【2024】投資に対する日本人と海外の考え方の違い|海外金融業界の時事ニュースを解説
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はじめに
日本人は貯金が大好きな国民と言われています。汗水垂らして働いて稼いだお金は尊く、使うことよりも貯めることのほうが美しいという教育を受けてきたこともあり、お金を貯め込んで使わない人が多い傾向にあります。現金を銀行などに預けず、そのまま家の中に置いておく「タンス預金」という言葉もあるほどで、実際に日本人が保有する金融資産の割合の内うち、現金や預金が多く占めているという現状があります。
今回は、日本人と外国の人たちを比較して、投資に対する考え方の違いについて解説します。
日米欧の金融資産の内訳
日本の個人金融資産は、2020年12月末時点で約1900兆円で、そのうち現預金は1056兆円にのぼるとも言われています。2016年9月に日銀が発表した「家計の金融資産構成」によると、現預金比率では日本が52%、欧州が35%、米国が13%で、株や投資信託比率では米国が47%、欧州が25%、日本が16%となっています。
この数値から、諸外国と比較すると日本は現預金が家計の金融資産の半分以上と非常に高く、投資性のある商品にはあまり手を出していないということがわかります。更にコロナ禍で全世帯への給付金などがそのまま貯蓄となり、直近の資産残高は2000兆円を超えているのではないでしょうか?
一方で、日本と比べてアメリカやヨーロッパは株式や投資信託などへの投資の割合が高くなっています。さまざまな統計を見ても、日本の家計はあまり投資が進んでいないことが確認できます。
なぜ日本の投資人口は少ないのか
お金を稼いで現預金として所持している状態は先進国の中でも日本特有の傾向で、欧米人はお金を貯めることにはあまり価値を見出していません。むしろ株式や投資信託への投資に回して資産を形成するという傾向にあります。これは、日本ではあまり欲張らずに、お金を貯めることが清く正しいという価値観があるのに対して、欧米では資産を増やすためには、積極的に投資をすべきであるという価値観が根付いているためです。
世界からも指摘されている通り、日本人は投資後進国というイメージが付いています。これにはどのような理由があるのでしょうか。
・投資が身近ではない
先にも述べたように、日本の投資人口が少ないのは、お金を稼いだり貯めたりすることに対する消極性です。私たちは学校や家庭でも、最低限身に付けておくべき政治・経済・宗教・金融リテラシー等の教育を受ける機会がありませんでした。 昔から、日本では公共の場でお金に関する話をすることに対して良い印象を持っていません。お金は良くないもの、という観念があり、投資は危険で貯金は安心であるというイメージが植え付けられているためです。金銭に対する特殊な意識は、外国人からは理解し難く、お金を貯めるためだけに働き、シニアになっても預金にこだわり続ける日本人の考え方は、不可解だと受け止められています。
こうした状況を改善するために、2022年度からやっと高校で「資産形成教育」を授業で取り入れられるようになりました。しかし、多くの日本人にとって、投資はまだまだ身近なものではありません。インベスターZなど、投資についての考え方を漫画化したものなどで金融に関する言葉を知るのも良いかもしれません。
・リスクを嫌う国民性
基本的に日本人は安定志向であり、リスクを嫌う保守的な国民性と言われています。日本ではなぜか、投資に投機のイメージを持っている人が少なくありません。投資にはリスクがあるので危ないものと考えている人も多く、どうしても元本が保証されている貯金の方が安心であるという意識が根付いているのです。
この様にリスクを嫌う国民性であるはずなのですが、友人知人、今だけ、ここだけ、あなただけ。と言われ、とんでもない詐欺にハマってしまうのも日本人の特徴でしょう。「リスク」というのは運用結果のブレ幅であるという事をしっかり理解する事で、保証にこだわり過ぎず、詐欺に騙されないという「勘」が身につきます。相談する人を間違えない様にしましょうね。
・公的年金が充実している
そもそも公的年金制度が存在しない国も多いなか、日本は公的年金制度が充実している国です。従って、老後は年金で生活していくと考えている人も多く存在します。海外の、自ら資産運用を行なって老後に備えるという文化と比較すると、日本では老後の蓄えは自分で資産運用して行うものという意識があまり浸透していません。この充実した公的年金制度が、日本人の投資意欲の後退を引き起こしていると言えるでしょう。
ただ良く考えてください。
制度を運営している国・機関が正常なうちは良いですが、そうではなくなった場合は目も当てられません。今後の公的年金改正の予測としては「受取年齢の先延ばし」「受取額の減少」など受給者のデメリットに触れる可能性が高いです。貰えたらラッキーと考えて自分自身、自分の責任として資産設計していきましょう。
若い世代の投資人口が増加傾向
近年では老後2,000万円問題などが取り沙汰されましたが、新型コロナやウクライナ戦争などもあり、生活防衛の意識が高まって資産形成の必要性が浸透し始めています。新型コロナウイルス発生で緊急事態宣言が出た2020年は、ネット証券各社の新規口座開設数が著しく上昇しました。
また、日本政府も投資を推進する取り組みを見せています。非課税制度を利用して安定的な資産形成を行うことができる「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」を積極的に推進しています。このような背景もあって、2021年の野村研究所の調査では、若者の投資人口が急増傾向にあるとしています。25~29歳で投資を行っている人の割合は、2018年からの3年間で11.3%増の17.9%、30~39歳においても5.6%増の19.1%へ著しく上昇しています。また、若者には投資信託が人気であることも明らかになり、少額投資商品の存在を知った若者が増えたことも背景にあるようです。
増える事自体は大事な一歩なのですが、SNS詐欺、勉強会と称したネットワークビジネスの勧誘など、新たに興味を持った層を騙す輩もいますので「自動で、誰でも、皆んな、確実に増やせる」という言葉はほぼ詐欺に近いので注意して下さい。そんな事は相互扶助を仕組み化したものでしか実現できないと思います。
まとめ
私たち日本人には、真面目に働いて貯金をするのが正しい生き方であると刷り込まれていることは間違いないでしょう。しかし、現在の日本の普通預金金利は0.02%とほとんど利益を生みません。近年は、新型コロナウイルスに加え、ロシアのウクライナ侵攻など、様々な世界情勢が絡み合って、全世界でインフレが発生しています。日本も例外ではなく、食料や光熱費をはじめ物価が上がり続けている状況です。
こうした先の見えない状況が続くにつれ、日本の投資人口は今後もさらに増え続けていくと予測されるでしょう。だからこそただし投資知識を持つ事で、恐れ過ぎず、楽観しすぎず、未来の自由を切り開いていきましょう。
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