【2024】海外移住後の公的年金などの対策|海外金融業界の時事ニュースを解説

はじめに

日本を離れて、海外で暮らす人たちが徐々に増えています。外務省の海外在留邦人数調査統計によると、2022年10月1日時点で生活拠点を日本から海外に移した永住者は、過去最高の約55万7000人です。特に、女性の永住者が増加傾向にあります。

海外移住者は20年連続で増加している

生活拠点を日本から海外に移した永住者は、2003年から2022年まで20年連続で前年比増となっています。2022年の地域別永住者は、北米が約27万4000人、西欧が約9万人、オセアニアが約7万6000人です。ワーキングホリデー制度と異なり、永住権を取得するとなれば、語学力や就労経験、資格、経済的に自立する能力など、それぞれの国でさまざまな要件が課されているため、簡単なことではありません。

そんな中でも、海外を目指す人たち、特に女性の移住者が年々増加傾向にあります。移住の理由として考えられるのは、この30年間、日本の平均賃金がほぼ上がっていないことが大きいでしょう。日本はデフレから抜け出せない状況があまりにも長く続いたことで、日本経済に対して希望を見いだせないという風潮が強くなり、日本の将来の経済に行き詰まりを感じて海外へ出ていく人が多いのかもしれません。

海外移住者の年金加入手続きについて

日本には、国が運営する社会保障として年金制度があります。そのほかにも、個人事業主などが加入する国民年金、給与所得者が加入する厚生年金、公務員が加入する共済年金、そして一部の企業が適用している企業年金などがあります。

20歳以上であれば国民年金に加入、会社員であれば厚生年金に加入することとなります。しかし、海外移住をした場合は基本的に国民年金の保険料を支払う必要はありません。例外として、住民票を日本に残している人や任意で国民年金保険に加入し続けている20歳〜64歳の人は、支払い義務が発生します。

海外在住者が国民年金へ加入する場合、その旨を年金事務所へ届け出て、任意加入被保険者への変更手続きを行います。日本で国民年金保険料を支払い続けてきた人の中には、継続して保険料を払いつづけていれば問題ないだろうと考え、海外移住したことを届け出ない人がいます。この場合、移住後に支払った保険料が無効となる可能性もあるため、正しい情報を把握し、手続きを行うことが重要です。

海外在住者は年金を受け取ることが出来るのか?

日本で老後に年金を受給するためには、国民年金や厚生年金の保険料を継続して10年間払う必要があります。では、海外移住者の場合はどうなるでしょうか。

結論として、日本在住中に公的年金の保険料を支払っていた期間と、海外に移住後も任意で加入した国民年金の支払い期間が合計で10年以上あれば、年金を受給できる可能性があります。

一般的には、海外に転出する場合住民票の異動手続きを行うと日本国内に住所がなくなるため、国民年金の加入資格がなくなります。しかし、20歳以上65歳未満の方は国民年金に任意で加入できるため、海外にいても保険料の支払いを続けることができます。保険料の支払い方法は、日本国内にある銀行口座からの引き落とし、または国内にいる親族等の協力者が本人の代わりに支払う方法があります。

任意の国民年金に加入しなかった場合も、海外移住後に海外の年金制度に加入し支払いを行っている場合、支払期間が合計で10年以上であれば年金の受給が認められるケースもあります。ただし、これが適用されるのは日本と社会保障協定を結んでいる国へ移住していることが条件です。


海外移住者が年金について知っておくべきポイント

海外移住者でも、日本の国民年金や厚生年金に加入していたことがある方は、公的年金の受給の可能性があることを説明しました。海外に移住後も将来的に年金を受給するために必要な条件について紹介します。

・社会保障協定が存在する


過去に日本の年金制度によって保険料を支払い、現在は海外の年金制度に加入している場合、その加入期間を合算出来る制度があります。例えば、日本で国民年金もしくは厚生年金に5年間年金に加入し、その後移住して5年間米国の年金に加入していた場合、合算して日米の年金通算加入期間を10年間として日本の年金受給の申請が可能です。

これは「社会保障協定」という制度で、年金加入者に不利益がないよう設けられた制度です。日本は米国をはじめ23カ国とこの協定を締結しています。日本の年金制度は一般的に、日本において国民保険や厚生年金の保険料を10年以上支払い続けていなければ受給することが出来ませんが、この制度で海外移住者でも日本の年金を受給できる可能性があります。

社会保障協定を結んでいる国は、アメリカ、イギリス、フランスをはじめ、中国や韓国、ドイツなどがあります。移住前に、社会保障協定の対象国であるかどうか確認しておくとよいでしょう。

・海外在住者に適用される合算対象期間(カラ期間)


合算対象期間とは、年金の保険料を払っていない期間も「受給資格期間」として受給資格に必要な加入期間に算入する制度です。空白の期間を通称「カラ期間」と呼び、日本国籍のまま海外へ移住した時点から適用されます。これは、社会保障協定のケースと異なり、必ずしも居住国の年金に加入している必要はありません。

まとめ

日本において年金の受給資格があれば、海外に移住後も所定の手続きにより、老齢年金を受け取れる可能性があります。自分が対象かどうかは、移住した国と日本が社会保障協定を結んでいるかどうか、そして年金を支払っている期間を合算できるかどうかを確認してみるとよいでしょう。

また、受給資格があっても所定の手続きを行わなければ、年金を受け取ることができません。途中まで納付した国民年金保険料を無駄にしないためにも、それぞれのルールにしたがって正しい申請手続きを行いましょう。

ただ、どの国においても制度改正や、条件変更によって自分自身の年金資金がうまく確保できていないということも考えられます。国の制度にばかり依存せず海外に住むなら海外の自分年金制度(海外の優良な年金プラン)を準備して本当の意味での安心対策をしておきましょう。

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