【2024】歴史的な円安、一体いつまで続くのか|海外金融業界の時事ニュース解説

歴史的な円安が続いている

2024年に入り、円安・ドル高が止まりません。4月29日には1990年4月以来となる1ドル160円の大台に上昇し、歴史的な円安となりました。

この円安が急ピッチで進み、物価上昇など国民生活に与える影響が大きくなることを避けるため、政府・日銀は2回に渡って為替介入を実施したとみられています。

このドル売りによって若干円高の方向に戻しましたが、その後また引き続きジリジリと円安に動いています。

この円安は、エネルギー価格の高騰や物価上昇など、私たちの家計にも大きな影を落としはじめていて、さらなる円安に対する不安の声が高まっています。この歴史的な円安の背景にはどのような要因があるのでしょうか。

日米金利差が円安ドライバーとなっている

昨今の急速な円安について、一番大きな要因は日本と米国の金利差にあると言われています。日米の金利差というのは、金融政策の動向に敏感な2年債の利回りや長期金利の指標となる10年債の利回りなどの差を指します。

お金というのは、高い金利の通貨で運用した方が低い金利で運用するより高い利益が見込めるため、元来金利が低い方から高い方に流れる性質を持っています。

米連邦準備理事会(FRB)が利上げを続けている一方、日銀は大規模な金融緩和を続けているため、米国の方が日本よりも金利が高く、日米の金利差が拡大して円安・ドル高に動いているという仕組みです。2年債の金利差を見てみるとFRBが利上げに動く前の2022年1月には1%未満でしたが、現在では4.5%程度まで広がっています。

当然日本円で運用するよりも米国ドルで運用した方が高いリターンが見込めるため、円を売ってドルを買う圧力が強くなっています。

このように日米の金融政策の違いによって引き起こされる金利差が昨今の歴史的な円安の要因であり、この状況が解消されない限り、円安が進んでいくと考えられています。

日本の国力低下も一因

日米の金利差に加え、最近では日本の国力の低下が円安の原因であるという声も大きくなっています。日本の人口減少や財政問題などを鑑みると、成長している他の国に投資するほうが稼げるとみる風潮が大きく、日本の将来に対する不安感は否めません。

特に経済においてはバブル崩壊以降、「失われた30年」と言われるように、景気の低迷が続く日本の経済力は、成長を続ける米国と比較して非常に弱いと言わざるを得ません。

日本がデフレを脱却できず、長期に渡って日銀が金融緩和を続けざるを得ない状況の中、「国力の低下」という論調が出てきているのです。

このまま円安が進めば、人材の海外流出をはじめ、さらなる国力の低下につながる可能性があると考えられています。

日本が低成長、低金利から脱却するためには、規制緩和などの構造改革や、DXや AIなど新分野への投資、人材への投資の強化などの成長戦略を推し進め、日本経済の成長力を高めて魅力的な市場にしていく以外にありません。

海外から日本への投資が増えて金融緩和からの脱却が進めば、円が少しずつ買われていく時が来ると思われます。やはり通貨は国力であり、全体的に日本の国力が落ちていると言えるのでしょう。

実はまさかの新NISAが影響?

新しい少額投資非課税制度(新NISA)は、日本の経済や投資環境に多大な影響を与える可能性があります。その中でも特に注目されるのが、日本の慢性的な円安状態に与える影響です。

新NISAの導入により、日本国内の個人投資家が非課税で投資できる枠が拡大されます。これにより、個人投資家の株式市場や投資信託への参加が促進されると期待されています。資産運用に対する関心が高まることで、国内の金融市場の活性化が図られるでしょう。

一方で、新NISAの普及は慢性的な円安状態に直接的または間接的な影響を及ぼす可能性があります。もし、個人投資家が国内市場への投資を増やしていれば、日本円の需要が高まる可能性があり円高要因の一つとなるでしょう。

ただ2024年1月からスタートした現実として、個人投資家は新NISAを利用して海外資産への投資を積極的に行っているため、結果その資金は海外に流出することになり円安が進行しているのでは?との可能性も否定できません。特に、円安が続く中で外国資産の魅力が増すと、ますます多くの投資家が海外市場に目を向けることになるでしょう。

総じて、新NISAは日本国内の投資環境を改善し、個人投資家の資産形成を支援する重要な施策です。しかし、円安状態に対する影響は複雑で、他の経済要因と相まってその効果は限定的であるとも言えます。もし仮に新NISAが影響しているとすれば、早い者勝ちの椅子取りゲームの様に日本人が日本円を売り続け、何もしていない人にとっては悲惨な状況になりそうですね。もちろん長期的な視点と多面的な分析が必要です。

個人でできる円安への対策方法は?

①外貨預金

現在の日本では、銀行にお金を置いていてもほとんど金利が付きませんが、外貨は日本円よりも金利が高いため、円預金よりも利子が大きく増やせる可能性がある上、円高のときに外貨預金を始めておけば、円安の局面で為替差益が期待できます。ただし、為替変動の影響によって元本割れする恐れもありますので、リスクを理解しながら余裕資金の範囲で行うことが肝要です。

②外国株への投資

外国企業の株式に投資を行います。外国株は日本円から外貨に両替して運用されるため、外貨預金と同じように円安対策にもなります。日本よりも成長している国の企業への投資は、大きなキャピタルゲインが期待できるだけでなく、海外では配当金に力を入れている企業も多いため、インカムゲインも期待できます。

③FXで外貨運用をおこなう

FX取引を活用した外貨運用も円安対策になります。米ドル円の通貨ペアを選んで、円買いからスタートすれば、円安局面で為替差益が生まれます。FXはリスクが大きいイメージがあると思いますので、レバレッジを抑えて堅実な運用を心掛けましょう。

④国内製品を利用する

国内製品を利用することも家計の負担を軽減する方法の1つです。国内製品は、国内の原料を使用して国内製造されているものであれば、為替変動の影響を受けにくい傾向にあるからです。例えば、朝食をパンからご飯に変えてみるなど、身近なところから国内製品の利用を増やすことで、為替による物価上昇の影響を抑えて家計を安定させます。

まとめ

円安は、輸出企業の売上増加や外国からの訪日客などインバウンド需要などが期待できる一方で、輸入企業のコスト増加や輸入製品の物価上昇などのデメリットもあります。

また個人レベルでは、円建て資産のみを保有していても、現在の日本の低金利では資産を増やすことが出来ないということになりますので、取ることのできる対策はしておくべきでしょう。

しかし、歴史的な円安が取り沙汰されている中で、大切なことは円安・円高のどちらに傾いても、リスクを抑えられる対策を立てておくことです。為替変動のリスクを考えながら、円建て資産と外貨建て資産をバランスよく保有することを心掛けましょう。

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