お金の増やし方から、人生の活かし方へ。2026年から始める「志産運用」のススメ【海外在住者向け】


記事監修者プロフィール
INSURANCE 110 DIRECTOR/シニアコンサルタント
才田 弘一郎
日本・海外で累計7,000名以上のお客様の資産運用をサポート。香港、シンガポール、日本、アメリカなど世界各国の保険やオフショア商品の事情に精通。「資産運用は、人生という旅の羅針盤であるべき」を信条に、クライアント一人ひとりの「志」とキャリアプランに寄り添ったコンサルティングを提供している。
海外駐在を機に収入は増えたものの、日本のNISAやiDeCoが使えず、どう資産運用すれば良いか途方に暮れていませんか?あるいは、2024年の新NISA開始と同時に投資を始めたものの、その後の市場の乱高下に「本当にこのままで良いのだろうか」と漠然とした不安を抱えてはいないでしょうか。周りでは「億り人」が話題になる一方で、自分の資産は増えたり減ったりを繰り返し、ただ数字に一喜一憂する日々に疲弊感を覚える…そんな声が、私たちのもとには数多く寄せられます。
本記事を読めば、あなたも「増やす」ためだけのお金の呪縛から解放されます。非居住者特有の制約を乗り越え、2026年という新しい時代の幕開けに向けて、あなたの人生そのものを豊かにする新しい資産形成の哲学である「志産運用」のすべてがわかります。海外在住者専門のFPである筆者が、最新の税制情報から具体的なアクションプランまで、どこよりも詳しく、そして熱く解説します。この記事を読み終える頃には、あなたの中に眠る「志」が明確になり、迷いなく未来への一歩を踏み出せるはずです。
この記事でわかること
- なぜ今、多くの人が資産運用に限界を感じているのか
- あなたの人生を活かす新常識「志産運用」とは何か
- あなた自身の「志」を見つけるための具体的な方法
- 海外在住者が実践できる「志産運用」のステップ
- 複雑な国際税務を乗り越えるための考え方
- 2026年に向けて今日から始めるべきこと
Contents
- 1 なぜ今、「増やす」だけの資産運用に限界を感じる人が増えているのか?
- 2 「志産運用」とは何か?―あなたの人生を活かすお金の新常識
- 3 あなたの「志」を見つける―5つの質問ワーク
- 4 「志産運用」の実践―海外在住者のための具体的アクションプラン
- 5 海外在住者が直面する税務・制度の壁を「志」で乗り越える
- 6 「いつも隣で相談できる関係」―専門家との伴走が「志産運用」を加速させる
- 7 2026年、あなたの「志」が人生を動かす―今日から始める3つのアクション
- 8 海外在住者の資産運用に関するよくある質問(FAQ)
- 9 2026年、「増やす」から「活かす」へ―あなたの人生を豊かにする「志産運用」
- 10 グローバルな保障設計と資産運用は、110(ワンテン)グループへ
なぜ今、「増やす」だけの資産運用に限界を感じる人が増えているのか?

このセクションでは、多くの海外在住者が直面している資産運用に関する根本的な課題を深掘りします。単なるリターンの追求だけでは得られない精神的な充足感の欠如や、非居住者特有の制度的制約がもたらす閉塞感、そして近年の大きな市場の上下動が投資家心理に与えた影響を分析します。
なぜ多くの人が「このままではいけない」と感じ始めているのか、その背景にある構造的な問題を明らかにすることで、新しいアプローチである「志産運用」の必要性を浮き彫りにします。
海外駐在で収入は増えたのに、なぜか満たされない
海外駐在はキャリアアップと収入増をもたらす一方で、多くの人が精神的な「満たされなさ」を感じています。その根源には、資産運用の目的が「増やす」こと自体になってしまい、日々の市場の変動に心が振り回される「精神的な疲弊」と、非居住者であるために日本の金融サービスから締め出され、選択肢が限られるという「制度的な焦り」が存在します。
「増えた・減った」に一喜一憂する日々の疲弊
朝起きてまず証券口座のアプリを開き、評価額の増減に一喜一憂する。そんな毎日を送っていませんか?2020年以降の金融市場は、テクノロジー株の急騰、その後の金利上昇による調整、そしてAIブームによる再びの高騰と、非常に大きな変動を経験しました。このような環境下でリターンのみを追い求めると、精神的な消耗は避けられません。
資産は「人生を豊かにするための道具」であるはずが、いつの間にか資産に「振り回される」状態に陥ってしまうのです。これは、資産運用の目的、すなわち「何のために増やすのか」という問いが欠落していることに起因します。
非居住者の制約が生む、選択肢の狭さへの焦り
海外に居住する日本人が直面する大きな壁が、金融サービスの利用制限です。日本の証券会社の多くは、非居住者に対して新規口座開設を認めないばかりか、既存口座での取引も制限します [1]。NISA口座は所定の手続きを踏めば継続保有が可能ですが、新規の買い付けはできません。iDeCoに至っては加入資格を喪失してしまいます。
収入が増え、投資に回せる資金が増えたにもかかわらず、慣れ親しんだ日本のサービスが使えない。この状況が、「周りはNISAでうまくやっているのに自分だけ取り残されている」という焦りや孤独感を生み出しているのです。
2024-2025年の市場変動が教えてくれたこと
2024年に鳴り物入りで始まった新NISAは、多くの投資初心者を市場に呼び込みました。しかし、その後の約2年間は、投資家にとって多くの教訓を含む期間となりました。特に「人気の投資信託」に安易に飛びついた層は、市場の洗礼を浴びることになります。
新NISA開始後の急上昇と大暴落の経験
2024年初頭、新NISAの追い風を受けて日本の株式市場は史上最高値を更新する勢いを見せました。しかし、その後は世界的な金融引き締めの影響や地政学リスクの高まりから、市場は一転して不安定な状況に陥りました。このジェットコースターのような相場は、「ただ持っていれば増える」という幻想を打ち砕き、リスク管理の重要性を投資家に痛感させました。
特に、自分のリスク許容度を理解しないまま投資を始めた人々は、資産が大きく目減りする恐怖を味わうことになったのです。
「人気の投資信託」を選んだ後悔
「とりあえず人気のオルカン(オール・カントリー)やS&P500を選んでおけば間違いない」。そんな風潮の中で投資を始めた人も多いでしょう。確かに、これらのインデックスファンドは長期的な資産形成の王道です。しかし、なぜそれを選ぶのか、自分の人生の目的にどう合致するのかを深く考えずに選択した場合、市場の下落局面で不安に駆られ、狼狽売りをしてしまうケースが後を絶ちません。
他人の評価軸で選んだ投資は、その他人の評価軸が変われば揺らいでしまうのです。この経験を通じて、「自分自身の判断軸を持つこと」の重要性に気づいた人が増えています。
「志産運用」とは何か?―あなたの人生を活かすお金の新常識

このセクションでは、本記事の核心である「志産運用」という新しい概念を定義します。従来の「資産運用」がリターン(利回り)の最大化を目的としていたのに対し、「志産運用」はあなた自身の「志」(人生の目的や価値観)の実現を最上位の目的とします。
このパラダイムシフトがなぜ重要なのか、そして物理的・制度的制約の多い海外在住者にとって、なぜこの考え方が強力な羅針盤となるのかを、具体的なロジックと共に解説します。
「資産運用」から「志産運用」へのパラダイムシフト
私たちは、資産運用に対する考え方を根本から変える時期に来ています。それは、単なる言葉遊びではありません。お金と人生の主従関係を逆転させ、あなたという人間が主人公の資産形成を取り戻すための、重要なパラダイムシフトです。
「志」とは何か?―人生の目的・価値観の明確化
「志産運用」における「志」とは、あなたが人生で何を成し遂げたいか、何を大切にしたいかという根源的な価値観や目的を指します。それは、「子どもに最高の教育を受けさせたい」「45歳で早期リタイアして世界一周旅行がしたい」「社会課題の解決に貢献したい」「家族と穏やかな時間を過ごしたい」といった、一人ひとり異なる、心の底からの願いです。資産運用は、この「志」を実現するための手段であり、目的ではありません。
まず「志」があり、その実現のために「いくら、いつまでに」必要なのかを考え、その目標を達成するための最適なポートフォリオを組む。これが「志産運用」の基本的な考え方です。
なぜ「志」が先で、「お金」が後なのか
従来の資産運用では、「とにかくお金を増やす」ことが目的化しがちでした。しかし、目的のない航海が危険であるように、目的のない資産運用もまた、市場の嵐に翻弄され座礁する危険をはらんでいます。先に「志」を明確にすることで、3つの大きなメリットが生まれます。
- 判断基準の明確化: 投資判断に迷ったとき、「この投資は自分の志の実現に貢献するか?」という明確な基準で判断できます。
- 長期的な視点の維持: 市場が短期的に下落しても、「志」という長期的なゴールを見据えているため、パニック売りをせずに済みます。
- 精神的な安定: 資産の増減は「志」への道のりの一部と捉えられ、日々の評価額に一喜一憂することなく、心の平穏を保てます。
海外在住者だからこそ、「志産運用」が必要な理由
物理的な距離、情報の不足、制度的な制約。海外在住者の資産運用環境は、日本国内に比べてはるかに複雑です。このような環境下で、明確な指針なしに航海を続けるのは極めて困難です。「志産運用」は、そんな海外在住者にとってこそ、強力な羅針盤となります。
制約の多い環境で迷わないための羅針盤
「非居住者だからNISAが使えない」「どの国の証券会社を選べばいいかわからない」「国際送金の手数料が高い」…。海外在住者が直面する問題は無数にあります。これらの問題に個別に対処しようとすると、混乱し、思考が停止してしまいます。
しかし、「志産運用」のフレームワークがあれば、すべての判断を「自分の志の実現に最も効果的な選択肢はどれか?」という一点に集約できます。例えば、「子どもの5年後の進学資金」という明確な「志」があれば、リスクの高い短期投資ではなく、海外の年金保険商品やドル建て確定金利プラン、グローバル積立投資といった、より確実性の高い選択肢を検討する、といった具体的な判断が可能になるのです。
帰国後の人生設計まで見据えた戦略
海外での生活は、いつか終わりが来ることが多いものです。その時、「海外で築いた資産を日本でどう活かすか」という「出口戦略」が極めて重要になります。「志産運用」は、海外在住期間だけでなく、帰国後のライフプランまでをも見据えた長期的な視点を提供します。
例えば、「帰国後に地方でカフェを開きたい」という「志」があれば、海外在住中に得た円安メリットを活かして円建て資産の比率を高めておく、といった戦略的な判断が可能になります。行き当たりばったりの運用ではなく、人生全体を俯瞰した一貫性のある資産形成を実現できるのが、「志産運用」の最大の強みです。
あなたの「志」を見つける―5つの質問ワーク

このセクションは、記事の中核となる実践的なワークショップです。読者が自分自身の内面と向き合い、これまで言語化できていなかった「志」を発見するための、具体的でシンプルな5つの質問を提示します。これらの質問は、単なる夢物語ではなく、具体的なライフプランや資産計画に落とし込むための第一歩として設計されています。
読者がペンを取り、実際に書き出すことを促すことで、記事へのエンゲージメントを飛躍的に高めます。
「志」と聞くと、何か壮大なものを想像してしまうかもしれません。しかし、あなたの「志」は、あなた自身の心の中にすでに存在します。ただ、日々の忙しさの中で、それに気づく機会がなかっただけなのです。さあ、少し時間をとって、以下の5つの質問にじっくりと向き合ってみましょう。
正解はありません。大切なのは、あなたの心が本当に望んでいることに耳を澄ますことです。
ワーク1:10年後、どんな生活をしていたいですか?
この質問の目的: 将来の理想のライフスタイルを具体的にイメージすることで、長期的な目標を明確にする。
10年後の2036年、あなたは何歳になっていますか?どこで、誰と、どんな毎日を送っていたいでしょうか。仕事、住まい、家族、趣味、健康など、できるだけ具体的に、五感で感じられるレベルまで想像を膨らませて書き出してみてください。
「平日はリモートで働き、週末は家族と自然の中で過ごす」「年に2回は海外旅行に出かける」「専門性を活かして独立し、自分のペースで仕事をしている」など、どんなことでも構いません。
ワーク2:何にお金を使うことが最も幸せですか?
この質問の目的: あなたの価値観の優先順位を明らかにする。
これまでの人生を振り返り、お金を使った経験の中で、最も「幸せだ」「価値があった」と感じたことは何でしたか?それは、高級レストランでの食事かもしれませんし、家族旅行かもしれません。あるいは、自己投資のための学習や、誰かへのプレゼントかもしれません。
あなたがお金を使うことで得られる「感情」に注目してください。その感情こそが、あなたの価値観の核心を示しています。
ワーク3:あなたが大切にしたい人は誰ですか?
この質問の目的: 資産形成が誰のためのものなのかを再確認する。
あなたのお金や時間は、最終的に誰を幸せにするために使いたいですか?自分自身、パートナー、子ども、両親、あるいは友人や社会かもしれません。大切にしたい人の顔を思い浮かべ、その人たちのために何をしてあげたいかを考えてみてください。
資産形成は、孤独な作業ではありません。大切な人との関係性を豊かにするための営みなのです。
ワーク4:社会にどんな影響を与えたいですか?
この質問の目的: 自己実現の先にある、社会との関わり方を探る。
自分のため、家族のため、という視点から一歩進んで、あなたが社会に対してどんな貢献をしたいかを考えてみましょう。それは、NPOへの寄付かもしれませんし、自分の専門知識を活かしたボランティア活動かもしれません。あるいは、環境に配慮した企業に投資すること(ESG投資)も、一つの形です。
社会との関わり方を考えることで、資産形成に新たな意味と深みが生まれます。
ワーク5:人生の最期に何を残したいですか?
この質問の目的: 人生の最終ゴールから逆算して、今やるべきことを明確にする。
少し遠い未来の話に聞こえるかもしれませんが、これは最も重要な質問です。あなたがこの世を去る時、家族や友人に、そして社会に、何を残したいと思いますか?それは、金銭的な資産だけではないはずです。「たくさんの愛情と思い出」「挑戦し続けた背中」「社会を少しでも良くしたという事実」…。
この最終的なゴールから逆算することで、今、この瞬間から始めるべき「志産運用」の方向性が、より一層明確になるでしょう。
「志産運用」の実践―海外在住者のための具体的アクションプラン

このセクションでは、前セクションで見つけた「志」を、具体的な資産形成のアクションに落とし込むための4つのステップを詳細に解説します。「志」という抽象的な概念を、具体的な「目標金額」に変換する方法から始め、現状の資産を正確に把握する「棚卸し」、そして非居住者でも活用できる具体的な金融商品の選択肢、最後に「志」に基づいたポートフォリオの構築事例まで、一気通貫で解説します。理論から実践への橋渡しとなる、この記事で最も実用的なパートです。
STEP1:あなたの「志」を数値化する―目標金額の算出
「志」を具体的な行動計画に落とし込む最初のステップは、それを「いつまでに、いくら必要か」という数値目標に変換することです。これにより、漠然とした夢が、達成可能な具体的なゴールへと変わります。
ライフイベントごとの必要資金を洗い出す
まずは、あなたの「志」に関連する将来のライフイベントを時系列で書き出してみましょう。例えば、「子どもの大学進学」「自身の早期リタイア」「両親の介護」「自宅の購入」などです。次に、それぞれのイベントにいくら必要になるかを、現在の価値で見積もります。
インターネットで検索したり、専門家の意見を聞いたりして、できるだけ現実的な金額を算出することが重要です。
「志」を実現するための具体的な金額を設定
ライフイベントごとの資金を洗い出したら、それらを合計し、いつまでに準備する必要があるかを明確にします。例えば、「15年後に子どもの大学資金として2,000万円、25年後に自分たちの老後資金として6,000万円が必要」といった形です。これが、あなたの「志産運用」における具体的な目標金額となります。
この目標が明確であればあるほど、後のポートフォリオ構築が容易になります。
STEP2:現状の資産を棚卸しする
目標を設定したら、次に現在地を確認します。日本国内と海外に保有するすべての資産を洗い出し、一覧化することで、目標達成までの距離を正確に把握します。
日本と海外の全資産を一覧化
預貯金(円、外貨)、株式、投資信託、保険、不動産、年金(確定拠出年金など)、暗号資産など、国内外に保有するすべての資産をリストアップし、それぞれの時価を評価します。特に海外資産については、為替レートを考慮して円換算額も併記しておくと良いでしょう。
この作業を通じて、自分がどれだけの資産を持っているのかを客観的に把握できます。
リスク資産と無リスク資産の配分確認
一覧化した資産を、「リスク資産」(株式、投資信託、不動産など、価格変動リスクがあるもの)と「無リスク資産」(預貯金、個人向け国債など、元本割れリスクが極めて低いもの)に分類します。現在の資産全体に占めるリスク資産の割合を計算し、それが自分のリスク許容度(どれくらいの価格変動に耐えられるか)と合致しているかを確認します。この配分が、ポートフォリオの基本的な性格を決定します。
STEP3:非居住者でも活用できる資産運用の選択肢
日本の金融サービスに制約がある海外在住者でも、世界に目を向ければ多様な選択肢が存在します。ここでは、代表的な4つの選択肢について、その仕組みと注意点を解説します。
海外証券口座の活用(アメリカ・シンガポール・欧州)
アメリカのインタラクティブ・ブローカーズ(IB証券)やシンガポールのフィリップ証券など、非居住者でも口座開設が可能な証券会社は存在します。これらの証券会社を利用すれば、世界中の株式やETF(上場投資信託)に直接投資することが可能です。
手数料が日本の証券会社より安い場合も多く、多様な金融商品にアクセスできるのが魅力です。ただし、口座開設には英語での手続きが必要な場合が多く、税務申告も自分で行う必要がある点に注意が必要です [2]。
グローバル積立投資(オフショア投資)の仕組み
香港やマン島といったオフショア地域(税制優遇地)の金融商品を活用する方法です。保険会社などが提供する積立プランを通じて、世界中のファンドに分散投資を行います。毎月一定額を積み立てるドルコスト平均法を活用でき、長期的な資産形成に向いています。
契約はIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)を通じて行うのが一般的です。商品の仕組みが複雑な場合や、手数料が高額なケースもあるため、信頼できるIFAを見つけることが成功の鍵となります [3]。
海外不動産投資の可能性と注意点
経済成長が期待できる国の不動産に投資し、家賃収入(インカムゲイン)や将来の値上がり益(キャピタルゲイン)を狙う方法です。特に東南アジア諸国などは、比較的少額から投資できる物件もあります。しかし、現地の法律や税制、管理会社の選定、空室リスクなど、株式投資とは異なる専門的な知識が必要です。
安易に高利回りを謳う業者には注意し、信頼できる情報源を確保することが不可欠です。
日本のNISA継続手続きと出口戦略
海外転出前にNISA口座を保有していた場合、「継続適用届出書」を提出することで、最大5年間、非課税の恩恵を受けたまま資産を保有し続けることができます(新規投資は不可)。これは非常に有利な制度なので、必ず手続きを行いましょう。重要なのは、帰国後の出口戦略です。
帰国して居住者に戻れば、再びNISA口座での新規投資が可能になります。海外在住中に育てた資産を、帰国後のNISA枠でどう活用していくか、長期的な視点で計画を立てることが重要です。
STEP4:あなたの「志」に基づくポートフォリオ構築
ここまでのステップを踏まえ、具体的な「志」を持つペルソナを例に、ポートフォリオの構築事例を見ていきましょう。
事例1:子どもの教育を最優先する駐在員(35歳・シンガポール)
- 志: 15年後に子どもをアメリカの大学に進学させたい(必要資金:約3,000万円)
- ポートフォリオ方針: 目標時期と金額が明確なため、安定性を重視。米ドル建ての資産を中心に据える。
- 具体的構成:
コア資産(60%):国際積立投資を活用し、全世界株式インデックスファンドと米国債券ファンドに毎月積立。
サテライト資産(40%):シンガポールの証券口座で、米国の高配当株ETFや成長期待の大きいテクノロジー株ETFに投資。
事例2:早期リタイアを目指す起業家(40歳・ドバイ)
- 志: 10年後の50歳でセミリタイアし、世界を旅しながら暮らしたい(必要資金:1億円)
- ポートフォリオ方針: 目標達成までの期間が短いため、ある程度のリスクを取り、高いリターンを目指す。
- 具体的構成:
コア資産(50%):ドバイの非課税メリットを活かし、米国の証券口座でS&P500やNASDAQ100などのインデックスETFに集中投資。
サテライト資産(50%):成長著しいインドやベトナムの株式ファンド、暗号資産、エンジェル投資など、ハイリスク・ハイリターンな資産にも分散。
事例3:社会貢献を重視する富裕層(50歳・アメリカ)
- 志: 資産の一部を環境問題や貧困問題の解決に役立てたい。
- ポートフォリオ方針: 財務的リターンと社会的リターンの両立を目指す。
- 具体的構成:
コア資産(70%):ESG(環境・社会・ガバナンス)評価の高い企業で構成された投資信託やETFを中心に据える。
サテライト資産(30%):再生可能エネルギー関連のプロジェクトに直接投資するインパクトファンドや、マイクロファイナンス機関への融資など、より直接的な社会貢献につながる投資を行う。
資産移転に有効な保険信託プランを活用し、債券・株式など組み合わせたポートフォリオで「安定運用 ✕ 次世代移転 ✕ 最適分配」を実現し「志」をつなぐ準備。
海外在住者が直面する税務・制度の壁を「志」で乗り越える

このセクションでは、海外在住者にとって最も頭の痛い問題である国際税務と、近年厳格化が進む報告制度について解説します。CARF、出国税、CRSといった専門用語をわかりやすく説明し、それらが「志産運用」にどのような影響を与えるかを明らかにします。
重要なのは、これらの制度を単なる「壁」と捉えるのではなく、「志」を実現するための航海図の一部として理解し、適切に対応していく姿勢です。
2026年から始まるCARF(暗号資産情報交換)への対応
CARF(Crypto-Asset Reporting Framework)は、OECDが策定した暗号資産に関する新たな国際的報告基準です。日本では2026年1月1日から施行され、2027年には2026年分の取引情報が各国の税務当局間で自動的に交換されることになります [4]。
これにより、海外の取引所を利用した暗号資産の取引も、日本の国税庁に把握されることになります。「海外だからバレない」という考えは、もはや通用しません。「志産運用」の観点からは、暗号資産もポートフォリオの一部として適切に申告し、クリーンな資産形成を行うことが、長期的な心の平穏につながります。
出国税(1億円以上の有価証券保有者)の基礎知識
出国税(国外転出時課税制度)とは、1億円以上の有価証券等を保有する富裕層が日本から海外へ移住する際に、その含み益に対して所得税が課される制度です [5]。これは、税率の低い国へ移住してからの売却による租税回避を防ぐためのものです。
対象となる可能性がある場合は、出国前に専門家と相談し、納税資金の準備や納税猶予制度の活用を検討する必要があります。「志産運用」においては、この出国税もライフプランニングのコストとして事前に織り込んでおくことが、計画の実現可能性を高める上で不可欠です。
CRS(共通報告基準)と海外資産の透明化
CRS(Common Reporting Standard)は、CARFの先行版とも言える制度で、すでに世界100カ国以上が参加しています。これにより、海外の銀行口座や証券口座の情報(氏名、住所、口座残高など)が、各国の税務当局間で自動的に交換されています。
CRSとCARFの存在により、海外資産の透明化は決定的となりました。「志産運用」は、このような透明性の高い世界を前提とした、誠実な資産形成のフレームワークなのです。
帰国後の税務処理と資産運用の再構築
海外で得た資産を日本に持ち帰る際や、帰国後に海外資産から利益が生じた場合の税務処理は非常に複雑です。どのタイミングで、どの資産を、どの通貨で日本に送金するのが最も有利か。帰国後の日本の居住者として、どのようなポートフォリオに再構築すべきか。
これらの問いに答えるためには、「志」に基づいた長期的な計画と、国際税務に精通した専門家のアドバイスが不可欠です。海外在住期間は、ゴールではなく、あくまで「志」を実現するプロセスの一部なのです。
「いつも隣で相談できる関係」―専門家との伴走が「志産運用」を加速させる

このセクションでは、「志産運用」を成功させるための最も重要な要素の一つである「専門家との連携」について解説します。なぜ独力での資産運用が失敗しやすいのか、その心理的・情報的な背景を分析し、「志」を共有し、長期的に伴走してくれるパートナー(専門家)を見つけることの価値を強調します。そして、読者が実際に信頼できる専門家を選ぶための、具体的なチェックポイントを提示します。
なぜ一人で悩むと失敗するのか
情報が民主化された現代において、資産運用に関する知識はインターネットで容易に入手できます。しかし、それでもなお、多くの人が独力での資産運用に失敗するのはなぜでしょうか。
情報の不足と孤独感が生む判断ミス
インターネット上の情報は玉石混交であり、海外在住者という特殊な状況に完全に合致した情報を見つけ出すのは至難の業です。断片的な情報を頼りに判断を下すことは、重大な判断ミスに繋がりかねません。また、周りに相談できる相手がいないという孤独感は、市場の変動に対する不安を増幅させ、非合理的な行動(高値掴みや狼狽売り)を引き起こす原因となります。
「志」を共有できるパートナーの価値
信頼できる専門家は、単に金融商品を販売する人ではありません。あなたの「志」を深く理解し、その実現に向けて共に歩む「伴走者」です。彼らは、豊富な知識と経験に基づき、あなたに最適な航路を提案してくれるだけでなく、市場の嵐が来た時には、あなたの隣で「大丈夫、計画通りです」と声をかけ、心の支えとなってくれます。
この精神的なサポートこそが、長期的な資産形成を成功させる上で最も価値のあるものかもしれません。
信頼できる専門家の選び方
では、どうすればそのような「伴走者」を見つけることができるのでしょうか。以下の3つの基準を参考にしてください。
海外在住者対応の実績を確認する
まず大前提として、あなたの居住国における税制や金融商品に精通しているか、そして非居住者である日本人のサポート実績が豊富かどうかを確認しましょう。ウェブサイトの事例や、初回相談での受け答えから、その専門性を見極めることができます。
「志」を理解してくれるかを見極める
初回の相談で、いきなり金融商品の話ばかりする専門家は要注意です。本当に信頼できる専門家は、まずあなたの「志」、すなわち人生の目的や価値観について、時間をかけてヒアリングしてくれるはずです。あなたの話に真摯に耳を傾け、共感を示してくれるかどうか。
その姿勢が、長期的なパートナーシップを築けるかどうかの分かれ目です。
手数料体系の透明性をチェックする
専門家への報酬(手数料)が、どのような体系になっているかを明確に確認しましょう。商品販売時に発生するコミッションベースなのか、資産残高に応じたフィーベースなのか、あるいは時間単位の相談料なのか。手数料体系が不透明な場合は、注意が必要です。誠実な専門家は、自らの報酬体系について、隠すことなく明確に説明してくれます。
2026年、あなたの「志」が人生を動かす―今日から始める3つのアクション

この記事をここまで読んでくださったあなたは、もう「増やす」だけの資産運用に別れを告げ、新しい一歩を踏み出す準備ができています。2026年を「志産運用」元年にするために、今日から始められる具体的な3つのアクションを提案します。完璧を目指す必要はありません。小さな一歩が、10年後、20年後の大きな違いを生むのです。
アクション1:今週中に「志」を書き出す
まずは、この記事で紹介した「5つの質問ワーク」に取り組んでみましょう。週末にカフェで1時間、自分と向き合う時間を作るのがおすすめです。誰に見せるものでもありません。あなたの心の声を、正直に書き出してみてください。これが、すべての始まりです。
アクション2:来月までに資産の棚卸しを完了する
次に、国内外に散らばっているあなたの資産をすべて洗い出し、一覧表を作成しましょう。エクセルやスプレッドシートを使うと便利です。この作業を通じて、あなたは自分の「現在地」を正確に把握し、目標までの距離を測ることができます。
アクション3:3ヶ月以内に信頼できる専門家に相談する
「志」を書き出し、現状を把握したら、勇気を出して専門家のドアを叩いてみましょう。初回相談は無料で行っている専門家も多くいます。この記事で紹介した「専門家の選び方」を参考に、複数の専門家と話してみるのも良いでしょう。最高の伴走者との出会いが、あなたの「志産運用」を加速させます。
海外在住者の資産運用に関するよくある質問(FAQ)

Q. 「志産運用」を始めるために、まず何をすべきですか?
A. まずは本記事で紹介した「5つの質問ワーク」に取り組み、ご自身の「志」を言語化することから始めてください。何のために資産を形成するのかという目的が明確になることで、その後のすべてのステップがスムーズに進みます。
Q. 非居住者でもNISAを継続できますか?
A. はい、可能です。海外へ転出する前に、利用している金融機関に「継続適用届出書」を提出することで、最大5年間、NISA口座で保有している商品を非課税のまま持ち続けることができます。ただし、新規の買い付けはできません。帰国時には「帰国届出書」を提出することで、再びNISA口座を利用できるようになります。
Q. 海外で得た利益の確定申告は必要ですか?
A. 日本の非居住者である場合、日本国内で発生した所得(国内源泉所得)以外は、原則として日本での確定申告は不要です。海外で得た投資利益については、お住まいの国の税法に従って申告・納税することになります。ただし、帰国後や、日本の居住者・非居住者の判定が複雑なケースもあるため、詳細は税理士などの専門家にご相談ください。
Q. 出国税の対象になるか心配です。
A. 出国税(国外転出時課税制度)は、出国時に1億円以上の有価証券等を保有している方が対象です。対象資産には株式や投資信託などが含まれますが、預貯金や不動産は含まれません。ご自身の資産状況が対象になるか不明な場合は、国税庁のウェブサイトを確認するか、税理士に相談することをおすすめします。
Q. 2026年から始まるCARFとは何ですか?
A. CARF(Crypto-Asset Reporting Framework)は、暗号資産に関する国際的な自動的情報交換制度です。これにより、海外の取引所で行った暗号資産の取引内容も、日本の国税庁に報告されるようになります。暗号資産取引の透明性を高め、国際的な租税回避を防ぐことを目的としています。
Q. 帰国後、日本での資産運用を再開できますか?
A. もちろんです。日本に帰国し、再び居住者となれば、NISAやiDeCoといった日本の制度をフルに活用して資産運用を再開できます。海外在住中に築いた資産を、帰国後のライフプランに合わせてどのように再構築していくかが重要になります。帰国前に専門家と相談し、計画を立てておくことをお勧めします。
Q. 「志」が明確でなくても「志産運用」は始められますか?
A. はい、始められます。「志」は最初から完璧に明確である必要はありません。相談していくなかで、資産運用を学び、実践していく過程で、徐々に自分の価値観や人生の目的がクリアになっていくことも多くあります。大切なのは、「どのように生きるのか?」という意識を持って、資産形成に取り組むことです。専門家との対話を通じて、「志」が明確になるケースも少なくありません。
2026年、「増やす」から「活かす」へ―あなたの人生を豊かにする「志産運用」

本記事では、従来の「増やす」ことだけを目的とした資産運用から脱却し、あなたの人生の目的である「志」を実現するための新しい資産形成の哲学、「志産運用」について解説してきました。海外という制約の多い環境にいるからこそ、この「志」という羅針盤が、あなたの資産形成の航海を力強く導いてくれます。
2025年も、もうすぐ終わりを迎えます。来年、2026年を、ただ漫然と迎えるのか、それとも明確な「志」を胸に、新しい人生の第一歩を踏み出すのか。その選択は、あなた自身の中にあります。この記事で紹介した「5つの質問ワーク」と「3つのアクション」は、そのための具体的な処方箋です。
お金は、それ自体が目的ではありません。あなたの人生を、そしてあなたの大切な人の人生を、より豊かに、より自由に、より深くするための、強力な「道具」です。さあ、2026年を、あなたがお金の主人となる「志産運用」元年にしましょう。私たちは、その挑戦を心から応援しています。
参考文献
[1] 金融庁. “非居住者の取引に係るご注意”
[2] Interactive Brokers. “Account Types”
[3] 金融庁. “海外の無登録業者との取引にご注意ください!”
[4] OECD. “Crypto-Asset Reporting Framework and Amendments to the Common Reporting Standard”
[5] 国税庁. “国外転出時課税制度の概要”
ディスクレーマー(免責事項)
本記事に記載されている情報は、2025年12月時点の法令や情報に基づき作成されています。記事の内容は、情報提供を目的とするものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。
また、税務に関する記述は一般的な内容であり、個別の状況によって取り扱いが異なる場合があります。具体的な税務処理については、必ず税理士などの専門家にご相談ください。
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