海外保険に関するよくある質問 – 第9弾 –
お客様から実際に相談をお受けした海外保険に関して解説していきます。
本記事では2つのご質問に回答させていただきましたので、参考になりましたら幸いです。
Contents
【質問1】
Q.海外で加入した生命保険(貯蓄型保険)ですが、日本の生命保険料控除の対象になりますか?
香港などで加入する生命保険は貯蓄型が多いです。
せっかく生命保険に加入されたのに、諸事情により日本に帰国したり他の国に移動したりする場合もありますよね。
このような場合、日本の生命保険料控除の対象になりますか、という内容のご相談でしたが、、、
結論から言いますと、
A.基本適応できません
なぜ適用できないのか、その理由を解説していきます。
生命保険料控除とは
生命保険料控除が適応できない理由をお伝えする前に、まずは生命保険料控除についてご説明しますね。
生命保険料控除とは『日本国内』における、所得控除のひとつです。
払い込んだ生命保険料に応じて、一定の金額がその年の契約者(実質的な保険料の負担者)の所得から差し引かれる制度のことをいいます。
生命保険料控除を行えば、本来翌年に支払いをする所得税や住民税の負担が軽減されるのです。
日本国内で生命保険に加入していると、だいたい9月前後に加入している生命保険会社から、その年に負担した保険料の累計が記載された書類が送られてきます。
サラリーマンの方であれば、12月頃に勤め先の会社から年末調整用の源泉徴収票を渡されますよね。
源泉徴収票に送られてきた書類を添付し必要事項を記入すると、控除が適用される仕組みです。
なぜ海外で加入した生命保険は日本の生命保険料控除の適用外なのか
詳しくは国税庁のホームページに記載されています。
『No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等』の『1 対象となる生命保険契約等』の下記にある注意書きによれば、
(注) これらの契約であっても、保険期間が5年未満の契約で、いわゆる貯蓄保険や貯蓄共済は含まれません。また、外国生命保険会社等又は外国損害保険会社等と国外において締結したもの並びに信用保険契約、傷害保険契約、財形貯蓄契約、財形住宅貯蓄契約、財形年金貯蓄契約なども該当しません。
出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1141.htm
とあります。
つまり、海外の保険や損害保険などは日本の生命保険料控除には該当しません、と決められているため適用されません。
なぜ対象にならないのか
それは日本国内で認可を受けていないからです。
対象となる適用範囲は以下の図をご覧ください。
新制度 2012(平成24)年1月1日以後の契約 | 旧制度 2011(平成23)年12月31日以前の契約 | |
---|---|---|
控除の種類 | ・一般生命保険料控除 ・介護医療保険料控除 ・個人年金保険料控除 | ・一般生命保険料控除 ・個人年金保険料控除 |
https://www.jili.or.jp/knows_learns/basic/tax/22.html
生命保険文化センターのホームページから抜粋させていただきました。
図の中には香港などの海外保険の商品は該当しないため、生命保険料控除の対象にならないのです。
【質問2】
Q.香港で所得控除の対象になる商品はあるのか?
日本国内では海外の生命保険は残念ながら控除の対象外です。
香港内で香港の所得控除の対象になる商品の有無について聞かれることも多いため、ご案内します。
A.あります。QDAP(キューダップ)が対象です
QDAP(Qualifying Deferred Annuity Policy)とは2019年から取り扱いがはじまった年金商品です。
このQDAPが日本の生命保険料控除と同じような効果があります。
しかし、すべての年金商品が対象ではありません。政府の規定条件を満たす各保険会社の適応商品なら対象になります。
その条件とは
- 保険料の支払い期間は5年以上(最長15年払い)
- 総払込保険料はHKD180,000以上(USD23,077~)
- 年金受取期間の最低期間は10年以上
- 年金受給開始期間は50歳から80歳の間で年金受取可能
です。
QDAPを活用した場合、保険料の年間所得控除額は最大1人あたりHKD60,000(HKD60,000はQDAPに許可される合計節税額の上限)になります。
日本円にするとおよそ80万円ぐらいの保険料を所得から減らせるので、効果を感じられるでしょう。
所得税の一般的な最高税率(17%)に基づくと、最大節税効果額はHKD10,200になる可能性があります。
ただ、本末転倒にならないように注意すべきポイントとしては、税金を多く払いたくないからQDAPの商品を購入したほうがよいのかというと、決してそうとも言い切れません。
税金を払うほどの所得が無くなってしまった場合は、保険料という『支払い義務』だけが残ってしまいますからね。
ご自身の収入と支出のバランスをコンサルタントと相談して判断した上で決めるとよいでしょう。
今回ご説明したQDAPの商品も含め、ご不明点がございましたら弊社にお問い合わせください。
具体的なご検討に際してもご相談にのらせていただきます。
海外投資を行っている、または海外生活中で興味のあるの方はぜひご検討ください。
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