ドルコスト平均法をりんごの例で解説!初心者でもわかる計算例とメリット・デメリット|FPが解説

ドルコスト平均法(ドル平均法とも呼ばれます)とは、一定の金額を定期的に投資し続ける手法のことです。「名前は聞いたことがあるけど、仕組みがよくわからない」という方のために、本記事ではりんごの売買に例えてわかりやすく解説します。投資信託の積立やNISAでも活用されているこの手法を、計算例つきで理解しましょう。110 Financial SupportのFPが、海外在住者の資産運用の現場で実際に活用しているドルコスト平均法のメリットと注意点もお伝えします。

この記事でわかること

  • ・ドルコスト平均法の意味と仕組み(りんごの例でわかりやすく解説)
  • ・一括投資と積立投資の比較計算
  • ・メリット3つとデメリット2つ、そしてFPが考える最適な活用法

ドルコスト平均法~りんごを使った場合~

ドルコスト平均法の意味をわかりやすく理解するために、りんごの売買で考えてみましょう。毎月3,000円の予算で、りんごを買い続けるとします。りんごの価格は月によって変動します。

AさんとBさんが毎月、りんごを買います。Aさんは10個、Bさんは千円分買ったときに、どちらがお得になるでしょうか。

Aさん

1月2月3月
単価100円50円200円116.6円
個数10個10個10個30個
1000円500円2,000円3,500円

りんごの単価は毎月変わっています。しかし単価は変わっても購入する個数は10個と変えません。

りんごを10個ずつ3か月間購入し続けた結果、りんご1個あたりの平均購入単価は116.6円でした。

Bさん

1月2月3月
単価100円50円200円85.7円
個数10個20個5個35個
1,000円1,000円1,000円3,000円

一方、Bさんはりんごの価格の変動に合わせて、購入する個数が変化しています。2月の安い時は多く買い、3月の高い時は少ない購入にとどまっていますね。

3か月購入したときの、りんご1個あたりの平均購入単価は85.7円でした。

AさんとBさんは3か月間りんごを買うといった行動自体は同じですが、平均購入単価に差がついたことがわかります。

りんご1個の価格定額購入(3,000円分)購入できる個数
1月100円3,000円30個
2月150円3,000円20個
3月50円3,000円60個
4月200円3,000円15個
5月100円3,000円30個
合計15,000円155個

5ヶ月間で合計15,000円を投資し、155個のりんごを手に入れました。1個あたりの平均取得単価は15,000円 / 155個 = 約96.8円です。

もし1月に15,000円分を一括購入していた場合、りんごは150個しか買えません。ドルコスト平均法では、価格が安い月(3月の50円)に多く買い、価格が高い月(4月の200円)に少なく買うことで、平均取得単価を下げる効果が自動的に働きます。これが「ドルコスト平均法」の最大のポイントです。

ドルコスト平均法~資産運用で使った場合~

では実際に資産運用でドルコスト平均法を使ってみましょう。

AさんとBさんがそれぞれ株を購入することにしました。Aさんは10株、Bさんは10,000円分を買ったとき、どちらがお得になるでしょうか。

Aさん

1月2月3月
単価1,000円2,000円1,500円1,500円
株数10株10株10株30株
10,000円20,000円15,000円45,000円

Aさんは3か月間購入した結果、1株あたりの平均購入単価は1,500円になりました。

続いてBさんを見ていきましょう。

Bさん

1月2月3月
単価1,000円2,000円1,500円1,380円
株数10株5株6株21株
10,000円10,000円9,000円29,000円

Bさんは3か月購入した結果、1株あたりの平均購入単価は1,380円になりました。株の場合、端数は購入できないので3月は予算内の9,000円としています。

りんごと同じように、BさんはAさんよりもお得に買い付けができました。

資産運用や外貨運用では日々、値動きがあります。安く買えるときもあれば高値掴みをするときもあるので、「こうすればよい」という正解はありません。

しかしタイミングをずらすことで有利な買い付けができます。

投資信託の積立とドルコスト平均法の関係

りんごの例で理解したドルコスト平均法は、投資信託の積立でも全く同じ原理で機能します。投資信託の積立とは、毎月決まった金額(例えば1万円)で投資信託を自動購入し続ける仕組みのことです。

例えば、毎月1万円で投資信託を積み立てた場合のシミュレーションを見てみましょう。

基準価額購入金額購入口数
1月10,000円10,000円10,000口
2月8,000円10,000円12,500口
3月12,000円10,000円8,333口
4月9,000円10,000円11,111口
5月11,000円10,000円9,091口
合計50,000円51,035口

5ヶ月の平均基準価額は10,000円ですが、ドルコスト平均法による平均取得単価は50,000円 / 51,035口 x 10,000 = 約9,797円。平均基準価額より低い単価で取得できていることがわかります。

毎月1万円の積立を20年間続けた場合、年利3%で運用できれば元本240万円に対して約328万円(+約88万円)、年利5%なら約411万円(+約171万円)になる計算です。FPとしては、この「時間を味方にする」効果こそがドルコスト平均法の本質だと考えています。

投資信託の積立は、特につみたてNISAのような長期・積立・分散投資を前提とした制度と非常に相性が良いとされています。

ドルコスト平均法の3つのメリット

ドルコスト平均法のメリットを簡単にまとめると以下の3つです。

  • (1)購入タイミングに悩まなくていい
  • (2)高値掴みのリスクを減らせる
  • (3)少額から始められる

投資初心者にとって、購入タイミングを悩む必要がなくなるため、時間も節約できます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

購入のタイミングを悩む必要がない

投資を始める際、多くの人が悩むのが「いつ買うのが最適か?」という購入タイミング(押し目)の判断です。安いときに購入したいという気持ちは皆同じですが、市場はプロのトレーダーですら正確に予測できないほど複雑で、いつが最安値(ベストのタイミング)なのかは誰にも分りません。

そのため、絶好のタイミングを待っているうちに投資の機会を逃してしまったり、購入を見送った後に相場が上昇してしまい「機会損失」につながったりする可能性があります。

ドルコスト平均法は、毎月一定額を自動で買い付ける設定をするため、投資家の感情や相場予測を一切挟む必要がありません。これにより、投資判断に悩むストレスから解放され、本来時間をかけるべき資産全体の計画や見直しに集中できるようになります。感情を排除し機械的に購入し続けることが、長期的な資産形成を成功させるための秘訣の一つです。

小額からでもはじめられる

ドルコスト平均法は、一括投資と違いまとまった資金を用意する必要がなく、投資初心者にとって最もハードルが低い投資手法の一つです。購入金額をある程度自分で決められるため、ご自身の家計や資金計画に合わせて無理のない範囲で、小さくはじめられる点が大きなメリットです。

具体的には、多くの証券会社では、投資信託の積立購入を月々100円や1,000円といった非常に少額から設定できます。これにより、生活防衛資金を確保しながら、余剰資金の範囲内で無理なく投資をスタート可能です。

少額から始めることで、市場の変動を体験しながら投資自体に慣れることができ、初めて投資をする方でも心理的な負担が少なく、長期的な継続につながりやすくなります。購入金額を増やすのは、資金が増えたタイミングや、投資に慣れてから行いましょう。

相場下落時は安く購入できる

ドルコスト平均法の最も強力なメリットは、相場が下落傾向にあるとき、株価が下がった分だけ自動的に多くの投資商品(株数や口数)を購入できる点です。

これは、毎月一定の「金額」を投資するというルールが働くためです。価格が高いときは少ししか買えませんが、価格が下がったときは同じ金額でより多くの数量を買い付けることができます。

投資において、一時的な相場の下落は不安を招きがちですが、ドルコスト平均法を実践している投資家にとっては、平均取得単価を大きく下げるための「バーゲンセール」のような買い付けチャンスとなります。

この仕組みにより、感情に流されずに安値で多くの数量を仕込むことが可能となり、その後の相場回復局面でより大きなリターンを得やすくなります。一時的な下落を前向きな機会として捉えられる点が、この手法の大きな強みです。

ドルコスト平均法の2つのデメリット

ドルコスト平均法はメリットばかりではありません。

  • (1)高値掴みをする可能性がある
  • (2)すぐに儲からない

ここでは2つのデメリットを紹介しますので、ドルコスト平均法のデメリットも把握しておきましょう。

高値掴みをする可能性がある

ドルコスト平均法は、購入タイミングを分散することで、一時的な高値で一括購入してしまう「高値掴み」のリスクを軽減する手法です。しかし、この手法でも高値掴みのリスクを完全にゼロにできるわけではありません。

好景気のあと、不況に入った場合は買い付け金額が元に戻らない可能性があります。特に、景気のピークに近い高値圏での購入が続くと、その後の下落によって平均取得単価を下げるのに時間がかかり、長期的に評価損を抱える期間が長引く可能性があります。

景気は好況と不況を繰り返す傾向があるため、買い付けた資産の価値が回復するまで、しばらく我慢をする時期がくるかもしれません。

このデメリットを克服するためには、長期投資を前提とし、一時的な相場変動に惑わされずに購入を継続することが最も重要です。

すぐに儲からない

ドルコスト平均法は、長期的に資産を形成するための手法であり、短期投資のようにすぐに利益が出るものではありません。特に投資を始めた直後の数ヶ月間や数年間は、相場の変動によっては評価益が出にくい、あるいは評価損を抱える期間が続くことがあります。そのため、「早く儲かりたい」「短期間で大きなリターンを得たい」と考えている方には不向きでしょう。

この手法の最大のメリットである複利効果と平均取得単価の低減効果を最大限に享受するためには、最低でも5年、理想的には10年以上の投資期間を設定することが推奨されます。短期的に大きな利益を期待すると、利益が出ないことに焦りを感じ、途中で積立を止めたり、市場が下落した際に売却してしまったりする心理的なリスクも高まります。

長期投資のすすめ

ドルコスト平均法を実践する上で、最も重要となる考え方が「長期投資」です。この手法は定期的に同じ金額を購入し続けることで、時間を味方につけ、その効果を最大限に発揮します。

複利効果を最大限に活かす

長期投資の最大の利点は、複利効果(利益が利益を生む仕組み)を最大限に享受できることです。投資で得た利益を再投資し続けると、元本だけでなく運用益に対しても利息がつくようになり、雪だるま式に資産が増えていくことになります。

この複利の力が本格的に作用し、資産増加のペースが加速するには、数年から十数年といった長い時間が必要です。ドルコスト平均法による地道な積立は、この複利の力を長期で作用させるための最適な手段と言えます。

短期的な市場の変動に惑わされない

株価や為替レートは、ニュースや経済指標によって日々変動する「市場のノイズ」に満ちています。ドルコスト平均法では、感情を挟まず機械的に積立を続けるため、投資家が市場の短期的な高値や安値を予測する必要がありません。

価格が高いときは購入数量を少なくし、価格が安いときは多く購入する仕組みが自動的に働くため、平均取得単価を抑える効果があります。長期的な視点を持つことで、一時的な相場の下落に一喜一憂することなく、冷静に積立を継続できます。

FPが考えるドルコスト平均法の本質

FPの視点から見ても、ドルコスト平均法の本質は「時間を味方につける」ことにあります。短期の変動を平均化しながら、時間の経過とともに大きなリターンを得られる可能性が高まります。投資初心者こそ、感情的な判断を排除し、手間なく資産形成を進められるこの長期積立戦略を基盤として活用すべきでしょう。

忙しい人・初心者へ:ドルコスト平均法がベストの選択肢

ドルコスト平均法は投資手法のひとつです。金融商品や保険商品を購入するタイミングと金額を固定しておけば、リスクを分散しながら投資ができます。

購入金額やタイミングはある程度自分で決められるので、自由度が高いです。投資は大金が必要だと思われている方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。小さくはじめて、慣れていけば金額を増やせば良いのです。

海外生活を送る駐在員は普段の仕事が忙しく、資産運用をする時間がない方も多いのではないでしょうか。ドルコスト平均法を使えば投資における手間は最小限に減らせます。

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記事監修:INSURANCE 110 DIRECTOR 才田 弘一郎
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