【対談企画】仮想通貨に投資をするべき?仮想通貨の知識を高め、目的に合わせて活用しよう

仮想通貨が世の中に登場して約15年が経ち、世界的に仮想通貨に投資をする人も増えてきています。なかでも日本で仮想通貨に投資をしている人は約500万人と推定されています。多くの場合は投機目的だと思われますが、曖昧な部分も多く、将来に向けた投資として活用して良いのか迷っている人もいるのではないでしょうか。 

そこで、資産運用方法や投資商品に詳しいシニアコンサルタントの才田氏に仮想通貨の基本的な知識や仮想通貨を資産運用に活用するメリットや注意点などについてお話をお伺いしました。

INSURANCE 110 DIRECTOR/シニアコンサルタント
才田 弘一郎

日本・海外で累計2,000名以上のお客様の資産運用をサポート。香港、シンガポール、日本、アメリカなど世界各国の保険やオフショア商品の事情に精通。日本人に適した「出口戦略」を意識した堅実な資産運用の提案が得意。



そもそも仮想通貨とは?

高林:「資産運用や投資のニュースなどで仮想通貨が取り上げられるようになってだいぶ年月が経ちます。しかし、まだまだご存じない方も多いと思いますので、仮想通貨の基本的な知識を教えていただけますか?」

才田:「仮想通貨はデジタル資産の一種です。ブロックチェーン技術を基にしたバーチャル・アセットで、紙幣や硬貨といったリアルなお金の形はないですが、通貨的な役割をするものと言えばよいでしょうか。代表的なものにビットコインがあります。各国の中央銀行が発行・管理するものではないため怪しいイメージを持ってしまいがちですが、ブロックチェーンという改ざんされにくい技術を基に発行されており、取引の透明性や匿名性といった特徴があります。」

仮想通貨が注目された背景

高林:「ありがとうございます。仮想通貨が最初に注目され始めた時期とその背景について教えてください。」

才田:「私自身がビットコインの存在を知ったのは、2014年頃のある情報誌の仮想通貨特集記事を読んだときです。当時は1ビットコインの価値が100米ドル、日本円だと1万円少々だったと記憶しています。その時は興味深くは思いましたが購入には至りませんでした。 

それから私もビットコインの歴史を含めて色々調べたのですが、リーマンショック後の中央集権的な通貨システムに対する不安感から、2009年1月3日に初めて公開されたとされています。公開後、最初に商取引されたのが2010年5月22日で、ネット上では5月22日を「ピザDay」としてピザでお祝いしているイメージがよくアップされます。というのも、この商取引は仮想通貨で初めてピザ2枚を買ったというものなんですね。ピザ2枚に10,000ビットコインが使われたようです。当時の価値で41米ドル、日本円では3700円程度でした。 

初めての公開から15年ぐらいが経ちましたが、いまだと(10,000ビットコインは)日本円にして600億円くらいですから、それだけ世界中で注目、支持されるようになり、存在感が大きくなってきたことがわかります。」

仮想通貨の使い道

高林:「仮想通貨が誕生してから15年以上ということですが、現時点では実際に仮想通貨を使っているという話を身近で聞きません。実際のところ、仮想通貨はどのように利用されているのでしょうか。」

 才田:「仮想通貨はデジタルとしての数字でしかなく、形が見えないのでわかりにくい面はあります。ただ、NFT(※)やDeFiのような新しい技術も仮想通貨をベースに進化しており、銀行送金などもこのようなデジタル技術を使うようになってきています。他にも、例えばゲームやウォーキングなど、何かしらの行動で仮想通貨を稼げるものもあります。 

デジタル上で改ざんされない特徴がありますので、今後も銀行が介在しない新たな経済圏、新しい金融の取引としてさまざまな商取引でも使われるようになるのではないかと期待もしています。 」

(※)非代替性トークン(ひだいたいせいトークン、英: non-fungible token、略称: NFT) 

高林:「ニュースなどでは仮想通貨でホテルの決済ができるようになったという情報を見聞きすることもあるのですが、世界的にこの傾向は広がるのでしょうか。」

才田:「オンライン決済できるサイトの中でも仮想通貨決済が可能なところがありますね。そうはいっても、やはりVisaやMasterCard®などカード決済の方がまだまだ多いのではないでしょうか。徐々に仮想通貨を持っている人が増えていけば、実際の商取引のなかで仮想通貨が使えるところは増えていくのではないかと思います。最近ではVISAやMasterCard®︎などが暗号資産企業、Web3企業と連携を深めるニュースも報道されるなど、既存金融との壁が薄くなっていることも感じます。」

仮想通貨を保有したまま海外移住は可能?

高林:「実際の買い物等で使えるようになるのはまだ先だとしても、価値の増大を期待して投機的に仮想通貨を購入する人もいると思います。海外移住や駐在が決まり、保有している仮想通貨を手放す必要があるのか、そのまま保有していていいのかという声も聞くのですが、どうするのが良いか教えていただけますか。」

才田:「仮想通貨自体は国に縛られないデジタル・アセットですが、国によって保有可否や保有可能な仮想通貨の種類といったルールが違います。そのため、まずは保有制限があるか、保有は可能でも仮想通貨の種類が限られているか、など移住先の国の規制を確認することが重要です。そのうえで、保有している仮想通貨を売却するかどうかという話になりますが、現時点では国外に出る際に売却しないといけないというルールがあるわけではありません。売却のタイミングはご自身で決めていただくことになります。 

ただ、例えば日本の取引所で購入した仮想通貨を海外に出てから売却してよいか、移住先で決済に使ってよいかなどということは、各取引所のルールを確認することも必要です。一旦売却すると利益あるいは損失を確定することになり、利益が出たときには税金の問題が発生しますし、税金のルールも国によって異なることも気に留めておく必要があります。」

仮想通貨の税制は?

高林:「ありがとうございます。国によって税金の取り扱いが違うとのことですが、仮想通貨による利益に課税されない国はあるのでしょうか。」 

才田:「ドバイは個人所得税がかからないため税金面だけを見ると多くの資産を持っている方にはいいでしょうね。香港やシンガポール、タイなどでも(仮想通貨を)売却決済したときの税金はほとんどかかりませんが、それぞれ保有できる人や保有できる種類、取引できる取引所などの規制があります。 

いずれにしても課税関係だけで考えるのではなく、全体的な資産額やそこでの生活など、トータルなライフプラン、特に非居住者としての扱いを考えなければなりません。」 

高林:「仮想通貨に関する税制は、日本ではどのようになっているか教えていただけますか。」 

才田:「日本では、現時点では仮想通貨の売却益は雑所得として取り扱われています。株式のように譲渡所得(※)とはならず、他の所得の状況によっても税率が変わります。ですので、日本で利益確定して、他の所得とも合わせて課税所得額が大きくなると利益の半分近くを税金として納めなければならなくなる可能性もあります。仮想通貨は投資というより投機的な面が強いこともあって現時点では一般的な金融商品の税制とは扱いが異なりますが、業界団体の各方面から税制改正要望が上がってきているようです。」

(※)株式の売却益は譲渡所得となり申告分離課税ですが、雑所得は総合課税であり給与所得など他の所得と合算して課税されます。

仮想通貨は保有するべき?

高林:「投機的という点では、過去からの流れを見ると仮想通貨の価値がかなり上がっています。未来を考えると、まだ仮想通貨を持たれていない人はこれからでも購入して保有しておくのが良いのでしょうか。」 

才田:「保有するかどうかはあくまでご自身で決めていただくことになりますが、持っておくのはいいと思います。現在の市場は不安定ですが、技術的な進化により長期的には成長が見込まれます。ただし、規制の変化や市場の不安定さはリスクとして捉えておく必要はあります。 

今まったく仮想通貨を持たれていない方がこれから持つとした場合に何を、どこで購入して保有するかというのはしっかり考えなければなりません。例えば、日本居住者の購入を除外している取引所も出てきていますし、利益が出るかどうかの前に、法的に問題なく口座を開設できることが大切です。また、万一のハッキングに対する補償面も確認しておく必要もあります。そのうえで、どの仮想通貨を選ぶかということになります。仮想通貨にも種類がたくさんありますので、仮想通貨を発行し運営している会社の具体的な活動・取り組みについてもしっかりチェックしておかないといけません。個別株を選ぶ場合に似ていますが、入り口の規制段階から出口の売却、税金までの一連をしっかり確認したうえで問題ない状態で購入するのであれば、資産ポートフォリオの一つとして保有されておくのはいいと思います。」

他の資産との違いは?

高林:「法規制等も日進月歩に変わっていく可能性もありますし、仮想通貨は他の金融商品に比べて難易度は高いように思いました。他の資産に比べて資産運用をするうえでの違いなどがあればお伺いしたいです。」

才田:「デジタルとは真逆になりますが、一番わかりやすい例がゴールドです。金は2004年以降で価格が大きく飛躍したのですが、実はそのきっかけになったのが金のETFファンドの販売開始でした。金の現物は国をまたいだ持ち込みや実物管理が難しいのですが、ファンドになった瞬間にルールの明確な既存の金融商品となり、管理の難易度が下がります。ファンドの価格は金価格に応じて変動しますし、リターンもきちんと得られます。売却してリターンを得るときには金融商品として定められている範囲内での申告ができます。ファンドの価格変動リスクはありますが、金そのものへの投資自体はファンド会社が行いますので安心して金投資ができます。

これと同じように、仮想通貨も米国発でビットコイン初のファンドができてきています。おそらく日本でも仮想通貨のファンドが取り扱われるようになるでしょう。ですので、仮想通貨そのものへの投資が不安な方は、もう少し待てば証券会社を通して金融商品として投資できるようになるかもしれません。海外での仮想通貨ファンドへの投資であれば、一足先にご紹介できるプランもございますのでご興味があればご相談いただければと思います。」

高林:「ありがとうございます。今は、法的な規制などの難易度も高いため主に専門的な知識を持っている方の市場だけれども、今後いろんな整備がされていくということで、将来的には金融商品か何かを通して一般の投資家にも普及するタイミングが訪れるという理解で合っているでしょうか。」 

才田:「はい。合っています。」

日本非居住者が仮想通貨を保有する際の注意点

高林:「日本人で非居住者に該当する方が仮想通貨口座やウォレットを保持する際、法的な注意点や実務的な問題はありますか?」 

才田:「注意すべき点は多々ありますので、これが注意点とひと言で言うのは難しいです。ただ、ひとつ言えるのは、居住者としてきちんと居住権を取得している国の規制に従うことですね。あと、多くの国では個人ウォレットの保持に問題はありませんが、個人できちんと管理しておかなければなりません。例えば、交通事故に遭ってキーを紛失してしまうなどといったリスクも考えられます。金など現物を保管するのと同じような心がけは必要です。 

あと、個人のウォレットはどの国にも所属していないグローバルなもので、これは仮想通貨のコンセプトであり、メリットとも言えますが、当局側からするとどの国のお金かわからないものを個人が持ち歩くことを許容し続けるとは考えにくいです。ですので、今後起こり得ることとしては、個人のウォレットにKYC(本人確認手続き)で保有者を特定できるようになるかもしれません。とにかく、居住国の規制を常に確認し、どの国の居住権のもとに行っているということをきちんと言えるようにしておくことが必要だと思います。」

仮想通貨の将来像は?

高林:「才田さんの見解としては、仮想通貨は将来的に決算手段として普及するとお考えですか?」 

才田:「仮想通貨というと2009年のビットコインが最初ですが、実は30~40年前くらいからデジタル通貨構想が進められているという情報を耳にしたことがあります。というのも、マネーロンダリングの話を聞くことがあると思いますが、一番マネーロンダリングしやすいのはキャッシュ(現金)なんです。しかしデジタルになると、車のETCと同じで『どこから来て、どこへ行った』というのが必ずわかるようになります。今でもさまざまな国が中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)の導入に向けた議論がされていますよね。 

ですので、仮想通貨はその前哨戦というか、将来的には規制の整備や技術の進化によってより広く普及する可能性があります。すでに一部の国や業界では仮想通貨が決済手段として使われるようになりましたが、アメリカでは不動産の権利をNFT化して専用の仮想通貨で売買するということも行われています。このようにリアルの資産の価値や権利をデジタルに転換するというRWA(Real World Assets)という言葉も出てきていますし、国債をデジタルで発行している国もあります。取引の透明性、正確性、スムーズさはデジタルプラットフォームにおいたほうが確実ですので、あくまで私の個人的な考えですが、決済に限らず、世の中の資産はすべてデジタル化されてオンラインの世界に入る時代がくるのではないかと思っています。 

ひとつ、私の居住の中心である香港の紹介をしておくと、香港のHSBC口座にはデジタルゴールドトークンといって、ものすごく小さな単位の金に投資ができるインベストメントオプションというのがあります。現物の金だと、例えば1グラムに投資しようとするとカットするのが難しいですし、どこかに消えてしまいやすいですが、権利をデジタル化することで現物はカットせずに銀行が保管できることになります。香港に居住されている方でHSBC口座をお持ちの方は覚えておかれるといいかと思います。 

このように、現物資産をデジタル化することで投資の小口化も可能になるのではないかと思います。もちろんその為には、発行主体の信頼性、セキュリティ、利便性を上げるなどまだまだ沢山の改善が必要でしょう」

税制面や規制面の方向性

高林:「税制や規制の面では今後、仮想通貨はどのような進化を遂げると考えられますか?」 

才田:「多くの国で仮想通貨に関する規制は進化してきていますが、今後、税制もより明確化されると思います。例えば、国際送金するときには各国の中央銀行を必ず通りますが、仮想通貨だとデジタルの独自のネットワークによって世界の裏側に瞬時に通ることが可能になります。それによってテロ資金に使われたなどと悪い印象もあり、規制を求める人も増えてくるのではないでしょうか。 規制強化は本来仮想通貨の真意に反するかもしれませんが。

各国、取引や保有の制限を設けるようになるかもしれませんし、デジタルならではの課税制度を各国が協調していくようになるのではないかという気もします。それによって透明性が確保されるようになるのではないかと思います。」 

20~30代の人に向けた仮想通貨投資へのアドバイス

リサーチすることを学ぶ

高林:「仮想通貨市場の未来について、特に海外在住の30代のサラリーマン層に向けて、なにかアドバイスや具体的なノウハウがあれば教えてください。」 

才田:「そうですね。宝くじや何かで大金を手にすると、つい人に言いたくなるのですが、それは控えた方がいいですね。

仮想通貨に限らずどのジャンルの投資でも同じですが、投資をする前に自分がリサーチするという目線を必ず持っておいていただきたいです。特に仮想通貨市場は今後も成長が期待される分野ですが、リスクも高いため、しっかりと裏側のリサーチをしなければなりません。人から強く推奨されるものほど、感情的にならずにきちんと調べることが必要です。20~30代の若いうちは、そういう調べるクセを身に着ける期間と捉えるといいと思います。あと、もし騙されるにしても、無くなっても大丈夫な金額で投資をすることが大切です。 

20~30代で投資をする活動そのものはとてもいいことだと思います。ただ、そのゴールが目的にきちんと合うかどうかも大切です。アセットのなかの一つとして良いか、仮想通貨のなかでもどれを選ぶかをしっかり見定めて投資活動をやっていただければと思います。仮想通貨の世界はものすごく勉強になると思いますので、まずはお金を出す前にいろんな情報を取ってみてください。」

人生のビジョンに合わせて投資をしよう

高林:「ありがとうございます。最後に、どこに投資したらいいかわからない方に向けてひと言お願いできますか。」 

才田:「私自身も20代の頃からIT株が出てきたら少し試したり、さまざまなことを体感的に学んできました。人の話に乗ってつい『うっかり投資』をして全額消えてしまったこともあります。しかし、目的のあるお金に関しては、投資の土台として海外の貯蓄性保険(投資元本確保型)で保有していますし、その上乗せでファンドの積立てもしています。今回の仮想通貨は将来の期待値はありますが、私のなかでは今後のデジタル社会の勉強という観点で投資・活用・リサーチしています。ですので、『自分の人生をどう生きたいか』というビジョンのなかで『どのような資産アセットが無理なく、自分のサイズに合った良い資産運用なのか』という観点を持っていただきたいです。そのなかで、どの資産を選べばいいかわからないという方は弊社110Financial Supportにご相談いただければ、自分に合う資産運用の仕方が見えてくるのではないかと思います。」 

高林:「本日はどうもありがとうございました。」

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記事監修:INSURANCE 110 DIRECTOR 才田 弘一郎
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