【2026】資産防衛の方法とは?恒久的混乱時代のインフレ・円安に備えるポートフォリオ見直し術

監修者情報

110Financial Support認定FP/シニア資産コンサルタント
才田 弘一郎(さいた・こういちろう/Koichiro Saita)

日本・海外で累計2,000名以上のお客様の資産運用をサポート。
香港、シンガポール、日本、アメリカなど世界各国の保険やオフショア商品の事情に精通。日本人に適した「出口戦略」を意識した堅実な資産運用の提案が得意。

「世界経済は元に戻らないのではないか」。そんな不安を裏付ける宣言が、2026年6月末にタイの金融界から発せられました。積み上げた資産をインフレや円安から守りたい海外在住の方にとって、これは他人事ではありません。本記事では、香港で15年に渡り活動するFPの視点から、いま見直すべき資産防衛の方法を具体的に解説します。

この記事でわかること

  • タイ資本市場連合会(FETCO)が宣言した「恒久的混乱」の中身と6つの構造リスク
  • インフレ・円安・株価暴落が個人資産に与える影響
  • 今すぐ実行できるポートフォリオ見直しの3ステップ

タイ発「恒久的混乱」宣言とは?世界経済に何が起きているのか

2026年6月27日、タイの資本市場関連団体を束ねるFETCO(タイ資本市場連合会)のパイブン会長は「タイ投資フォーラム2026」の基調講演で、世界経済が「恒久的混乱(パーマクライシス)」の時代に突入したと宣言しました。1989年から2019年まで続いたグローバル化の黄金期は完全に終わったという認識です。

根拠として挙げられたのが、相互に絡み合う6つの構造リスクです。

構造リスク内容
地政学的摩擦米中対立や地域紛争の常態化
経済分断貿易ブロック化による市場の分裂
構造的貿易戦争米国の実効関税率は大恐慌以来の水準(FETCO講演で約20%、ジェトロ等の推計で17〜18%)
中国ショック2.0廉価な完成品の大量供給が世界市場を圧迫
財政危機世界的な政府債務の膨張
供給網断絶サプライチェーン寸断の恒常化

出典: 実効関税率の推計について、はジェトロ調査部資料(2026年2月)

パイブン会長は「インフレはこれまでより高く、金利は高止まりし、経済成長は私たちが慣れ親しんだ水準より遅くなる」と述べています。つまり一時的な危機(クライシス)ではなく、混乱が常態化した世界を前提に資産設計をやり直す必要がある、ということです。

恒久的混乱は個人の資産形成にどう影響するのか

ニュースの主語は企業や政府ですが、影響を最も受けるのは個人の家計と老後資金です。ここでは海外在住の日本人への影響を2つに絞って解説します。

インフレと高金利の長期化が「円資産の実質価値」を削る

インフレへに対する資産防衛が、これまで以上に重要になります。物価上昇率が預金金利を上回る状態が続けば、銀行口座に置いたお金は名目額が同じでも購買力が毎年目減りします。仮に年3%のインフレが10年続くと、現金1,000万円の実質価値は約744万円まで低下する計算です。

日本円で資産の大半を持つ方は、円安への備えという観点も欠かせません。輸入コストの上昇は日本国内の物価をさらに押し上げ、円の購買力低下と物価高が二重で家計を圧迫します。海外で生活費を外貨で支払う駐在員・移住者ほど、円に偏重したポートフォリオのリスクは切実です。

株価暴落や金融危機への備えは「起きてから」では間に合わない

恒久的混乱の時代には、株価暴落や金融危機が「めったに起きない例外」ではなく、「繰り返し起こり得る事象」になります。台湾有事のような地政学イベントも、資産防衛の観点では発生確率ではなく「発生した場合に自分の資産がどうなるか」で考えるべきテーマです。

私たちがご相談を受ける中でも、2024年8月の日本株急落や2025年以降の関税ショックの局面で「下がってから慌てて売る」方が後を絶ちません。有事に備えた資産防衛は平時に準備するもの、というのが、15年間マーケットの荒波を見てきた実感です。

資産防衛の方法、今すぐできるポートフォリオ見直し3ステップ

では具体的に何をすべきか。FETCOの提言と私たちの実務経験を踏まえ、3つのステップに整理します。

ステップやること期待できる効果
1. 通貨分散円への偏重を見直し、米ドル・香港ドル等に配分円安・インフレによる購買力低下を緩和
2. 地域分散中立国や成長地域の資産を組み入れる地政学リスク・一国集中リスクの低減
3. 守りの器金や貯蓄型保険などの防御資産を確保暴落時の下値抵抗力と長期の複利成長

ステップ1の通貨分散は、生活通貨と資産通貨のバランスから考えます。目安として、円建て資産が7割を超えている方は見直し

余地が大きいといえます。

ステップ2の地域分散では、FETCOが「配当の可視性が高いグローバル企業」「AI向け電力・インフラ」を有望分野に挙げた点が参考になります。米中どちらのブロックにも属さない中立国(タイやASEAN諸国等)に生産・物流が移る流れも、投資先選定のヒントになります。

ステップ3の守りの器としては、インフレヘッジの代表格である金への資産配分に加え、香港などオフショア金融センターの貯蓄型保険が選択肢になります。富裕層の資産防衛で古くから使われてきた手法ですが、実際には月数万円台から始められ、米ドル建てで年4〜6%程度の複利成長を狙いながら、株式市場の暴落とは切り離された値動きが期待できる点が特徴です。

日本円の目減りリスクへの備えについては「日本円の紙くず化・ハイパーインフレ対策と海外での資産分散方法」で、海外在住中の投資戦略は「海外赴任・駐在中のオフショア投資の魅力と投資戦略」で詳しく解説しています。

まとめ

タイ資本市場連合会(FETCO)の「恒久的混乱」宣言は、グローバル化の黄金期が終わり、高インフレ・高金利・低成長が常態化する時代の到来を告げるものでした。個人にとっての意味はシンプルです。円資産だけに頼る資産設計は購買力の面で不利になりやすく、株価暴落や有事は「いつか来る前提」で備える必要があります。

対策は、通貨分散、地域分散、守りの器の確保という3ステップ。とくに海外在住の方は、日本の非居住者だからこそ活用できる選択肢が多い今のうちに、ポートフォリオの点検から始めてください。

よくある質問(FAQ)

資産防衛とは何ですか?資産運用とどう違いますか?

資産防衛とは、インフレ・通貨安・市場暴落・制度変更などから資産の実質価値を守ることを指します。増やすことを主目的とする資産運用に対し、資産防衛は「減らさない」ことが目的です。実際には両者は表裏一体で、購買力を維持するには一定のリターンを確保することが必要になるため、防御資産と成長資産を組み合わせたポートフォリオ設計が基本になります。

円安が進むと、海外在住者の資産防衛はどう変わりますか?

海外在住者は生活費を現地通貨や米ドルで支払うため、円建て資産の比率が高いほど円安の影響を直接受けます。給与が日本円建ての方は、生活防衛資金3〜6か月分の生活防衛資金を除いた余裕資金から段階的に外貨建て資産へ移すのが現実的です。一括での両替はタイミングリスクが大きいため、時間分散を併用してください。

資産防衛に金(ゴールド)はどのくらい組み入れるべきですか?

金は利息を生まない一方、インフレや有事の局面で価値が保たれやすい防御資産です。一般に資産全体の5〜10%程度を目安として組み入れるケースが多く、それ以上の比率にすると、成長機会を損なう可能性があります。現物・ETF・金関連ファンドなど保有形態によってコストと流動性が異なる点も確認が必要です。

富裕層でなくても資産防衛は必要ですか?

必要です。むしろ資産規模が小さいほど、インフレによる購買力低下が生活に与える打撃は大きくなります。富裕層の資産防衛手法とされる通貨分散・地域分散・保険活用は、現在では月数万円台の積立から実行できるものが増えています。金額の大小よりも、「円資産一極集中を避ける」という原則の方が重要です。

保険で資産防衛はできますか?

米ドル建てや香港ドル建ての貯蓄型保険は、通貨分散と複利成長を同時に実現する資産防衛の器として使われています。株式市場と直接連動しないため暴落局面の下支えになり、死亡保障や資産承継の機能も兼ねられます。ただし短期解約では元本割れするため、10年以上使う予定のない資金で組むことが前提です。

参考情報

※本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を目的とするものではありません。投資の最終判断はご自身の責任において行ってください。税務に関する詳細は、税理士等の専門家にご相談ください。

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