【対談企画】台湾に移住する人必見!台湾の基本情報から生活、お金の面での情報まで徹底質問【前編】

morning taipei city panorama in the taiwan


アジア圏と一口に言っても国が違えば気候風土や文化、習慣および意識の仕方などが違います。日本から見れば同じように見えても、実際に現地で仕事や生活をするとなれば、事前に各国の違いをつかんでおくことが大切です。

そこで今回は、いつも香港のお話を教えていただいている才田氏との対談の場に、110グループ台湾で国際金融アドバイザーをされている宮本氏をお招きし、台湾移住に有益な情報を教えていただきました。
宮本氏は自ら台湾に拠点を移され、8年以上にわたって駐在員はじめ日本人移住者をメインに台湾での資産管理や資産保全に関するサポートをされています。台湾の基本情報から台湾での社会保障や医療事情、銀行口座開設や資産管理、教育まで、台湾移住を検討するために役立つさまざまな情報をお話いただきましたので台湾移住の準備をされている方はぜひ参考にしてください。



台湾の基本情報


地理的にも人情的にも日本に近い国

高林:「宮本さん、本日はどうぞよろしくお願いいたします。早速ですが、台湾に移住したい方、検討されている方に向けて、台湾の位置や気候、過ごしやすい時期など基本的な情報を教えていただけますか。」

宮本:「まず台湾の位置関係ですが、まさに『アジアのど真ん中』に位置しています。南にはフィリピン、北には中国、西に香港、シンガポールなど、そして東に日本があります。東京からだと飛行機で大体3時間くらいですね。大阪からだと2時間半、九州から2時間くらい、沖縄からは1時間程度で、とても日本と近いです。場合によっては日帰り旅行もできるのでは、というほどです。

台湾の人口は2,300万人少々なのですが、年間900万人くらいの人が海外旅行をしていて、そのうち大半が日本に行っていると聞きます。台湾の人は日本人のことが大好きなんです。地理的にも感情的にも日本と台湾は近い関係にあり、日本にも行きやすいし、日本からも来やすいです。ただ、コロナ以降は日本から台湾に来る人の数は回復していないようでして、日本からも台湾に人を招き寄せたいということで、私もボランティアで『台北と東北を結ぶ』といったプロジェクトに参画させていただいています。

気候に関しては、南の島をイメージされがちなのですが、案外四季もあります。例えば、12月~2月は少し寒い日がありますし、コートやダウンを着て街を歩いている人も多いです。12月末で気温14度ぐらいですので、まあこれは『冬を楽しんでいる』という感じかもしれません。現地の人は冬と表現していますが私の感覚では気温的には秋といったほうが近いです。ただ、日本の四季と違うのは、台湾は基本的に1年間を通して暑いです。ですので、暖房器具とか、家自体も断熱性能があまりよくないので冬場は室内に冷たい空気が入り込んで結構寒く、寒さに耐え凌ぎながら日々暮らしているという感じです。極寒ではないですが。

実は台湾には3,000メートル級の山が約270~280座あるんです。日本は公式データではたしか21座だったと思いますから10倍以上ですね。それでいて国土が日本の10分の1ですから、狭い敷地に高い山がぎゅっと詰まった感じで、標高が高いところと低いところで気候が全然違います。亜熱帯気候からから寒帯までバラエティに富んでいます。それによって植生や生き物も多種多様です。蝶を例に挙げると、たしか400種くらいと聞いています。面積に比例して考えるとブラジルレベルだそうです。台湾では固有種だけでも40~50種くらいいると言われています。イギリスではたしか蝶々自体が70種(日本は250種)ぐらいしかいないそうです。もちろん他の生物もそんな感じでたくさんいて、住んでいいてもすごく面白い気候帯ですね。」

才田:「香港と共通していると思って聞いていましたが、暖房器具に弱いですよね。寒くなってくると、寒さを凌ぐ手段がヒーターを買うか、家の中でダウンを着るしかないんですけど、暖かそうにみえる台湾もそうなんですね。」

宮本:「そうですね。まさしくそんな感じです。」

高林:「春夏秋冬でみると気温的にはどのような感じでしょうか。」

宮本:「暑いときは35~36度ですね。日本だと暑いときに40度ぐらいになる時もありますが、そのようなことはあまりなくて、暑い期間がすごく長いという感じです。寒いときでは、気温が一桁台になることはなく、10~11度で寒いと思う感じです。2月になると気温が一桁台になることがありますし、台北市の近くには1,000メートルくらいの山があるんですが、そういうところでは数年に1回くらい、ほんの少しですが雪が降ることがあります。台湾は面積も九州と同じくらいですが、南北感の距離も九州のように縦長で300キロメートルくらいの距離がありますので、南北での気温差は結構あります。一番南には高雄という大きな都市があるのですが、そこはすごく暑いようです。高雄から台北に来た人は皆さん『涼しい』と言います。」

才田:「香港のスタッフが言っていましたが、『日本はオーブンレンジの中にいるようなジリジリした暑さで、台湾や香港は湿気があるので蒸し器の中にいる暑さ』のようです。気候面でも台湾と香港はつながっている感じですね。」

宮本:「そうですね。私自身は日本に戻ると24時間以内に皮膚がパキパキになります。夏でもですが、冬はとくに24時間持たないです。唇も頬も、手の指先も。以前はあかぎれになったことがなかったのですが、台湾に7年も8年もいると身体が慣れてしまうのでしょうね。最近は本当にあかぎれがひどいので、冬場に日本に戻るときにはドキドキします。」

才田:「本当に乾燥がすごいですよね。パキパキ感が。何か塗っておかないと、そのまま(皮膚が)外れてしまうような感じですよね。」

宮本:「本当に怖いですね。」

高林:「そうなんですね。前回の対談で、才田さんに香港の『緩やかな四季』についてお聞きしましたが、台湾もそれに近いのかなと思いました。」

台湾の食文化


高林:「生活する上では食事も大切です。台湾の食文化について教えていただけますか。」

宮本:「台湾といえば皆さん、中華料理を思い浮かべると思いますが、日本人が一般的に思い浮かべる辛くて、塩分が強くて脂っこい中華料理とはずいぶん違うと思います。台湾の料理はむしろその真逆で、基本的に非常に薄味というか、塩分がほぼありません。わりと甘めな味付けなので日本人の口に合うと思いますが、塩分が少ないという部分では日本人には物足りないと思います。その辺りの(台湾の)ラーメン屋にふらっと入ってラーメンを食べると、日本人の方々は失敗じゃないかと言うぐらい塩分が無いです。でも、看板に『日本人向けの味』などと書いていたり、日本人向けの味と台湾人向けの味を選べたりするところもあります。私は血圧が高めだったのですが、台湾に来て塩分が少ない生活をしているので肉体的には良いのかなと思います。でも、脂分は日本に比べて何倍も多く感じます。スーパーマーケットに行っても油の一斗缶サイズのものを売っていますし、それだけ油の消費量が多いのでしょうね。

中華料理といってもすごく幅が広くて、同じ中国大陸(以下中国)でも地方で食べる物が違いますよね。香港でもそうですよね。でも、台湾は歴史的に大きく2度中国から人口が集まっているんですが、中国のいろんなところから人が来ているので、人種のるつぼというか、いろんな文化が入り乱れています。ですので、台湾の人が日常的に食べるわけではないですが、日本でよく食べるような中華料理も食べることもできます。

あと、台湾はそんなに大きな国ではないですが、北と南で結構違いがあります。南に行けば行くほど甘味になる傾向があります。台北のほうは、日本の東京に相当しますが、いろんな味が楽しめます。

それと、香港もそうかもしれませんが、台湾の人は日本ほど自炊はしないですね。朝食も大抵外で食べますし、お昼は弁当持参で来る人も多いですが、夜も外食文化があって、食事をするところは日本以上にあります。ただ、魚に関しては意外に、とくに台北は少ないんです。台湾は四方を海に囲まれているので私も台湾に来たときは魚介をたくさん食べられると思っていたのですが、意外に少なく、スーパーマーケットに行ってもほとんどないですね。淡水魚が売られていることもあるのですが、あまりおいしくはありません。

市場とかに行けばありますが、それでも少ないですね。というのは、最初にお話ししたように台湾は周りを色んな国で囲まれているので実は漁場がすごく狭いんですね。漁獲量がすごく限られているんです。その点、日本は太平洋、日本海、東シナ海等々、東西南北に漁場があって、世界有数の漁場に恵まれた国だというのは台湾に来てから感じました。このあいだ台湾で回らない鮨屋に行ったのですが、1人当たり日本円換算で5~6万円くらいかかりました。おそらくですが、日本だと、銀座で4万円、築地で2~3万円、福岡だと1万5,000円というレベルの鮨屋ですよ。」

高林:「ありがとうございます。お魚の話は興味深いですね。台湾の代表的な料理や日本料理店なんかはどのようなものが食べられるんでしょうか。」

宮本:「台湾料理の有名どころとしては牛肉麺ですね。『ニュウロウミェン』といいますが、牛肉が入ったラーメンで、台湾への観光客は一番よく食べる料理だと思います。あと、『魯肉飯(ルーローハン)』といって甘辛味の豚肉の粗挽きをご飯の上にのせた料理ですが、これも庶民の味としてよく食べます。水餃子もですね。中国では焼餃子はあまりないのですが、台湾は日本の統治時代が50年あったからかどうかはわかりませんが、台湾では焼餃子も結構あります。日本食に関しては、多分、海外では世界一と言えるほど、種類も豊富で選択に苦労することはないです。日本のチェーン店もほぼ台湾で展開していると思います。代表的なところでは牛丼チェーン店3種、店舗数も多いですね。回転寿司チェーン店やサイゼリアなどもたくさんあります。ただ、基本的に値段は高めですね、でも、そのなかでウナギは安いと思います。ウナギは味のレベルも高く、価格も安いです。これは漁場が近いし、ウナギの養殖にも成功していて安く手に入るようです。」

台湾の治安

高林:「台湾に行ったことがない方にも台湾での食事についてよくイメージできるかと思います。ありがとうございます。あと、海外にあまり行ったことがない方は治安面も不安があると思うのですが、現在の台湾の治安状況はいかがでしょうか。」

宮本:「治安はすごくいいですね。私も色んな国に行っていますが、多分、台湾は(そのなかでも)一番安全な国だと思っています。私が8年近く住んでいるなかで身の危険を感じたことは一度もないです。日本人のほとんどは、台湾、香港、中国は一緒だと思っているようなのですが、全く違います。道徳、言葉、考え方、習慣、生活様式、アイデンティティなど、全く異なります。ですので治安面でも違いますね。私自身、中国に住んでいたこともありますが、中国では危険を感じたり、怖いと思ったりしたこともありましたし、人口比で考えると比較できないかもしれませんが昨年も凶悪事件が9件ぐらいありましたよね。とはいっても、どんな安全な国でも行ってはいけない場所というのは必ずあり、台湾にもあります。行かない方がいいといわれている場所に敢えて行くことがなければ問題はないと思います。スリや盗難なども注意しておく必要はありますが、あまり聞くことがなく、日本と同じような感覚だと思います。

ただ、治安とは違う危険があって、交通状況は良くないですね。急に自動車の運行量が増えたということや、駐車場の数が少ないこと、バイクがものすごく多いことなんかがあって、路上の事故や危険が多いです。私も歩いていて足の爪先をバイクに轢かれたことがあります。まあ、爪先だったのでたいして痛くはなかったですが、ぶつかりそうになってヒヤッとすることは何度もあります。」

街の綺麗さも日本並み

高林:「ありがとうございます。日本だと歩行者優先ですが、その点は違うのですね。街の景観や雰囲気はいかがでしょうか。」

宮本:「街の雰囲気は日本に似ていると思います。私自身は台湾も綺麗だとおもうのですが、台湾人が日本に行くと皆さん日本は綺麗だと言いますね。綺麗の感覚が台湾人と日本人で異なるのかもしれませんが、台湾には街にゴミ箱もきちんとあって、ゴミ箱に物を捨てるという習慣もあり、綺麗好きです。街並みも綺麗だと思います。都会は車やバイクが多いですが。でも、街中には高層マンションや百貨店などもありますし、あまり日本の都市部と変わらないのではないでしょうか。コンビニもたくさんありますよ。」

高林:「日本のブランドのお店も多いので安心感もあるなというのは、私の記憶にもあります。」

宮本:「他の国に行った時の感覚は、同じアジアのなかでも例えば中国とかフィリピンにいった時の感覚と比べると、台湾は日本にいる感覚に近いですね。」

台湾移住前に知っておくべき諸情報


台湾移住のビザは?

高林:「ビザについてお聞きしたいのですが、観光旅行でビザの要否や移住者はどういうビザで来られているかご存じでしょうか。」

宮本:「私はビザの専門ではないので詳しいお話はできませんが、駐在で来られる方は皆さん就労ビザを取得して来られていますね。ご家族は皆さん帯同ビザで来られています。最近は留学で来られる方も増えていますが、その場合は学生ビザですね。主にはこの3種ではないでしょうか。現地採用でこちらに来られたり、起業されたりしている方も就労ビザを取られています。観光旅行であれば3ヵ月以内の滞在であればとくにビザを意識して来られる方はいないと思います。

ビザの取りやすさで言うと、他の国とあまり変わらないのではないでしょうか。ただ、こちらで起業しようという場合はビザの枠もありますし、現地人を採用するなど取得条件を満たす必要もあります。」

高林:「ちなみに、今は台湾に住まれている日本人はどれくらいいらっしゃるのでしょうか。」

宮本:「正確な数は把握していませんが、在留登録をされている方は2万4,000人くらいだったと思います。2万6,000人くらいいたのが減って、そのあと少し増えた感じです。」

高林:「コロナの後はどのような感じですか。」

宮本:「コロナの後、減ったのですが、今は少し増えてきているというのは最近聞きました。登録していない人もいますし、短期・中期で来られている方も多いので、トータルとしては3万人くらい日本人が住まれていると聞きます。」

高林:「一般的には就労ビザ、帯同ビザというところですね。」

宮本:「そうですね。」

台湾ではどこに住むか?

高林:「台湾に住むとなればどこに住むのが良いのか、家賃も含めて教えていただきたいです。」

宮本:「私は台北に住んでいるので、南の方とか他の都市の事情には詳しくないですが、私の肌感覚としては地域によって家賃の幅が大きいことは感じます。本当に場所によって家賃が違いますので比べるのは難しいですが。」

高林:「日本人駐在員の方達はどのような地域に、どのような価格帯で住まわれているのでしょうか。」

宮本:「駐在の方達は会社の近くや都市中心部の良い地域に住まわれていますね。台北には台北駅を中心に衛星的にいくつか良い地域があって、便利な地域に住んでいる方が多いです。そういう地域では家賃は日本円で20万~30万円でしょうか。家族帯同で来られている方々は日本人学校の周りに住んでいる方がほとんどです。そういうところでは、部屋数も3部屋ぐらいの物件で家賃30万円前後ですね。

まあ、これは家賃を会社が出してくれるから住めるのでしょうが、私のように駐在ではなく単身でやっている者は、中心部から少し離れた場所で、家賃が9万数千円という感じです。少し離れた場所とはいえ、ドア to ドアで会社まで40分ぐらいです。台北の現地の人には40分は長いんですが、日本の感覚だと東京では通勤1~2時間は当然ですよね。私も福岡にいましたが、福岡では車通勤で1時間です。それに比べると、交通機関のなかで確実に座れますし、通勤中に新聞や小説も読めますから、あくまで感覚的なものですが10分くらいで着く感じです。住む環境としては非常に良いのではないかと思っています。」

才田:「香港も住宅価格も家賃も高いですが、駐在にかかる費用が高いのは会社にとっても大変ですね。」

高林:「ありがとうございます。とても参考になります。」

台湾の交通手段


高林:「交通に関して先ほどお話が出ましたが、生活のなかでの交通手段は皆さんどのようにされているのでしょうか。バス、地下鉄などの公共交通機関や移動手段について教えていただけますか。」

宮本:「公共交通機関は非常に発達しています。台北では地下鉄が縦横無尽に走っているので、どこに行くにも地下鉄を利用できます。バスもすごく発達していてどこにでも行けます。乗車もsuicaのようなカードでピッとできますし、アプリも発達していてバスの運行状況とかも1分単位でわかります。なので待つのもイライラしなくていいですし、バス停にも電光掲示板があって遅延や運行状況などが表示されるのでありがたいです。

タクシーもよく走っていますよ。需要も多いのですぐにつかまるわけではないですが、台湾ではタクシーの色が黄色に統一されているのですぐにわかると思います。タクシーも公共交通手段として料金は日本に比べると安いと感じます。台湾は全体的に物価が高めですが、公共サービスに関しては安いです。日本円に対して安いとかではなく、(台湾での)給与に対して安いということですよ。私はよくウーバーを使います。ウーバーも日本と比べて発達していますので、ウーバーを含めてタクシーはよく使えると思います。

現地の人では、台湾はバイク社会なのでバイクを使う人も多いですね。1台のバイクで4人乗りなんていうのもよく見かけます。最近はGDPも伸びていますし、自動車保有率も上がっているようです。一家に一台とはいかないですが、私の周りの台湾人では車を所有している方が多いですし、家庭を構えている人は車を所有している方が多いようです。」

高林:「ありがとうございます。バスやITの発達はベトナムに近いのかなと思ってしまいました。」

宮本:「シェアサイクル(自転車)も至る所にあります。」

高林:「それもアプリで使えるのでしょうか。」

宮本:「使えます。アプリも使えますし、15分以内だと無料なので使っている人は多いです。」

才田:「無料なんですか?」

宮本:「15分以内は無料です。私自身は実は使ったことがないのですが、こういう日本人は珍しいです。」

才田:「香港はそもそも自転車というのは公園のなかでの競技用という感じで、公道は危なくて走れないです。そもそも自転車もバイクも置き場所に困るというのもありますし、台湾は多いんですね。」

宮本:「自転車用の道路も整備されていますので、国と自治体がしっかりやっている感じは受けますね。」

才田:「土地の面積も台湾と香港は圧倒的に違いますしね。」

高林:「違いがあって面白いですね。」

台湾の医療制度

高林:「話は変わりますが、台湾の医療制度として日本人が台湾に移住する前に知っておくべきことやアドバイスがあれば教えてください。」

宮本:「医療制度は世界有数の制度だと思います。ほぼ日本と同じと思っていただいて良いと思います。アメリカとか国によっては盲腸だけで何百万円もかかるなんて話をよく聞きますが、日本と同じで台湾では医療制度がしっかりしています。例えば風邪などで医療機関にかかっても自己負担分を払うだけでいいです。技術面でも医療技術は世界トップクラスで、医療機器についてもしっかりしていると聞いています。あと、日本人が多いこともあって、日本語が使える医師がいる医療機関も多いので、台湾に移住して病気をしたときの安心感は他の国に比べると大きいのではないかと思います。そんなこともあり、日本に比べて民間の医療保険に加入している人は少ないようです。まあ、日本が保険大国であるということもありますが。でも、民間の医療保険も良くできていて、日本で多い『1日いくら』というタイプではなく、損害保険に近い『実損填補』タイプです。健康保険を使って自己負担として払った実費分だけが保険会社から給付されるというものですので、民間の医療保険に加入しておけば実質的に医療費はタダになります。

日本から台湾に来られる際の注意点ですが、駐在の方も現地採用の方も会社がやってくれるので心配はないと思いますが、(個人で来られる場合は)予防接種ですね。肝炎とか、あと狂犬病も少なくはなっていますが、日本に比べて野犬が多いですし、可能性はゼロではないので、できるのであれば予防接種をしてから来られると良いと思います。」

才田:「お聞きしていて医療面は香港よりも日本に近いなと感じました。香港では政府運営の病院もありますが、民間の医療機関に行くとそれこそ医療費が100万~200万円かかることもあります。例えば、尿管結石になって超音波で石を破壊するのとか15分くらいで簡単にできますが、それだけで7万香港ドルかかりますので、日本円にすると140万円くらいですね。15分ぐらいで楽にはなりますが140万円ですよね。だからといって政府の病院に行こうと思うと、緊急ではないので1週間後に来るように言われますし。それを思うと、政府主幹の保険制度は助かりますね。必要な時に必要な人に使ってもらえるというのは良いなと、お聞きしていてあらためて感じました。」

台湾での社会保障や年金は?


台湾の年金事情

高林:「ここからは社会保障や年金、資産運用などについてお聞きしたいのですが、まず、年金についてお伺いしたいです。日本から移住されるときに、例えば日本の年金制度はどうするのが良いかなど、お話しいただけますか。」

宮本:「まず、年金制度ですね。ひとことで言うと、台湾の年金制度は良い制度です。良いというのはお得という意味ですが、大きく分けて2つあります。1つ目は退職したときに、退職金のように一時金としてまとめてもらうタイプです。2つ目は、日本のように毎月もらうタイプです。どちらも支払った金額に対して受け取れる金額が良いです。具体的な返戻率は支払った年数などによって変わってきますが、少し前の計算ですが、例えば、15年以上支払うと5~6倍ぐらいの額を受け取れます。魅力的ですよね。

ただですね、返戻率でみると非常に魅力的なのですが、そもそも支払う年金保険料がとても少ないんです。ですので、仮に6倍の額を受け取れるとしても、65歳になったときに実際にそれで生活できるかといえば金額的には生活できるレベルではありません。日本から移住される方は加入の選択もできますので、駐在の方は日本の厚生年金にそのまま加入していて、台湾の年金には加入されていない方が多いと思います。駐在ではなく、こちらの会社で現地採用として働く方々は人によると思います。日本の国民年金に任意加入している方もいらっしゃいますし、まったく加入されていない方もいらっしゃいます。日本の年金制度は、以前は25年以上加入していないと受給資格がありませんでしたが、今は10年に短くなっていますよね。いわば、年金をもらいやすくなったこともありますので、(受給資格期間を満たしているので)もう払っていないという人も少なくないようです。あくまで『任意』ですし、国民年金保険料として16,000円程度のお金を支払って日本で運用を任せるのではなく、同じ額でも海外で運用したほうが良いのかなとも思います。」

高林:「ありがとうございます。」

才田:「日本のニュースでもよく『払い損世代』『逃げ切り世代』なんて言葉を聞くことがありますが、サラリーマンとして給与天引きされる分は仕方ないですが、せっかく海外にいらっしゃる方は、駐在でも現地採用でも、海外にいるメリットを最大限に活かしていただけるといいなと思いますね。海外にいると、国や企業に依存するだけでない自己防衛のチャンスが多いと思いますので、そのチャンスを活かして、よくある『国の年金がどうだ』といったニュースに踊らされないようにしていただくのが良いと思います。そのお手伝いは我々が得意としている部分ですので、お気軽にお声かけいただきたいですね。どの国にいてもきちんとできる方法がありますので、そういう選択肢を探していただきたいですね。」

―後編に続く―

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記事監修:INSURANCE 110 DIRECTOR 才田 弘一郎
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