海外ファミリーオフィスとは|富裕層の資産管理を香港FPが解説

監修者情報

110Financial Support認定FP/シニア資産コンサルタント
才田 弘一郎(さいた・こういちろう/Koichiro Saita)

日本・海外で累計2,000名以上のお客様の資産運用をサポート。
香港、シンガポール、日本、アメリカなど世界各国の保険やオフショア商品の事情に精通。日本人に適した「出口戦略」を意識した堅実な資産運用の提案が得意。

「海外に資産が分散しているが、一括で管理できる仕組みがない」「相続税最大55%の日本で、次世代にどう資産を残すか」。資産規模が大きくなるほど、こうした悩みは複雑化します。欧米の超富裕層が何世代にもわたって資産を守り続けてきた仕組み、それが海外ファミリーオフィスです。本記事では、香港在住FPの視点から、その本質と日本人富裕層にとっての活用法を解説します。

この記事でわかること

  • 海外ファミリーオフィスの定義・3種類と、プライベートバンク・資産管理会社との違い
  • 香港・シンガポール・スイス・ドバイの拠点比較と、2026年5月時点の最新動向
  • 日本人富裕層が検討すべきケースと、国外財産調書・CRSへのコンプライアンス上の注意点

Contents

ファミリーオフィスとは|定義・市場規模・3種類

ファミリーオフィスの定義と市場規模

ファミリーオフィス(Family Office)とは、超富裕層の一族が自らの資産を長期的に管理・運用・保全するために設立する専門組織です。単なる資産運用にとどまらず、税務戦略、相続・事業承継、法務、教育・医療といったライフスタイル面まで、一族に関わるあらゆる意思決定を包括的にサポートします。

その起源は19世紀のアメリカにあり、ロックフェラー家やモルガン家が一族の財産を管理するために専門チームを組織したのが始まりとされています。現在、世界には1万社以上のファミリーオフィスが存在し、運用資産総額は1兆〜6兆ドル規模と推計されています。手数料は運用資産の0.25〜1%が一般的で、1件あたりの平均保有資産は11億6,000万ドルです(出典: JETRO「スイスの富裕層向け産業(2)」)。

近年の特徴は、伝統的な欧米中心からアジアへ拠点が拡大していることです。シンガポール・香港が新たな中心地として急成長しています。後述するように、シンガポールでは2020年から2022年にかけて登録されたファミリーオフィスが約3倍に増加し、香港も政府主導で掲げていた2025年末までの200拠点誘致目標を、2025年に前倒しで達成しました。

シングル・マルチ・コマーシャルの3種類

ファミリーオフィスは運営形態によって3つに分類されます。

シングル・ファミリーオフィス(SFO) は、1つの一族のためだけに設立される専任組織です。完全にカスタマイズされたサービスを受けられる反面、運営コストが高く、資産規模1億ドル(約150億円)以上が一つの目安となります。

マルチクライアント・ファミリーオフィス(MFO) は、複数の富裕層一族にサービスを提供する組織です。コストを複数の顧客で分担するため、SFOより小さい資産規模(概ね2,000万〜5,000万ドル程度)から利用できます。

コマーシャル・ファミリーオフィス は、金融機関や会計事務所がファミリーオフィス機能を商業サービスとして提供する形態です。既存の金融インフラを活用するため参入ハードルは最も低い一方、母体の金融機関が組成した商品を勧める利益相反のリスクが残ります。

種類対象資産規模の目安年間コストカスタマイズ性利益相反リスク
シングルFO(SFO)1億ドル〜(約150億円〜)数百万〜数千万ドル最高(完全専任)最低(一族専属)
マルチクライアントFO(MFO)2,000万ドル〜(約30億円〜)運用額の0.5〜1.5%高(半カスタマイズ)低〜中
コマーシャルFO1,000万ドル〜(約15億円〜)運用額の0.25〜1%中(パッケージ型)中(母体商品の販売動機)

※資産規模・コストは拠点や提供機関により異なります。手数料率は運用資産の0.25〜1%、1件あたり平均保有資産は11億6,000万ドルが業界水準です(出典: JETRO「スイスの富裕層向け産業」)。

ファミリーオフィス vs プライベートバンク vs 資産管理会社の違い

サービス範囲の違い

ファミリーオフィス、プライベートバンク、資産管理会社はいずれも富裕層向けですが、カバーする範囲が大きく異なります。

プライベートバンクは金融商品の提供と金融資産の運用が中心です。一方、ファミリーオフィスは金融資産だけでなく、不動産、美術品、事業持分、知的財産といった非金融資産も含めた一族の総資産を統合管理します。さらに家族間ガバナンス(家族会議の運営、次世代教育、価値観の承継)まで踏み込むのが特徴です。

資産管理会社(いわゆる資産管理法人)は、主に法人形態を活用した節税・資産保全を目的とする組織であり、ファミリーオフィスのような包括的なアドバイザリー機能は持ちません。

費用体系と最低資産額の違い

プライベートバンクは預かり資産に応じた管理手数料(年0.5〜2%程度)と取引手数料で収益を得ます。最低預入金額は銀行により異なり、スイスの伝統的なプライベートバンクでは100万ドル(約1.5億円)以上が一般的です。

ファミリーオフィス(MFO)の費用は運用資産に対して年0.5〜1.5%程度ですが、SFOの場合は固定費(人件費、オフィス費用、法務・税務顧問料)が年間数百万ドルに達することもあります。

利益相反の構造的な違い

プライベートバンクは自社が組成した金融商品を販売することで手数料収入を得る構造にあり、顧客の利益と銀行の利益が相反する場面が生じ得ます。一方、シングル・ファミリーオフィスは一族の利益のみを追求する構造であり、利益相反が構造的に排除されています。

香港で日本人富裕層のご相談をお受けしていると、「プライベートバンクから次々に勧められる商品が、本当に自分の資産戦略に合っているのか分からない」というお声を頻繁に耳にします。世界の超富裕層がプライベートバンクではなくファミリーオフィスを選ぶ最大の理由は、この利益相反の解消にあります。

比較項目ファミリーオフィスプライベートバンク資産管理会社
主な目的一族の資産保全・承継・繁栄金融資産の運用・管理法人を活用した節税・資産保全
対象資産金融+非金融(不動産・事業・美術品等)金融資産が中心法人で保有する資産
サービス範囲資産運用+税務+法務+相続+ライフスタイル+家族ガバナンス資産運用+一部税務相談資産保有・管理+節税
最低資産額の目安SFO: 約150億円〜/MFO: 約30億円〜約1.5億〜15億円数千万円〜
利益相反SFO: なし/MFO: 低い自社商品販売の構造的インセンティブあり設立目的による
対応年数世代を超えた長期(数十年〜100年)契約期間中法人存続期間

海外ファミリーオフィスのサービス内容

資産運用・ポートフォリオ管理

ファミリーオフィスは株式、債券、不動産、プライベートエクイティ、ヘッジファンド、ベンチャーキャピタルなど、幅広い資産クラスに分散投資するポートフォリオを設計・管理します。プライベートバンクと異なり、特定の金融機関の商品に縛られない中立的な立場で投資先を選定できるのが強みです。

近年の特徴として挙げられるのが、非公開市場(プライベートマーケット)への配分の高さです。世界の主要なファミリーオフィスでは、ポートフォリオの30%以上を不動産、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル、インフラ、プライベートクレジットなどの非公開市場に配分するケースも珍しくありません。一族のリスク許容度、流動性ニーズ、世代ごとの資金需要を考慮した上で、長期的な資産成長と保全のバランスを取るのがファミリーオフィスの運用哲学です。

ヘッジファンドとファミリーオフィスを混同するご質問もよくいただきますが、両者は本質的に異なります。ヘッジファンドは外部投資家から資金を集めて運用する金融商品の運用主体であり、ファミリーオフィスは一族の資産を運用する主体です。多くのファミリーオフィスはヘッジファンドへの投資を行いますが、それは数ある選択肢の一つに過ぎません。

相続・事業承継対策

海外に資産を持つ日本人富裕層にとって、相続対策は最も複雑な課題の一つです。日本の相続税は最高55%であり、海外資産も含めて全世界の財産が課税対象となります。

ファミリーオフィスは信託(トラスト)の設立、保険を活用した相続税の納税資金確保、事業持分の計画的な移転など、複数の手法を組み合わせた包括的な相続戦略を策定します。特に複数国にまたがる資産の場合、各国の税法を横断的に理解した上での戦略設計が不可欠です。

110 Financial Supportでも、海外保険を活用した納税資金準備や、香港の信託スキームを活用した世代間移転のご相談が増えています。ファミリーオフィス本体の機能と、保険による流動性確保の組み合わせは、日本人富裕層にとって特に有効な選択肢です。

クロスボーダー税務戦略

海外居住歴のある富裕層や、複数国に資産を持つ一族にとってクロスボーダー税務戦略は極めて重要です。居住国の選定、海外法人の設立、租税条約の活用など、合法的な税務最適化には高度な専門知識が求められます。

ここで、日本居住者の方が必ず押さえておくべきなのが「国外財産調書」と「CRS(共通報告基準)」です。日本の居住者が海外に5,000万円超の財産を保有する場合、税務署への国外財産調書の提出義務があります(出典: 国税庁「国外財産調書制度」)。さらにCRSにより、海外金融口座の情報は自動的に日本の国税庁に共有されます。海外ファミリーオフィスの利用は合法的な選択肢ですが、これらの報告義務を確実に履行することが大前提です。

法人設立・信託スキーム

ファミリーオフィスでは資産保有のための法人設立や、信託スキームの構築が中心的な業務の一つです。香港・シンガポール・ケイマン諸島・BVI(英領ヴァージン諸島)などのオフショア法人や、信託(特にディスクレショナリー・トラスト)を組み合わせて、資産保護と承継を両立する構造を設計します。

これらのスキームは合法的な資産管理手段ですが、日本居住者が利用する場合は、外国関係会社合算課税(いわゆるタックスヘイブン税制)への抵触有無を必ず確認する必要があります。スキーム設計時点で日本側の税務専門家とのダブルチェックを行わないと、想定外の課税リスクが生じることがあります。

ライフスタイルサービス(教育・医療・不動産)

ファミリーオフィスのサービスは金融に限りません。子女の海外留学先の選定、家族の医療コーディネーション、海外不動産の取得・管理、フィランソロピー(社会貢献活動)の企画・運営など、一族の生活全般を支援します。

これらのサービスを一つの組織が統合管理することで、各領域の意思決定に一貫性が生まれ、一族全体の方向性と合致した形で実行されます。「金融資産の運用」だけを切り出して見るのではなく、教育・健康・住まい・社会貢献まで含めた一族全体のウェルビーイングを設計するのが、ファミリーオフィスの本質的な価値です。

海外ファミリーオフィスの拠点比較|香港・シンガポール・スイス・ドバイ

シンガポール|13O/13Uスキームと急成長するアジアのハブ

シンガポール政府はファミリーオフィスの誘致に積極的で、13O/13Uスキーム(ファンド管理会社の運用益に対する税制優遇措置)を設けています。相続税はなく、キャピタルゲイン税も原則非課税です。

シンガポール通貨庁(MAS)の集計によれば、シングル・ファミリーオフィスは2020年末の約400社から2022年末には約1,100社へと、わずか2年で約3倍に拡大しました。その後も拡大は続き、グローバル富裕層からの新規申請が引き続き多数積み上がっている状況です(出典: 野村資本市場研究所「ファミリーオフィスの誘致を強化するシンガポール」)。政治的安定性、英語が公用語、厳格な法制度、ASEAN市場へのゲートウェイとしての立地が、グローバル富裕層を引きつけています。

香港|中国市場のゲートウェイと2025年200拠点目標

香港は中国本土へのアクセスとアジア最大級の金融市場を持つ国際金融センターです。相続税・贈与税・キャピタルゲイン税がいずれも非課税で、法人税率も16.5%とシンガポール(17%)よりわずかに低く設定されています。SFC(証券先物委員会)の規制下で、グローバル水準の金融サービスインフラが整備されています。

香港政府は2025年末までに少なくとも200の大手ファミリーオフィスを誘致する目標を掲げ、2025年9月に前倒しで達成しました。税制優遇や補助金制度の整備も進めています(出典: 野村資本市場研究所「香港におけるウェルス・マネジメント業界の発展促進策」)。

日本人富裕層にとっての香港の最大のメリットは、日本語対応可能な金融機関とIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)が多数存在することと、日本との時差がわずか1時間という点です。コミュニケーションのハードルが低く、相続や手続きが発生した際の機動性が高いのが実務上の利点です。

スイス|伝統と中立性のプライベートバンキング発祥地

スイスは200年以上のプライベートバンキングの歴史を持ち、世界の富裕層向け金融サービスの中心地として君臨してきました。厳格な銀行秘密法(近年はCRS対応で一部緩和)と政治的中立性が、資産保全の拠点としての信頼を支えています。

ただしスイスのファミリーオフィスは欧州富裕層を主な顧客としており、日本語対応やアジア資産の管理については香港・シンガポールに比べてやや手薄です。日本との7〜8時間の時差もコミュニケーション上の課題となります。

ドバイ|新興拠点としての低税制と急成長

ドバイ(UAE)は近年、急速にファミリーオフィスの新興拠点として注目されています。個人所得税・キャピタルゲイン税・相続税のいずれもゼロという税制と、戦略的な地理的位置(欧州・アジア・アフリカの結節点)が強みです。DIFC(ドバイ国際金融センター)はファミリーオフィス向けの規制枠組みを整備しており、英国法準拠の独立した司法システムが導入されています。

一方で日本人向けの実務インフラは香港・シンガポールに比べて発展途上であり、現時点では先行するアジア2拠点との比較で日本人富裕層に積極的に推奨される段階には至っていません。今後の動向を注視すべき新興拠点という位置づけです。

比較項目香港シンガポールスイスドバイ(UAE)
相続税なしなし州により異なる(基本的に低い)なし
キャピタルゲイン税なし原則なし個人は原則非課税なし
法人税率16.5%(最初のHKD200万までは8.25%)17%(優遇あり)約12〜14%(州による)9%(条件あり)
ファミリーオフィス優遇制度補助金・税制優遇整備中13O/13Uスキーム(税免除)なしDIFC枠組み
日本語対応充実(日系金融機関多数)中程度限定的限定的
日本との時差1時間1時間7〜8時間5時間
強み中国・アジア市場アクセス政府支援・政治安定伝統・信頼・規制成熟低税制・新興

※税制は2026年5月時点の情報であり、変更される可能性があります。最新情報は各国の税務当局公式サイトをご確認ください(出典: JETRO 各国税制レポート国税庁)。

日本人富裕層が海外ファミリーオフィスを検討すべきケース

海外資産が総資産の20%を超えた場合

海外不動産、海外証券口座、海外法人の持分など、日本国外の資産が総資産の20%を超えた段階で、クロスボーダーの資産管理体制を検討すべきです。国ごとに異なる税制・規制に対応しながら全体最適化されたポートフォリオを維持するには、専門チームの支援が不可欠になります。

特に駐在経験が長く、香港・シンガポール・米国などに証券口座や保険契約を残したまま帰国した方の場合、複数国の口座管理だけでも実務負担が大きくなり、相続発生時の遺族の負担も無視できないレベルになります。

次世代への資産承継を見据える場合

「自分の代では管理できているが、子どもの代では難しい」。この課題を感じ始めたら、ファミリーオフィスの設立または利用を検討するタイミングです。ファミリーオフィスは一族のガバナンス体制の構築、次世代に対する金融リテラシー教育、価値観の共有プログラムなど、資産だけでなく「一族としてのあり方」を次世代に引き継ぐ仕組みを提供します。

日本の相続税率(最大55%)への対応

日本の相続税率は10〜55%の累進課税であり、課税遺産総額6億円超の部分には最高税率55%が適用されます(出典: 国税庁「相続税の税率」)。合法的な範囲で相続税負担を最適化するためには、保険の活用、信託の設立、海外法人の活用、生前贈与の計画的実行など、複数の手法を組み合わせた長期的な戦略が必要です。

特に海外保険を活用した納税資金の準備は、流動性確保と相続税対策を同時に解決できる手段として、110グループでも多くのご相談をいただいています。

国外財産調書・CRSへのコンプライアンス

前述のとおり、海外資産を保有する日本居住者には国外財産調書の提出義務があり、CRSにより海外金融口座情報は自動的に日本の国税庁に共有されます。海外ファミリーオフィスを利用する際は、これらの報告義務を一族全体で確実に遵守する体制を当初から組み込む必要があります。

香港・シンガポールでご相談を受ける中で最も多いトラブルが、「自分は問題なく報告していたが、家族の口座について報告漏れがあった」というケースです。一族単位での運用を前提とするファミリーオフィスでは、この一元管理が大きな価値となります。

海外ファミリーオフィス活用の注意点・落とし穴

コマーシャル型の利益相反リスク

近年、「ファミリーオフィス」の名を冠したサービスが増加していますが、その実態は金融機関や保険会社のコマーシャル型である場合が少なくありません。母体の金融機関が組成した商品を販売する動機が残る限り、純粋な意味でのファミリーオフィスとは構造が異なります。

サービスを選定する際は「誰が提供主体か」「報酬構造はどうなっているか」「自社商品の販売義務があるか」を必ず確認してください。

日本側の税務リスク

海外法人や信託を活用したスキームは合法ですが、日本のタックスヘイブン税制や、信託への拠出時のみなし贈与課税、海外法人のPE(恒久的施設)認定など、日本側の税務リスクを必ず検討する必要があります。

このため、海外ファミリーオフィスの利用は、必ず日本の税理士や国際税務に強い専門家とのダブルチェックを受けた上で進めることが必須です。海外側のアドバイザーだけで完結させると、日本側で予想外の課税が発生するケースが珍しくありません。

日本語対応・実務体制の限界

スイス・ドバイのファミリーオフィスは日本語対応が限定的であり、契約書・運用報告がすべて英語ベースで行われる場面が多くなります。複雑な金融契約を非母国語で扱うリスクは、当初想定以上に大きいことが多いため、この点も含めた拠点選定が重要です。

日本人富裕層にとっては、日本語対応の厚い香港、もしくは日本語対応が中程度のシンガポールが、まずは現実的な候補となります。

アクションプラン|今日から始める3ステップ

ファミリーオフィスの活用は、突然の意思決定ではなく段階的に検討を進めるテーマです。

Step 1: 海外資産の棚卸し

まずは現在保有する全資産(国内・海外)を一覧化し、種類・所在地・保有形態を整理します。海外資産が総資産の20%を超えているか、複数国にまたがっているかが、最初の判断基準です。

Step 2: 拠点候補の絞り込み

日本との時差・日本語対応・税制優遇・ご自身のライフスタイルから、香港・シンガポール・スイス・ドバイのいずれかに優先順位をつけます。日本人富裕層にとっては、香港またはシンガポールが現実的な第一候補となるケースが多くなっています。

Step 3: 専門家との初回相談

拠点候補が定まったら、現地のFP・IFA、または海外資産運用に精通した専門家との初回相談に進みます。初回相談では「現状の資産棚卸し」と「課題の優先順位付け」を行い、ファミリーオフィスの設立/利用が本当に最適な選択肢かを冷静に判断することが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 海外ファミリーオフィスは資産がいくらあれば利用できますか?

マルチクライアント・ファミリーオフィス(MFO)であれば、概ね2,000万ドル(約30億円)程度から利用可能です。シングル・ファミリーオフィス(SFO)は1億ドル(約150億円)以上が一つの目安となります。近年はコマーシャル型の登場により、1,000万ドル(約15億円)程度からファミリーオフィス的なサービスを受けられるケースも増えています。

Q2. ファミリーオフィスとプライベートバンクの両方を併用できますか?

できます。実際、多くの富裕層は両方を併用しています。ファミリーオフィスが一族全体の戦略を統括し、プライベートバンクは金融資産の運用・管理を担当するという役割分担が一般的です。ファミリーオフィスがプライベートバンクの選定・監視を行うことで、利益相反のリスクを大きく軽減できます。

Q3. ファミリーオフィスとヘッジファンドの違いは何ですか?

ヘッジファンドは外部投資家から資金を集めて運用する金融商品(運用主体)であり、ファミリーオフィスは一族の資産を一元管理する組織です。多くのファミリーオフィスはポートフォリオの一部としてヘッジファンドに投資しますが、両者は役割が異なります。「ファミリーオフィスがヘッジファンドを選定して投資する」という関係です。

Q4. 日本に住んでいても海外のファミリーオフィスを利用できますか?

利用できます。ただし、日本の居住者が海外のファミリーオフィスを利用する場合、国外財産調書制度(海外資産5,000万円超の場合に提出義務)やCRSによる自動的な情報交換の対象となります。税務コンプライアンスを確実に遵守することが前提です。

Q5. ファミリーオフィスの設立にはどのくらいの期間がかかりますか?

SFOの設立には、法人設立、スタッフ採用、運用体制の構築を含めて通常6ヶ月〜1年程度が必要です。MFOへの加入はより短期間で、面談・審査を経て2〜3ヶ月程度で利用開始できるのが一般的です。

Q6. 110グループでは海外ファミリーオフィスの相談はできますか?

110 Financial Supportでは、海外ファミリーオフィスの設立そのものの手配は行っておりませんが、「海外資産の運用・保険・相続対策」という観点から、ファミリーオフィス利用前後の包括的なFPサポートが可能です。「現状の資産棚卸し」「海外保険を活用した相続対策の設計」「香港でのオフショア投資戦略」など、ファミリーオフィス活用の前段階として有効なご相談を承っています。

一族の資産を世代を超えて守る|海外ファミリーオフィスの選択肢

海外ファミリーオフィスは、資産運用だけでなく税務・法務・相続・ライフスタイルまでを包括的に管理する「一族のための専門チーム」です。プライベートバンクや資産管理会社では対応しきれない複雑な課題を、一貫した戦略のもとで解決します。

海外に資産を持つ日本人富裕層にとって、香港・シンガポールは地理的にも税制的にも有力な拠点候補です。シンガポールは2020年から2022年にかけて登録されたファミリーオフィスが約3倍に拡大し、香港も2025年に200拠点誘致目標を前倒し達成するなど、環境整備が急速に進んでいます。

一方で、ファミリーオフィスの活用には日本側の税務コンプライアンス(国外財産調書・CRS・タックスヘイブン税制)への配慮が必須であり、活用の前段階として「現在の海外資産の棚卸し」「保険を含めた相続対策の現状確認」が極めて重要です。一族の資産を次世代へ確実につなぐためにも、まずは現状把握から着手することをおすすめします。

※本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を目的とするものではありません。投資の最終判断はご自身の責任において行ってください。税務に関する詳細は、税理士等の専門家にご相談ください。

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110Financial Support認定FP/シニア資産コンサルタント 才田 弘一郎
日本・海外で累計2,000名以上のお客様の資産運用をサポート。
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