2025年、あなたの海外送金が変わる。「ISO20022」が資産形成にもたらす静かな革命|海外金融業界の時事ニュースを解説

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金融インフラの「静かな革命」があなたの資産を動かす

海外での資産運用、海外不動産投資、あるいは海外で暮らすご家族への送金。グローバルな資産形成が当たり前になった今、多くの方が「海外送金」を利用しています。しかし、その手続きの煩雑さ、手数料の高さ、着金までの時間の長さに、もどかしさを感じたことはないでしょうか。
2025年11月、その常識が大きく変わろうとしています。金融業界の舞台裏で進む「ISO20022」への移行。これは、単なるシステム変更ではありません。あなたの海外資産運用をよりスムーズに、より安全に、そしてより有利にする可能性を秘めた「静かな革命」なのです。
110 Financial Supportは、香港を拠点とする資産運用のプロフェッショナルとして、この歴史的な金融インフラの変革が、個人の資産形成にどのような影響を与えるのか、専門家の視点から鋭く、そして分かりやすく解説します。
そもそも「ISO20022」とは何か?

「ISO20022」と聞いても、ほとんどの方がピンとこないでしょう。これは、国際標準化機構(ISO)が定めた、金融機関同士がメッセージをやり取りするための「世界共通の言語」のようなものです。
これまで、海外送金は「MT(メッセージタイプ)」と呼ばれる、1970年代に作られた古い形式の電文が使われてきました [1]。これは、いわば文字数制限のある短い手紙のようなもので、送金に必要な最低限の情報しか記載できませんでした。さらに、国や銀行によってフォーマットが微妙に異なるため、情報の伝達途中で手作業による確認や修正が必要となり、これが送金の遅延や手数料の高騰、さらにはマネーローンダリングといった不正の温床となるリスクを抱えていました [2]。
それに対し、新しい「ISO20022」は、XMLという柔軟な形式を採用した、いわば「構造化されたビジネス文書」です。これにより、送金に関わる情報を格段に多く、かつ正確にやり取りできるようになります。例えば、これまでは一つの欄にまとめて入力していた送金先の住所も、「国」「都道府県」「市区町村」「番地」といった形で細分化して記載できるようになるのです [3]。
| 比較項目 | 従来のMTフォーマット | 新しいISO20022フォーマット |
|---|---|---|
| データ形式 | 固定長テキスト | XML形式(構造化データ) |
| 情報量 | 少ない(制限あり) | 多い(拡張性が高い) |
| データの正確性 | 低い(手作業での解釈が必要) | 高い(項目が細分化) |
| 処理効率 | 低い(手作業が多く、非効率) | 高い(システムによる自動処理) |
| 透明性 | 低い | 高い |
2025年11月には、国際的な銀行間通信ネットワークであるSWIFTが、この古いMTフォーマットを完全に廃止し、ISO20022へ完全移行することを決定しています [4]。これは、世界の金融システムが、よりデジタルで、より効率的な時代へと大きく舵を切ることを意味します。
ISO20022は、私たちの資産形成にどう影響するのか?

では、この銀行間のシステム変更が、私たち個人の資産形成に具体的にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。一見、縁遠い話に聞こえるかもしれませんが、その影響は決して小さくありません。
1. 海外送金が「より速く、より安く」なる可能性
ISO20022への移行により、送金プロセス全体が大幅に自動化・効率化されます。これまで人の手で行われていた情報の確認や入力作業がシステムで完結するため、エラーが減り、処理速度が格段に向上します。これにより、海外送金が数時間、あるいは数分で完了する未来も夢ではありません。
処理効率の向上は、銀行のコスト削減に繋がります。その結果、これまで高額だった海外送金手数料が、将来的には引き下げられる可能性があります。送金コストの低下は、海外積立投資や少額の海外送金を頻繁に行う個人投資家にとって、無視できないメリットとなるでしょう。
2. 資産の安全性が向上し、新たな投資機会が広がる
ISO20022の最大の特徴の一つが、送受信できる情報量の多さです。送金目的や取引の背景といった詳細な情報を正確に伝えられるようになるため、金融犯罪対策(アンチ・マネー・ローンダリング)の精度が飛躍的に向上します。
これにより、不正送金や詐欺のリスクが低減し、私たちはより安心して国境を越えた取引を行えるようになります。これまでリスクが高いと敬遠されがちだった海外の新しい金融商品や、新興国のスタートアップへの投資なども、より安全な環境で行えるようになるかもしれません。
3. パーソナライズされた金融サービスの登場
ISO20022は、単なる送金情報だけでなく、請求書(インボイス)情報など、取引に関連する様々なデータを付加できる拡張性の高さも特徴です。これにより、銀行やフィンテック企業は、私たちの取引データをより深く分析し、一人ひとりに最適化された新しい金融サービスを提供する可能性があります。
例えば、個人のポートフォリオや取引履歴に基づいて、最適な海外不動産投資案件を提案してくれたり、為替リスクを自動でヘッジする送金サービスが登場したりと、これまでになかった革新的な資産運用ツールが生まれる土壌となるのです。
注意すべき点:移行期間中の混乱
もちろん、メリットばかりではありません。2025年11月の完全移行に向けて、現在は新旧フォーマットが混在する過渡期にあります。この期間中は、金融機関のシステム切り替えに伴い、一時的に海外送金に遅延が生じる可能性が指摘されています [5]。また、送金を依頼する際に、これまでよりも詳細な情報の入力(住所の構造化入力など)が求められるようになり、最初は戸惑うこともあるかもしれません。
金融インフラの進化を、未来の資産形成の追い風に

ISO20022への移行は、普段私たちが直接目にすることのない、金融システムの根幹に関わる大きな変化です。しかし、その影響は、海外とのお金のやり取りをより「速く、安く、安全」にし、私たちの資産形成の選択肢を大きく広げる可能性を秘めています。
この「静かな革命」は、すでに始まっています。私たち個人投資家ができることは、まずこの変化に関心を持ち、正しく理解することです。そして、海外送金を利用する際には、入力情報の正確性を心がけ、移行期間中の遅延リスクなども念頭に置いておくことが重要です。
金融インフラの進化という大きな波を、ぜひご自身の資産形成の追い風としてください。110 Financial Supportは、これからも皆様のグローバルな資産形成を、最新の金融情報と専門的な知見で力強くサポートしてまいります。
参考文献
[1] 三菱UFJ銀行. 「外国送金のISO20022移行について(送金依頼方法の変更)」. https://www.bk.mufg.jp/houjin/kokusai_gaitame/iso20022_ikou/index.html
[2] 株式会社NTTデータ・ビズインテグラル. 「2025年11月 外国送金のフォーマットがISO20022へ移行!」. https://www.biz-integral.com/feature-column/column/iso20022/
[3] 三井住友銀行. 「外国送金の国際標準フォーマット化(ISO20022準拠対応)について」. https://www.smbc.co.jp/hojin/iso20022/
[4] 一般社団法人 全国銀行協会. 「外国為替円決済制度におけるISO20022電文のバージョン8への改訂について」. 2025年10月14日. https://www.zenginkyo.or.jp/news/2025/n101401/
[5] 楽天銀行株式会社. 「【重要】海外送金の国際標準フォーマット化(ISO20022移行)に伴うご案内」. 2025年9月22日. https://www.rakuten-bank.co.jp/info/2025/250922.html
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