【2024】海外移住は相続税の節税対策になる?出国する際の思わぬ落とし穴とは

「海外移住で相続税が抑えられるって本当?」

実際に海外移住することで相続税が減るケースがあります。しかし何も知らず噂だけで移住をしてしまうと「思わぬところで課税されてしまった」なんてことが起こることもあるでしょう。

本記事では以下の内容に沿って解説しています。

  • ・海外移住における相続税の基本となるルール
  • ・「外国税額控除」で二重課税を回避
  • ・海外移住はほんとうに節税対策になるのか
  • ・「出国税」の影響で節税対策にならない?

出国税について少し触れているため、資産が多い方にもお読みいただきたい記事となっております。

日本の場合は海外移住で海外の税率のみを適用させようと思うと、ハードルがかなり高くなってしまうため、本記事の内容から本当に海外移住が適切なのかをご判断ください。

海外移住における相続税の基本となるルール

海外移住においての相続税がどこの国で発生するかについては、以下の順序で確認します。

  1. 財産が日本にある(不動産など)
  2. 相続人と被相続人の居住状況

海外移住をしても日本にある財産は日本の相続税が適用

まず相続する財産が日本国内にあるかを調べ、日本国内にある財産は全て日本で課税されます。

後ほど紹介する「相続人と被相続人が海外居住者である場合」においても、日本にある財産は全て日本の相続税の課税対象となるので、相続をする財産に不動産が含まれる場合は注意が必要です。

海外移住の相続税対策は相続人と被相続人の状況で変わる

財産が海外にある場合は、相続人と被相続人の状況によって変わります。下記表の色分けについて、日本国内と海外(移住先)で課税される部分がオレンジの部分で、海外でのみ課税される部分が青い部分です。

ご覧の通り海外の相続税のみ(青色部分を)適用させようとすると「相続人と被相続人の両方が10年以上海外に居住している」といった要件があったり、海外でのみ相続税を納税したいと考えている方にとってはハードルが高いといえるでしょう。

つまり海外でのみ相続税が課せられる条件を簡潔に説明すると「財産が日本国外にあり、10年以上生活拠点を海外にしている人」となります。

 相続人→
被相続人↓
国内に住所あり 国内に住所なし
定住者 一定居住者 日本国籍あり 日本国籍なし
10年以内に日本に居住あり 10年以内に日本に居住なし
国内に住所あり 定住者
外国人被相続人(※1)
国内に住所なし 10年以内に日本に住所あり
非居住被相続人(※2)
10年以内に日本に住所なし

(※1)相続開始時に在留資格を有していて、日本に居住があった者
(※2)相続開始時に日本に住所を有しておらず、以下の条件のどちらかにあてはまる者

  1. 相続開始前の10年以内に日本に住所を有しており、そのうちの日本国籍を有していない者
  2. 相続開始前の10年以内に日本に住所を有していなかった者

海外資産を相続する場合は「外国税額控除」で二重課税を回避

日本と海外で相続税が課税される場合は、二重に課税されることになります。

国際税務では二重課税を防ぐために「外国税額控除」という制度があり、どちらか一方で相続税を納税した場合は申告をして、日本と海外で2度課税されるのを防げる制度です。

外国税額控除を利用するには日本と租税条約を締結している必要があり、日本と租税条約を結んでいる国は財務省のホームページで公開されています。

海外移住でほんとうに相続税率が低くなる?3カ国を例に解説

タイは1億バーツ(2023年時点では約4億1千万円)を超える部分に課税されます。親子の場合は5%でそれ以外の相続では10%です。

日本は超過累進課税制度が採用されており、タイと同様の4億円を例にした場合、45%の相続税を納める必要があり、タイの方が比較的相続税を抑えられるように読み取れます。

香港は2006年に相続税の納付制度が撤廃され相続税はかからないため、資産がとても多い富裕層におすすめの移住先です。

ベトナムでは相続税という制度はありませんが、所得税として10%の納税が必要です。

今回例に出したタイ・ベトナムは相続をする際の税率が低く、香港は無税で相続できるので海外移住先としておすすめの国となっています。

しかし日本を含む各国で控除額が変わってくる可能性もあるので、一概にここがいいとは言い切れません。詳しく知りたい方は国際税務に詳しい専門家に頼るといいでしょう。

\海外保険 × 資産運用で新たなライフプランをご提案/

実は海外移住は「出国税」の影響で節税対策にならない?

2015年に国外転出時課税制度といういわゆる「出国税」が設立され、同課税制度の設立以前よりも海外移住によって日本で課税される額が大きくなっています。

出国税は出国時に1億円以上の有価証券や不動産を保有している場合に、その含み益に課税される制度で、確定申告が必要です。

海外移住で相続税を節税するには専門的な知識が必要

本記事では海外移住をした場合の相続税について解説しました。

日本国内の財産については日本で課税され、それ以外の財産を相続するために海外の相続税を適用するには「相続人と被相続人が10年以上海外で居住している」といったハードルがあります。

3カ国の例を用いたり出国税について解説したりしましたが、やはり国際税制は単純ではなく出国税のように相続以外でも課税される場合があり、専門的な知識が必要です。

国内外の税制をしっかり理解できていないと、相続税が減るどころか増えてしまうケースが考えられるため、税務関係に詳しい専門家に頼るといいでしょう。

もし海外の税制を教えて欲しいといったお困りごとがあれば、「110 Financial Support」へご相談ください。

\海外保険 × 資産運用で新たなライフプランをご提案/

海外資産運用は、110(ワンテン)グループへ

「110 Financial Support」では、海外在住者や海外移住を検討されている方の資産運用をサポートをしています。海外での資産運用では、資金シミュレーションはもちろん、税務知識の専門性や海外現地の情勢、物価上昇や想定外の出費など、多岐にわたる要因を考慮することが必要です。

  • ・駐在国で、どのように資産運用すべきか、方法がわからない
  • ・海外での資産運用事情や、老後資金の準備について詳しく知りたい

といったお困りごとがあれば、日本人サポート実績20年以上の「110 Financial Support」までご相談ください。海外在住者や海外移住N-2年前のご準備段階の方も、あなたの資産運用状況を踏まえ、最適な資産運用プランづくり・適正化のサポートをいたします。ぜひお気軽にご相談ください。

\海外保険 × 資産運用で新たなライフプランをご提案/

iDeCo /NISA ・年金セミナー開催中

Insurance110では世界各地に拠点があります。
各国に滞在する日本人ファイナンシャルプランナーが、海外在住時の資産運用に関するセミナーを行なっております。

老後2000万円問題や円安、物価高など家計に直結するニュースや、iDeCo /NISAについても分かりやすく解説いたします。

\お金のプロに相談できる/

無料セミナー予約はこちら
記事監修:INSURANCE 110 DIRECTOR 才田 弘一郎
日本・海外で累計2,000名以上のお客様の資産運用をサポート。
香港、シンガポール、日本、アメリカなど世界各国の保険やオフショア商品の事情に精通。
日本人に適した「出口戦略」を意識した堅実な資産運用の提案が得意。