海外保険に関するよくある質問 – 第10弾 –
お客様から実際に相談をお受けした海外保険に関して解説していきます。
今回は生命保険の契約形態によって税金がどう変わるのか、というご質問をいただきましたのでお答えします。
質問
Q.生命保険は契約形態によって将来受け取る時の税金が変わるって本当ですか?
A.はい、変わります。
※今回は一般論をお伝えしておりますので、実際の税務申告の際は日本の税理士にご相談下さい。
必要がありましたらご紹介させて頂きます。
また日本以外の諸外国にてお受け取りを実行される場合は、その国の税制に従う必要がございますのでご注意下さい。
将来皆さんが日本に本帰国、もしくは終の住み家として移り住み、日本居住者として保険金や解約金を受け取った際の税制というのが本テーマの前提です。
保険の契約を申し込みして成立すると、保険証券が発行されます。
保険証券の中には基本的に3人の登場人物が出てきます。
その3人とは
- 契約者(=保険料負担者)
- 被保険者
- 受取人
です。
『契約者』とは言葉のとおり、申し込み内容に同意してサインをする人、そして保険料を支払っていく人、つまり実質的な保険の支配者です。
『被保険者』は保険契約上においてその保険の対象になる人を指します。
『受取人』は保険金を受け取る人です。
たとえば被保険者が死亡保険に加入していた場合、亡くなったときに支払われる保険金を受け取る人が受取人になります。
上記の3人のうち誰がどの役割をするのか?その契約形態に応じて将来的に受け取る保険金や解約返戻金、満期金の税率が変わりますのでご注意下さい。
では具体的にどのように変わるのかを見ていきましょう。
生命保険の『契約形態』で変わる税金を表にしました。
死亡保険金の受取形態と税金の種類
以下の表は死亡保険金の受取形態と税金の種類をまとめました。
死亡保険金
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金の種類 |
夫 | 夫 | 妻 | 相続税 |
夫 | 妻 | 夫 | 所得税(一時所得) |
夫 | 子 | 妻 | 贈与税 |
最近では目にすることもなくなりましたが、一昔前の我々のお父さんお母さんの世代は職場やオフィスの中まで保険の担当の方がくることが多かったです。
その流れからか、夫を契約者にして、保険の対象者を自分・妻や子どもにしていました。
一般的に言われているのは契約者と被保険者が同じで、受取人が妻や子どものパターンです。
この契約形態であれば亡くなった時の死亡保険金は相続税の対象になります。
相続税は税控除が大きいので、基本的に納める税金が少なく済むのがメリットです。
契約者と被保険者が同一で、受取人が別の方にするのがスタンダードですが、これを知らずに保険の担当者に言われるがまま契約してしまうパターンもあります。
夫を契約者にして妻を被保険者、受取人を夫にするとどうなるでしょうか。
この契約形態だと妻が亡くなった時に困らないよう、自分のために保険をかけていると見られてしまいます。
このパターンだと税金の種類は一時所得になります。
一時所得になると年収と合算して申告する手続きが必要になり、税金を余計に払わなければなりません。よくよく考えて頂きたいのですが、保険金を受け取るということは身近な誰かがお亡くなりになっているのです。その悲しみの中、更に冷酷に税金まで取られていく・・・。そんな悲劇を耳にしたのも一度や二度ではありません。
海外の保険に限らず、日本でご加入中の保険についても『契約者』『被保険者』『受取人』この三角関係はしっかりと確認をお願いします。
解約返戻金や満期金の受取形態と税金の種類
次は解約返戻金や満期金を見ていきましょう。
解約返戻金・満期金
契約者=保険料負担者 | 被保険者 | 返戻金・満期金受取人 | 税金の種類 |
夫 | 夫 | 夫 | 所得税(一時所得) |
夫 | 妻 | 夫 | 所得税(一時所得) |
夫 | 夫 | 妻 | 贈与税 |
夫 | 妻 | 妻 | 贈与税 |
夫 | 妻 | 子 | 贈与税 |
保険は掛け捨ての保険とお金が貯まる保険の2種類あります。
お金が貯まる保険は終身保険、学資保険や年金保険などが一般的です。
保険料を支払い、将来、生前で受け取る時のお金を解約返戻金や満期金と呼びます。
この解約返戻金や満期金も契約形態によって税率が異なります。
登場人物は死亡保険金と同じように契約者と被保険者、受取人です。
死亡保険金と異なるのは、受取人と被保険者が同一であるパターンがあるということですね。あります。
税率の高い『贈与税』を避け、ご自身のその時の所得等を考慮し、保険商品の契約形態によってどれだけ払う税金を少なくできるかがポイントです。
繰り返しになりますが、この記事を見て保険税務の種類を知らなかった方は、海外の保険、日本の保険に関わらず、一度ご自身の保険証券を引き出して契約者や被保険者、受取人が誰になっているのかを『しっかりと』確認しておくと安心でしょう。
もしご不明な点がございましたら、お気軽に弊社までお問い合わせください。
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