失敗しない!オーストラリア不動産の売却手続きと知っておくべき税務知識

オーストラリアに不動産を所有しているものの、売却手続きや税務が複雑で不安を感じている方は少なくありません。売却にかかるコストや現地での手続きを十分に理解していないと、思わぬ損失や税金トラブルに巻き込まれるリスクもあります。
この記事では、日本居住者が特に注意すべきポイントや具体的な流れを丁寧に解説し、安心かつスムーズに不動産売却を進めるための知識をお伝えします。
Contents
日本人が知っておくべきオーストラリアの不動産売却にかかるコスト

オーストラリアの不動産売却では、日本とは異なる税制や費用がかかります。特にキャピタルゲイン税や固定資産税、仲介手数料、エージェント費用など、見落としがちなコストを事前に把握しておくことが重要です。ここでは、各コストの詳細と相場について解説します。
売却時に必要な税金|キャピタルゲイン税と固定資産税
オーストラリアで不動産を売却する際は、「キャピタルゲイン税」と「固定資産税」の2つに注意が必要です。キャピタルゲイン税とは、不動産売却によって生じた利益(売却価格から購入価格や諸経費を差し引いた額)に対して課される税金です。
たとえば、3,000万円で購入した物件を3,500万円で売却した場合、その差額の500万円が課税対象となります。特に日本居住者(オーストラリア非居住者)には、オーストラリア居住者よりも高い税率が適用されることがあり、注意が必要です。
一方、固定資産税は州政府によって年に一度課税される税金ですが、売却時には所有期間に応じて日割りで精算されます。たとえば年間2,400オーストラリアドル(約225,000円)の固定資産税を支払っており、6月末に所有権が移転した場合、半年分の1,200ドルを負担することになります。
※1オーストラリアドル=93.5円(2025年3月現在)
印紙税(Stamp Duty)と諸経費の目安
オーストラリアで不動産を売却する際には、「印紙税(Stamp Duty)」をはじめとする各種費用の存在も忘れてはいけません。印紙税とは、不動産取引に伴う契約書や各種書類に課される税金で、州や地域によって税率や課税方法が異なります。そのため、自分の不動産がある州の制度を確認することが重要です。
たとえば、シドニーのあるニューサウスウェールズ州では不動産の売買に最大5.5%の印紙税が必要です。メルボルンのあるビクトリア州では最大6.5%かかる場合もあります。
住宅用不動産を購入する際、外国人は追加の印紙税が課されることもあるため、こちらも要確認です。
また、印紙税以外にも登記費用、弁護士や行政書士への手数料、物件の調査費用などが発生します。とくに弁護士や行政書士への依頼料は1,500~3,000オーストラリアドル(約14万~28万円)程度が一般的であり、諸費用を含めると予想以上に大きな出費となるケースもあります。
オーストラリアで所有している不動産売却の流れ

オーストラリアで不動産を売却するには、準備から契約、決済後の手続きまでいくつかの段階を踏みます。日本とは異なる制度や慣習があるため、事前に流れを理解しておきましょう。
売却前の準備と現地エージェント選びから価格設定~契約締結まで
まず必要なのは、信頼できる現地エージェントの選定と物件の査定です。過去の販売実績や顧客レビューなどをチェックしてエージェントを比較検討し、査定を依頼します。
たとえばシドニーでアパートを売却する場合、複数の実績豊富なエージェントに査定を依頼し、マーケット価格を基に売却価格を決定します。その後、広告を出して購入希望者を募り、申し込みがあれば条件交渉を経て契約書に署名します。
契約にあたっては価格だけでなく、決済日や税金負担の分担などの条件を事前にしっかり確認することが大切です。
決済完了後に必要な手続きと日本への送金方法
不動産の決済が完了した後も、不動産登記の名義変更や書類確認といった手続きが必要です。これらは現地エージェントや弁護士のサポートを受けて進めましょう。
売却益を日本へ送金する場合、現地銀行口座から国際送金を行いますが、送金手数料や為替変動リスクへの対応も必要です。最近ではWiseなどの低コストな送金手段も選択肢に入ります。大きな金額が動くため、手数料の影響も無視できません。
為替リスクを避けるためには、為替予約を利用したり、数回に分けて送金するなどの対策を講じるとよいでしょう。
オーストラリアで不動産を売却する際の注意点

オーストラリアの不動産売却では、日本とは異なる制度や税務上の落とし穴が存在します。以下では特に注意すべき点を紹介します。
外国投資審査委員会(FIRB)の承認要件と手続き
不動産の売却において、外国人の購入者が物件を取得する場合、外国投資審査委員会(FIRB)の承認が必要です。日本居住者が不動産を売却する際、買主が外国人であれば、買主側がFIRBの承認を取得しなければなりません。売主が申請する必要はありません。
申請手数料は物件価格によって異なり、たとえば100万オーストラリアドルの物件では14,700ドル(約140万円弱)かかります。承認には通常、数週間から数か月かかるため、早めの対応が必要です。
印紙税(Stamp Duty)とGSTの適用範囲とその影響
GST(消費税)は、新築住宅や商業物件、土地の開発案件などの売却に対して課税されます。中古住宅の売却には通常は課税されません。
一方、印紙税は主に買主が負担するもので、売主が支払うケースはほとんどありません。ただし、契約条件や州によって例外があるため、内容をよく確認する必要があります。
売却時の税務戦略:損失の繰越しと税務損失の取り扱い
不動産売却によって損失(キャピタルロス)が生じた場合、その損失を翌年度以降のキャピタルゲイン課税と相殺することで節税につながります。この制度を活用するには、正確な申告が必要です。
日本居住者の場合、同じ年内の譲渡所得との通算は可能ですが、他の所得区分との損益通算や翌年以降への繰越は原則としてできません。
このような税務戦略を適切に進めるためには、現地の税理士や専門家と連携して申告を行う必要があります。
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オーストラリアでの不動産売却は、税務や手続きが複雑で、日本から個人で対応するには見落としのリスクが高くなります。税務申告のミスや書類不備は、思わぬ損失につながる可能性もあります。
こうしたトラブルを避けるためには、現地の事情に詳しい専門家のサポートを受けるのが確実です。
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