保険はこうやって輸入され拡がった。保険の歴史を勉強しよう(日本編)

保険という制度が誕生したのは17世紀ころといわれており、イギリスが発祥の地です。
今や保険の基本的な考え方となる相互扶助の精神は、17世紀の考え方でもありました。

その後、近代保険ができたのは1762年です。
『平準保険料』を採用することで、保険会社が急拡大することになるきっかけになりました。

それでは、今や当たり前のように加入している日本の保険は、どのように普及されていったのでしょうか。

日本の生命保険の認知から保険会社の誕生まで

日本にはじめて保険という概念が入ってきたのは1868年頃です。
福沢諭吉によって近代保険制度が紹介されました。

ヨーロッパに行ったときに、当時の近代文明のさまざまな制度のひとつとして知ったようです。
保険業界では一般的なネタなのですが福沢諭吉が保険の礎を作った・・・わけではありませんね。
まずは日本に調査報告をしたようです。

日本で初めて保険会社ができたのは1880年でした。
しかし、残念ながらこの会社はすぐに倒産してしまいます。

翌年の1881年には日本最古の保険会社、明治生命が開業しました。
現在は安田生命と合併したので、明治安田生命という名前で活動しています。

明治時代に誕生したので、明治生命という名前になりました。
ちなみに大正時代には大正生命がありましたが、現在は存在していません。

1889年には現在の日本で一番大きな保険会社である日本生命が開業しました
日本の保険会社としては3番目に開業したことになります。
2番目に開業したのは朝日生命です。当時は帝国生命という社名でした。
その後、社名を変更して今の朝日生命になります。

当時は保険事業がまだ普及していなかったので、「人の生死で金儲けをするのか」といった反対の意見がありました。
保険が普及するようになったのは、ここから何十年もの年月がかかったのです。

戦時中に拡がりをみせた徴兵保険

保険が民間人に普及する間に、別の形で拡がる時期がありました。
それが戦時中です。
日本の歴史を見ると、戦争をしている時期は非常に長いことがわかります。

戦前、戦中は徴兵保険が主流でした。
これは今の保険概念とは少し異なっています。
今の養老保険や学資保険に近いイメージと考えてもらえればよいでしょう。

当時は子どもにかける保険が主流でした。
子どもが産まれて小さいうちに徴兵保険に加入し、徴兵されるときに満期を迎えてお金を受け取る制度です。

この徴兵保険が拡がりをみせます。
徴兵保険という名前の保険会社がたくさん存在していました。
例えば富国徴兵保険は戦後、名前変えて富国生命として現在も業務を行っています。

他には第百徴兵保険という保険会社もありました。
戦後、第百生命という名前に変えましたが、カナダのマニュライフ生命に吸収された形で現在も活動してます。

第一徴兵保険は東邦生命に名前を変えて活動していましたが、現在はエジソン生命という名前に変更しました。

この何十年間で保険会社はどんどん吸収合併が行われており、社名が変更されている場合も多いです。
ただ戦時中に拡大するというのも皮肉なものですね。

戦後は日本独自の保険文化が誕生

戦後は日本の独自の保険文化が開花してきます。当時は戦争によって、夫が亡くなった戦争未亡人が増えました。
戦争未亡人の働き口として、女性営業職員制度が進んでいきます。
これが日本独特の保険の文化のひとつです。

世界に目を向けると、これほど女性が保険という仕事で活躍し続けてる国は見当たりません。
男性が中心というわけではなく、男女平等というイメージです。

個人情報保護法が厳しくなる前の十数年前は、ある程度の従業員が働いている規模の職場であれば、保険外交のお姉さま方がお昼休みにきていたのではないでしょうか?
春に入社した場合、毎日のように複数の保険会社の外交員が来社し、ゆで卵をもらったり、洗剤をもらったりといただきものをもらいます。
そして夏ぐらいに根負けをして、契約する形が多かったです。

この職場の風物詩を知らないあなたは、ちょっとお若い方なのでしょうね。

中には「保険には興味がないから毎日来られても困っちゃうな」と思われた方もいるでしょう。
しかし考えようによっては、若いみなさんに保険の重要性を知ってもらうきっかけのひとつになるので、よかったことだと思っています。

現在は先に述べた個人情報保護法があるため、若い時期から保険に入っていない人は多く、保険離れが非常に進んでいます。

保険に加入するタイミングは結婚したときに考えるという人が多いです。
ふた昔くらい前は保険に加入するのは当たり前でした。
しかし、結婚したあとも保険に入ってない人たちは増えています。

まとめ

日本に最初の保険が入ってきたのは1868年ころでした。
福沢諭吉が近代保険制度について紹介したことがはじめだといわれています。

それから20年ほど経過したあとに日本最古の保険会社、明治生命が開業しました。
その後、日本生命などの日本を代表する保険会社が次々と開業します。

戦前、戦中は徴兵保険が主流になりました。
子どもが徴兵されるときに満期になり、お金を受け取る保険です。

戦後になると戦争未亡人が活躍する、女性営業職員制度が広がりました。
日本独自の保険文化が形成されていきます。

保険の歴史を知ることで、少しでも保険を身近に感じられたでしょうか。
この記事がきっかけで、保険の歴史に興味をもっていただけたのなら幸いです。

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記事監修:INSURANCE 110 DIRECTOR 才田 弘一郎
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日本人に適した「出口戦略」を意識した堅実な資産運用の提案が得意。