日本と海外で金融所得課税を比較するとどうなる?課税対象金額や海外移住リスクを解説!


日本と海外の金融所得課税を比較すると、その違いが気になる人は多いでしょう。海外の金融所得課税の仕組みを理解しておけば、日本と海外のどちらで働くべきかを判断する際の指標となります。

この記事では、日本と海外の金融所得課税の違いや、海外移住に伴うリスクについて紹介します。高額な資産を保有し、金融所得課税の引き上げに関する情報を収集している人は、本記事を参考にしてください。

金融所得課税とは?


金融所得課税とは、株式や預金などの金融商品から得た利益に対して課される税制度です。この制度は、これまで異なる税率で課税されていた金融所得を一体化し、総合的に課税する仕組みです。目的は、金融所得に対する課税の公平性を高め、投資環境を整備することにあります。

具体的には、利子、配当、譲渡損益などを合算し、一定の税率で課税されます。これにより、投資家にとってより透明性の高い税制となることが期待されています。

主な特徴として、異なる金融商品間での損益通算の拡大や、投資家の税負担の簡素化が挙げられます。この改正は、日本の金融市場の活性化と個人投資の促進を目的としています。

金融所得課税の税率を高めるを高める背景

日本では、2025年1月から年間3.3億円以上の所得がある人を対象に、金融所得課税の税率を引き上げることが決定しています。この措置の目的は、安定した財源の確保と所得格差の是正です。

少子高齢化が進展する中、社会保障費は増大する一方で、現役世代の減少により税収は減少傾向にあります。このような状況下で、社会保障制度を維持するためには安定した財源を確保し、税制の見直しが不可欠です。

また、格差是正も重要な背景の一つです。近年、金融所得を通じて多額の富を築く富裕層と、労働所得が主な収入源となる層との間で経済格差が拡大しています。金融所得課税の税率引き上げによって富裕層への課税が強化され、格差是正が期待されています。

これらの背景から、金融所得課税の税率引き上げに関する議論が活発化しています。

超富裕層ミニマム税とは?金融所得課税を導入する目的

超富裕層ミニマム税とは、税負担の公平性を確保するために、高い水準の所得に対する負担を適正化する措置です。年間所得が3.3億円以上の納税者に対して、所得税の実効税率が22.5%を下回る場合、その差額分を追加で支払う必要があります。

金融所得課税ではいくら稼ぐと課税対象になるの?


金融所得課税の課税対象となるのは、以下の条件を満たす人です。

  • ・合計所得が1億円以上
  • ・株式売却益のみが1億円以上


合計所得は、特定口座(配当・株式売却益)と合計所得金額(事業・給与・雑所得)などが含まれています。ただし、NIISAやエンジェル税制は合計所得には含まれません。2025年1月に導入される超富裕層ミニマム税は上記の人が課税対象となっていますが、将来課税対象となる金額が徐々に引き下げられる可能性があります。

金融所得課税の増税による影響


金融所得課税を増税すると、どのような影響があるのでしょうか。金融所得課税の増税による影響として、以下の2つの見出しで解説します。

  • ・金融所得課税の強化によって有能な人材による海外移住リスク
  • ・日本と海外の金融所得課税の比較


日本の金融所得課税の増税による影響を把握しておけば、今後どのように対策すればよいかが明確になります。それぞれの見出しを参考にし、金融所得課税を増税すべきか判断してください。

金融所得課税の強化によって有能な人材による海外移住リスク

日本は金融所得課税を強化する方向に動いていますが、それだと有能な人材による海外移住リスクは高いです。例え、海外に移住したとしてもアメリカやイギリスなどG20に加入している国であれば、日本の金融所得課税を支払わなければなりません。

多くの国で課税逃れによって、税負担をしていない富裕層に対する不満の声が強まっているからです。しかし、シンガポールやドバイなどは税金がない国に移住すれば、金融所得課税を支払う必要はありません。

富裕層が税金がない国へ移住してしまうと、日本に住んでいる高所得者が少なくなってしまいます。金融所得課税の強化は、有能な人材による海外移住リスクを高める恐れがあります。

日本と海外の金融所得課税の比較

ここでは、年間所得3.3億円未満の所得だった場合の日本・アメリカ(ニューヨーク市)・イギリス・ドイツ・フランスの税率を以下の表で比較します。

項目日本アメリカ
(ニューヨーク市)
イギリスドイツフランス
利子課税20.3%

(所得税:15%+個人住民税:5%+復興特別所得税:所得税の2.1%)
17.1~51.8%

(連邦税:10〜37%+地方税:7.1%~14.8%)
0, 20, 40, 45%26.4%

(所得税:25%+連帯付加税:税額の5.5%)
12.8%または0~45%
配当課税7.1%~34.8%

(連邦税:0,15,20+地方税:7.1%~14.8%)
8.8, 33.8 ,39.4%
株式譲渡益課税10,20%

参照:財務省|主要国における給与所得課税と金融所得課税の概要

アメリカ(ニューヨーク市)とイギリス、フランスの低い税率が適用されれば、日本より安い税金の支払いで済みます。

しかし、確実に日本より安く金融所得課税が課税される国は、今回紹介した国の中にはありませんでした。なお、年間所得が3.3億円以上の場合は、所得金額によっては他国より高額になる可能性があるため注意が必要です。

金融所得課税についてしっかり理解しよう


金融所得課税の仕組みや影響、海外との比較について解説しました。

金融所得課税の増税は、税収増加に繋がる一方で、投資意欲の減退や有能な人材の海外流出といったリスクも懸念されています。シンガポールや香港など、税率の低い国も存在し、富裕層の移住先として人気を集めています。

日本においても、金融所得課税の強化は、経済活性化と公平性のバランスを図りながら慎重に進める必要があるでしょう。

金融所得課税に関する議論は今後も続く見込みです。本記事で解説した内容を参考に、金融所得課税への理解を深めていただければ幸いです。

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