海外保険に関するよくある質問 – 第12弾 –
お客様から実際に相談をお受けした海外保険に関して解説していきます。 今回は海外貯蓄保険の手数料についてのご相談をピックアップしました。 質問 Q.海外貯蓄保険を検討しているのですが、 保険料以外の手数料はどんな費用がありますか? A.基本ありません。 その商品として決定された保険料以外の費用はありません。 厳密にいえば保険料を支払う時の振込み手数料や、満期や解約を迎えお金を受取る時の振込み手数料、着金手数料はご契約者の負担となります。 近年、銀行が投資信託のようなファンド系の商品を紹介する機会が増えています。 特に新型コロナウイルスが蔓延してからは、インターネットで投資の情報が多く見られるようになったため、コスト面が気になる方が増えているようです。 海外保険において支払う保険料以外にお客様が負担する手数料はあるのか?というご質問ですが答えはございません。 加入者の性別や年齢等で決められた保険料をお支払いする以外、運用中にかかる費用はないと考えていただければよいでしょう。 契約者の負担になる費用は、保険商品の満期や解約時にお金を受け取る際の振込み手数料や着金手数料です。出口部分には費用がかかると覚えておいてくださいね。 もしほかに高い費用がかかるのであれば、内容を確認しておきましょう。 なぜコストがかかるのかを聞いたうえで、商品を購入する判断材料にしていただければ安心ですね!
海外保険に関するよくある質問 – 第11弾 –
お客様から実際に相談をお受けした海外保険に関して解説していきます。 今回は海外貯蓄保険のリスクについてのご相談をピックアップしました。 質問 Q.海外貯蓄保険を検討しているのですが、リスク(デメリット)はありますか? A.はい、あります。 このあたりの話は皆さんの気になるポイントなのではないでしょうか。 海外貯蓄保険において注意すべきポイントなどをご紹介します。 海外貯蓄保険のリスクとは リスクは海外保険だからではなく、世の中に存在する運用商品(預貯金含む)全てで存在します。 銀行預金も運用商品にあたるのか、と思われる方もいらっしゃるかと思います。銀行にご自身の大切な資産を預けていますので、リスクが存在していると考えられるでしょう。 通常言われているリスクは以下の4種類があります。 価格、金利変動リスク:そのものの値動き、金利変動によるリスク 信用リスク :投資先の会社や団体の状態が悪くなるリスク カントリーリスク :国の政治、経済、社会情勢によるリスク 為替リスク :為替相場の変動によってうけるリスク たとえば前述の銀行預金は信用リスクに該当します。カンパニーリスクとも言い換えられますが、金融機関が未来永劫存在する保証はどこにもありません。 それではリスクについて順に見ていきましょう。 資産運用における一番のリスクは価格や金利変動です。 ご自身が購入した運用商品は価格が変動するため、想定通りにいかないことは珍しくありません。 ある程度の利回りを約束している商品もありますが、当初のプラスの部分が『良くも・悪くも』見込み通りにいかないこともあるので覚えておくとよいでしょう。 2つ目は信用リスクです。 ご自身が大切な資産を預けていた銀行や証券、保険会社などは業績が悪化する可能性があります。最悪の場合、破綻してしまう可能性もゼロではありません。 セーフティーネットとして、金融機関や国ごとに破たんを保護する機構があります。 日本の契約者保護機構では責任準備金の90%までは原則補償されると表現されていますが、確実に守ってくれるかどうかは・・・正直わかりません。 香港には監督官庁はありますが、解約返戻金を補填してくれる場所はないといわれています。 そのあたりも含めて、どの金融機関に預けるのかを判断していかなければなりません。 3つ目はカントリーリスクです。 預ける金融機関先の国がデフォルトするかもしれないリスクを指します。 最後に為替リスクです。 自国通貨でその国の金融商品を買った場合、入り口では為替リスクは考えなくてよいと思います。しかし、運用の出口では、どの国で生活しているか?という違いで運用された資金が為替の変動の影響を受けるかもしれません。 このようなリスクは保険や銀行、証券などで取り扱っている運用商品含め、様々な投資商品にも該当します。それぞれにおいて、リスクを判断した上で商品を購入するかどうかを決めていただくのがよいでしょう。 海外貯蓄保険のデメリットとは 海外の貯蓄型の商品を検討する際に、特に注意していただきたいポイントをデメリットとして3つ挙げました。 掛け捨て保険と比較して保険料が割高 流動性に乏しい 途中解約で元本割れする可能性がある ひとつ目の掛け捨て保険と比較して保険料が割高な点について解説します。 貯蓄型商品の中で、海外保険を選択すると、大なり小なり「保障部分」が付加されています。 全部保障だけという保険がいわゆる「掛け捨て保険」と言われているわけですが、万が一の保険要素の部分だけを見ると、安く高い保障を購入することが可能です。 ですが、海外で貯蓄型のプランを選択するということは『保障』目線で考えた場合、掛け捨てよりも、明らかに貯蓄型の保険の方が保障に対する保険料が割高に設定されています。 とは言え、お支払い頂いている保険料の内訳としては、お金が貯まる要素の比重が大きいため、結果として支払う保険料も高くなる。つまり保障目線で考えるとデメリットのひとつといえるのではないでしょうか。 次に、赤文字で書いてある 流動性に乏しい 途中解約で元本割れする可能性がある については、図解でご説明します。 左側は預貯金、右側は貯蓄保険の図解です。 両方とも同じように毎月・毎年お金を積み上げていくと、オレンジで示した貯蓄金額が右肩上がりになります。 一見同じように見える図解ですが、お金が貯まっていく要素は異なるものです。 銀行預金で積み立てする場合、預けていた現金分はいつでも引き出せます。一方の保険商品はクーリングオフ期間が過ぎたあと、必ず数年間は元本割れの期間が発生します。 元本割れの期間を青色の点線で示しました。 ご覧頂くと分かるように、契約当初から一定期間は、お支払い頂く金額より下に青色の点線は推移しています。その下に推移している期間は、仮に途中解約してしまった場合、投資元本(お支払いいただいた保険料総額)を割る。つまり元本割れの期間となっていまいます。 ですが、仮に積立期間中にご契約者様が亡くなった場合、必要な手続きの上で保険料を支払った分は保険金として返金してくれますのでご安心ください。…
【海外保険紹介】AIA香港 Admire Life2
今回の記事はAIA香港のおすすめプランである『Admire Life2』をご紹介します。ちなみに私も購入している商品のひとつです。 目次 AIA香港とは AIA香港は香港の保険会社です。日本人で知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 ・歴史 1919年 創業。当初は中国の上海に本社を置き、事業展開を開始。 1945年 上海から撤退し、ニューヨークに本社を移動。以降、American International Group(AIA)の子会社となる。 2008年 金融危機により、AIGから独立 2011年 香港証券取引所に上場 ・格付け S&PでAA-(非常に強い) MoodysでAa3(非常に優れている) と高い評価がつけられています。 香港ローカル及び世界でも安定した保険会社といえるでしょう。 アジアの金融大国といわれている香港やシンガポールの2大拠点でビジネスを展開しています。 2021年のニュースでは中国の13億人マーケットに参入する動きをみせています。日本でいうゆうちょ銀行やかんぽ生命あたりの株式を買いこんでおり、新型コロナウイルスが終息したあとの展開を狙っているようです。 AIA香港については過去記事でも解説しています。こちらも参考にしてくださいね。 Admire Life2の特徴 以前の動画では『Simply Love Encore 5』という保険商品をご紹介しました。 『Simply Love Encore 5』は資産運用に特化した商品だったのですが、今回の『Admire Life2』は死亡保障付きの運用を兼ねた中長期の終身保険です。 貯蓄をしたいけど死亡保障もつけたい方におすすめの商品になっています。 変動要素の少ない債券運用(60~80%)と変動要素の大きい株式運用(20~40%)を最適化して分配。 バランスのよい運用を行いつつ、万が一のときはご家族のための死亡保険金を確保します。攻めも守りも高いレベルで備えられる商品です。 AIA香港の『Simply Love Encore 5』は過去記事でも解説しています。 商品概要と購入対象者は 商品概要は以下のとおりです。 運用通貨:USD(米ドル)/HKD(香港ドル)支払い期間:一時払い/5年/10年/18年/25年運用可能期間:終身加入年齢:生後15日~75歳 香港在住の日本人で帰任や帰国、異動までにまだ時間の余裕がある方や、ずっと居住予定の方。保障として死亡保険金があるので健康な方(場合によっては健康診断が必要になります)などが購入対象になります。 一度大きな病気に罹った方は『Simply Love Encore 5』や、死亡保険金がついていない貯蓄に特化した商品を選ばれるのがよいでしょう。 シミュレーション表(一時払い) 条件を以下に設定した場合、どのような保障内容になるのかシミュレーションしました。 死亡保険金のUSD100,000を受け取るためにはいくら払わないといけないのでしょうか。 『Total Premiums Paid』はUSD50,665です。つまりUSD50,665を支払えば、死亡保険金がUSD100,000受け取れます。 シミュレーション表を見ていきましょう。 赤枠は解約返戻金です。保険契約者に対して払い戻されるお金を指します。 青枠は死亡保険金です。万が一、保険契約者が亡くなったときに家族が受け取るお金を指します。…
香港で金(ゴールド)を買うと本当にお得?相場・購入方法・売却ルールをFPが徹底解説|2026年版
「香港では消費税がかからないから、金を買うとお得らしい」そんな話を聞いたことはありませんか?確かに、日本の消費税10%分がまるまる浮くのは大きなメリットです。しかし、香港での金投資には購入方法や持ち帰りルール、売却時の税制など、知っておかないと損をするポイントが多数あります。本記事では、実際に香港で金を購入した体験をもとに、2026年現在の金相場や購入の流れ、日本への持ち込みルールまでをFPの視点から解説します。 この記事でわかること 香港でゴールドを購入、売買するとお得なのか? この記事はさまざまな国の方が見られているかと思いますが、香港でゴールドを購入・売却をするとお得なのかを解説していきます。 購入時のお得ポイント 金の相場は世界共通で、ロンドン金市場(LBMA)が基準となる国際価格で取引されています。つまり、香港で買っても日本で買っても金そのものの価格は同じです。違いが出るのは「消費税」と「取引手数料(スプレッド)」の部分です。2026年3月時点で金の国際価格は1トロイオンス(約31.1g)あたり約3,000ドル前後で推移しています。1gあたりに換算すると約96ドル(約14,500円)が目安です。香港で購入する場合、この金額に消費税がかからないため、日本で購入するより約10%(1gあたり約1,450円)お得になる計算です。 売却時のお得ポイント 香港で購入した金を売却する方法は主に2つあります。1つ目は香港の銀行や貴金属店で売却する方法。この場合、香港にはキャピタルゲイン税がないため、値上がり益に対する課税はありません。2つ目は日本に持ち帰って売却する方法。日本で売却した場合、利益は「譲渡所得」として課税対象となりますが、保有期間が5年を超えると長期譲渡所得として税負担が軽減されます。FPの視点から言えば、短期の売却益を狙うよりも、長期保有による資産防衛の手段として金を活用する方が、税制面でも有利です。 1gあたりの金価格が買う時と売る時に同じであれば、金価格が香港で金を購入し日本で売却すると、消費税分が儲かりそうな気がしますよね。同じ商品の価格差を利用して利ざやを得ることをアービトラージ(裁定取引)といいます。 このアービトラージは儲かりそうな気がしますが、出入国の際に申告が必要です。日本での売却時に逮捕されないように申告は確実にしてください。 金の売買をする際には法律を遵守しないと悲しいことに これら2つは法律上問題ありません。 しかし、国をまたいで取引をするときはルールが異なる場合がありますので、注意してください。 2017年当時、話題になったニュースをご紹介します。CAがバッグの中に金塊を入れて密輸していた疑いで逮捕されました。当時は私の周りでも日本の消費税分の差額が儲かるよ、という話を聞く機会が多かったです。 しかし、やってはいけないことをやるのはよくありません。このときは金の持ち込みを申告をしていませんでした。もちろん、法律にしてがっているのであれば問題ありません。 日本の税関公式サイトによると、金の地金(純度90%以上)の重量が1キロを超える場合は、持ち出し・持ち込みに関わらず事前申告が必要で、消費税が課税されます。申告をしないと法律違反とみなされ、5年以下の懲役もしくは500万円以下の刑罰を科せられる可能性があります。 逮捕者は香港の方だったので、日本のルールを知らなかったのかもしれません。しかしたら、第三者に「大丈夫」とそそのかされた可能性もあるでしょう。 香港での金投資、今は買い時なのか? 「金を買うなら今なのか?」これは多くのご相談者様からいただく質問です。結論から言えば、金は「買い時を狙う」よりも「資産の一部として常に持っておく」ものです。 2025年10月に金価格は歴史的な最高値を更新しました。背景には地政学リスクの高まりや各国中央銀行の金買い増し、そしてインフレ懸念です。過去20年の騰落率を見ると、金は年平均8〜10%のリターンを記録しており、株式市場が大きく下落した2008年(リーマンショック)や2020年(コロナショック)にも価値を維持しています。 ただし、金は配当や利息を生みません。値上がり益のみが収益源であるため、全資産を金に集中させるのはリスクがあります。FPの視点では、ポートフォリオの5〜15%を金で保有し、残りを貯蓄型保険や株式で運用するバランスが推奨です。 日本に金を持ち込む際のルールをご紹介 この記事では金を香港でどうやって買うのか、という内容をしているのですが、最終的な出口をどうすればよいのか、という点もお伝えしなければいけません。 日本の税関は、金密輸に対する厳格な警告を発しています。知らなかったでは済まされないので、ここで基本的なルールを知っておきましょう。 日本に金を持ち込む際の基本ルール 金の地金(純度90%以上)の重量が1キロを超える場合は、持ち出し・持ち込みに関わらず事前申告が必要で、消費税が課税されます。 申告をしないと法律違反とみなされ、5年以下の懲役もしくは500万円以下の刑罰を科せられる可能性があります。 消費税を払わなくてもよい上限は 上記のルールの例外として、免税範囲である20万円以下の金であれば非課税での持ち込みが可能です。しかし、ルールはいつ変更されてもおかしくありません。 さらに仮に最大20万円で消費税分10%で得する金額は2万円です。為替や金価格の変動、手数料などを考慮すると、へたに策を練るよりも旅行をしっかり楽しんだ方がよいでしょう。 密輸はダメです。非課税枠についても2026年3月現在の確認できたルールをご紹介しました。ルールは変更するものなので、事前に確認しておきましょう。 現物金を購入する流れとは 私は香港で金の購入を行いました。 現物の金はハンセン銀行や周大福のような金取り扱い企業で購入可能です。また、ペーパーの金についてはHSBC銀行ほか証券口座にて取引ができます。 今回はハンセン銀行本店に行ってみました 実際にハンセン銀行で金を購入した様子をお伝えします。 ハンセン銀行本店は香港駅からすこし出たところに位置しています。正面玄関から入り地下2階まで下りていくと、順番待ちのチケットをとる場所にでました。 こちらの『黄金売買』のパネルを押すと番号札が発券されるので、しばらく待ちます。だいたい20分ほどで呼ばれたため、カウンターに行きました。しかし、ここで事前に入手していた情報と異なる事実が判明します。 金を購入するにあたってブログなどの情報を参考にしていました。この参考にしていたブログなどは2020年の記事によると、現金と身分証をもっていればハンセン銀行の口座を開設していなくても金の購入が可能と書かれていたのです。 しかし、金の購入にあたっては口座保有が必須となっていました。 私は言語に若干の不安があったので、香港の友人を連れていたのですが、その友人がハンセン銀行の口座保有者でした。なんとか1オンスのオーストラリアカンガルーコインを無事に購入できました。 もし過去の情報を参考にして金の購入を考えている方は、情報が変わっている可能性があります。金の購入の際はハンセン銀行の口座を持っている方と一緒に行くか、自分がハンセン銀行の口座を保有するなどしておくとよいでしょう。 金の購入に条件があったのは、おそらくマネーロンダリング対策の一環であるのかもしれません。誰が金を購入したのかを把握しておくための対策のひとつとも考えられます。 金を購入した感想 見た目は小さいのですが、持ってみると重量感があります。現物金を入手できたことがうれしく思えました。 今回は1オンスのオーストラリアカンガルーコインを購入したのですが、他にもハンセン銀行のロゴが入ったゴールドバーやコインの大きさが異なるものなどがあります。 金は装飾品としての価値があるため、べたべたと触るのはやめた方がよいでしょう。傷がつくと価値が下がる可能性があるので注意してください。 以上で金三部作を終わりたいと思います。もしご不明点などがありましたら、お気軽にお問い合わせいただけたらと存じます。
「正貨」お金の中のお金 第二部: バーゼル3とペーパーゴールドの危機
前回の第一部では などをご紹介しました。 便利なペーパーゴールドですが危機が迫っています、と軽く触れたところで終わってしまったので、続きが気になっている方もいらっしゃいますよね。 第二部では などをご紹介します。 ペーパーゴールドのおさらい ここではペーパーゴールドのおさらいをしていきます。 ペーパーゴールドとは ペーパーゴールドとは、実際の金を持たずに金の価格と連動する金融商品のことです。また、金のETF(上場投資信託)もペーパーゴールドに含まれることがありますが、大きなETFは実際に金を保有している場合もあるので、その違いに注意が必要です。 ペーパーゴールドと現物ゴールドの違い ペーパーゴールドは、金そのものを持たずに、金の価格に連動する金融商品に投資する方法のことをいい、一方、現物ゴールドは、金の延べ棒やコインなどを実際に購入して保有する方法のことです。この金の価格は、ロコロンドン金価格という基準で決まっており、世界中の取引市場でその価格が参考にされます。ロコロンドン金価格は、金の取引において非常に重要な役割を果たしており、金投資を行う際にはこの価格の動きを注視することが大切です。 ペーパーゴールドは、実際の金を保有せずに金の価格の変動に連動する金融商品に投資する方法です。金そのものを購入するわけではなく、金の値動きに基づいて利益を狙う仕組みが特徴です。この投資方法にはいくつかの種類があり、主に金ETF(上場投資信託)や金先物取引、金投資信託などがあります。金ETFは証券取引所に上場しており、少額から投資が可能なため、特に投資初心者におすすめです。金先物取引では、将来の金の価格を予測して取引するため、大きな利益を期待できますが、リスクも高い種類です。金投資信託は、投資家の資金を集めて金関連の資産を運用する仕組みで、より分散されたリスクを持っています。 ただし、ペーパーゴールドにはいくつかのリスクが伴います。金の価格は経済状況や市場の需要と供給に大きく影響されるため、予想と反対に価格が下がる可能性もあります。特に金先物取引においては、先物契約の期限が近づくにつれて価格変動が大きくなるため、リスク管理が非常に重要です。また、ペーパーゴールドの価格連動性は金の動きに基づいているため、他の金融商品や市場の影響を受けやすいです。そのため、投資家は金価格の変動に敏感であり、市場の動向を注視する必要があります。加えて、金ETFや金投資信託においても、価格連動性が強く、金の価値が上がると投資信託やETFも上昇する傾向があります。 ペーパーゴールドは、実際に金を保管する手間がなく、物理的なリスクもない安全性がありますが、金融機関が発行する商品であるため、万が一その金融機関が破綻した場合、リスクが発生する可能性もあります。また、ペーパーゴールドの安全性においては、外的な経済状況や市場の変動が影響することがあり、投資家はこれらを十分に理解したうえで投資判断を行うことが求められます。投資を始める前に、これらのリスクやリターンをしっかり理解し、おすすめの投資方法を選ぶことが重要です。 ペーパーゴールドと現物ゴールドどっちがいい? ペーパーゴールドと現物ゴールド、どっちがいいかは目的によります。ペーパーゴールドは少額から投資でき、保管の手間もなく手軽ですが、価格変動や金融機関のリスクがあります。現物ゴールドは資産保全の面で安心感がありますが、購入費用や保管費用がかかるため、目的に応じて選ぶことが重要です。 バーゼル3でペーパーGold終焉か!? なぜペーパーゴールドに危機が迫ってきたのか、第一部でもご説明したのですがおさらいしましょう。 バーゼル3は「銀行の健全性確保のための国際ルール」を取り決めた活動の第3弾のことを指します。今後、2028年くらいまで銀行の体力があるのかを確認する動きをとるようです。 バーゼル3にはさまざまなルールの規制があるのですが、金に限っての話ではペーパー上で取引していた金に裏付けが必要になります。これにより、メリットとしては、経済危機などが起こっても、金の取引に問題が発生しないよう、銀行は体力をつける必要があるのです。 これまでは重たい金を動かすことなく、数字上の取引だけで売買ができていました。しかし、売買するにあたってお金を用意しなければいけないため、銀行としてはコストが増大するというデメリットもあります。 そのため、取引自体を取りやめる銀行がでてくるかもしれません。 【豆知識1】BIS(Bank for International Settlement):国際決済銀行って? BIS(Bank for International Settlements、国際決済銀行)は、1930年に設立された中央銀行をメンバーとする組織で、スイスのバーゼルに本部があります。ドイツの第1次大戦賠償支払に関する事務を取り扱っていたことが行名の由来ですが、それ以外にも、当初から、中央銀行間の協力促進のための場を提供しているほか、中央銀行からの預金の受入れ等の銀行業務も行っています。 BISには、2021年(令和3年)6月末時点で、わが国を含め63か国・地域の中央銀行が加盟しています。日本銀行は、1994年(平成6年)9月以降、理事会のメンバーとなっています。 参照元(日本銀行):https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/intl/g05.htm/ まずはEUに適用されるバーゼル3 バーゼル規制とはどのようなものなのか、またバーゼル規制によってどのような懸念があるのかを解説します。 バーゼル規制(BIS規制)とは バーゼル銀行監督委員会が公表している、国際的に活動する銀行の自己資本比率に関する国際統一基準のことです。米国は1980年代前半に銀行の自己資本比率規制を強化しましたが、国際業務を営む世界の銀行が同じ条件で競争できるよう、米国はバーゼル銀行監督委員会にも自己資本比率規制の強化を提案しました。 その提案を受け、1988年に最初のバーゼル規制、すなわちバーゼルⅠが制定されました。その後の金融自由化に伴い、銀行内部のリスク管理手法が発展していくなか、バーゼルⅠでは対応しきれなかった部分に対応すべく、2004年にバーゼルⅡが制定されました。 リーマンショックを経ての金融危機発生を受けて、欧米の多くの金融機関が破綻ないしは危機的な状況に至り、経済全体が不安定な状況に陥りました。その反省を踏まえ、金融機関の健全性向上を目的として、2010年にバーゼルⅢが制定され、完全適用に向けて2013年から段階的に実施されており、2028年はじめには完全に実施される計画です。 【豆知識2】バーゼル合意とは? バーゼル合意とは、バーゼル銀行監督委員会(注1)が公表している国際的に活動する銀行の自己資本比率(注2)や流動性比率等に関する国際統一基準のことです。日本を含む多くの国における銀行規制として採用されています。 バーゼル合意は、1988年(昭和63年)に最初に策定され(バーゼルI)、2004年(平成16年)に改定されました(バーゼルII)。その後、2007年(平成19年)夏以降の世界的な金融危機を契機として、再度見直しに向けた検討が進められ、2017年(平成29年)に新しい規制の枠組み(バーゼルIII)について最終的な合意が成立しました。 なお、バーゼル銀行監督委員会の常設事務局が国際決済銀行(Bank for International Settlements。略して「BIS」と言われます)にあることから、バーゼル合意は「BIS規制」と呼ばれることもありますが、BISとバーゼル銀行監督委員会は別組織のため、「バーゼル規制」がより正しい呼称と言えます。 参照元(日本銀行):https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/pfsys/e24.htm/ ペーパーゴールドに対する規制の強化を発表 2021年6月28日に、バーゼル3のペーパーゴールドに対する規制の強化についての発表がありました。 金取引の中心になっている国はイギリスです。イギリスにバーゼル3が適用されると、金取引が止まってしまうのではないか、という懸念が拡がっています。 実際の金保有量に対して金の裏付けのない世界の取引(ペーパーゴールドも含む)額は、85.75倍です。仮にこの状態でリーマンショック級の経済危機が起こった場合、金の現物として引き出そうとしても在庫がない事態が起こるかもしれません。 今回は金取引をする銀行に裏付けの資産を保有しなければならない、という規制強化が入ることで今後のペーパーゴールドの雲行きが怪しくなったわけです。 英国に適用となる2022年1月危機はどうなる バーゼル3のペーパーゴールドに対する規制の強化により、混乱が起こるかもしれないと心配した方も多かった今回の発表。バーゼル3がどうなるのかはもう答えが出ました。 大規模な混乱を避けるため、英国でのペーパーゴールドに対する規制は免除されるようです。 今回の規制で「金が暴騰する」と期待していた投資家の方には残念な結果になったのかもしれません。しかし、目線を変えると「金の現物を現在の価格帯で購入できるチャンス」と捉えることもできるでしょう。…
「正貨」お金の中のお金 第一部
今回は、お金の中のお金といわれている『金Gold』について触れていきます。 『金Gold』の動きが導く世界の動きはどのようになっているのか。また、実際に香港で『金貨』を購入する際に注意することや、メリット・デメリットをお伝えしていきます! 三部構成になっていますので、最後までお付き合いいただけたら幸いです。 第一部は 『金Gold』について ペーパーゴールドと現物ゴールドのメリットとデメリット などをご紹介します。 『金Gold』はどういった存在なのか? 『金Gold』の存在はお金の中のお金といわれています。歴史を振り返ると、数千年も前から人々の共通価値として認識されており、世界共通の資産でもあります。 現在、私たちが認識しているお金といえば『紙幣』を想像される方が多いのではないでしょうか。しかし、あくまでも紙幣は国の信用をもとに印刷された借用書のようなものなので、正貨とは呼ぶのは難しいでしょう。※もちろん何を『正貨』とするかは時の権力者の影響力があるかと思いますので断定は出来ませんが。。。 正貨は借用書と異なり、金利は付きません。一方の借用書というのは言わば「貸し借り」の世界ですので金利の授受が発生しますし、債券、株なども金利の受取や業績に応じた配当が付いてきますね。 資産運用を行っている人は、金を鉄壁の守り資産としてポートフォリオに組み入れる方も多いです。紙幣や株式や債券などの発行体の信用ベースに取引されるペーパー資産の価値暴落時にリスク回避できる『実物資産』といえるでしょう。 国が発行する紙幣は信用によって成り立っています。治安や政局が不安定になると、「この紙幣は大丈夫かな」と心配されることもあるでしょう。もちろんそんな不安定な世の中にはなって欲しくはありません。 ですが、残念ながらそんな有事の際に唯一交渉材料として使えるのが『金』の最大のメリットといえます。 ペーパーGoldによって市場が急拡大している 金は希少な鉱物として価値が高いことで知られています。ですが、金融世界の発達により現在は株や債券などと同じ現物を動かさずに取引を完結させる『ペーパーGold』が市場で購入できるようになってきました。 例えば海外のHSBCの口座を開設していれば、口座内の数字の移動でGoldがすぐに購入できます。また、FX市場では金の価格変動でレバレッジ取引をすることも可能です。 ペーパーGoldは他にも 純金投資:田中貴金属や三菱マテリアルほか‥1,000円から投資可能 現物コイン、延べ棒:恒生銀行や田中貴金属、三菱マテリアルなどで購入可能 ETF:金価格に連動した上場投資信託も複数あり 外国株:金に関連する企業の産金株式。BANNGと呼ばれています。 投資信託:積み立て可能な投資信託もあります。iShares Physical Goldなど 金先物投資:金を投資対象とした場合、下がる方にかけられる などがあります。 このように、金に関連する投資方法はたくさんあることがおわかりいただけたかと思います。 ですが、もし初心者である場合は純金積み立てをドルコスト平均法によって、コツコツ買っていくのがおすすめです。 現物金 vs ペーパーGold それぞれの特徴とは 同じ金でも現物金とペーパーGold それぞれ特徴が異なりますが、どちらで投資や取引をするのが良いのでしょうか? メリットとデメリットを見ていきましょう。 現物金Gold投資のメリット 金そのものを自分の手で保有できるため、有事の際には世界通貨として力を発揮する 鉱物なので、量自体に限りがあり無価値にはならない:オリンピックプール3杯〜4杯分と言われています。 世界共通の価値を持つため、発行体リスクがなく安心して保有できる 現物金Gold投資のデメリット 金地金などは見た目の大きさよりも重いので持ち運びに不向き:iPhone 10 の大きさで約1Kgほどの重量となります。結構重さがありますね。 金地金などは本体自身に価値があるため盗難リスクはとても高くなります。保管やセキュリティーに十分注意しなければなりません。(貸金庫に保管するなど) タングステンに金メッキを施した偽物もあるので、真偽の見極めは素人には難しい。信頼できるところから購入するとよい 金は鉱物のため、預貯金や株式などと異なり利息や配当は発生しません。 ペーパーGold投資のメリット 金関連のETFは上場している投資信託。株と同じく日々価格変動があるので、保有している実感を感じられる 純金積み立てなどは少額の1,000円程度から投資可能のため、ドルコスト平均法で積み立てが可能 金の先物取引は金の値下がりに投資して利益を得られる。その分、損失も大きいので注意 現物とは違い、盗難リスクはほとんどない ペーパーGold投資のデメリット 金融商品としての色が濃いため、現物の裏付けがない金ETFの場合、発行体の信用リスクが発生する 金に投資しているとはいえ、本物の金に変えられるような商品はほとんどない 金ETFは現物投資と同じく分配金がない…
太く短く派?細く長く派?あなたの年金どう組み立てますか?
現在の日本では年金について考えなおす時期にきています。法改正により、このままだとこれまで考えていたライフプランが崩れてしまうかもしれません。 今一度、年金の組み立てについて考えてみましょう。 なぜ今のタイミングで年金について考える必要があるのか 今までの定年は60歳が一般的でした。 しかし、令和3年4月から施行された改正高年齢者雇用安定法によって、65歳までの雇用を確保することが義務化されたのです。さらに就業を希望する70歳までの雇用を確保する、努力義務を課せられることになりました。 従来は給料の高くなったベテランが退職したのち、若く人件費の安い人材を雇うことで会社の若返りを図っていましたが、大きく変わることになります。 改正高年齢者雇用安定法の対象となる事業者は、70歳までの定年引上げや定年制の廃止などを講じる努力を課せられました。しかし、一方的なものではなく継続雇用制度に係わるため、助成金の支給対象にもなり得るので、デメリットばかりではありません。 改正高年齢者雇用安定法が必要な理由 なぜ改正高年齢者雇用安定法が必要なのでしょうか。 下の図をご覧ください。 年金を受けとっている方を高齢者とした場合、高齢者世帯の約半分の所得は年金のみといったデータが出ています。つまり、年金に頼った生活をしているわけです。 さらに年金改革が行われ、就労を後押しすることになりました。2022年の春から75歳で年金の受け取りができるようになります。 これは「年金を払えないから働いてほしい」というメッセージを置き換えたようなものでしょう。 過去動画でも年金制度が無くなることはありませんが、古き良き時代のように十分な環境で受け取れるかどうかは別の話となります。と言うような話をしてきました。その不安が現実になりはじめています。 年金の受け取り年齢を繰り下げるとどうなるのか それでは年金の受け取りはどう変わっていくのでしょうか。 これまでは年金の受け取りを65歳から70歳へ5年繰り下げることで、42%増額することができました。2022年4月からは年金の受け取りを70歳から75歳に変更すると、84%増額します 84%と耳にすると「そんなに増額になるなら、繰り下げして沢山もらおう!」という気も起こると思います。しかし実はちょっとしたカラクリがあって、沢山の年金を受取ると、それだけ所得税、住民税などの税金額が増えることにも注意が必要です。 日本人は長寿国として長生きする高齢者が多いです。元気に働いている方にはよいかもしれませんが、自分のライフプラン、終活プランなどを頭の片隅において、収入、支出、生活の楽しみなどをしっかりと考えておいた方がよいでしょう。 話しを元に戻しますが、法制度が変わるということは、これまでのルールが変わることを意味します。従来の生活も変える必要がでてくる可能性がありますね。 現役時代に十分な年金準備ができていたら何ができるのか もし現役時代に年金の準備ができていたら、いくつもの選択肢の中から最適なものを選べるでしょう。 「おれは太く短く生きる。70歳まで仕事はしない」 「私は細く長く生きたい。働ける限り働いて社会との関わりを持って、余暇も充実させたい」 などの選択が可能です。 さきほどの図でも解説しましたが、生活資金を年金でまかなっている人は、ある意味選択肢が少ないと言えます。生活基盤である収入を国に完全に依存する状態になってしまいますからね。 そうならないためにも、今のうちから年金準備をしておく必要があります。 では老後資金をいつ貯めればよいのでしょうか。 コンサルティングの現場でも色々とお聞きする機会があるのですが、駐在員として海外で生活している間は、結構預貯金を貯められるようですね。海外のお金(例えばUSDなど)は円安のときに日本で使うと、いつもより多くの買い物ができるメリットがあります。海外生活中は何かとチャンスが多いので、利便性の高い通貨をしっかりと貯めておきましょう。 では仮にUSD10万ドル※を年金として運用した場合、太く短く生きたい人と、細く長く生きたい人におすすめの年金プランはどんなものがあるのでしょうか。 ※(約1,000万円)$1=100円として換算 年金を太く短く受け取りたい方向けのプラン 40歳でUS10万ドルの年金プランに加入した場合、65歳からUS41,000ドルを10年間受け取れます。受取合計額はUS41万ドル(約4,100万円)です。 このプランは出口のアレンジ(年金をどのように受取りたいか?)をある程度自由に作ることが出来ます。当初、65歳から年金受取りを開始する予定で計画していても、人生には何が起こるのかわかりません。60歳から早めに受取ることも可能ですし、70歳に先延ばしすることも可能です。運用されている残高にもよりますが、受取り金額を変え、受取期間をも変えられるので途中で仕事をしている期間は年金を受け取らない、もしくは金額を少なくするなど様々な調整が可能です。 年金を細く長く受け取りたい方向けのプラン 一方で仕事やボランティアなど社会との関わりを続けつつ、老後資金を貯めていきたい方もいますよね。前述のプランと同じように、40歳でUS10万ドルの年金プランに加入した場合、65歳からUS23,000ドルを100歳まで受け取れるような出口プランも設計できます。 年間の生活費がUS23,000ドル未満でおさえられる方や、US23,000ドルと自分で稼いだ収入が支出を上回る方は、老後の心配をしなくても良くなりますね。100歳まで受け取った場合の合計はなんとUS80万ドル(約8,000万円)になり、掛け金の8倍になります。 以前の動画でご案内した、サンライフのVictoryという保険商品がありますが、実は今回の年金プランというのは、それを応用したプランとなります。その動画では『どのような方が加入できるのか?』『サンライフはどのような会社なのか?』などを紹介しておりますので、興味がある方はぜひご覧ください。 この記事を通して、ただ保険に入るだけではなく、出口戦略はどうすればよいのかをしっかり考えたうえでのプラン選択をするきっかけになれば幸いです。 限られた人だけの選択肢です 「老後に向けて資産運用をしたい」と思われた方もいらっしゃるかと思われますが、すべての方が選択できるプランではありません。 住んでいる国によっては年金保険プランの加入ができない場合があります。また、ある程度の資金力も必要です。 加入条件を考えれば、海外生活中に加入されるのが最適だと思われます。 困ったときは110(ワンテン)へ 不明な点や確認したい点があれば、110サポートへお気軽にご連絡ください。 たとえば 届いたレターの内容を詳しく確認したい 保険に加入はしたものの担当が外国人だった。現状を確認したい 住所変更の手続きをしたいが、どうすればいいのか教えてほしい 住所変更の手続きをしたいが、どうすればいいのか教えてほしい などの疑問にお答えします。 まとめ 令和3年4月から施行された改正高年齢者雇用安定法や年金改革によって、これまでのルールが大きく変わろうとしています。今まで通りの考え方や生活を考えないといけないタイミングがきているのかもしれません。 現役時代に老後資金を貯められるのであれば、政府の年金に依存した生活をしなくてもすみます。 そこで年金を…
分かっちゃいるけど再確認! 今、繰上返済するべきでない理由を事例と共に解説します
住宅を購入した場合、早くローンの支払いを終わらせるために繰り上げ返済を検討する方がいらっしゃるのではないでしょうか。 FPの観点では「今現在は繰り上げ返済はやらないほうがよい」と考えています。 なぜ住宅ローンの繰り上げ返済をしない方が良いのか、事例を用いてご説明します。 なぜ繰り上げ返済をおすすめしないのか 冒頭でもお伝えした通り、繰り上げ返済はしない方が良いと考えています。その理由は今はゼロ金利だからです。 現状では繰り上げ返済のメリットを感じられないので、十分に生かした方が良いと考えています。 それでは金利が0.6%と3.8%の2つのパターンを比較していきましょう。 シミュレーション①金利0.6%の場合 ここからは具体的な事例を用いてご説明します。 3,500万円の住宅を購入しました。手元に200万あったので、この200万円を繰り上げ返済に回したとします。 本来ならば、家を買ってすぐ繰り上げ返済にお金を回すことはありえません。そのお金は頭金として使う場合がほとんどだからです。便宜上わかりやすくするため、住宅購入後すぐ繰り上げ返済に200万円使うと仮定して話を進めていきます。 住宅購入費として、3,500万円借りました。金利は35年固定で0.6%です。ここに団体信用生命保険という保険のサービスがついてくるので、ほとんど金利はないようなものですね。 次に下の図を見てください。 こちらは3,500万円を借りた時の支払い明細書です。返済額の欄にある92,410円というのは毎月返済していく金額だと思ってください。 92,410円をずっと35年間払っていくイメージです。年間でみると111万円、これに35年間支払いが続いていきます。 毎月の支払いが92,410円ですが、35年間で支払うのは総額3,880万円です。 92,000円×12か月×35年間で3,880万円。つまり3,500万円借りて3,880万円返すことになるので、380万円が利息と思ってください。この380万円の利息を高いと思うのか、少ないと思うのかは人それぞれでしょう。 では図に戻ります。2019.10の欄を見てください。返済額の92,410円のうち、74,910円が元金、利息は17,000円が利息です。 つまり92,410円のうちの17,000円が銀行に支払ってるお金だと思ってください。 「92,410円のうち、17,000円も手数料を払うの!?」という感覚なのか、「たった17,000円しか払わなくていいんだ」と思うのかは人それぞれでしょう。 返済額の92,410円は26ヶ月まで変わりません。ところが元金に回るお金は74,910円を皮切りにどんどん増えています。2019.10では74,910円だったのが、26か月後には75,852円になっていますね。 そのかわり利息に払う金額は17,500円だったのが16,558円と減っています。 イメージとしてはこの図を参考にしてください。 最初はこの92,410円のうちの74,910円が元金で17,500円は銀行に払うお金です。この銀行に払うお金が年数がたつにつれて、どんどん減っていきます。これが住宅ローンの仕組みです。 住宅ローンの支払いが始まった時点では、元本と利息の割合は8:2になっています。92,410円払ってるうちの20%が銀行に支払い、80%は住宅の返済に回ってると考えてください。 それでは本題となりますが、3,500万円の住宅ローンから、200万円を繰り上げ返済するとします。3,500万円から200万円を差し引いた3,300万円に一番近いところを探してください。 200万円を返済に充てることで、26ヶ月分、つまり35年ローンが2年早い33年で終わる計算になりました。200万円で2年の支払期間短縮ができそうです。 シミュレーション②金利3.8%の場合 次に金利を変更して比較をします。 今から30年前の住宅ローンの金利は、3.8%ほどありました。3,500万円の住宅ローンを金利3.8%で組むと、月々150,800円支払うことになります。 先ほどは年間の支払額が111万円だったのが、181万円と1.5倍以上増えました。トータルでの払込金額は6,334万円になります。 金利0.6%の計算では利息の支払分で350万円ぐらいでした。今回の計算では2,800万円ぐらいを利息で支払う必要があります。 では支払いの内訳を見てみましょう。 先ほどは元本と利息の割合は8:2でした。今回はおおよそ7:3と逆転しています。 2019.10の欄を見てください。月の返済額は約15万円です。15万円のうちの11万円以上は利息として銀行に払わなければなりません。 この時代に繰り上げ返済をしたらどうなるでしょうか。 先ほどと同じ条件の200万円を繰り上げ返済に充てるとします。金利0.6%で繰り上げ返済した場合、26ヶ月返済時期を早められました。金利3.8%ではなんと46か月も返済を早められることになります。 まとめ なぜ今は繰り上げ返済をおすすめしないのかを解説しました。 0.6%の金利で3,500万円借りた場合、支払い総額は3,880万円です。金利は380万円ほどになります。 一方、30年前の金利3.8%の時代に同じ条件で住宅ローンを組んだ場合、総支払金額は6,334万円と大きな差が生じました。 繰り上げ返済に200万円を充てると、金利0.6%の場合は26か月返済を早められます。金利が3.8%の場合はなんと46か月も短縮できる計算になりました。 繰り上げ返済は金利が高ければ高いほど効果を発揮するといえます。 現在のゼロ金利時代では繰り上げ返済のメリットは薄れてしまうので、資産運用など他の使い途にお金を使われてはいかがでしょうか。
知っておくべき老後の年金シミュレーション!一人暮らしの生活費も安心?受け取り時期で資金計画が変わる!
私たちが将来老後に受け取る年金は、受け取り時期によって金額が変わることをご存知でしょうか。 年金の受取額を知っておくことで、老後資金をいくら自分で準備する必要があるのかシミュレーションしやすくなります。特に一人暮らしのおひとりさまの場合は、生活費の全てを自分で賄う必要があるため、計画的に考えることが重要です。 更に、この記事では老後の年金の受け取り時期を変更することで、年金繰り上げ?繰り下げ? どっちを選択すると、どれくらい受給額が変わるのかをシミュレーションしてまとめてみました。将来受け取れる年金の受給額を把握し、夫婦や一人暮らしでもお得な選び方を知りたい方は参考にしてください。 公的年金の種類とは 公的年金には、ザックリと分けると ・老齢年金・遺族年金 の2種類あります。 老齢年金は生きている間にもらえる日本の年金制度のことです。もうひとつは遺族年金で、亡くなった場合、残された遺族が受け取れる年金のことを指します。 今回は老齢年金を深掘りしていきましょう! 国民年金(老齢基礎年金)とは 国民年金(老齢基礎年金)は仕事を退職後、老後の生活費としてもらえる年金です。 この記事を執筆している2021年4月現在『65歳』から受け取りを開始できるのですが、この先はどうなるか分かりません。もしかしたら受け取り開始の年齢が上がっていく可能性もあります。将来の資金計画を考える際には、この点も考慮する必要があるでしょう。 国民年金は最高で78万円/年(6.5万円/月)の受け取りが可能です。これは20歳から60歳まで、40年間満額を払った場合受け取れます。老後の生活費をシミュレーションする際に、どれくらいの資金が必要かを確認しておくと安心です。早い段階でこのシミュレーションを行い、老後資金の準備を進めることをおすすめします。 次に厚生年金です。老齢基礎年金に老齢厚生年金が上乗せされたものを指します。 厚生年金は人によって受け取れる金額がまちまちです。収入と支払い年数によって受取額が変わるので、平均値はあまりあてになりませんが、参考程度に知っておいてください。 厚生年金は男女平均で176万円/年です。月額14.5万円が受け取れる計算になります。 では『夫婦2人』が受け取る場合、いくらになるでしょうか。 1人が厚生年金、もう1人が国民年金の場合、だいたい254万円/月(月額21万円)受け取れるイメージです。これで老後の生活にゆとりを持ちながら過ごすことができるかもしれません。 年に一度、現状でどれくらい年金を受け取れるか記載されている『ねんきん定期便』が、誕生日の一か月前に届いているはずですので、確認しながらシミュレーションしておくと良いでしょう。 老齢年金の繰り上げ・繰り下げ受給とは 老齢年金には繰り上げ、繰り下げ受給があることをご存知でしょうか。もしかしたらどこかで聞いたことがあるかもしれません。具体例を出して解説しますので、見ていきましょう。 65歳から15万円/月受け取れるご夫婦がいるとします。 通常なら65歳からの受け取りですが、60歳に前倒しして受け取ることが可能です。早めにもらうので『繰り上げ受給』と呼びます。 本来65歳から受け取るものを早めにもらうため、同じ金額の受け取りはできません。だいたい10.5万円/月となってしまい、年金受取金額が30%減る計算です。生活費を確保するために、早めに受け取る選択をする人もいるでしょう。 この受け取りの金額は変わらないので、亡くなるまで10.5万円/月が受け取れます。 当初の予定通り65歳から受け取る場合も同じです。金額は15万円/月と固定されるため、変更はありません。 ここで疑問が生じます。 『もしも67歳で亡くなった場合』受け取り金額はどうなるでしょうか? 65歳で年金の受け取りを選んだ場合は年間180万円×2年間で合計360万円受け取れる計算になります。 一方、60歳から年金繰り上げて受給した場合に受け取れる金額は、年間120万円×7年間で合計840万円です。 60歳から受け取った方が、65歳受け取りの金額よりも遥かに多く受け取れる計算になります。 次は『繰り下げ受給』を見ていきましょう。 通常の65歳受け取りを5年後ろ倒しにして70歳にした場合、42%増の21.3万円/月が受け取れます。金額だけ見れば6万円/月増えるので、悪くありませんね。老後の生活費をどのようにまかなうかを考えた上で、年金を受け取るタイミングを決めることが重要です。 人はいつまで生きられるかわかりません。何歳から年金を受け取れば最もお得になるのかはわからないので、考えれば考えるほど、難しいところですね。 老齢年金の受給額累計表 老齢年金の受給額をシミュレーション表でまとめました。以下の表をご覧ください。 こちらの図では、それぞれの年金受給開始年齢から90歳まで受け取れる金額がいくらになるのかを見やすいように線を引いています。例えば60歳から受け取る場合、60歳の線を見てください。 この図を見ると、60歳で年金を受け取る場合、75歳まで生きられるのであれば受取額が最も多くなります。 通常の65歳からの受け取りの場合、寿命が76歳から80歳までなら受給額が最も多く、81歳以上生きられるのであれば、繰り下げ受給の金額が1位です。 統計によると、男女の平均寿命は84歳といわれています。つまり、81歳より長生きする可能性が高いのであれば、繰り下げ受給をした方がおすすめかもしれません。 これらはあくまで結果論です。自分が何歳まで生きられるのかはわからないので、繰り返しますが、、、難しいところですね。 年金繰り下げ受給の落とし穴 ところが、70歳から年金を256万円/月受け取った場合、累進課税が変わり所得税が発生します。さらに翌年以降の市県民税や健康保険料の支払い金額が増えてしまうのです。 その結果、年間支払う金額が65歳から受け取るよりもおよそ36万円増えてしまいます。 繰り下げ受給をすれば受取年金額が42%増えるわけではありません。つまり額面上256万円/年の受け取り額が、実際には税金や健康保険料の負担によって220万円/年しか増えていないのです。単純にに42%増えるわけではないことを覚えておいてください。 政府は繰り下げ受給を勧めています。「70歳から年金を受け取れば、こんなにお得ですよ」と、このような図を見せれば、みなさんは「繰り下げ受給の方がお得だな」と思ってしまいますよね。 実際の情報を知らなければ、私もお得に感じてしまうと思います。 しかし、所得税が増えれば税収が増えます。社会保険料や市県民税の支払いが増えれば、その分国は潤うわけです。 では、いつから年金を受け取れば良いのでしょうか? もし私なら・・・繰り上げ受給を選択して、60歳から年金の受け取りを選びます。60歳から受け取る年金を資産運用してやりくりした方が良いと考えているからです。特に女性の一人暮らしの場合、生活費をすべて自分で賄う必要があるため、早めに受け取ることで安定した資金計画を立てやすくなります。 もちろん強制はしませんが、そのような考え方もあると知っておいてください。 まとめ 公的年金は、ザックリとですが、 ・老齢年金(長生きして自分自身が受け取る)・遺族年金(万一時に遺族が生活に困らないように受け取る) の2種類あります。…
あなたの準備は大丈夫?90歳までにかかる必要経費は○億円!?
日本は世界でナンバーワンの長寿国です。生きるためにはお金が必要なのですが、長生きするにあたって支出も増えていきます。 あなたがもし90歳まで生きるとしたのならば、いくらお金が必要なのかご存じでしょうか。 この記事では90歳までにかかるお金のシミュレーション結果を見ながら、いくら必要なのかを解説します。 また老後2,000万円不足問題と、老後資金の準備についてもご紹介しますので参考にしてください。 2つのリスクとは 私たちが生きていく中で存在しているリスクはふたつあります。『生きるリスク』と『死亡のリスク』です。それぞれ見ていきましょう。 『生きるリスク』とは日常生活に存在しているリスクのことです。 ・景気の停滞新型コロナウイルスによって景気が悪化する ・超高齢社会=長生きのリスク長生きすることによりお金や健康の心配事が生じる ・終身雇用制度の崩壊これまで信じられてきた働き方が変わろうとしている ・税金など、家計負担の増大消費税や社会保険料などが増えることで、家計が圧迫される ・土地神話の崩壊かつて「土地を所有していれば大丈夫」と思われていた時代があった ・年金受給問題老後2,000万円不足問題など、将来の年金はどうなるのか不透明 などがあげられます。 最近では新型コロナウイルスによって、収入が減っている方もいるのではないでしょうか。このように生きていくうえでさまざまなリスクが点在していることがわかります。 『死亡のリスク』とは残された家族の生活保障のことです。遺族はどう生活していくのかを考えていかなければなりません。 以上が2つのリスクです。 生きていく上での必要経費はいくらか それでは次に『生きるリスク』のうちの、長生きリスクについて詳しく見ていきましょう。超高齢化社会に突入した今、どうお金を使っていくのかが重要です。 私たちが生きるためには生活費がかかります。どれくらいのお金が必要なのかご存知でしょうか。 一般的な必要経費をシミュレーションしました。あくまでも一般的なデータなので、すべての方に当てはまるわけではありません。 前提条件として30歳で結婚して、90歳で亡くなるとしています。 内訳 1月あたりの支出 60年間の合計 生活費(レジャー/交際含む) 食費 6万円 4,320万円 〃 光熱費 6万円 4,320万円 〃 雑費 6万円 4,320万円 住宅費用(賃貸) 賃貸料 10万円 7,200万円 住宅費用(戸建) 物件/修繕費 5,000万円/2,500万円 7,500万円 住宅費用(マンション) 物件/修繕費 5,000万円/3,400万円 7,400万円 教育資金 – 1,500万円×2人 3,000万円 その他 死亡整理金・結婚関係費・自動車・特殊趣味など…