保険はこうやってできた。保険の歴史を勉強しよう(世界編)

現代では生命保険は当たり前のように認知され、多くの人が加入しています。

死亡したときや病気になったときなどにもらえる給付金の存在は、万が一の事態を考える上での大きな安心につながります。そんな生命保険ですが、はじめから完成された仕組みではありませんでした。

では生命保険がどのように誕生したのかご存じでしょうか。この記事では保険がどのような経緯で誕生したのかをご紹介します。

日本に生命保険が入ってきたのは保険が誕生したずっと後の話になるので、まずは世界編です。

生命保険のはじまり

保険ができたのはだいたい17世紀頃といわれています。その時代はイギリスが世界の覇権を握っていました。何をもってしてもイギリスからはじめることが多かったのです。

初めて保険が出てきたのもイギリスでした。

保険の考え方は相互扶助の精神で成り立ってます。生命保険は大勢の人が保険料を出し合い、加入者が死亡したときや病気になったときなどに、保険金や給付金を受け取る仕組みです。この相互扶助の精神は17世紀の考え方でもありました。

当時の保険というものは、お坊さん達がお金を出し合い、亡くなった時にそのお金を総取りする仕組みでした。しかし、『大数の法則』に準じていなかったため、保険の機能として成り立っていませんでした。

『大数の法則』は保険を考える上で欠かせない考え方です。今回は詳しくご説明しませんが、別の記事で詳しく解説いたします。

20歳のお坊さんも60歳のお坊さんも70歳のお坊さんも年齢に関係なく皆が同じ条件でお金を出しました。そこで死亡した人が皆で出し合ったお金をもらっていきます。しかし年齢は違えど、亡くならないとお金が受け取れないので高齢者ほどお金を受け取りやすく、非常に不平等な仕組みだったのです。

この不平等な仕組みに不満を持っていた若いお坊さんは、年配のお坊さんに「あなたはあと10年で亡くなるでしょう。しかし私はあと40年間待たなければならないのです。なんて不平等な制度なんでしょう」と伝えました。結果、この仕組みは10年ほどでなくなることになります。

近代的生命保険の誕生

17世紀の保険から時を経て、近代保険が誕生することになりました。1762年にイギリスのロンドンでスタートします。

ただ当時は人への保険というよりも、海上保険のように貿易などがメインでした。そこから徐々に普及していくことになります。

はじめはお金持ちから拡がりはじめ、一般人に普及したのがだいたい1800年の半ばぐらいでした。

当時の保険というのは自然保険料ではなく、『平準保険料』を採用しました。『平準保険料』は画期的で、この方式が保険会社を巨大化していくことになります。

『自然保険料』とは保険加入者の年齢に応じた死亡率をもとに、毎年変動する保険料のことです。年齢が上がれば亡くなったり入院したりとリスクが高くなりますよね。つまり保険は年齢が上がれば上がるほど条件が悪くなっていきます。

リスクが高くなっていけば、その分保険料金も高く設定しなければなりません。保険料が高くなりすぎてしまえば、保険料が支払えなくなり保険に加入しない人も増えてしまいます。これでは保険会社は安定的に保険料を受け取ることはできませんよね。

そこで10年間や20年間など区切りをつけて保険料を支払うようにしたのが『平準保険料』です。ある一定の期間を決めて保険料を平均的に払う仕組みです。

現在の保険のほとんどは、この『平準保険料』が採用されています。

この『平準保険料』を導入してからは将来受け取るべき保険料を早めに受け取ることができるようになったため、保険会社にたくさんのお金が入ってくるようになりました。さらに余った保険料をさまざまな投資に充てることで、徐々に会社が大きくなっていきます。

資産運用は保険会社が大きくなった理由のひとつです。

ここからさらに保険会社は拡大していきます。保険は19世紀の半ばぐらいになると、さらに一般人にも普及するようになりました。

イギリスのプルーデンシャル保険などが台頭し、世界の中心になっていきます。また170年以上の歴史のあるカナダのマニュライフ生命保険会社も、保険のシステムを利用し急速に拡大しました。

このように保険の歴史はまだ200年もありません。150年から170年ぐらいの間に世の中に拡がっていきました。

まとめ

生命保険は17世紀にイギリスで誕生しました。

はじめに誕生した保険は年齢は関係なく、お金を出し合って亡くなった人が総取りをする仕組みでした。しかし不平等な仕組みだったので、長く続くことはありませんでした。

そこから近代的な保険の仕組みができたのは1762年です。『平準保険料』を採用することにより、保険会社が急拡大することになりました。

保険が一般人に認知されるようになったのは19世紀の半ば頃です。このように保険が誕生してからはまだ200年も経っていません。

世界では保険という仕組みが認知されるようになっていきますが、日本ではまだ保険は知られていませんでした。日本の保険の歴史については、別の記事で詳しくご紹介します。

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記事監修:INSURANCE 110 DIRECTOR 才田 弘一郎
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香港、シンガポール、日本、アメリカなど世界各国の保険やオフショア商品の事情に精通。
日本人に適した「出口戦略」を意識した堅実な資産運用の提案が得意。