【2026年4月】米イラン停戦後の原油100ドル時代|海外在住者の資産防衛5選

監修者情報

INSURANCE 110 Director 才田 弘一郎

日本・海外で累計2,000名以上のお客様の資産運用をサポート。
香港、シンガポール、日本、アメリカなど世界各国の保険やオフショア商品の事情に精通。日本人に適した「出口戦略」を意識した堅実な資産運用の提案が得意。

「米国とイランは停戦合意したから、もう資産防衛は気にしなくていい」と考えるのは危険です。停戦後も原油価格は1バレル100ドル前後で高止まりし、円安基調とインフレ圧力は継続しています。海外に住む日本人にとって、円資産の実質目減りリスクは依然として進行中です。本記事では香港在住FPの視点から、停戦後のいまだからこそ取り組むべき資産防衛アクションを5つ解説します。

この記事でわかること

  • 米イラン停戦後も続く原油100ドル時代の実態と最新データ
  • 停戦後も日本経済・円資産にかかる3つの構造的圧力
  • 海外在住者がいま実行すべき資産防衛アクション5つ

Contents

米イラン停戦合意後も続く「原油100ドル時代」

4月の停戦と原油の高止まり

2026年2月から3月にかけての米国・イスラエルによるイラン攻撃と、それに対するイランの反撃を経て、4月に米イラン間で2週間の戦闘停止合意が成立しました。停戦合意により原油市場の急騰圧力はいったん緩和したものの、停戦後の原油価格は依然として高水準を維持しています。

実際、原油価格は2026年4月7日にWTI原油先物が1バレル112.95ドル(2022年6月以来の高値)に達した後、停戦合意を受けて4月17日には83.85ドル付近まで下落しました。しかし5月に入っても100ドル前後で推移しており、戦闘前の60〜70ドル台への完全な回復には至っていません。

時期原油価格水準(WTI)状況
2026年2月(攻撃前)約64ドル平時
2026年4月7日112.95ドル(2022/6以来高値)イラン攻撃直後
2026年4月17日83.85ドル停戦合意後の下落
2026年5月(現在)100ドル前後で高止まり標準シナリオ
戦闘再開時の最悪シナリオ150ドル上振れリスク

出典: JOGMEC JOURNAL内閣府月例経済報告関連資料

「100ドル前後が当面続く」標準シナリオ

複数の経済シンクタンクは、停戦合意後も原油価格は2026年7〜9月期にかけて100ドル前後で高止まりし、その後緩やかに下落していくシナリオを標準と見ています。トランプ大統領にとって2026年は中間選挙の年であり、選挙前に事態の早期収拾を図る政治的動機が強く働くため、夏以降に攻撃前の水準に近づくと予測されています。

ただしこれは「標準シナリオ」であり、戦闘が再開されホルムズ海峡が再び封鎖される最悪ケースでは、原油価格が150ドルに達する可能性も否定できないとされています。日本は原油輸入の約94%を中東地域に依存しており、それに用いられるタンカーの約8割がホルムズ海峡を通過するため、地政学リスクへの脆弱性は構造的に高い状態が続きます(出典: 内閣府「中東情勢の緊迫化を受けた原油の供給をめぐる問題」)。

停戦後も続く日本経済への3つの構造的圧力

圧力1: 消費者物価への押し上げが継続

原油価格が攻撃前の64ドルから90〜99ドルに上昇した状態が1年続いた場合、日本の消費者物価には年間+0.6〜0.8%の押し上げ効果が発生するとされます。これは日銀が掲げるインフレ目標2%のうち約3〜4割をエネルギーコスト由来で占めることを意味し、家計の購買力を構造的に圧迫します。

「中東は遠い国の話」と捉えがちですが、実際にはガソリン価格、電気・ガス料金、食料品、運送費、衣料品まで、原油由来コストが幅広く家計に波及します。海外在住者で日本の家族・親族に仕送りをしている方や、日本に賃貸不動産を持つ方も、賃貸需要・物価動向を通じて間接的に影響を受けます。

圧力2: 円安継続のメカニズム

日本銀行は景気を重視する金融政策スタンスを継続しており、米国との金利差は当面縮まりにくい構造が続いています。原油高による輸入額膨張は構造的な円売り需要を生み、米国との金利差拡大と重なって円安圧力を高止まりさせます。

「停戦したからもう円安は終わる」という見方もありますが、円安の根本要因は中東情勢ではなく、日本の金融政策スタンスと貿易収支構造にあります。中東リスクは円安を加速する触媒だったに過ぎず、停戦後も基調的な円安圧力は残ります。海外で生活している方こそ、日本円資産の実質価値の目減りに最も直接的に晒されています。

圧力3: 企業業績と株価への希釈効果

原油価格が攻撃前比で10%上昇した状態が1年続いた場合、TOPIX(東証株価指数)構成銘柄の経常利益は1〜1.25%押し下げられるとされます。停戦後も100ドル前後の水準が継続すれば、原油安定期と比較して日本株のEPS(1株利益)は構造的に希釈され続けます。

「日経平均は相場が戻った」と見える局面でも、エネルギー高騰によるEPS希釈が進行している点を考慮する必要があります。日本円・日本株一極集中のポートフォリオは、停戦後も継続する複合リスクに対して脆弱な構造となっています。

海外在住者が「停戦後も」取るべき資産防衛アクション5つ

アクション1: 円資産比率の総点検

海外在住者の方の中には、日本の銀行預金・退職金・国内不動産・日本株などを「円建てのまま」放置しているケースが珍しくありません。停戦後も継続する円安圧力を踏まえると、円資産が総資産の50%を超えている場合は、段階的に他通貨へ移行することを検討すべきタイミングです。

110グループの顧客事例では、円預金に偏った結果として帰国時に想定より2,000万円以上目減りしてしまったケースもあります。一方で「全額米ドル」も金利政策転換時のリスクが大きく、複数通貨での分散が現実的な解です。

アクション2: 通貨分散ポートフォリオの構築

円のみへの集中も、米ドルのみへの集中も、それぞれ別種のリスクを抱えています。海外在住者にとっては、円・米ドル・香港ドル・シンガポールドル・スイスフランといった複数通貨への分散が、有事に強い構造を生みます。

想定ケース米ドル香港ドル/SGドルその他(金等)
日本帰国予定(5年以内)40%30%20%10%
海外永住予定20%40%30%10%
帰国未定(中間)30%35%25%10%

※上記は一般的な参考モデルであり、個別の状況により最適配分は異なります。実際の配分は、ライフプラン・収入通貨・将来の生活拠点を踏まえて専門家と検討してください。

アクション3: コモディティ・金によるインフレヘッジ

原油価格の高止まりが消費者物価の押し上げに直結する局面では、金(ゴールド)・コモディティ・インフラ関連資産といったインフレヘッジ資産をポートフォリオに組み込むことが有効です。歴史的に金は地政学リスク・インフレ局面で買われる傾向があり、「有事の金」として機能します。

ETF経由でグローバル金鉱株に分散投資する方法、現物金を保管する方法、コモディティインデックスへ連動する商品を活用する方法など、複数のアプローチがあります。海外在住者は現地証券口座経由でアクセスできる商品の幅が広いため、有利に活用できます。

アクション4: 香港貯蓄型保険による米ドル建て長期運用

香港で組成される貯蓄型保険は、米ドル建てで長期運用と保障を同時に行える商品です。香港ドルは米ドルに対するペッグ制(7.75〜7.85のレンジ)が維持されており、実質的に米ドル建ての安定運用と同等の効果を持ちます。

複利運用により10〜20年単位で資産成長を狙えるとともに、保険金として相続時の流動性確保にも活用できます。日本の相続税最大55%への納税資金準備を考えると、海外保険を活用した相続対策は海外在住の日本人にとって特に有効な選択肢の一つです。110グループでも、停戦後の円安継続を見据えて、米ドル建て貯蓄型保険のご相談が増えています。

アクション5: 高資産層は信託・ファミリーオフィスの準備

総資産が30億円を超える層では、海外信託(ディスクレショナリー・トラスト)やマルチクライアント・ファミリーオフィス(MFO)の活用も視野に入ります。香港政府はファミリーオフィスの誘致を国家戦略として推進しており、サービス提供者の選択肢が拡大している現在は検討開始の好機です。

ただし日本居住者がこれらのスキームを利用する場合、外国関係会社合算課税(タックスヘイブン税制)への抵触有無を必ず日本の税理士と確認する必要があります。スキーム設計時点で日本側の専門家とのダブルチェックを行わないと、想定外の課税リスクが生じることがあります。

停戦後の資産防衛で見落としがちな注意点

注意点1: 「停戦=終わり」ではない

戦闘が一時停止しても、地政学リスクが完全に消失したわけではありません。米国の中間選挙、イラン国内の政治情勢、サウジアラビア・イスラエル間の関係など、複数の不確定要因が続いています。「停戦後の安定期」を当然視せず、むしろ「次のショックに備えるための準備期」と位置づけることが重要です。

注意点2: 急激な通貨移行は逆効果

円資産の比率を下げる場合でも、一度に大きく動かすと為替変動リスクを集中的に被ることになります。複数月にわたって段階的に移行する「ドルコスト平均法」的アプローチが、有事局面では特に有効です。

注意点3: 日本側の税務コンプライアンス

海外で運用する場合、日本の居住者は全世界所得課税の原則により、運用益・配当について日本での確定申告が必要となります。海外金融機関の口座情報はCRS(共通報告基準)により日本の国税庁に共有されるため、適切な申告が必須です(出典: 国税庁「国外財産調書制度」)。

よくある質問(FAQ)

Q1. 停戦合意したのに、まだ資産防衛を急ぐ必要はありますか?

はい、必要です。停戦後も原油は100ドル前後で高止まりしており、これによる消費者物価の押し上げ(年+0.6〜0.8%)と円安継続圧力が日本円資産を実質的に目減りさせる構造は変わっていません。むしろ「危機が一段落した今」こそ、冷静にポートフォリオを点検する好機です。

Q2. 円資産の比率はどこまで下げるべきですか?

ライフプランによりますが、日本帰国予定が5年以内の方は40%程度、海外永住予定の方は20%程度を一つの目安として、米ドル・香港ドル・シンガポールドル等への分散を進めるケースが多くなっています。ただし個別状況により最適配分は異なるため、専門家との個別相談が望ましいです。

Q3. 香港ドルでの運用方法を教えてください

香港ドルは米ドルにペッグされているため、香港で米ドル建ての貯蓄型保険、米ドル建てオフショア投資、ハンセン指数ETFなどに分散することで、実質的に米ドル建ての安定運用が実現できます。香港の独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)経由でアクセスする方法が一般的です。

Q4. 金やコモディティはどう買うのが効率的ですか?

ETF経由でグローバル金鉱株や金価格連動商品に分散投資する方法が、初心者にも取り組みやすい選択肢です。海外在住者は現地証券口座経由で日本では入手しにくい商品にもアクセスできるため、選択の幅が広がります。現物金を保有する場合は保管コストとセキュリティを考慮する必要があります。

Q5. 110グループに資産防衛について相談できますか?

110 Financial Supportでは、海外在住者・海外駐在員の資産防衛について、通貨分散・米ドル建て貯蓄型保険・香港オフショア投資・相続対策まで包括的なFPサポートを提供しています。日本人サポート実績20年以上、香港保険管理局(IA)登録の正規ブローカー(ライセンス番号: FB1667)として、停戦後の不確実性を見据えたご提案をいたします。

※本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を目的とするものではありません。投資の最終判断はご自身の責任において行ってください。税務に関する詳細は、税理士等の専門家にご相談ください。経済・金融データは2026年4月時点の情報であり、最新動向は各国の公式統計・金融当局公式サイトをご確認ください。

停戦後こそ資産防衛の総点検を|次の有事に備えるために

米イラン停戦合意は短期的な急騰圧力を緩和しましたが、原油100ドル時代・円安基調・インフレ圧力は構造的に継続しています。海外在住日本人にとって、円資産の実質目減りリスクは停戦後もむしろ進行中です。

「停戦したから大丈夫」ではなく、「次の有事に備えるための猶予期」として、円資産比率の点検、複数通貨分散、コモディティ・金によるインフレヘッジ、香港貯蓄型保険による米ドル建て長期運用、信託・ファミリーオフィスの活用準備を、いま順番に進めることが大切です。

まずは現在の通貨配分・資産配置を棚卸しすることから始めましょう。具体的なルート選定や税務面の整理が必要な段階で、海外資産運用に精通した専門家への相談が有効です。

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