タイで資産運用するには?駐在員・移住者向けに証券会社・定期預金・投資信託をFPが比較解説【2026年版】

タイに駐在・移住している日本人にとって、現地での資産運用は避けて通れないテーマです。日本のNISAやiDeCoは海外居住中に新規積立ができず、日本の証券口座も制限されるケースが多いため、「タイにいる間に何ができるのか」を把握しておく必要があります。本記事では、110 Financial SupportのFPが、タイで利用できる投資手段(証券会社・定期預金・投資信託・国債)を比較し、駐在員・移住者それぞれの状況に合った資産運用プランを解説します。

この記事でわかること

  • ・タイで日本人が利用できる資産運用の選択肢と比較
  • ・タイの証券会社で口座を開設する方法と必要書類
  • ・タイの投資にかかる税金と帰任時の口座維持の注意点

【タイ在住者向け】なぜ資産形成を始める必要があるのか?

まず、なぜ資産形成を行う必要があるのか、その理由について説明します。

持っているお金の価値が下がるインフレ対策

過去3年間の、タイの平均インフレ率は2.67%です。インフレが各国の経済に与える影響は大きく、インフレが進行すると時間の経過とともに物価が上昇し、現金や預金の実質的な価値が下がります。

そのため、利子がほとんどつかない銀行にただお金を預けているだけでは資産が目減りし、将来の生活費や、万が一の大きな支出を賄うことが難しくなるでしょう。

一方で、資産の一部を株式や投資信託などで運用すれば、インフレの影響を受けにくい環境で資産を少しずつ増やしていくことができます。もし運用によって資産が増えなかったとしても、その資産の価値を維持しつづけることができるのです。

子供に資産を引き継ぐ相続対策として

家族のために安心して生活ができるようにするため、また、資産を子どもに引き継ぐためにも、タイで資産運用を行うことは非常におすすめです。タイでは、相続に関する法律や税制が日本とは異なりますが、事前にこれらを把握したうえで資産運用を進めることができれば、将来的に資産の価値を最大限に引き出すことができます。

タイ駐在者におすすめの資産運用方法4選

タイでの駐在生活が長期に及んでいる人へ向けて、適切な資産運用の方法を紹介します。

おすすめの方法は以下の4つです

  1. 投資信託
  2. 外国証券会社で個別株式・上場投資信託(ETF)
  3. 日本の証券会社でiDeCo(個人型確定拠出年金)
  4. 海外の貯蓄型保険商品に加入

資産運用をこれから始める方や、何に投資をしていよいかわからない方はぜひ参考にしてみてください。

1. 投資信託

投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きなファンドとして運用し、株式や債券、不動産など複数の資産に分散投資する金融商品です。株式や債券を自分で選んで投資する手間が省けるうえに、プロのファンドマネージャーが運用をしてくれるので初心者にも始めやすいのが特徴です。

また、投資信託はリスク分散がしやすく、少額から始められる点が資産運用に役立ちます。投資信託には一般的なものと、税優遇付きの投資信託があります。

一般投資信託

駐在としてタイに在住の方を含め、すべての人が投資できる投資信託です。株式や債券、コモディティ、不動産といった多様な資産クラスに投資することでリスクを分散しながら運用可能です。分散投資をおこなうことで、どれか1つの投資対象で損益がでた場合でもリスクは軽減されます。

また、一般投資信託は特定のテーマや地域に特化したものも多く、例えば世界の株式市場に連動するものや、特定の業界にフォーカスしたものなどがあげられます。

一般投資信託の中でも、タイ在住者が比較的検討しやすいのは、SET50連動型のインデックスファンドや、外国株式に投資するグローバルファンドなどです。SET50連動型ファンドはタイの主要50銘柄に分散投資するため、個別株よりもリスクを抑えることができます。グローバルファンドは、タイ国内の市場リスクを避けて、世界の成長を取り込むのに有効です。

税優遇付きの投資信託(SSF、RMF)

税優遇付きの投資信託には、タイ国内で利用できる「SSF(Super Savings Fund)」や「RMF(Retirement Mutual Fund)」などがあります。これらの投資信託は、税金面での優遇があり、タイで資産運用をしたい方にとっては非常に魅力的です。

SSFは年間所得の30%、かつ年間20万バーツまで購入でき、毎年購入する必要がありません。売却については、積立開始から10年以上保有する必要があります。一方で、RMFは年間所得の30%まで購入でき、年1回以上の購入が必須です。また、満55歳以上で、積立開始から5年以上が経過しないと売却ができません。

SSFとRMFはタイに長期で滞在している方向けであり、課税所得の30%を上限とし、個人の所得控除の対象となるのがメリットです。しかし、帰国などを理由に途中解約した場合は、それまで受けていた財還付金をすべて返還する必要があります。さらに、税還付を受けた月から返還するまでの月数に対して1.5%の課徴金を支払わなければなりません。

そのため、税優遇付きの投資信託を購入し、資産形成を行う方法はタイに10年以上長期滞在をしている人、またはする予定がある人にはおすすめの方法です。

2. 外国証券会社で個別株式・上場投資信託(ETF)

外国証券会社を利用して個別株式や上場投資信託(ETF)に投資する方法は、タイ駐在者にとって、グローバルな市場に直接アクセスできるのが魅力です。個別株式では、特定の企業の成長に期待して投資ができる一方、ETFは複数の株式や債券、不動産などに分散投資することでリスクを低減しつつ、市場全体でのパフォーマンスを狙うことが可能です。

外国証券会社を通じてこれらの投資商品を購入すれば、アメリカやヨーロッパなど世界の主要市場に資産を分散でき、タイ国内の市場リスクを補完できます。これにより、幅広い選択肢から自分に合った投資戦略を実現することができるのです。

タイの株式市場はSET(Stock Exchange of Thailand)とMAI(Market for Alternative Investment)の2つがあります。SET指数は2026年現在、1,300〜1,500ポイント付近で推移しており、2025年後半のタイバーツ急騰やEV政策の転換などが市場に影響を与えています。今後の予想としては、タイ政府のデジタルウォレット政策や観光業の回復が追い風となる一方、中国経済の減速リスクが懸念材料です。

3. 日本の証券会社でiDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、日本の証券会社を通じて利用できる、将来のための積立型年金制度です。

タイ駐在員の方(日本の厚生年金加入者)の多くは、海外転出時にiDeCoの新規積立は停止となります。 そのため、積立はできませんが、既に積み立てた資産については「運用指図者」として日本帰任まで運用を継続できます。

運用益は非課税で再投資されるため、帰国後の老後資金の効率的な準備に役立ちます。iDeCoは、長期的な資産形成を目指すためのツールとして非常に有効です。ただし、海外居住者になれば日本の所得控除の対象にはなりませんので注意が必要です。

4. 海外の貯蓄型保険商品に加入

タイに駐在、または移住して長く暮らしていく場合でも、保険商品は資産を効率的に運用したり、家族の将来を守ったりするための重要なツールです。

海外の貯蓄型保険には、日本にはない商品も多く存在します。日本にはない高金利な商品や、安定した資産形成にも適している商品などがあります。

海外駐在中であることをメリットとして海外の保険商品などを運用することで、資産運用の幅が広がり、より効率的な資産形成も可能となるでしょう。

110Financial Supportでは、タイの保険商品にも精通しており、さまざまな種類の商品からお客様の状況に合った保険をご提案可能です。お気軽にご相談ください。

タイの主要証券会社ランキング|日本人が口座開設するには

タイで株式や投資信託に投資するには、現地の証券会社で口座を開設する必要があります。日本人駐在員・移住者が口座開設可能な主要証券会社は以下の通りです。

証券会社特徴最低入金額日本語対応
Bualuang Securities(バンコク銀行系)大手銀行系で安定感あり。オンライン取引可なしなし
KGI Securities(Thailand)外国人投資家への対応実績豊富なしなし
Phillip Securities(Thailand)シンガポール系。多国籍対応なしなし
Kasikorn Securities(カシコン銀行系)アプリの使いやすさに定評なしなし

口座開設に必要な書類は以下の通りです。

  • パスポート(原本)
  • ワークパーミット(労働許可証)またはタイの居住証明
  • タイの銀行口座(同系列の銀行口座があるとスムーズ)
  • 納税者番号(Tax ID)

FPの視点で注意すべき点として、タイの証券口座は非居住者になると取引が制限される可能性があります。帰任が決まった場合は、保有株の売却やポジション整理を事前に計画しておくことが重要です。

タイの銀行定期預金金利比較【2026年版】

タイの銀行定期預金は、日本と比較して高い金利が魅力です。2026年時点の主要銀行の定期預金金利(12ヶ月)は以下の通りです。

銀行名12ヶ月金利(目安)特徴
Bangkok Bank約1.5〜2.0%タイ最大手。日系企業との取引実績豊富
Kasikornbank(K Bank)約1.5〜2.0%アプリの利便性が高い。日本語対応ATMあり
SCB(サイアム商業銀行)約1.5〜2.0%王室系銀行。信頼度が高い
Krungsri(アユタヤ銀行)約1.5〜2.0%三菱UFJ系列。日本人に馴染みやすい

日本のメガバンクの定期預金金利(0.1〜0.3%程度)と比較すると高い水準ですが、タイバーツ建てである点に注意が必要です。為替変動により、円換算では元本割れするリスクがあります。FPとしては、生活費3〜6ヶ月分の緊急資金をタイバーツ定期預金で確保し、それ以上の余剰資金は分散投資に回すことを推奨しています。

タイの投資にかかる税金|キャピタルゲイン・配当・利子

タイでの資産運用を始める前に、投資関連の税制を理解しておきましょう。

所得の種類税率備考
キャピタルゲイン(株式)非課税(SET上場株)SET上場株の売却益は個人投資家は非課税
配当所得10%源泉徴収確定申告時に総合課税を選択することも可能
利子所得(定期預金等)15%源泉徴収源泉分離課税
投資信託の分配金10%源泉徴収配当所得と同様

タイ国債の利回りは2026年時点で10年物が約2.5〜3.0%程度で推移しています。利子には15%の源泉徴収税がかかりますが、税引後でも日本国債(10年物0.8〜1.0%程度)より高い水準です。

注意点として、日本の居住者(一時的にタイに赴任中の場合を含む)は、タイでの投資利益について日本でも確定申告が必要になる場合があります。日タイ租税条約による二重課税の調整が適用されるケースもあるため、税理士に確認することをおすすめします。

タイで資産運用を行う3つのメリット

タイでの資産運用には、国内外の投資環境を活かしたメリットがいくつかあります。

  1. 資産形成を行う選択肢が豊富
  2. キャピタルゲインが原則非課税
  3. 配当利回りが高い

これらの方法について、概要をみていきましょう。

メリット①資産形成を行う選択肢が豊富

タイでの資産形成は、選択肢が非常に豊富であることが大きなメリットです。国内外の市場にアクセスできるため、投資信託、個別株式、上場投資信託(ETF)などから選ぶことができます。

さらに、タイ国内外証券会社を通じて、各国の経済状況に応じた柔軟な投資戦略を立てることができます。多様な選択肢から複数の方法で資産運用を行うことでリスクの分散がしやすく、自分に最適な資産運用プランを構築できます。

メリット②キャピタルゲインが原則非課税

タイでは、キャピタルゲイン(資産の売却益)が原則として非課税であるため、資産運用において大きなメリットがあります。キャピタルゲインは、株式や不動産などの資産を売却して得られる利益に税金がかからないことです。非課税のため、得た利益をそのまま再投資できます。

さらに、長期的な視点での資産形成がしやすく、複利効果を最大限に活かした運用ができるため、タイでの資産形成には非常に有利な環境です。売却益に税金が課されない点は、他国と比較しても大きな魅力です。

メリット③配当利回りが高い

タイ市場では、企業が株主に支払う配当が比較的高いことが特徴です。投資家にとって、安定したキャッシュフローを得ることは非常に魅力的でしょう。特に、タイの一部の大手企業は堅実な経営を行っており、安定した高配当を維持しています。

また、タイ国内において配当にかかる源泉徴収税率は10%と日本よりも低いため、手元に残る利益が多くなり、投資のリターンがさらに高まる可能性があります。配当利回りが高いことは、タイでの長期的な資産運用において、リスクを抑えつつ安定した利益を得るための重要な要素です。

タイ在住者が避けた方がよい資産運用法2選

タイでの資産運用には多くの魅力的な選択肢がありますが、一方で避けた方が良い運用方法も存在します。これらの方法は一見魅力的に見えるかもしれませんが、リスクが高かったり、期待通りのリターンが得られなかったりする可能性があります。

1. ヘッジファンドやプライベートエクイティ

ヘッジファンドやプライベートエクイティの商品は魅力的な高いリターンが期待できる一方で、最低投資額が高い傾向にあり、資金が長期にわたって拘束されるため、流動性のリスクがある商品です。手数料も高めに設定されていることが多く、期待リターンよりも非常に低くなるケースがあります。

また、これらの商品は投資対象となっている内容がわかりにくく複雑で、詳しく理解をせずに投資してしまうリスクがあります。そのため、投資に触れてこなかった、これから資産形成を始める人は避けた方が良い商品です。

2. タイ株式

タイ株式市場は、地元企業への投資によって高いリターンが期待できる可能性がありますが、日本人投資家にとっては難易度が高い点も多いです。特に、タイの企業情報や市場動向は主にタイ語で提供されるため、言語の壁が大きな障害となります。これにより、情報収集が難しく、適切な判断が困難になる可能性があります。

また、タイ市場は政治的な不安定性や規制変更のリスクが高く、これらが株価に大きな影響を及ぼす点も考慮すべきです。これらの要因を考慮すると、タイ株式はリスクが高いため、慎重な投資判断が求められます。

タイで資産形成を始めて大切な資産を守ろう!

タイでの生活が長期化する中、資産形成を始めることは、将来の安定と安心を確保するために欠かせません。インフレ対策や相続対策を考えた資産運用は、現地での生活をより豊かにし、将来に備えるための重要なステップです。

投資信託や外国証券会社を利用した株式投資、そして日本のiDeCoなど、多様な運用方法をうまく活用することで、リスクを分散しながら効果的な資産形成が可能です。一方で、元本保証型の海外積立商品やタイ株式のように、避けるべきリスクの高い選択肢も存在します。適切な情報と戦略を持って、あなたの大切な資産を守りましょう。

資産形成に関する詳しいアドバイスやサポートが必要な方は、ぜひ「110Financial Support」までお問い合わせください。専門家があなたの資産運用を全力でサポートいたします。

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  • ・駐在国で、どのように資産運用を始めれば良いかわからない
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記事監修:INSURANCE 110 DIRECTOR 才田 弘一郎
日本・海外で累計2,000名以上のお客様の資産運用をサポート。
香港、シンガポール、日本、アメリカなど世界各国の保険やオフショア商品の事情に精通。
日本人に適した「出口戦略」を意識した堅実な資産運用の提案が得意。