年々減っていくことを意味します。例えば、年率2%のインフレが続いた場合、現在100万円の価値がある資産は、10年後には実質的に約82万円の価値しか持たなくなります。

インフレ対策としての投資の有効性

このインフレリスクに対抗する上で、預貯金だけでは不十分です。大手銀行の普通預金金利が0.001%程度であるのに対し、インフレ率は2%を超えています。つまり、銀行にお金を預けているだけでは、資産は実質的に目減りしていく一方なのです。インフレに負けないためには、物価上昇率を上回るリターンを目指せる投資信託や株式などへの投資が有効な手段となります。ただし、投資には元本割れのリスクが伴うため、後述する「守りの資産」である預貯金とのバランスを適切に取ることが重要です。

50代のポートフォリオ構成の基本戦略

50代の資産運用における成功の鍵は、「守りながら増やす」という哲学にあります。これは、いたずらにリスクを取って大きなリターンを狙うのではなく、これまで築き上げてきた資産をインフレや市場の暴落から「守り」、着実に「増やしていく」という考え方です。この戦略は、主に以下の3つの柱によって支えられています。

  1. リスク資産(株式など)と安定資産(債券など)のバランス: 資産成長のエンジンとなる株式と、安定性の土台となる債券を適切に組み合わせます。
  2. 現金・預金の確保: 万が一の事態に備える「守りの資産」として、流動性の高い現金を十分に確保します。
  3. 保険による保障: 病気やケガといった健康リスクに備え、資産を取り崩す事態を防ぎます。

これらの要素を、ご自身の状況に合わせてどのように組み合わせるかが、最適なポートフォリオを構築する上で極めて重要になります。

「100 – 年齢」方式による株式比率の決定

ポートフォリオにおけるリスク資産、特に株式の比率を決定する上で、古くから知られているシンプルな経験則が「100 – 年齢」方式です。これは、100からご自身の年齢を引いた数字を、ポートフォリオに占める株式比率の目安とする考え方です。

計算例:

  • 50歳の場合: 100 – 50 = 50% → 資産の50%を株式に
  • 55歳の場合: 100 – 55 = 45% → 資産の45%を株式に

この方式の最大の利点は、年齢を重ねるにつれて自動的にリスク資産の割合を減らし、安定資産の割合を増やしていく「自動リバランス機能」にあります。定年が近づき、資産を取り崩す時期が迫るにつれて、大きな価格変動リスクを避け、より安定的な運用へと自然にシフトしていくことができるのです。

より長期運用を想定した「110 – 年齢」方式

「人生100年時代」と言われる現代において、定年後も20年、30年と運用を続けるケースは珍しくありません。このような長期運用を想定する場合、より積極的な「110 – 年齢」方式も有効な選択肢となります。これにより、60歳でも株式比率を50%(110 – 60)、70歳でも40%(110 – 70)に保つことができ、インフレに負けない資産成長と、より長期にわたる資産寿命の延伸が期待できます。

債券の役割と分散効果

ポートフォリオにおいて、債券は株式と並ぶ重要な構成要素です。債券の最も重要な役割は、ポートフォリオ全体の値動きを安定させる「分散効果」にあります。一般的に、株式と債券は異なる値動きをする傾向があります。例えば、経済が不況に陥り株価が下落する局面では、安全資産とされる国債などの債券価格は上昇する傾向が見られます。このように、一方の資産が下落しても、もう一方の資産がその下落を補うことで、ポートフォリオ全体での損失を和らげることができるのです。50代の「守りながら増やす」運用において、この分散効果は極めて重要です。

国内債券と海外債券の特性

債券は、発行される国によって「国内債券」と「海外債券」に大別されます。

種類特徴メリットデメリット
国内債券日本政府や企業が円建てで発行・為替変動リスクがない
・価格変動が比較的小さい
・利回りが低い傾向
海外債券外国政府や企業が外貨建てで発行・国内債券より高い利回りが期待できる
・通貨分散の効果がある
・為替変動リスクがある
・価格変動が比較的大きい

50代のポートフォリオでは、これら両方を組み合わせることで、安定性を確保しつつ、一定の収益性を追求するバランスの取れた運用を目指すことが推奨されます。

現金・預金の確保の重要性

投資資産の議論に隠れがちですが、ポートフォリオ全体で見た場合、現金・預金の確保は50代にとって極めて重要です。これらは元本が保証された「究極の守りの資産」であり、以下の2つの重要な役割を担います。

  1. 生活防衛資金: 病気や失業など、予期せぬ理由で収入が途絶えた場合に、生活を維持するための資金です。
  2. 待機資金: 株式市場の暴落時など、割安になった資産を購入するための資金です。

生活防衛費の算出方法

生活防衛費として確保すべき金額の目安は、月々の生活費の6ヶ月分から1年分と言われています。例えば、毎月の生活費が30万円の家庭であれば、180万円から360万円を、いつでも引き出せる普通預金や定期預金で確保しておくことが推奨されます。この資金があることで、急な出費のために投資資産を不本意なタイミングで売却せずに済みます。

現金比率の目安

金融資産全体に占める現金・預金の割合は、個人のリスク許容度やライフプランによって異なりますが、一般的に20%〜40%が目安とされています。保守的な運用を好む方は40%以上、積極的な方は20%程度と、自身の心地よいと感じる水準に調整することが大切です。日本銀行の調査によると、日本の家計における現金・預金の比率は約54%と、欧米に比べて高い水準にありますが [2]、これは日本人のリスクに対する慎重な姿勢の表れとも言えるでしょう。

50代向けの具体的なポートフォリオ例

ここからは、より実践的なポートフォリオの例を、リスク許容度別に3つのパターンでご紹介します。これらの例はあくまで一般的なモデルであり、ご自身の資産状況、投資経験、そして将来のライフプランに合わせて調整することが重要です。ご自身がどのタイプに最も近いか考えながら読み進めてみてください。

ケース1:保守的なポートフォリオ(リスク許容度が低い場合)

想定する人物像: 定年が5年以内に迫っており、元本割れのリスクを極力避けたい。資産を大きく増やすことよりも、「守る」ことを最優先に考えたい方。

このポートフォリオは、資産の安定性を最重要視し、市場の暴落時における資産の目減りを最小限に抑えることを目的とします。期待されるリターンは年2%〜3%程度と控えめですが、大きな安心感を得られます。

資産クラス配分割合役割と具体的な商品例
株式30%資産成長の役割を担うが、比率は低めに。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)などのインデックスファンド。
債券50%ポートフォリオの安定性を確保する中核。個人向け国債、先進国債券ファンドなど。
現金・預金20%生活防衛資金と待機資金。普通預金、定期預金。

利点と注意点: この構成の最大の利点は、株式市場が50%下落するような金融危機においても、ポートフォリオ全体の損失を15%程度に抑えられる点です。精神的な負担が少なく、安心して運用を続けられます。一方で、期待リターンが低いため、インフレ率が高い局面では実質的な資産価値が目減りする可能性がある点には注意が必要です。

ケース2:バランス型ポートフォリオ(中程度のリスク許容度)

想定する人物像: 定年まで5〜10年程度の期間があり、資産の安定性を確保しつつ、ある程度の成長も期待したい。多くの50代の方にとって、最も標準的で現実的な選択肢と言えるでしょう。

このポートフォリオは、資産の成長と安定のバランスを取ることを目的とします。期待されるリターンは年3%〜5%程度で、老後資金の着実な積み上げを目指します。

資産クラス配分割合役割と具体的な商品例
株式45%資産成長の中核。つみたて投資枠でeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)や全世界株式インデックスファンドに積立投資。
債券40%安定性の確保。iDeCoでバランス型ファンドを選択、または個別で先進国債券ファンドを組み合わせる。
現金・預金15%生活防衛資金。普通預金、定期預金。

利点と注意点: 成長性と安定性のバランスが良く、新NISAやiDeCoといった税制優遇制度を最大限に活用しやすい構成です。長期的に見れば十分なリターンが期待できますが、市場が活況な時期には、より積極的なポートフォリオに比べて物足りなさを感じる可能性はあります。

ケース3:成長重視ポートフォリオ(リスク許容度が高い場合)

想定する人物像: 定年まで10年以上あり、退職金の予定など今後の収入にも見込みがある。ある程度のリスクを取ってでも、積極的に資産を増やしていきたい方。

このポートフォリオは、資産の成長を最優先し、老後資金の大幅な増加を目指します。期待されるリターンは年5%以上と高くなりますが、その分、市場の変動による価格変動リスクも大きくなります。

資産クラス配分割合役割と具体的な商品例
株式65%資産成長の強力なエンジン。新NISAの成長投資枠も活用し、米国株式や全世界株式のインデックスファンドに加え、特定テーマのETFなども検討。
債券25%リスクヘッジの役割。利回りが比較的高めの先進国債券や、一部ハイイールド債券なども組み入れる。
現金・預金10%必要最低限の生活防衛資金。

利点と注意点: 高いリターンが期待でき、複利効果を最大限に活かせば、10年で資産を1.5倍以上にすることも夢ではありません。しかし、その裏返しとして、2008年のリーマンショック級の金融危機が起きた場合、資産が30%以上減少する可能性も覚悟する必要があります。強い精神力と、長期的な視点を持ち続けることが求められます。

新NISA、iDeCo、現金の最適配分

50代の資産運用を成功させるためには、個別の金融商品を選ぶだけでなく、どの制度(口座)を使って投資を行うかという視点が非常に重要です。日本には、新NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった、強力な税制優遇制度が存在します。これらの制度を最大限に活用し、課税口座や現金・預金と組み合わせることで、資産形成の効率は飛躍的に向上します。

新NISAの活用戦略

2024年からスタートした新NISAは、50代の資産形成における「切り札」とも言える制度です。年間最大360万円という大きな非課税投資枠と、非課税保有期間の無期限化により、定年後も見据えた長期的な資産運用が可能になりました。

項目つみたて投資枠成長投資枠
年間投資枠120万円240万円
生涯非課税限度額合計1,800万円
対象商品長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託上場株式・投資信託など(一部除外あり)
投資手法積立投資のみ一括投資・積立投資

つみたて投資枠の活用

「つみたて投資枠」は、毎月コツコツと投資を続けるのに適しています。50代の方には、全世界の株式に分散投資する「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」や、世界経済の中心である米国に投資する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」といった、低コストのインデックスファンドが人気です。毎月一定額を買い付けることで、価格が高いときには少なく、安いときには多く買う「ドルコスト平均法」の効果が働き、購入価格の平準化が期待できます。

成長投資枠の活用

「成長投資枠」では、より幅広い商品に投資が可能です。つみたて投資枠の商品に加えて、特定のテーマ(AI、環境など)に投資するアクティブファンドや、配当金を目的とした高配当株ETFなども選択肢に入ります。ご自身のポートフォリオ戦略に合わせて、つみたて投資枠を補完する形で活用するのが良いでしょう。例えば、コア(中核)をつみたて投資枠のインデックスファンドで固め、サテライト(衛星)として成長投資枠で少しリスクを取った商品に挑戦するといった使い分けが考えられます。

iDeCoの活用戦略

iDeCoは、老後資金作りに特化した制度であり、新NISAと並ぶ税制優遇の柱です。最大のメリットは、掛金が全額所得控除の対象となる点です。これにより、毎年の所得税・住民税を軽減しながら、老後資金を準備することができます。

iDeCoの3つの税制メリット

  1. 掛金が全額所得控除: 年間の掛金が所得から差し引かれ、所得税・住民税が安くなる。
  2. 運用益が非課税: 通常、投資で得た利益にかかる約20%の税金が非課税になる。
  3. 受取時にも控除あり: 年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」の対象となる。

50代からiDeCoに加入しても、定年までの期間、この強力な税制メリットを享受できます。例えば、課税所得500万円の方が毎月2.3万円(年間27.6万円)を拠出した場合、年間約5.5万円の節税効果が期待できます。ただし、iDeCoは原則として60歳まで資産を引き出すことができないため、「確実に老後のために備える資金」として位置づけることが重要です。

新NISAとiDeCoの使い分け

制度新NISAiDeCo
目的老後資金、教育資金、住宅資金など多目的老後資金に特化
引き出しいつでも可能原則60歳まで不可
掛金所得控除なし全額所得控除
優先順位万人向け。まずは新NISAから。節税メリットを最大限に活かしたい人向け。

資金に余裕がある場合は、両制度を併用するのが最も効果的です。しかし、どちらか一方を優先するのであれば、引き出しの自由度が高い新NISAを優先するのが一般的です。まずは新NISAの非課税枠を使い切ることを目指し、さらに余裕があればiDeCoで節税メリットを追求するという順番で考えると良いでしょう。

50代のポートフォリオ見直しとリバランス

ポートフォリオは、一度作成したら終わりではありません。むしろ、作成はスタートラインに立ったに過ぎません。市場の変動やご自身のライフステージの変化に合わせて、定期的にメンテナンスを行う「リバランス」が不可欠です。

定期的な見直しの重要性

投資を続けていると、当初決めた資産配分(例えば、株式50%、債券50%)は、市場の動きによって自然と崩れていきます。例えば、株式市場が好調な年には、株式の価値が上昇し、ポートフォリオに占める比率が60%に増えるかもしれません。この状態を放置すると、ご自身が意図した以上にリスクの高いポートフォリオになってしまい、市場が下落局面に転じた際に大きな損失を被る可能性があります。このような意図しないリスク水準の変化を防ぐために、定期的な見直しとリバランスが必要なのです。

リバランスの具体的な方法

リバランスのタイミングは、年に1回(例えば、年末や誕生日など)と決めておくのがシンプルで良いでしょう。具体的な方法としては、主に2つあります。

  1. 売買によるリバランス: 増えすぎた資産クラス(例:株式)の一部を売却し、その資金で比率が下がった資産クラス(例:債券)を買い増す方法です。最も正確に元の配分に戻せますが、売却益に対して税金がかかる場合があります(新NISA口座内での売買は非課税)。
  2. 追加投資によるリバランス: 新規に投資する資金を、比率が下がっている資産クラスに集中的に投入する方法です。例えば、株式の比率が目標より高い場合、毎月の積立投資を債券ファンドのみに行うことで、徐々に目標の配分に近づけていきます。税金がかからず、手間も少ないため、多くの方におすすめの方法です。

年齢に応じた資産配分の調整

リバランスと同時に、年齢の上昇に合わせて資産配分そのものを見直すことも重要です。50代から60代、70代へと進むにつれて、一般的にリスク許容度は低下していきます。そのため、「100 – 年齢」の法則に従い、株式の比率を徐々に下げ、債券や現金の比率を高めていくことが推奨されます。特に、定年退職は、資産配分を大きく見直す絶好のタイミングです。給与収入がなくなり、資産を取り崩していく「収穫期」に入るため、より安定性を重視したポートフォリオへとシフトさせましょう。

老後生活を見据えた保障の最適化チャンス

資産のリバランスと同時に検討していただきたいのが、「保険の見直し」すなわち「保障の最適化」です。

年齢とともに高まる健康不安…健康診断のたびに、気になる数値が増えている方も多いのではないでしょうか。資産運用と異なり、保険は「欲しい時・必要な時」になってからでは加入できないという特性を持つ金融商品です。

もし、すでに健康状態に不安がある場合は、「今あるどの保障と生涯付き合っていくか」を改めて確認しましょう。一方で、現在ご健康であれば、最新の医療制度をベースに「どの保障が不要か」を仕分けし、より合理的な最新の保障へと入れ替えることも選択肢の一つです。

特に定年退職前後は、社会的信用も比較的高く、内容を見直す絶好のタイミングといえます。給与収入から資産を取り崩す「収穫期」へ入る前に、固定費としての負担を抑えつつ、必要十分かつ安定性を重視した「保障ポートフォリオ」へとシフトさせましょう。

老後資金として積み上げた大切な資産を、急な病気による支出で目減りさせないために。疾病リスクのコストを保険で平準化しておくことも、広い意味での「資産運用」の形といえるはずです。

実践的なアクションプラン

さて、ここまで理論と戦略を学んできましたが、最も重要なのは「行動に移すこと」です。ここでは、今日から始められる具体的な4つのステップをご紹介します。

ステップ1:現状把握と目標設定

まず、ご自身の資産状況を正確に把握することから始めましょう。預貯金、株式、投資信託、保険、不動産など、すべての資産を一覧化し、現在の資産配分を確認します。その上で、「65歳までに3,000万円の金融資産を築く」といった具体的な目標を設定します。目標が明確になることで、取るべきリスクや必要な利回りが逆算できます。

ステップ2:生活防衛資金・保障の確保

投資を始める前に、必ず生活防衛資金を確保してください。目安は生活費の6ヶ月〜1年分です。この資金は、投資には回さず、いつでも引き出せる普通預金や定期預金で確保しておきましょう。また万が一に備えた「保障の見直し・最適化」も実施しましょう。これが、安心して投資を続けるための「安全基地」となります。

ステップ3:証券口座の開設と入金

まだ証券口座をお持ちでない方は、すぐに開設手続きを行いましょう。SBI証券や楽天証券などのネット証券なら、スマートフォンやPCから簡単に申し込みができ、手数料も安くおすすめです。口座が開設できたら、まずは生活に影響のない範囲で、月々1万円でも良いので投資資金を入金してみましょう。

ステップ4:少額からの投資開始(新NISAの活用)

いよいよ投資のスタートです。まずは新NISAの「つみたて投資枠」を使い、全世界株式や米国株式のインデックスファンドに毎月1万円からでも積立投資を始めてみましょう。大切なのは、完璧なポートフォリオを最初から目指すのではなく、少額でも良いので市場に参加し、経験を積むことです。投資を続けながら、徐々に投資額を増やし、ご自身に合ったポートフォリオへと育てていきましょう。

よくある質問(FAQ)

ここでは、50代の資産運用に関してよく寄せられる質問にお答えします。

Q1. 50代から投資を始めても、本当に間に合いますか?

A. はい、十分に間に合います。定年までの10年間、そして定年後も運用を続けることで、資産を大きく育てることが可能です。例えば、毎月5万円を年利4%で10年間運用すると、元本600万円に対して約130万円の運用収益が期待でき、合計で約730万円になります。重要なのは「遅すぎる」と諦めるのではなく、「今日が一番若い日」と捉え、一日でも早く始めることです。

Q2. 退職金を受け取りました。どのように運用すれば良いですか?

A. 退職金のようなまとまった資金は、一度に全額を投資するのではなく、時間と商品を分散することが鉄則です。まず、生活防衛資金として3年分程度の生活費を現金で確保します。その上で、残りの資金を数年間にわたって、新NISAなどを活用しながら段階的に投資していく「段階的投資(ドルコスト平均法)」がおすすめです。これにより、高値掴みのリスクを避けることができます。

Q3. 新NISAとiDeCo、どちらを優先すべきですか?

A. 理想は両方の制度を最大限活用することですが、どちらか一方を優先するなら、新NISAです。iDeCoは60歳まで引き出せないという強力な制約があるため、まずはいつでも引き出し可能な新NISAの非課税枠を使い切ることを目指しましょう。その上で、資金に余裕があり、節税メリットをさらに追求したい場合にiDeCoを活用するのが賢明な順番です。

Q4. 暴落が怖くて投資に踏み切れません。

A. お気持ちはよく分かります。暴落は誰にとっても怖いものですが、歴史を振り返れば、株式市場は暴落を乗り越えて常に右肩上がりに成長してきました。大切なのは、暴落時でも慌てて売却しない「長期的な視点」と、下落局面でも買い続ける「積立投資」です。また、債券や現金を組み合わせた分散投資ポートフォリオを組むことで、暴落時の資産の目減りを和らげることができます。

まとめ

50代は、これまでのキャリアで築き上げた資産を守りつつ、セカンドライフに向けて賢く増やしていく、まさに資産運用の「総仕上げ」とも言える重要な時期です。本記事で解説したように、成功の鍵は以下の3つのポイントに集約されます。

  1. 「守りながら増やす」ポートフォリオ: 「100 – 年齢」を目安に、株式と債券のバランスを取り、現金・預金で守りを固める。
  2. 税制優遇制度の徹底活用: 新NISAとiDeCoを最大限に活用し、効率的に資産を形成する。
  3. 継続的な見直しとリバランス: 年に一度はポートフォリオを見直し、常に最適な状態を保つ。

定年までの時間は限られていますが、決して短すぎるわけではありません。今日から具体的な一歩を踏み出すことが、10年後、20年後のあなたの生活を大きく変える力になります。本記事が、あなたの資産運用の羅針盤となり、豊かで安心な未来を築く一助となれば幸いです。

参考文献
[1] 総務省統計局. (2024). 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要. https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
[2] 日本銀行調査統計局. (2023). 資金循環の日米欧比較. https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sj.htm

ディスクレーマー(免責事項)
本記事は、資産運用に関する情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品の勧誘や投資助言を目的としたものではありません。投資には元本割れを含む様々なリスクが伴い、過去の運用実績は将来の成果を保証するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。また、税務に関する詳細については、税理士などの専門家にご相談ください。

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