【2024】青汁王子が資産を失った「信用取引」と「追証」とは?

はじめに

かつて青汁事業で成功を収め「青汁王子」として一躍有名になり、さまざまなビジネスやメディア活動を展開して多くのフォロワーを獲得している実業家の三崎優太氏。8月13日に、その三崎氏がX(旧Twitter)で、「何を隠すこともなくお金がなくなりました。リアルになくなりました」と8万6130円となった預金残高の画像を公開し話題となりました。

三崎優太氏といえば、そのカリスマ性と大胆な発言で多くのメディアやSNSで注目を集めて来た人物のため、今回も話題作りではないか、という意見もあります。しかし、株式の信用取引によって全ての財産を失ったと言っており、多くの人がその取引や真意に関心を寄せています。三崎氏が全財産を失ってしまったとされる信用取引というのは、一体どのようなものなのでしょうか。

信用取引とは

信用取引は簡単に言うと、自分が所持している資金力以上の金額で株式投資を行うことです。自分の資金や株式などを担保にして、証券会社から株の買付に必要なお金を借りて投資する仕組みです。通常の現物取引の場合、資金がなければ株式を購入することは出来ませんが、信用取引の場合、手元に投資金額がなくても、いわゆる「レバレッジ」を活用して大きな金額を動かして株式取引が出来るので、投資のチャンスを逃すことなく大きな利益を狙うことができるのです。一方で、信用取引にはリスクもあり、自己資金以上の損失が発生することやコストが発生する可能性があります。リスク管理を怠り、ギャンブルのような取引を行う人の中には、借金をするほど大きな損失を出してしまう人も一定数存在しているのです。

信用取引のメリット

信用取引のメリットは大きく分けて2つあります。

①資金効率が向上する

信用取引の場合、一般的に取引額の30%の保証金を納めることで、自己資金の約3.3倍の取引ができるようになります。自己資金は変わらないまま取引可能な金額が増えるので、資金効率の向上を図ることが出来ます。これがいわゆる「レバレッジ効果」というものです。手元に資産が少なくても、大きな利益を得るチャンスがあります。

②株価下落局面で利益が狙える

現物取引の場合、一般的に買いでしかポジションを保有することができない仕組みになっています。そのため、株価が上昇することでしか利益を上げることができません。一方で、信用取引の場合は、買いだけでなく売りから取引を始めることができるため、株価の下落局面でも利益を狙うことが可能です。

信用取引のデメリット

一方で、信用取引にはデメリットもあります。

①大きな損失が出ることがある

信用取引は、自己資金の約3.3倍までレバレッジをかけた取引ができるため、大きな利益が出る期待がある一方、株価が思わぬ方向に大きく動いた場合、損失時のリスクも同様に大きくなります。

②追証が発生することがある

追証(おいしょう)とは、株式の変動によって、追加で委託保証金と呼ばれる担保の差し入れが必要となった状況のことをいいます。追証が発生した場合、証券会社が指定する日時までに入金を行う必要があります。

③現物取引よりもコストがかかる

現物取引でかかるコストは、基本的に売買手数料のみですが、信用取引では現物取引にないさまざまなコストがかかります。証券会社にもよりますが、注文あたりの約定代金で売買手数料を定めていたり、1日定額で売買手数料を定めていたりします。また、信用取引、証券会社から現金や株券を借りて取引を行うため、売買手数料のほかに現金を借りることで発生する金利や、株券を借りることで発生する貸株料などのコストがかかります。

追証(おいしょう)とは?

追証(おいしょう)について、もう少し詳細に説明しておきましょう。追証とは「追加保証金」の略で、資金が一定の基準を下回った場合に、証券会社から求められる保証金のことを指します。信用取引の委託保証金には「最低保証金率」というものが定められています。これは信用取引をしている金額に対して、維持しなければならないという保証金の割合のことです。

信用取引をしている銘柄が値下がりして含み損が生じ、最低保証金率を保つために必要な額含み損が生じての割合が低下した最低保証金率を保つために必要な額を下回った際に、証券会社が追証を要求するのです。一般的には、証券会社から資金を借りて信用取引をする際に、30%以上の保証金を担保として入れておく必要があります。例えば、50万円の保証金を委託し、150万円の信用買いを始めるとしましょう。この保証金の額が信用買いをした銘柄の値下がりなどによって減少し、30万円を割り込むと追証が必要となります。従って、信用取引をする場合、最低保証金維持率と保証金のチェックは不可欠となります。

青汁王子のケース

2024年8月、今年史上最高値をつけた日経平均株価は5日に大暴落を起こしました。市場開始直後から売り注文が殺到し、売りが売りを呼ぶパニック状態となって、日経平均株価の終値は4451円安の3万1458円と、米国市場の大暴落「ブラックマンデー」の翌日に記録した3836円安を超える過去最大の下げ幅となりました。青汁王子こと三崎優太氏は、この8月5日の日経平均株価の大暴落により、資産を失ってしまったと言われています。おそらく信用取引を行っている際に株価が暴落し、多額の追証が必要になって資金不足に陥ったと推測されます。また、青汁王子が持っていた銘柄の株の時価総額が担保となっていたところ、日経平均株価の暴落によって価値が急落して強制決済が行われた可能性もあります。その後青汁王子は、信用取引口座を閉鎖したことを発表しており、「もう二度と同じ過ちは繰り返しません。株をやるなら必ず現物で、間違っても信用取引にだけは手を出してはいけない。下手をしたら本当に借金を背負うことになる。どうか同じような失敗をする人がいなくなりますように」とのコメントをX上で投稿しています。

おわりに

信用取引は、レバレッジをかけて大きな金額を動かすことが出来るのが魅力で、短期間で利益を狙うのに適した取引方法です。しかし、株価が予想と逆方向に動いた場合は多額の追証が発生して破産してしまうリスクもあります。信用取引は返済期日が決まっていたり、保有日数に応じて手数料がかかるなど、長期保有には向いていません。三崎氏は現在も通常の活動ができていることもあり、実際のところ大事には至っていないのかもしれません。その後三崎氏は、「三崎顧問制度」という経営サポートのような新ビジネスを開始することを発表していますので、今回の騒動はその宣伝や話題作りであった可能性も大きいです。しかし、私たち一般の投資家は、信用取引について正しく理解しながらリスクを抑えて投資することが重要です。現物取引であれば、最悪全財産を失う・・・だけですが、レバレッジをかけて信用取引をするという事は、全財産を失うだけでなく、更に莫大な借金を抱えてしまい、一生涯社会復帰できないような資産状態になる可能性ゼロではない事を肝に銘じておいてください。仕組みとルール、そして無理のない(失っても大丈夫な範囲)で、十分な証拠金と損失管理を行ったうえで、信用取引で大きな利益を目指しましょう。

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