【2024】アジアの保険に関する最新トレンド|海外金融業界の時事ニュースを解説

アジアの経済は、中国やASEANを中心に成長著しく、保険市場についてもさらなる発展が見込まれています。多くの日系保険会社の進出も進んでおり、保険事業を通じてアジア各国・地域の経済発展に寄与するための活動を行なっています。

一方で、アジア地域は、地震や洪水といった自然災害も多く、経済的な損失の一部を、保険を通じてカバーしてこれに対処することが、非常に重要な要素です。今回は、アジアの生命保険。損害保険の市場やその動向について、考察していきます。

アジアの生命保険市場の現状と展望

アジア市場における生命・医療保険料の成長率は、その他地域を上回っており、約4分の3の人たちが生命保険に加入しているというデータがあります。日本では2022年の加入率は62%となっています。

一方、各国の保険の普及度を国際比較する場合は、GDPに対する保険料の比率が使われることが多く、スイス再保険が公表した2021年における各国の生命保険収入保険料のGDPに対する比率を見ると、中国・インドをはじめとするアジア新興国では、それぞれ2.1%、3.2%と低いという結果が出ています。

つまり、生命保険に加入している人は多いものの、保険料が低い商品に加入しているということを表しています。

まだまだ成長の余地のあるアジアにおける保険市場は、2030年まで成長し続けると想定されています。アジア太平洋地域の新興市場では、2019年から2025年にかけて生命保険料が年平均6~7%成長することが予測され、この地域における成長を牽引することが期待されています。また、先進国でも2〜3%の緩やかな成長が見込まれています。

アジアの保険市場の変化

近年の激しい世相の混乱や不確実性が高まる中で、今後のトレンドとして、保険業界の中心的な役割が、損失の補償からリスク回避への転換や、社会的ニーズに寄り添ったものに移り変わっていくとされています。

また、プッシュ型の営業から、優先課題を適切なタイミングで引き出して解決することで、顧客獲得につなげる方向性へと転換していくと思われます。

例えば、健康管理ツールのサブスクリプション購入などリスク対策サービスに加入した顧客を対象に、保険料の割引や無料健康診断の提供などリスクソリューションを提供するといった営業方法です。

保険会社は、この変化の兆しによる市場機会を掴むために、デジタル化をより一層促進させています。同時に、デジタル化ニーズの高まりにより、インシュアテック企業の市場参入も活発になっています。こうした変化に伴って、保険会社は一歩進んだ消費者の考え方や声に耳を傾けるべき時が来ていると言えるでしょう。

アジアの損害保険市場の現状と展望

一方で、損害保険の状況はどうなっているのでしょうか。2023年、アジア太平洋地域は複数の大地震に見舞われました。また、猛暑も予期せぬ危険な状況となり、アジア地域の一部では異常気温が長期化しています。

特に中国では7月に52.2℃まで気温が上昇し、暑さの新記録を樹立しています。4月と5月には、南アジアと東南アジアの多くの国が数週間にわたる熱波に見舞われ、特に中国とインドに影響を及ぼした干ばつにより、数十億ドルの損失が発生しました。

さらに、アジア太平洋地域では洪水が依然として脅威で、2023年の損害総額の64%以上を占めました。このようにアジア地域と自然災害への対処は、切っても切れない関係にあります。

一般的に、人口が多い地域は投資や潜在的な保険加入率の高さにより自然災害に対する備えが整っている一方で、こうした影響がでている地域の多くは、保険の普及率が非常に低いことも明らかとなっています。

こうした状況を背景に、自然災害による経済損失を保険でカバーできない事態をなくすための枠組みがアジアで動き出しています。保険に関する専門的知見をもつ国際組織がアジア各国に自然災害への保険ノウハウを浸透させ、経済的な損害の軽減につなげる狙いがあります。

中国インターネット保険の拡大

ここで、中国の状況を見てみましょう。中国では、健康意識の高まりからネット保険の需要が更に拡大しています。

従来のように、営業員が一方的に保険を販売するスタイルとは異なって、現在の保険商品と顧客の接点は、SNSや保険会社のアプリ、動画アプリなどが上位となっており、双方向性を重視した販売が広がっています。

SNSのプッシュ通知や保険コンサルなどのグループ機能など、日常的によく使用しているコンテンツから保険商品を理解し、それが加入につながっているのです。

また、自社のアプリ開発による顧客の取り込みや、ショート動画アプリでライブ配信を行って、リアルタイムで保険商品の紹介や質疑応答サービスを提供している保険会社も増えています。

中国保険業協会の統計によると、2013年から2022年の10年間で、オンライン上で販売されたネット保険の保険料収入は290億元から4,783億元へと急増し、保険市場全体の10%を占めるほどに成長しています。

また、社会のデジタル化や新型コロナウイルスをきっかけに、ネット保険を取り扱う保険会社も60社から129社まで増加しています。

このように、アジアでも最大の人口を持ち、ネットサービスが普及している中国では、保険業界もその姿を変えつつあります。このトレンドは、他のアジア地域にも普及していくものと思われます。

先進国においては、保険を購入する事で新規ビジネスへのチャレンジが生まれる。もしくは安心した取引につながると言われています。保険会社が審査・査定をするという事で、ある一定基準の信頼を得ているという根拠にもなり得ます。

世界におけるアジア一帯が占める割合も増えており、今後一層、保険への関心が高まっていくことが予想されます。

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