【対談企画|後編】香港生活に必要なお金と資産管理の方法とは?家賃相場から税金・社会保険・年金まで
香港で多くの日本人の資産管理や移住に関するサポートをされているシニアコンサルタントの才田氏に海外移住される方々に有益な情報を教えていただいているこのコーナー。 後編となる本記事では、香港移住の中でも、お金事情をメインに、香港の平均的な家賃相場や社会保険の仕組み、銀行口座開設から資産管理に関する情報をお届けします。香港移住の準備に向けてぜひ参考にしてください。 〜対談スタート〜 香港ではどこに住むか 香港は家賃が高い 高林:「香港へ移住される方々はどのようなところに住まれているのでしょうか。」 才田:「どういうレベルの住宅に住みたいかにもよりますね。香港では家賃は場所と面積で大体決まりますが、とにかく高いです。山手になればなるほど家賃が上がります。日本の駐在の方が一般的に住まれているのは香港ドルで5万ドルくらい、日本円では100万円ぐらいのところでしょうか。責任者として役職の高い方であれば150万~200万円くらいのもっと高いところに住まれている方もいるようです。だからといってすごくキレイなところというわけではないようですが。 駐在ではなく、単身で、現地採用で来られる方は選べる範囲がすごく限られますが、それでも日本円換算で安くて15万~20万円くらいになると思います。香港に移住してくるという方は、こちらでしっかり稼ぐという目的や資産があって来られる方が多いと思いますが、ご自身が住みやすかったり、お子様を学校に送りやすかったりと、目的に応じて住居選びをされるといいと思います。あと、日本のようにインフラの整備はあまりされていませんので、例えば水回りのトラブルなどはよく聞きます。住宅に関しては日本のように満足度が高い住居を選ぶのは難しいと思いますので、その点は心得られていた方がいいですね。」 高林:「ありがとうございます。ホテル代なども高いですか。」 才田:「駐在でホテル暮らしをされている方もいらっしゃいます。ホテルのサービスを受けられるメリットはありますが安くはないですね。ただ、先程から高い、高いと言っていますが、これは為替の関係もあります。今は円が安すぎるため日本円換算でお話しするとどうしても高くなってしまうということもあります。それでもやっぱり家賃やホテル代はコロナ以降ずっと上昇傾向にあるようです。」 香港移住時のお金事情 香港での銀行口座の開設 高林:「海外に住むことになると銀行口座も必要ですが、香港ではどのように銀行口座を開設されるのが一般的ですか。」 才田:「香港での外貨(収入)を受け取るための給与口座が要りますね。個人のお金を動かせる現地の口座が必ず必要になりますが、香港ではインターナショナルバンクといわれる銀行が多々あります。イギリス系だとHSBCやスタンダードチャーターズ、中国系だとバンクオブチャイナ、アメリカ系のシティバンク、シンガポール系のDBSあたりでしょうか。各国の巨大バンクといわれる銀行が香港に支店を出していますので、どの銀行を選んでもいいと思いますし、まずは香港にずっと根付いているHSBCやハンセン銀行の口座を開設されるのもいいと思います。HSBCはどの国に行っても使えることを前提としている銀行に口座を開設しておくと、将来的にも口座を維持するために楽なのではないかと考えています。マルチカレンシー口座といって12種類ぐらいの通貨を保有できるのも便利だと思います。 大手銀行の子会社としてオンライン専業銀行なども続々と設立され、最近では銀行なのに仮想通貨を購入できるZA Bankなどもあり、まだまだ世界の金融センターとしては先端を走っているといえます。 とはいえ、最近日本から転勤して来られた方で、書類不十分だったり、銀行とのコミュニケーションがうまく取れなかったりして口座が開設できないということもありました。ですので、銀行から求められる書類をきちんと準備して来ることが大切です。 こちらで香港IDを取る前に銀行口座を開設されるのであれば、まだ香港での各種証明書がなかったりしますので、まず日本居住者というステイタスで開設することになるかもしれません。香港での各種証明書はまだ取得できてなくても(給与など)お金を受け取る必要があることもありますので、状況を考えながら開設し、その後、本人確認情報含めいろいろアップデートするという方法もあるかと思います。(日本とは違い)銀行の窓口に行ってすぐに口座開設できるというものではありませんので、準備はしっかりしてから来るようにご注意いただきたいです。」 高林:「話が少しズレるかもしれませんが、以前香港の銀行口座を開設して外貨を活用する、というお話をしていただいたかと思うので2点お聞きしたいです。1つ目は香港では現地に住んでいなくても口座開設ができるかどうか。もう1つは香港で口座を開設し帰国が決まったあと、日本帰国後も香港にそのまま口座を維持しておけるのか、教えていただきたいです。」 才田:「まず、1つ目の香港に住んでいなくても香港で口座を開設できるかというご質問ですが、基本的には開設できます。ただ、住所証明を出せる国に住んでいるという条件はあります。居住地の住所証明がなければ書類の送り先もないということですし、どこの国の課税になるかも明確になりませんよね。ですので、自分の居住地をはっきりさせて、その証明も出せるのであれば開設できると思っていただいていいと思います。 2つ目のご質問については、例えば先ほどお話ししたHSBCはワールドワイドに展開している銀行ですので、日本はもちろんイギリスやアメリカに行かれても口座を維持しておくことは可能だと思います。 ただし、2年とか一定期間口座内の資金移動やログインなど何もなければ口座凍結となり、その後数年経つと一旦お金が香港政府に預けられてしまいます。凍結解除するためには手続きの手間や時間、費用がかかりますので、住所変更はもちろん口座を維持するための管理や手続きはきちんとすることが大切です。最近では、居住国が変わった際には居住国の電話番号登録や納税番号、日本でいうマイナンバーのような番号を登録するよう求められますので、これらへの対応はきちんとすることが必要です。」 高林:「口座凍結されてしまった方はどうすればいいのでしょうか。」 才田:「どこでどのように凍結したかによっても変わりますが、日本にいて凍結した場合はまず自分で電話をしてみることですね。本人であれば解決できる可能性はあります。そのうえで凍結解除に必要な書類を教えてもらって郵送することで解決できる場合もあります。ただ、電話だと英語か広東語で話す必要があり、上手く通じない可能性もありますので、その場合には旅行などのついでに現地の窓口に行くのが一番簡単な方法だと思います。もし現地に行くのが難しいようでしたら、あくまで翻訳・通訳代行という形になりますが、弊社のグループ会社が銀行とのやりとりや手続き方法のアドバイスはさせていただいています。必要でしたら弊社が提供している『お困りごとサポート(OSSJ)』をご用命いただければと思います。」 香港での税金手続き 高林:「ありがとうございます。海外にいらっしゃる日本人の中にはフリーランスの方や会社にお勤めの方、日本と香港の両方で所得がある方などいろんなケースがあると思いますが、香港居住の日本人の方々は一般的にどのような税金手続きをされているでしょうか。」 才田:「駐在の方か、現地採用の方か、こちらで事業をされている方かなどによって大きく変わりますね。駐在の方はご自身で税金関係の手続きなどをされることはほぼないようよう思います。最近新しく来られる駐在の方はわかりませんが、通常であれば税金などの問題がないように香港での納税関係はすべて会社が行うところがほとんどだと思いますので、日本の天引きのようにされているのではないでしょうか。 ただ、そもそも香港では日本のような源泉徴収というシステムがなく、みんな毎年確定申告をします。ですので、香港での現地採用という形で雇用されている方はご自身で確定申告をされます。確定申告は4月から翌年3月までの1年分の所得を5月、6月ぐらいに申告し、納税の必要があれば1月ぐらいに納税通知書がくるというサイクルです。日本とは違い、会社員でも確定申告が必要ですのでその点は注意が必要です。紙面で申告する方法が一般的なのですが、最近ではeTAXを使って、オンラインで短時間・スムーズに税務申告をする方がスマートですので、現地採用として勤務されている方は、すぐにでも申請した方がいいですね!」 香港の社会保険・年金事情 高林:「社会保険や年金についてもお聞きしたいです。」 才田:「香港では日本のような健康保険制度はありません。その代わり、政府が運営する病院が各エリアにたくさんあり、必要な時に診てもらえる環境は整っています。いわゆる現物支給的な感じでしょうか。日本円で1,000円~2,000円で済むくらい医療費も非常に安いです。 ただ、みんなが利用するので、例えばお腹が痛くて病院に行っても待っている間に治ったということもあるぐらい待たされてしまいます。ですので、海外から香港に移住されている方の多くは民間のクリニックを利用するようになりますが、民間のクリニックには上記のような公的制度がないため個人で医療保険を準備する必要があります。民間の医療保険はプランによって手術や入院だけだったり、オプションで通院でも給付されたりといろいろありますので、必要性や保険料に応じて選択されるといいですね。 病気にならず保険を利用しなければ掛け捨てになりますが、医療機関にかかる必要が生じた場合は民間のクリニックは医療費が非常に高いので、預貯金を保険という形に変えて備えておくのがいいと思います。例えば、中耳炎で10万円、尿管結石で140万円、盲腸で200万円…などなど、円換算するとより高額に感じますね。」 高林:「公的病院と民間クリニックの違いは料金だけで、何かほかにも違いがあるのでしょうか。」 才田:「そうですね。医療技術的なものは全然変わらないと思います。ですので、民間の保険にお金をかけるかどうかの違いはすぐに診てもらえるかどうかです。(医療機関側は)患者の緊急度によって早く診るか、待たせるのかの選別をしています。 公的機関を使って待たされるのは緊急度が低いという考え方もできますが、それでも民間の医療機関はお金をたくさん払う分、早く診てもらえますのでどちらがいいかはご自身で選ぶ必要があります。 日本人は(一定割合の自己負担のみでどこでも順番に診てもらえる)健康保険システムに慣れていることもあり、例えば子供が病気で泣いてるのに数時間あるいは翌日まで待てず、とにかくすぐ診てもらえるところに連れて行くという方が多いのではないでしょうか。香港に住む場合には、日本で健康保険料を払うくらいの費用負担と考えて、香港の民間医療保険に支払うのが心の安心は買えるだろうと思います。」 高林:「本来なら病気にならないことが一番だと思うのですが、海外に移住する前に予防接種を受けたり、現地でも最低年に1回は健康診断を受けたりしたほうがいいでしょうか。」 才田:「駐在であれば、出国前に会社が肝炎系の予防接種を推奨したりすることはあると思います。これらの予防接種を受けて来られる方が多いように感じます。香港には定期健診や定期的な予防接種のルールというのがありませんので、来られた後もあくまで日本の会社の福利厚生のなかで受診される方はいると思います。 基本的に駐在の場合は、健康管理を含めた労務管理は日本の基準に従いますので、香港にいる場合でも1年に1回は健康診断を受けるという日本のルールのもと、日本と100%同じ内容とはいきませんが、弊社でも日本語のわかる機関での健康診断のアレンジメントをさせていただいています。」 高林:「民間の医療保険への加入がおすすめとのことですが、選び方についてアドバイスをいただきたいです。」 才田:「医療保険の保険料は安くはないですし、使わなければ掛け捨てになってしまいます。医療保険を準備することは大切ですが、日本(の健康保険)と同じように通院しても保障を得られるほうがいいのか、手術などの大きな部分に保険をかけるのかに分けて、効果的な医療費への備えをすることを検討されるのがいいと思います。 例えば、先ほども事例として出ましたが、尿管結石で日帰りで超音波手術を受ける場合、日本円で140万円ぐらいかかるそうです。そうなると、旅行か何かのためにせっかく貯めていたお金を使うことになってしまい、人生のライフプランが数年分逆戻りすることになる可能性もありますよね。 ちょこちょこ通院するからその分も保障してほしいというのであればフルカバーというタイプを選ばれるといいと思いますが、貯金で払うより保険料のほうが高くなる可能性もあります。 どちらを重視するかは個人の環境や状況にもよりますが、治療費を払うための医療貧乏にならないようにということだけは心がけていただきたいです。ただ、保険加入するためにはさまざまな加入条件もありますので、保険を検討される際にはまずご相談いただくのが一番かなと思います。」 高林:「医療保険に加入したいという方はどこに相談すれば良いのでしょうか。」 才田:「今回のテーマのように香港に移住ということであれば、ぜひ弊社110(ワンテン)にご相談いただきたいですね。グループ内にメディカル担当として香港の医療保険事情に詳しい者もおりますし、複数の保険会社の中からその方に合った医療保険のご紹介させていただきます。」 才田:「あと、年金のご質問もありましたね。香港では、日本でいう確定拠出年金、企業型DCやiDeCoのような制度で、給料の一定割合を掛金として個人+企業で差し引き、運用するような制度はあります。ただ、こうして国や企業が個人の老後資金づくりのためにサポートしている制度で老後資金が充分まかなえるようになるとは香港の人はみんな思っておらず、個人で株式などへの投資や年金型の保険に加入、海外の不動産に投資などしたりして、投資に対する意識が高いと感じています。 私が電車に乗っているときなども、みんなスマホで株式ボードをずっとチェックしたりしているのをよく見ます。香港で国が医療や年金を保障するのは本当に最低限であると考えておかれるのがいいと思います。(日本人の方にとっては)海外でしかできない資産運用を活用しながら将来的に日本でも使えるような年金づくりをしっかりされておくのがいいのではないかと思っています。」 香港でのお金の置き場所は 高林:「最後に資産管理の方法について教えていただきたいです。」 才田:「資産については、まず、資産を増やしたいのか、守りたいのか、そして使っていきたいのか、によってお金の置きどころが変わってくると思います。あと、香港移住ということで来たけれども後々他の国に移住したり、日本に帰国したりといったこともあると思いますので、お金の置きどころといっても、具体的にどういう形で資産を保有するのがいいかも変わってきます。 例えば、現物ゴールドとか、株式、投資、銀行預金、貯蓄型保険や年金プラン、不動産などさまざまありますが、どの場合でも出口を考えておく必要があります。 日本では資産管理上、課税が大きくて縛りとなるような税金上の問題は香港ではほとんどありませんので、資産がある方にはいいところだと思います。相続税なし、贈与税なし、キャピタルゲイン税なし、企業家の2重課税なしと、かなり税制がシンプルなのが魅力です。 プライベートバンクなんかも預金額5~6億円をベースに毎年7~8%の利益が出るような仕掛けもありますが、最終的にどういう形で自分が使ったり、次世代に渡したいかを考えて資産管理をしていただくのがいいと考えています。…
タイで資産運用するには?駐在員・移住者向けに証券会社・定期預金・投資信託をFPが比較解説【2026年版】
タイに駐在・移住している日本人にとって、現地での資産運用は避けて通れないテーマです。日本のNISAやiDeCoは海外居住中に新規積立ができず、日本の証券口座も制限されるケースが多いため、「タイにいる間に何ができるのか」を把握しておく必要があります。本記事では、110 Financial SupportのFPが、タイで利用できる投資手段(証券会社・定期預金・投資信託・国債)を比較し、駐在員・移住者それぞれの状況に合った資産運用プランを解説します。 この記事でわかること 【タイ在住者向け】なぜ資産形成を始める必要があるのか? まず、なぜ資産形成を行う必要があるのか、その理由について説明します。 持っているお金の価値が下がるインフレ対策 過去3年間の、タイの平均インフレ率は2.67%です。インフレが各国の経済に与える影響は大きく、インフレが進行すると時間の経過とともに物価が上昇し、現金や預金の実質的な価値が下がります。 そのため、利子がほとんどつかない銀行にただお金を預けているだけでは資産が目減りし、将来の生活費や、万が一の大きな支出を賄うことが難しくなるでしょう。 一方で、資産の一部を株式や投資信託などで運用すれば、インフレの影響を受けにくい環境で資産を少しずつ増やしていくことができます。もし運用によって資産が増えなかったとしても、その資産の価値を維持しつづけることができるのです。 子供に資産を引き継ぐ相続対策として 家族のために安心して生活ができるようにするため、また、資産を子どもに引き継ぐためにも、タイで資産運用を行うことは非常におすすめです。タイでは、相続に関する法律や税制が日本とは異なりますが、事前にこれらを把握したうえで資産運用を進めることができれば、将来的に資産の価値を最大限に引き出すことができます。 タイ駐在者におすすめの資産運用方法4選 タイでの駐在生活が長期に及んでいる人へ向けて、適切な資産運用の方法を紹介します。 おすすめの方法は以下の4つです 資産運用をこれから始める方や、何に投資をしていよいかわからない方はぜひ参考にしてみてください。 1. 投資信託 投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きなファンドとして運用し、株式や債券、不動産など複数の資産に分散投資する金融商品です。株式や債券を自分で選んで投資する手間が省けるうえに、プロのファンドマネージャーが運用をしてくれるので初心者にも始めやすいのが特徴です。 また、投資信託はリスク分散がしやすく、少額から始められる点が資産運用に役立ちます。投資信託には一般的なものと、税優遇付きの投資信託があります。 一般投資信託 駐在としてタイに在住の方を含め、すべての人が投資できる投資信託です。株式や債券、コモディティ、不動産といった多様な資産クラスに投資することでリスクを分散しながら運用可能です。分散投資をおこなうことで、どれか1つの投資対象で損益がでた場合でもリスクは軽減されます。 また、一般投資信託は特定のテーマや地域に特化したものも多く、例えば世界の株式市場に連動するものや、特定の業界にフォーカスしたものなどがあげられます。 一般投資信託の中でも、タイ在住者が比較的検討しやすいのは、SET50連動型のインデックスファンドや、外国株式に投資するグローバルファンドなどです。SET50連動型ファンドはタイの主要50銘柄に分散投資するため、個別株よりもリスクを抑えることができます。グローバルファンドは、タイ国内の市場リスクを避けて、世界の成長を取り込むのに有効です。 税優遇付きの投資信託(SSF、RMF) 税優遇付きの投資信託には、タイ国内で利用できる「SSF(Super Savings Fund)」や「RMF(Retirement Mutual Fund)」などがあります。これらの投資信託は、税金面での優遇があり、タイで資産運用をしたい方にとっては非常に魅力的です。 SSFは年間所得の30%、かつ年間20万バーツまで購入でき、毎年購入する必要がありません。売却については、積立開始から10年以上保有する必要があります。一方で、RMFは年間所得の30%まで購入でき、年1回以上の購入が必須です。また、満55歳以上で、積立開始から5年以上が経過しないと売却ができません。 SSFとRMFはタイに長期で滞在している方向けであり、課税所得の30%を上限とし、個人の所得控除の対象となるのがメリットです。しかし、帰国などを理由に途中解約した場合は、それまで受けていた財還付金をすべて返還する必要があります。さらに、税還付を受けた月から返還するまでの月数に対して1.5%の課徴金を支払わなければなりません。 そのため、税優遇付きの投資信託を購入し、資産形成を行う方法はタイに10年以上長期滞在をしている人、またはする予定がある人にはおすすめの方法です。 2. 外国証券会社で個別株式・上場投資信託(ETF) 外国証券会社を利用して個別株式や上場投資信託(ETF)に投資する方法は、タイ駐在者にとって、グローバルな市場に直接アクセスできるのが魅力です。個別株式では、特定の企業の成長に期待して投資ができる一方、ETFは複数の株式や債券、不動産などに分散投資することでリスクを低減しつつ、市場全体でのパフォーマンスを狙うことが可能です。 外国証券会社を通じてこれらの投資商品を購入すれば、アメリカやヨーロッパなど世界の主要市場に資産を分散でき、タイ国内の市場リスクを補完できます。これにより、幅広い選択肢から自分に合った投資戦略を実現することができるのです。 タイの株式市場はSET(Stock Exchange of Thailand)とMAI(Market for Alternative Investment)の2つがあります。SET指数は2026年現在、1,300〜1,500ポイント付近で推移しており、2025年後半のタイバーツ急騰やEV政策の転換などが市場に影響を与えています。今後の予想としては、タイ政府のデジタルウォレット政策や観光業の回復が追い風となる一方、中国経済の減速リスクが懸念材料です。 3. 日本の証券会社でiDeCo(個人型確定拠出年金) iDeCo(個人型確定拠出年金)は、日本の証券会社を通じて利用できる、将来のための積立型年金制度です。 タイ駐在員の方(日本の厚生年金加入者)の多くは、海外転出時にiDeCoの新規積立は停止となります。 そのため、積立はできませんが、既に積み立てた資産については「運用指図者」として日本帰任まで運用を継続できます。 運用益は非課税で再投資されるため、帰国後の老後資金の効率的な準備に役立ちます。iDeCoは、長期的な資産形成を目指すためのツールとして非常に有効です。ただし、海外居住者になれば日本の所得控除の対象にはなりませんので注意が必要です。 4. 海外の貯蓄型保険商品に加入 タイに駐在、または移住して長く暮らしていく場合でも、保険商品は資産を効率的に運用したり、家族の将来を守ったりするための重要なツールです。 海外の貯蓄型保険には、日本にはない商品も多く存在します。日本にはない高金利な商品や、安定した資産形成にも適している商品などがあります。 海外駐在中であることをメリットとして海外の保険商品などを運用することで、資産運用の幅が広がり、より効率的な資産形成も可能となるでしょう。…
【対談企画】あなたはどっち?海外の資産を残せるお父さん・残せないお父さん
海外には日本に比べて資産を形成する上で魅力的な商品や方法、税制などが多々あります。海外駐在や海外移住を機に海外で資産形成をしたり、日本の資産を海外に移転させたりする人も多いのではないでしょうか。一方で、せっかく海外で上手く資産を築けたとしても、場合によってはその資産を家族にきちんと残せなくなる可能性もあります。海外駐在をはじめ海外移住をする日本人が増えている昨今、あらためて海外での資産形成方法について考える必要がありそうです。 そこで、香港を中心に多くの日本人の資産づくりや管理のサポートをされているシニアコンサルタントの才田氏に「資産を残せるお父さん・資産を残せないお父さん」というテーマでインタビューを行いました。海外の資産を残せるお父さんになるための方法や、そのために準備しておくべきことなどについて教えていただきました。 〜対談スタート〜 資産を守るには海外と日本のどちらが有利? 高林:「最初に、(海外に移住された方が)資産を守るということからお聞きしたいです。日本に住んでいる場合と比較して、海外に移住すると資産を守るという点でどのようなメリットがあるのか教えていただきたいです。」 才田:「海外に移住した場合にどう資産を守るかという話ですが、まずは無理して海外にでる必要はないということをお伝えしたいです。というのも、日本は金融機関を含めて日本人が(日本語で)対応してくれますよね。私自身、海外に住んで14年になりますが、日本に帰るたびに対応の良さや充実したサービスなど、とても素晴らしいと感じています。日本はとても住みやすいですし、これらは資産を守ることにつながる要素だと思います。『資産を守る』というと税金とか為替を含めた経済的なリスクもあって海外移住……となりがちですが、税金や資産面だけ考えて海外に移住してもよいのか、資産のどういったことを守るのかということはしっかり考える必要があります。 そのうえで海外に出た場合についてお話しすると、まずは税制が日本とまったく違う国があります。例えば、香港では所得税率は16〜17%ですし、社会保険料も徴収されません。日本は、昔、5公5民といって収入を得ると半分は国(税金や社会保険料など)で半分は自分のものでした。今の日本は社会保険料、所得税、消費税など諸々を含めると6公4民もしくは7公3民と言えるような状態です。さらに、日本では三代相続すると資産がなくなるとも言われますが、大きな資産を次世代に渡す必要がある人たちにとっては相続税や贈与税もあります。ですので、大きな資産を残していくということであれば、相続税等が安い国に移動するのもひとつの方法でしょう。具体的な守り方は超資産家、ミドルアッパー層などといった資産の程度によっても変わりますが。 あと、日本にいると気づきにくいと思うのですが、日本は自分のお金を海外に移動させにくいですね。子供の留学資金や生活費など、海外送金をすることはあると思うのですが、日本は銀行窓口で海外送金する際に厳しく確認されますよね。香港やシンガポールではスマホのアプリで海外送金の設定が簡単にできます。まあ、捉え方によって良し悪しは変わりますが、自分の大切なお金をすぐに動かせるかどうかというのは、自分の資産を安全なところに移せるかどうかにも関係してきますね。」 海外で資産を残すためには 相続で有利な国を選ぶ 高林:「お話のなかで相続という言葉が出ましたが、資産を残すという意味では相続になりますよね。相続や資産保有において日本より有利な国というのはあるのでしょうか?」 才田:「相続は誰にも大切ですが、特に多くの資産を保有している方にとっては避けがたいポイントですね。まず、相続税や贈与税の有無で言うと、シンガポールやマレーシア、香港では相続税がかかりません。日本の方でも相続税の利点を重視してシンガポールに移住される方もいらっしゃるようです。アジアであればベトナムやタイもそうですね。 ただ、これらの国は不動産(土地)を現地の人以外が買えないといった問題もあったりします。だからといって、じゃあ海外居住者になるということで身体だけ移したなると、日本の当局からも相続税回避のためだけに移住したのではないかと疑いをかけられる可能性も高いです。最初にお話ししましたが、ただ税金のためだけに海外に移住しようと考えるのではなく、日本にいながらできること、海外のどこに資産の基盤を置くかなど全体的なバランスを考えながら、税金納める国や相続に有利な国、方法を選ぶべきだと思います。 でも、大切なことがありまして、本人だけが移住してもダメなんです。私もお客様の資産サポートをお受けするなかで遭遇することがあるのですが、資産のことを考えて海外に出たもののやはり日本が暮らしやすいといって帰国される方は多いんですね。その後、海外の銀行にそのまま預金を置いた状態で亡くなると、遺族がすごく大変なんです。これは香港の事例ですが弁護士費用に数百万円(数百万円が大きいかどうか?感じ方は人それぞれです)かかります。それで口座のお金(相続財産)を取り戻すのに2~3年ぐらいかかります。ですので、何の目的で移住するか、その目的を為し得るための資産運用やお金の置き場はどこがいいかというのをしっかり考えて移住されるのがいいですね。総合的に考えていくと、この国で、この相続の仕方がいいという結論が出てくると思いますが、単純に税金だけで選ぶと本末転倒になる可能性があります。」 残す資産を増やす 高林:「ありがとうございます。税金だけではなく、人それぞれのケースに合わせてどの国や方法を選ぶか相談されると良さそうですね。これもケースバイケースかもしれませんが、海外に住むとなればどのような資産を持つのが最適でしょうか?」 才田:「海外にどれだけ滞在するかによって変わります。例えば、永住される予定でしたらその地に根ざした投資の仕方が有効だと思います。例えば、アジアの発展途上にある国の不動産を購入しておくのもいいでしょうね。経済発展に従って不動産価値も上がりますし、最終的には自分で住むこともできますよね。 日本にいながら業者に勧められて買うというのは注意したほうがいいです。これもご相談をお受けすることがあるのですが、数十年前に日本でも海外不動産への投資ブームがあって投資された方もいらっしゃいます。当時、マレーシアのジョホールバルなんかは特に人気があったのですが、地価が上がりそうなエリアだと言われても実際にそこに住んでいないとどこに開発地区ができるかなんてわかりません。そのなかのどこが上がるかといった具体的なことは何もわからないですよね。 結局、投資をされて何とか上手く原資を取り戻せた方もいますが、購入費用に加えてずっと維持費がかかり、ずっと赤字のままという方もいらっしゃいます。それならまだいいですが、当時の販売業者がいなくなって、メンテナンスしてもらえないということもあるんです。不動産投資が悪いと言ってるわけではないのですが、きちんとメンテナンスもされて、最終的には自分で住めるという前提の元に購入されることが大事です。 成長が見込まれるのであれば、現地の株式市場で投資をするのもいいでしょうね。タイ・ベトナムなどは株式市場でも外国人が購入できる枠もあります。UAEでは仮想通貨関係の税金優遇があります。その国それぞれの資産運用に対する優遇制度を見ながら資産運用方法を選ぶのがいいでしょう。 大きな資産を次世代につなぎたい、相続税がたくさんかかる可能性があるという場合には、海外で貯蓄型保険を使うのがすごく有効ではないかと考えています。永住する予定だったけど帰国することになるってこともあるんですね。 先ほどもお話ししましたが、海外で資産を蓄えて日本に戻り、困ったことになったといってご家族から相談されることって多いんです。本人が認知症になったとか、死亡されたとかになると海外の銀行口座は凍結されてしまいますので。海外ではもう一人の名義人がアクセスできるジョイント口座を持つ方法もありますが、それにしても自分が元気なうちに資金を移動させていくことが大事です。不動産や仮想通貨にしても同じです。 その点、海外の貯蓄保険は保険とは名ばかりで、実は中身は資産運用なのですが、出口では受取人を指定して、10人でも20人でも資産を渡せます。他の資産に比べて、確実に渡したい人に資産を渡せるという点、その指定を生前のうちに計画的に実施できるという点で群を抜いていると思います。 そのうえで、さらに資産規模が大きいという方はスイスやシンガポールのプライベートバンクを利用されてはいかがでしょうか。お手伝いさせていただきます。誰に渡したい、どのように使いたいなど、信託や財団などの仕組みを使って資産を振り分けていくこともできます。」 税金面で有利な資産を選ぶ 高林:「今回のテーマが『資産を後世に残す』ということなのですが、税金面では有利な資産と不利な資産というのはありますか?」 才田:「そうですね。税金面で有利な資産というと保険でしょうね。海外の貯蓄型保険は資産を代々引き継がせることができますし、お金を引き出さなければ運用している限り現状の税制では税金はかからないです。例えば株式とかだと譲渡した時点で所得税がかかることが多いですから、次世代に渡すのには不利な気がします。 税金といっても所得税と相続税を考える必要がありますし、海外でということであれば、資産の種類よりも各国の税制によって検討するのがいいでしょうね。例えば株式・仮想通貨など資産は運用利益に対して税金(所得税)がかかりますので、非課税となる国を選ぶのがいいですよね。利益をそのまま再投資できますから投資効率が上がります。そのうえで、相続したとしても相続税への影響が少ない資産に変えておくといいでしょう。 繰り返しになりますが、貯蓄型保険は税金のことにしても、遺族に残すことにしてもとても優れています。自分自身が売買や管理できるうちは株式や投資信託などでもいいのですが、例えば株価が最高潮の時に相続が発生してその価格で財産評価されると税額も上がりますし、実際にその株を売却できるようになったときに価格が下がっていたら税金だけ多く取られたということになりかねません。 税金面での有利不利とは離れるのですが……。私がお客様の資産サポートをさせていただきながら、自分自身でも日々考えるのですが、運用の良し悪し以前に、こうやってきちんとサポートしてくれる人間、組織が近くにいるというのが一番有利な資産の残し方になるのではないかと思います。 先ほどお話ししたジョホールバルの不動産ではないですが、売りこむときには元気よく言い寄ってきていたのに3年ぐらい経つといなくなるケースもあります。そうなるのは一番不幸な資産運用だと思います。何かに投資する、何かを購入するときには、きちんとサポートしてくれる人がいる資産であることが税金面の有利不利よりも大切なのではないかと思います。」 仮想通貨には相続リスクがある? 高林:「仮想通貨はいかがでしょうか。海外で仮想通貨を保有していると相続時に何かリスクはありますか?」 才田:「仮想通貨については最近お問い合わせを受けることも増えてきていますね。仮想通貨については相続時のリスクというより、まず保有の仕方をケアしておく必要があります。 これは海外だからというのではなく日本でもそうですが、そもそも取引所に対するリスクヘッジをしておく必要があると考えています。自分ではアラート通知などの安全設定をしていても取引所が悪いことをしないとも限りませんし、ある日突然残高がゼロになっているということもあり得ます。最近では、取引所側のエラーで起こるハッキングへの保険やコールドウォレットといって取引所内の取引できないアカウントに入れるなど保全はされてきていますが、取引所を信用しきらずに複数に分けておくといいでしょう。 ウォレット内に保管して自分自身で保有する選択肢もあります。そうなると仮想通貨というデジタル資産が物理的な存在になり(個人保管になるため)保管責任が発生します。仮想通貨を保有したことがない方にはちょっと難しいかと思いますが、その資産を自分のものとするための秘密キーなど、もし突発的に良くないことが起こり、それを家族が知らない場合はほぼ取り戻せないと思っておいたほうがいいでしょう。 これは相続時のリスクといえますね。個人で管理するという場合は、家族にどう伝えるか、いつ渡すかをしっかり考えることが必要だと思います。 あと、海外でという話になると国ごとに仮想通貨へのルールが違うことに注意が必要です。ヨーロッパや米国のように規制が少ないところもありますが、香港のように資産保有規模により取引が制限されている国・地域があります。課税のルールも国によって違います。」 結論・資産を残せるお父さんになるためには 今から準備しておくこと 高林:「では、子供に資産を残すために我々がしておく準備にはどのようなことがありますか?」 才田:「子供に残す資産としては『目に見える資産』と『目に見えない資産』があると考えています。目に見える資産はビジネスや不動産、金融商品、仮想通貨などです。これらはどういう資産があるか配偶者や子供に少しずつ伝えていくことが大事ですね。それと、家族がもめないようにするために遺言書にまとめておくことでしょうか。遺言書は、書き方のルールが各国違いますので注意は必要ですが、家族に対する想いも伝えられますし遺族も嬉しいと思います。 あと、受取人を指定できるタイプの資産を準備するのがいいですね。私自身、何度もお客様の相続の場に立ち会っていますので自信を持って言えますが、特に海外では保険の仕組みを有効に活用した方法で残すのが大事ではないかと考えています。お子様達もどこか他の国にいるかもしれませんし。大切な家族を亡くして悲しみに浸っているなか、高い弁護士費用を払って、長い期間をかけて、それでも取り戻せない不安がある資産ではなく、『これは貴方のために準備したもの』とわかりやすく、確実に残せるのが保険の神髄だと思っています。 もちろん資産規模によりプライベートバンクの活用、資産管理会社の活用などあるかと思いますが、常に規制は変化し当局とはイタチごっこになるのではないでしょうか?改めて原理原則に立ち返り下手な相続税対策を施すより良いかもしれません。 目に見えない資産としては、生きていくためのサバイバル能力をつけてあげるということがあります。お子様の年齢にもよりますが、例えば、自分の生き様や考え方を遊びを通して、見せたり、伝えたり、資産の増やし方を伝授したりというのもひとつです。自分が亡くなったときの相続で家族がもめないようなファミリーづくりの準備も必要だと思っています。」 資産を残せるお父さん・残せないお父さんの違い 高林:「ありがとうございました。まさに『資産を残せるお父さん』という本日のテーマに合ったお話ですね。では、ずばりお聞きしたいのですが、『資産を残せるお父さん』と『資産を残せないお父さん』の違いは何でしょうか?」 才田:「ひとことで言うと『死生観』ですね。私自身、『もし今、自分が死んだら』という前提づけをするようになったのが30代中盤ぐらいだったと記憶していますが、そう考えるようになったことでいろいろ変わってきたと思います。死というのは重いテーマですが、死は皆平等に訪れますし、私は逆に生きる糧にしています。死生観を持つことで、今やるべきことがわかるようになりますし、子供と接する時に何を、どう話すかなんてことも真剣に考えられるようになってきたと感じています。 資産にしてもそうですね。遺族が資産を受け取りやすいかという視点で逆算しながら資産の種類や運用方法を選べるようになってきたと思っています。人間、どんなに長生きしても100年ぐらいですよね。最後の20年ぐらいは意識があるかどうかもわからないですし、そのうち後半の10年ぐらいは健康かどうかもわからない。そう思うと家族としっかり接していけるのは50年か60年ぐらいです。そのなかで次世代にどう残すか、その先にどう残していけるかということを心として伝えていくことで、自分の子ども達もまたその子や孫にどうしていくか考えるようになるのではないかと思います。 私のお客様のなかでも次世代にお金をたくさん残してあげたいという方がいらっしゃいます。理由をお聞きすると、自分に孫ができた時にたくさんお小遣いをあげたいからと言われたのですが、シンプルですけど本質をついた理由ですよね。こうやってイメージするとお金の使い方にしても投資と浪費の違いも見極められるし、資産を残せるお父さんになれますよね。 死生観を持って、自分がどのような生活をしていきたいかをより具体的にイメージできるお父さんであるほどしっかり資産を残せるのではないかと考えています。私も資産を残せる側のお父さんになれるよう、まだまだ研鑽中です。」 高林:「逆に、資産を残せないお父さんはどういう特徴があるのでしょうか?」 才田:「場当たり的な方、快楽主義者というのでしょうか。自分中心の判断をするというか、借金を重ねてしまったり、良いお金の使い方ができなかったりする方はお金を残せないのではないかと思います。一生懸命やっても残せない場合もあるとは思いますが、『お金を残せるお父さん』を意識して前向きに行動していくことが大事なのではないでしょうか。」 高林:「『残せるお父さん』を目指していきたいですね。才田さん、本日はどうもありがとうございました。」
現物資産(実物資産)とは?種類一覧・おすすめランキング・リスクをFPが徹底解説【2026年版】
現物資産(実物資産)とは、金(ゴールド)、不動産、高級時計、宝石など、形のある「モノ」としての資産のことです。株式や債券のようなペーパー資産とは異なり、実体があるためインフレや通貨価値の下落に強いという特徴があります。 2026年現在、円安とインフレが同時進行する中で「将来、資産になるものに投資したい」「物への投資で資産を守りたい」というニーズが高まっています。本記事では、110 Financial SupportのFPが、現物資産の種類一覧から資産価値ランキング、そしてリスクまでを網羅的に解説します。 この記事でわかること 現金以外に持っておくべき資産の候補 円安やインフレが進む中、資産を分散させることは非常に重要です。現金の価値が下がるリスクに備えるため、現金以外にも外貨預金や株式、債券、コモディティ(商品先物)など多様な資産を持つことで、資産全体を安定させることができます。 それぞれの特性やメリット、リスクを理解し、バランスの取れたポートフォリオを構築しましょう。以下に、代表的な資産候補について解説します。 外貨預金 外貨預金とは、日本円ではなく外国の通貨で預金することで、米ドル、ユーロ、豪ドルなど多様な通貨を選べます。円安が進む中で、日本円の価値が相対的に下がるリスクを軽減し、為替差益を狙える点が魅力です。 例えば、円安により外貨預金していた通貨が円に対して高く円高方向になれば、円に戻すことで為替差益が得られます。特に海外在住の方は、現地通貨での生活費などをカバーするためにも有効な手段です。さらに、日本国内の外貨預金専用口座ではなく、海外の銀行で直接口座を開設することで、日本国内の規制から離れた自由な資産運用が可能です。※もちろん把握はされていますので脱税行為を考えている場合は意味がありません。 ただし、為替リスクもあるため、為替の動向や各通貨の金利状況を常に把握しながら運用することが大切です。また、日本では預金を預けていた金融機関が破綻した際は、外貨預金には預金保険が適用されないため注意する必要があります。 外貨預金は、他の資産と組み合わせて持つことで資産全体のリスクヘッジとして効果を発揮します。円安時代における重要な資産候補として、まず検討したい選択肢のひとつです。 株式投資 株式投資は、企業の株式を購入し、その企業の成長や業績に応じて配当や株価上昇益を得る資産運用方法です。円安が進む中、特に日本国外の企業への投資は資産を日本円の下落から守りつつ、為替差益も狙うことができます。 海外在住者にとって、現地での株式投資はその地域の経済成長にダイレクトに乗る手段とmなるでしょう。例えば、米国市場の株式は長期的に見て高い成長率を誇り、他の市場に比べて安定したリターンが期待できます。加えて、為替リスクを分散しながらポートフォリオ全体のリスク軽減にもつながります。 ただし、株式市場は値動きが激しく変動リスクも高いため、各企業の業績や市場動向を慎重に分析し、長期的な視点で運用することが重要です。個別銘柄への投資が難しいとお考えの場合は、分散投資が可能なETF(上場投資信託)やインデックスファンド(SP500など)を活用するのも効果的です。 また、日本国内と異なり海外の証券口座を利用することで、取引手数料の削減や多様な投資商品へのアクセスが可能となります。株式投資はインフレと円安の時代に、成長性を重視した投資戦略を立てる上で欠かせない選択肢の一つです。 債券 債券は、国や企業が資金調達のために発行する有価証券で、満期まで保有することで元本の返済と定期的な利息収入が期待できる資産運用方法です。株式投資に比べてリスクが低く、比較的安定したリターンが得られるため、円安とインフレ時代に資産を保全する手段として重要な候補になり得ます。 海外在住者にとっては、特に日本国外の通貨建ての債券への投資が、為替リスクのヘッジや利回り向上に役立ちます。例えば、米ドル建ての米国債やユーロ建ての欧州債券は、世界的に信用が高く、安全資産として人気です。また、新興国のソブリン(政府や政府機関が発行している)債券や企業債券は高利回りが魅力で、リスク許容度に応じて選択肢に入れるといいでしょう。 債券投資は、投資信託やETFを通じて分散投資することで、個別債券のリスクを抑えつつ安定した収益を得ることができます。また、海外の証券会社を利用すれば、より多様な債券に直接アクセスすることも可能です。 ただし、債券には利上げ局面で価格が下落する金利リスクや、政府や企業などの発行者の信用状態に依存する信用リスクがあるため、市場動向を注視しながら分散投資を心がける必要があります。金利による定期収入、定期リターンを中心に満期まで保有するイメージか、価格の上下で売買し売買益を確保するのか?大枠でも投資戦略を立てておくと良いでしょう。 商品先物(コモディティ) 商品先物(コモディティ)は、金や銀、プラチナなどの貴金属、原油、天然ガスといったエネルギー、さらには大豆や小麦などの農産物といった実物資産を対象とする投資商品です。商品先物市場での取引を通じてこれらに投資することで、インフレや円安に対するヘッジとして活用できます。 特に金は「安全資産」として知られ、インフレや通貨価値の下落、戦争などの有事に強く、リスクヘッジの手段として有効です。原油や天然ガスも世界のエネルギー需要に密接に関連しており、供給リスクや地政学的リスクなどから価格が変動しやすいため、商品によっては短期的なリターンを狙う投資家に適しています。 農産物に関しては、気候変動や政治的な影響を受けるため、価格の変動が激しい一方で、長期的には人口増加に伴う需要増が見込まれます。 コモディティ投資は、個別の先物取引だけでなく、最近ではETFや投資信託を通じて分散投資することも可能です。特に商品指数連動型のETFは、個々の商品のリスクを抑えながらコモディティ全体へのエクスポージャーを持てるため、初心者にもおすすめです。 ただし、コモディティは市場の変動が激しく、投機的な要素も含むため、しっかりとした市場分析とリスク管理が必要です。コモディティ投資は、現物資産や株式、債券と組み合わせたバランスの良いポートフォリオを構築する上で有効な選択肢の一つです。 現物資産 現物資産は、金や銀などの貴金属、不動産、アート、アンティークといった物理的な形で保有できる資産のことを指します。インフレや円安といった経済変動に強く、価値を保全するための有効な手段として近年注目を集めています。 特に貴金属は、世界的に「安全資産」としての評価が高く、通貨価値の下落に対するリスクヘッジとして長期的に信頼されています。金や銀は流動性が高く、比較的少額から投資できる点も魅力です。 不動産も現物資産の代表的な一つで、国内外の不動産への投資は賃料収入やキャピタルゲインを通じて安定的なリターンが期待できます。特に海外在住者にとっては、現地不動産への投資がその国の通貨での資産保全に役立ちます。 また、アートやアンティーク品は趣味として楽しみながら資産として保有できるのが特徴です。限定された希少性から市場価値が上昇する可能性もあります。同様に、歴史的な価値を持つコインや切手などのコレクターズアイテムも魅力的です。 実物資産の種類一覧|投資対象となる「物」を総整理 実物資産には多くの種類があります。投資対象として一般的なものから、ニッチなものまで一覧で整理しました。 カテゴリ 具体例 流動性 保管コスト インフレ耐性 貴金属 金(ゴールド)、銀、プラチナ 高い 低い〜中程度 非常に高い 不動産 居住用不動産、商業用不動産、土地 低い 高い 高い 高級時計 ロレックス、パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ 中程度 低い…
アメリカの株価の下落とアジア株への影響 |海外金融業界の時事ニュースを解説
日経平均株価の大暴落 2024年8月、年初から上昇傾向を続け、史上最高値をつけた日経平均株価は、5日に大暴落が起こりました。投資家たちはこぞって出口に殺到し、市場開始直後から売り注文が殺到、売りが売りを呼ぶパニック状態となり日経平均株価の終値は4451円安の3万1458円で取引を終えました。 これは1987年の米国市場の大暴落「ブラックマンデー」の翌日に記録した3836円安を超える、過去最大の下げ幅です。東京株式市場の急落を受けて、東日本大震災後の2011年3月15日以来、13年ぶりに大阪取引所はサーキットブレイカーを1日に2回発動する事態となりました。 こうして8月5日の日経平均株価は史上最大の下げ幅をつけた一方、翌6日は一転して3217円高と、過去最大の上げ幅を記録するなど、日経平均株価はファンダメンタルズからかけ離れた乱高下となりました。 日経平均株価が暴落した理由 8月の日本株式市場は、実体経済とはかけ離れた振れ幅で乱高下し、その後も激しい値動きで不安定な様相です。なぜこのような状況になっているのかというと、さまざまな理由があげられます。 8月5日の暴落については、日本市場において大きなシェアを占めている海外投資家や機関投資家たちの中でも「投機筋」といわれる、短期売買で大きな利益を狙う人たちや、一旦利益を確定させたいという人たちの動きが大きく影響したと考えられています。投資家たちが大量に日本株を売却したことによって株価が大きく下落し、そのことが他の投資家の心理にも影響を与え、「自分たちも損をしないために、早く売らなければならない」と、売りが売りを呼ぶパニック安の様相を呈してしまったことが原因とみられています。 アジア株式市場への影響 8月5日に日経平均株価が急落した背景の大きな要因の1つは、その前週に発表された7月の米国の雇用統計が予想に反して大きく下回ったことをきっかけに、米国の景気後退への懸念が急速に広がったことだと考えられています。これにより米国株が下落し、それに起因する形で米ハイテク株の続落とドル安・円高の進行が重なり、日経平均はこの3つの売り材料に押されて急落したと推測されます。 この米国発の株価下落は、日本に限らずアジア各国にも飛び火しています。8月5日のアジア各国の株価指数は、節目の水準まで大幅下落し、特に日本や台湾、韓国が急落の中心となりました。この3カ国の株価指数は、日中で10%以上暴落しています。日経平均株価とTOPIXの先物取引はサーキットブレーカーが発動し、韓国総合株価指数とコスダック指数の現物と先物の取引も停止されました。MSCIアジア太平洋指数も大幅安となり、指数構成銘柄の中で時価総額最大の台湾積体電路製造(TSMC)は過去最大の下げとなった他、金融株と工業株も大きく下げています。 米国株の下落とアジアの株式投市場への影響 なぜ米国株が下落すると、日本を含むアジアの株式市場に影響があるのでしょうか。その要因のひとつは外国人投資家の存在です。日本株市場の特徴として、市場全体の売買代金合計額に占める、米国を中心とした海外投資家のシェアが高いことがあげられます。彼らは米国経済が好調な時は、日本を含めた様々な海外市場でも活発に株を売買しますが、米国経済が悪化すると、資産を守るために日本株の売却に走ります。したがって米国株が下落すると、他のアジア株もその影響を受けて下落するのです。 現代における金融市場は複雑に絡み合っていて、特定のマーケットの大暴落が他の市場にも波及します。1997年のアジア通貨危機においても、タイバーツや韓国ウォンが暴落し、それに影響される形で翌年、ロシアのルーブルが暴落して、通貨危機に発展しました。さらには、米国の最先端のヘッジファンドだったLTCM(ロング・ターム・キャピタル・マネジメント)の経営破綻にもつながり、結果的に米国の中央銀行であるFRBが、ヘッジファンドを救済する事態にまで陥りました。 今回の日本市場の大暴落が起こったとき、それにつられて為替市場をはじめ金相場やプラチナ相場といったコモディティ価格も下落し、さらに景気が低迷して需要が減るという予測から、原油価格も大きく下落しています。また、ビットコインなどの暗号資産も乱高下しています。株式市場の暴落に伴い、他の金融マーケットの価格もつられて下落するという図式からもわかるように、金融市場は、その程度の違いはありながらも連動しているのです。 私たちは今後どうすればよいのか 2024年はNISA制度が刷新され、非課税で投資できる上限金額が広がった年でもあります。政府も「資産所得倍増プラン」の旗印を掲げての新NISAを推奨しているので、今年初めてNISA口座を開いたという個人投資家も多いでしょう。この日経平均株価過去最大の株価下落は、投資初心者をハラハラさせています。新NISAのスタートをきっかけに株式投資を始めた初心者の間では、日経平均が急落した局面で「新NISA詐欺」という言葉がXのトレンドにあがるほど動揺が走りました。 私たち個人投資家は、今後どのように動けば良いのでしょうか。まず今回の株安は米国景気の先行き不安が主因であるため、今後、米経済指標や米金融当局者の発言で不安が和らげば、相場は落ち着く見通しです。特に、今回の下げは投機筋による先物の売り主導です。日本では賃金と物価に改善の動きがみられ、資本効率改善など企業の意識も大きく変化しているので、長期トレンド、金融・国内環境を踏まえれば、過度に先行きを悲観する必要はありません。 ましてや、デビューしたばかりの初心者投資家は、10年、20年の長期を前提に、コツコツと長期目線でつみたて投資をしている人が大多数です。同じ金融商品を定期的に一定額ずつ購入していく積み立て投資を始めてすぐの株価下落は、恐れるべきものではありません。株価が下落した局面で投資をやめれば、その後に株価が回復しても資産は増えることはありません。新NISAが始まってすぐの相場暴落で投資をやめるのは、資産形成にプラスとは言えません。慌てて売却したり、そのまま投資をやめてしまうことなく、相場に居続けることが長い目の資産形成では大切です。 おわりに 今回の日経平均株価の大暴落のように、株式市場に大きな変動があると、個人投資家はもちろん、ヘッジファンドなどの機関投資家も大きなダメージを受けたり、経営破綻につながるような大きな損失を出す可能性があります。かつてのリーマンショックを引き起こしたきっかけも、米国の投資銀行大手であるベアスターンズの子会社のヘッジファンドの破綻が前兆となって現れたように、ある投資家の破綻が、やがて市場全体の危機にまで連鎖することも考えられます。 2024年8月現在、短期的には世界経済を左右する米国の景気の先行きは不透明であり、今後も荒い値動きが続く可能性があります。投資は、家計に支障がない余裕資金を元手にして、長期的な視点で取り組むことが重要です。積み立て投資は、機械的に同じ金融商品を一定額で長期間、買い続けてこそ成果が期待できるものなので、新NISAが始まって初めて訪れた暴落のショックは、この基本をもう一度考え直すいい機会となるでしょう。 海外資産運用は、110(ワンテン)グループへ 「110 Financial Support」では、海外在住者や海外移住を検討されている方の資産運用をサポートをしています。海外での資産運用では、資金シミュレーションはもちろん、税務知識の専門性や海外現地の情勢、物価上昇や想定外の出費など、多岐にわたる要因を考慮することが必要です。 といったお困りごとがあれば、日本人サポート実績20年以上の「110 Financial Support」までご相談ください。海外在住者や海外移住N-2年前のご準備段階の方も、あなたの資産運用状況を踏まえ、最適な資産運用プランづくり・適正化のサポートをいたします。ぜひお気軽にご相談ください。
【対談企画】老齢年金改正見送りの裏側で、遺族厚生年金が改正に!あらためて自己年金づくりの必要性を考えよう
2024年7月30日、厚生労働省は遺族厚生年金の見直し案を発表しました。この見直しは、現役世代で子どもがいない人に対する遺族厚生年金の受給資格や給付額を変更する内容で、より多くの遺族に生活の支えとなるべく制度の改善を目指しています。一方で、見直し案が可決されると、一部の遺族にとっては受け取れる年金額が減少するリスクがあります。 年金制度の見直しについては保険料払込期間を延長する案も出されるなど、将来的に国民の老後や遺族となった後のセーフティーネットが揺るがされる可能性も考えられます。 そこで、社会保険制度やファイナンシャルプランニングに詳しいシニアコンサルタントの才田氏に、年金制度改正ニュースやその裏側の動き含め、各自で備えたい対策法についてお話をお伺いしました。 〜対談スタート〜 遺族厚生年金の見直し案とは 高林:「最近、遺族厚生年金の見直しについてのニュースが流れましたが、これはどのよう見直しでしょうか?」 才田:「年金というと、多くの方は自分の老後にもらう年金つまり『老齢年金』をイメージされると思いますが、日本の年金制度は優れていて、受給のための各種条件はありますが保障の機能もあります。今回見直し案が出された『遺族厚生年金』は、その保障の役割をもつ年金です。現行制度の遺族厚生年金は、実は男女間の不平等があり、その不平等を是正するという理由で見直しが検討されています。 遺族厚生年金についての詳細は弊社のブログ記事等で確認していただきたいですが、簡単に言うと、厚生年金の加入者が死亡したときに遺族に対する保障をするというものです。 そのなかで、現行制度では夫を亡くした妻が優遇される内容となっているのですが、今回はそこにメスが入りました。現行では夫が死亡したときの自分(妻)の年齢が30歳前後で保障期間は変わりますが、30歳以上であれば一生涯にわたって遺族厚生年金を受け取ることができます。一方で、男女が逆だった場合、つまり妻が死亡し夫が遺族となった場合は夫が55歳未満であれば遺族厚生年金は支給されません。55歳以上であれば支給はされますが、期間は短くなります。今回出された改正案は、この男女間の差を是正しようという内容です。」 高林:「才田さんは今回の改正案についてどのようにお考えですか?」 才田:「これまでの日本社会においてはこのような(男女差のある)制度になっているのも理解できなくはないですが、昨今の男女平等を目指す社会の雰囲気においては遺族年金にもその流れに即して見直すというのはわかる気がします。 ただそれよりも、年金加入期間が40年から45年に5年間支払期間が延長されるなど、『老齢年金』において改悪されると言われていた内容が、今回は見送られたことの方が気になります。年金財政を見直すために5年ごとに開催される会議があるのですが、今回の見直し会議で年金額や年金加入期間の見直しを見送るということになったのです。わかりやすくいうと、国民の負担が増えるかもしれないという不安がなくなったため、国民側にとっては良い話です。 しかし、これはあくまで私見ですが、選挙戦が続く今年は国民世論が悪くならない様に年金負担の先送り調整をしたのではないかと考えています。つまり、将来どこかで再度年金財政の調整を図る可能性があるのではないかと思いますので楽観視しない様にしてください。」 遺族厚生年金の改正で最も影響を受ける人は? 高林:「遺族厚生年金が見直しされるとどのような影響が考えられますか?」 才田:「今回の見直し案は、男女関係なく遺族厚生年金の支給期間を5年間にするというものですので、一番影響を受けるのは、(自分が)30歳以上で夫を亡くした妻です。改正前(現行制度)では一生涯遺族厚生年金を受け取れますが、改正後は(経過措置は設けられると思いますが)5年間しか受給できなくなります。 逆に夫のほうは、これまで自分が55歳未満で妻を亡くした場合は遺族厚生年金を受け取れませんでしたが、5年分の年金を受け取れるようになります。」 年金保険料支払い5年延長案とは? 年金保険料支払い延長は見送りに 高林:「先ほど、年金保険料支払い5年延長案について少し触れられましたが、これについて教えていただけますか?」 才田:「これは年金の加入期間を5年間延長するというもので、年金制度の財政安定化が目的です。財政安定化のためには年金保険料を長く払ってもらうか、増額するかということになります。増額は、昨今の経済状況で現役世代の人への負荷をこれ以上大きくするのは難しい部分があります。そのため、現在の支払い期間をさらに延ばし、年金開始年齢を先延ばしして、将来的な年金給付を支えようという措置です。 しかし、過去には定年退職年齢が55歳、60歳、65歳退職と働く期間が延びてきて、これからも70歳まで働けるような仕組み作りが企業に求められており、さらに年金加入期間に手を加えることになると、年金の歳入不足問題が顕在化してしまいます。 今でも年金をもらいながら働くと、もらえる年金が減額される『在職老齢年金制度』など、年金財政を維持するためのさまざまな対策がされています。年金期間延長案は多くの国民にとって追加の経済的負担となるため、慎重な議論が求められています。今回の発表では、この延長案の実施が先送りされたものの、年金制度の持続可能性を確保するためのバランスを模索していますので、将来的には再び議題に上がる可能性が高いとされています。あくまで私の個人的な考えですが。」 老後に働くと年金を受け取れない? 高林:「年金を受給しながら稼ぎすぎると年金がもらえなくなるという話がありましたが、それについて教えていただけますか。」 才田:「そもそも年金が発足したときには、老後は年金でゆっくり過ごす前提がありました。もちろん働きたい人は働いても良いですが、自分が払った保険料分は権利として老後の収入額に関係なく年金を受給できていました。 しかし年月が経過するとともに、そのようなシステムを続けると年金財政に問題が生じるようになりました。それで、年金の他に収入がある人は年金額を少し下げる在職老齢年金制度ができました。現在は年金と給料を合わせて月50万円の収入がある人は年金がもらえません。例えば、老後も会社役員などに就任していて報酬が50万円以上であれば、その間は年金がもらえません。老後にもしっかり働きたいという人もいますが、その場合は、年金をもらわなくても良いと割り切った選択肢が求められると思います。これも行政の立場からの年金財政を維持する措置の一つだと考えています。」 今後、我々はどうするべきか 意識して年金の動きを見つつ、自己年金づくりをする 高林:「お話をお聞きしていて、我々若い世代にとっては明るい話題ではないように思いました。年金制度の不安定さを踏まえて、我々は自分の資産を守っていくためにどのように対策を講じるべきでしょうか。」 才田:「まず、年金制度についての政治的な動きに関心を持つことですね。そのうえで意見を出すことが大切だと思います。 そもそも年金は人口ピラミッドを前提に成り立つ仕組みですが、今の日本はそのピラミッドが崩れてきています。長生きは生活が良くなった結果ですし、いいことなのですが、少子化は問題があります。少子化の問題が解決しない限り、年金保険料を支払う期間が延びるか、支払う額が増えるか、もしくは受給できる年金額が少なくなるかのどれかになってしまいます。 年金制度の悪化を防ぐためには本来の人口ピラミッドの形、綺麗な三角形に戻す必要がありますが、それは超長期目線でみなければなりません。つまり、現在現役世代の人たちは国の制度に頼り切るのはいけないけれども、『どうせ年金を受け取れないから払わない』というのもいけません。自分の意見も出せなくなりますから。 年金保険料は支払いつつも、本当の将来の年金は自分たちで準備していかないといけないと思います。今回のテーマである遺族年金の見直しや年金加入期間の延長など、ちょっとしたニュースも意識して見ることも大事ですし、並行してスキルアップしたり、早いうちから資産運用に取り組んだりすることが大事です。とくに海外にいらっしゃる方は、海外の仕組みを使った自己年金作りを始めておきたいですね。 資産運用は先進諸国のあるべき姿 高林:「日本以外の国々では、積極的に自己年金を作っていく人が多いのでしょうか。」 才田:「G7と言われる先進諸国では、個人の投資という発想は数十年も前から始まっています。日本でも『貯蓄から投資へ』という流れになりつつありますが、他諸国に比べると遅いですよね。 そもそも、日本では学校でお金の教育をしていないですよね。どんな仕組みで世の中が回るかを理解しないまま社会に出る人が多いです。他の国は資産運用で成り立つ土台がずっとあるなかで年金制度が作られていますので、資産運用に長けている人も多いです。ただ、そうは言っても資産運用が上手くできない人もいて、富裕層とそうでない人との二極化が進んでいます。 日本はこれまで国の制度がしっかりしていた分、総中流社会といわれ、みんなどの世代も安定的に上昇傾向にありました。それが2000年初頭の政治改革によって、個人が投資に取り組むことが推奨されるようになりました。投資や運用が得意な人には良い社会になってきていると思いますが、今までの中流階級を保ちたい人にとっては投資で資産を増やせる人との差が開く可能性があると思います。ただ、それが資本主義にもとづく先進国の姿だと思いますし、国が中流社会を守るのではないということに気づいて自分達で一歩動き出すことが大事だと思います。」 自己年金づくりのやりかた 日本国内に住んでいる人の自己年金づくり 高林:「では、日本国内にいる人はどのようにして資産を作っていけば良いのでしょうか。」 才田:「日本国内にいる人は、『必要だから始める』というのではなく、『テレビなどで言い出したから始める』という人が多いと感じています、それではあまり上手くいきません。ですので、投資より先に自分のスキルを磨くことが大事だと思います。 スキルといっても世代によって変わるとは思います。例えば、長く働けるように健康に気をつけたり、ITスキルを身に着けたり、より年収の高い外資系企業で働くなどですね。とにかく、長く働き、稼ぎ続けるための活動スキルを蓄えるのが最優先だと思います。 そのうえで、例えば一般の会社員であれば新NISAやiDeCoを上手く活用して資産を作っていくのが良いと思います。ただ、新NISAには注意点もあります。今年2024年8月はじめに株式相場が急落して日経平均株価が4~5,000円下がりましたが、新NISAの場合は損失が出た場合に他の利益と相殺できません。こういった注意点も踏まえながら、(相場の動きに左右されず)一喜一憂せずに長く積立をし続けるのが良いと思います。」 海外に住んでいる人の自己年金づくり 高林:「ありがとうございます。では、海外に住んでいる人はどのようなことができそうでしょうか。」 才田:「海外に住んでいる人は、海外での仕組みを作れるのは大きなメリットです。ただ、最終的にどこに住むのかによって選択が変わります。海外にずっと住み続けるのであれば、不動産を含めて今住んでいる地で資産を所有するのが良いでしょう。 一時的な海外滞在で最終的には日本に戻るという人であれば、米国、シンガポール、香港など金融センターといわれている国の金融商品や制度を使うのが良いと思います。税制的なメリットを考えると保険を使って貯蓄を兼ねた資産防衛をするのもいいですね。 実は、私のところでも不動産投資に関するご相談を多くいただくのですが、海外で不動産を所有してもしっかり管理できたり、収益を得られたりする人は案外少ないようです。海外不動産は多くの収益、売買益を得られそうという感覚で購入する人も多いですが、日本の方にはあまり合っていないと感じることもあります。 あと、ゴールドも海外で購入した場合も持ち運びや保管の問題があります。国によって税制上の扱いが違い、金現物を申告せずに日本に持ち込むことはできません。そう考えると、貯蓄型保険やファンドの積立などが一番安心できてよいのではないでしょうか。自分に万一のことがあっても自分の指定した人、例えば必ず家族に資産を渡せるメリットもあります。 もちろん、自分で積極的にFXや株式投資などなど何かできるという方には当てはまらないかもしれませんが、海外で資産を作りたいけど何がいいかわからないという方は弊社にぜひご相談ください。」 これから海外移住したい人は? まずは目的をもって海外の経験値を積むこと 高林:「今海外にいる人でも、最終的に日本に帰るかどうかで選択肢が変わってくるんですね。では、これから海外移住をしたい人に対して資産運用についてなにかアドバイスはありますか。」 …
【対談企画】新紙幣が発行されてお金の価値がなくなる?資産管理で考えるべきこと
2024年7月3日に日本で3種の新紙幣が発行されました。一万円、五千円、千円紙幣は20年ぶりの改刷になります。新紙幣では「すかし」や「3Dホログラム」など、最新技術による偽装しにくい仕掛けやデザイン、肖像が話題になっています。 一方で、新紙幣発行に便乗した詐欺への懸念や、キャッシュレス化を推進しているなかで新紙幣の発行する政府の意図などネガティブな話題も巷で賑わっています。なかには個人の資産管理に関わる懸念事項もあるようです。 そこで、資産管理や資産運用に詳しいシニアコンサルタントの才田氏に新紙幣発行に関するインタビューを行いました。今回は新紙幣発行とキャッシュレス化の関係や経済全体、消費者への影響について才田氏のご意見をお伺いするとともに、便乗詐欺に遭わないための対策およびこれからの資産管理で大切なポイントについても教えていただきました。 〜対談スタート〜 新紙幣発行の背景 通常より2年早く発表 高林:「2024年7月に新紙幣が発行されましたが、その背景についてご存じのことを教えていただきたいです。」 才田:「新紙幣発行はいまから5年前の2019年に発表されています。なぜ今回話題になっているのか私も調べてみたのですが、通常は紙幣を替える3年前に公表されるというのが一般的であるようです。しかし今回は5年前に発表され、通常より2年長い準備期間がありました。 政府は新紙幣発行の目的として、(発表当時の)紙幣が使われている期間が長いということもあり、偽造防止などセキュリティ面での強化やユニバーサルデザインの向上を挙げています。実際、新紙幣には3Dホログラムやマイクロ文字など新技術が導入されており、技術革新によるセキュリティ向上を目的とされていることがわかります。」 高林:「3年前ではなく、5年前に発表されたというのは何か違う目的などがあったのでしょうか?」 才田:「あくまで当時の話題ですが、従前より準備期間が長いということで、デノミネーション(通貨単位変更)によりお金の価値を変えようとしている、紙幣を発行することで旧紙幣が使えなくなるなどといったことが懸念されていたと記憶しています。 (発表が5年前であった)本当の理由は表に出てくることはないと思いますが、従来と比べて時間差があることには、何らかの意味があるのではないかという気はしています。」 キャッシュレス化の促進 高林:「新紙幣発行に伴いキャッシュレス化が進むのではないかと言われています。どのように促進されていくと才田さんは思われますか?」 才田:「キャッシュレス化というと、『自分が何にお金を使ったか把握しやすく便利だ』などと(生活者にとっての利点が)よく言われますが、実はお金の発行コスト削減に寄与する、つまり発行者側にとってのメリットが大きいと思います。紙幣や硬貨の発行コストがいくらかかっているかというと、1万円札1枚に約20円、1円硬貨1枚に1.8円と言われています。ですので、キャッシュレス化が進むとこのコストが大幅に削減されます。」 高林:「キャッシュレス化は店舗(事業者)や消費者にとってのメリットもあると思いますが、新紙幣発行とキャッシュレス化の進展にはどのような関係がありますか?」 才田:「これは私の憶測的な部分もありますが……。まず、事業者側にすると、紙幣が新しく変わることで自動販売機や両替機、偽造紙幣を鑑別する機械など、さまざまなインフラを整備する必要が生じます。それにはコストが発生しますが、例えばコストを負担するにしてもインフラ整備対応のコストとキャッシュレスシステム導入のコストではどちらが経済的か、新紙幣発行を機に比較検討するようになります。その際、キャッシュレス決済を選ぶ事業者もいるのではないかと思います。つまり、新紙幣を発行することでキャッシュレス化が普及しやすい状況になっていくということでしょう。」 高林:「日本政府はキャッシュレス化を進めたいのでしょうか?それとも現金社会を維持したいのでしょうか?」 才田:「私は日本政府や日本銀行の者ではないので本意はわかりませんが、世界的な決済システムの状況やインバウンド(外国人消費者)が増えている日本の状況だけを見ると、可能な限りキャッシュレス社会に近づけたいという意図は感じます。対外国という視点でも日本だけがいまのまま現金社会であるというのは避けたいのではないかと思います。」 高林:「キャッシュレス化を推進させたいという前提があるなかで新紙幣を発行するのは、先ほどお話しされたような両替機の問題のように新紙幣が使えない状況にすることで必然的にキャッシュレス化を進めるという理解で大丈夫でしょうか?」 才田:「より身近な場面で、例えばゲームセンターはイメージしやすいかもしれません。ゲームセンターは機械に現金(硬貨)を入れて遊ぶので、両替機がたくさんあります。でもいまは、SUICAのようなICカードにチャージして遊ぶこともできるようになっています。新紙幣に変わって、大手企業なら両替機を全機入れ替えることもできるかもしれませんが、多くの場合、1~2台は新しいお金に対応させるとしても、あとはICカードにチャージしてもらうようにするのではないでしょうか。」 タンス預金の取り締まりも 隠れていたお金があぶり出される 高林:「新紙幣発行によってタンス預金があぶり出されるなどとニュースで言われています。これはどういう意味でしょうか?」 才田:「『あぶり出し』という言葉が適切かどうかはわかりませんが、そういう話はあり得ますね。 少し話が飛躍しますが、お金というのは預金口座等を通して動いている場合、使う側も監督する側も管理できるんですね。しかし、現金は管理しにくいんです。極端な話をすると、例えば、銀行が『1日いくらまでしか引き出しできません』というように規制した場合でも、現金はどこにでも置いておけますし、制限額以上に保管や使用も可能です。 オンライントラブルなどに備えて緊急予備資金的に現金を持っておきたいという人もいますが、問題になるのは国が管理できていないお金です。 先日、財務大臣がこれまでの紙幣もそのまま使えるということを述べられましたが、あえてこのような発言をするということは、その逆もあり得ると考えることもできます。旧紙幣が使えなくなる可能性があると告知されれば、多額の現金を持つ人々は新紙幣に交換せざるを得なくなり、手持ちの現金を銀行に持ち込もうとします。 緊急予備資金的な金額であれば問題ないと思いますが、例えば千万・億単位のお金の場合、その出所、すでに税金を払っているお金であるかどうかを確認できなければ銀行は受け付けてくれません。納税して初めて新紙幣に替えてもらえます。それによって税務当局が不透明な資産を把握しやすくなります。 このように、これまで国側が管理できていなかったお金を(使えなくなるかもしれないと所有者が考えて)表に出すようになることを『あぶり出し』という表現で言っています。」 現金の価値と安全性は? 新紙幣交換詐欺に注意が必要 高林:「新紙幣発行によって詐欺も増えているようです。才田さんは金融詐欺にもお詳しいと思うので、ご存じのことがあれば教えてください。」 才田:「新紙幣は偽装が難しい工夫が多々されていますから、そういう点では紙幣価値や安全性が向上します。しかし、新しく何かができるというような場合は常に注意が必要です。 というのも、新紙幣はもう発行されましたが、まだ見たことがない人が多いですよね。なので本物かどうかの見分けをつけられないんです。先ほど、タンス預金についてもお話ししましたが、『今までの紙幣は使えなくなるから新しい紙幣に交換してあげます。』などという新紙幣への交換詐欺のリスクがあります。 特に高齢者などは本当の情報かどうかの判断をしにくい方も多く、手持ちの現金を渡して交換してもらうことも考えられます。現時点では本物と偽物の見分けを付けられない人がほとんどですから、交換したお金を実際に使ったり、銀行に持って行ったりした時点ではじめて騙されたことがわかるんですね。 旧紙幣も引き続き使用できますし、被害に遭わないためには焦らず自然に手元に新紙幣が回ってくるのを待つのがいいでしょう。本来、新紙幣に交換するためにわざわざ出向いてくる人はいないことを認識しておくことも大切です。新紙幣が手元に欲しい方は、銀行等へ出向いて旧紙幣と交換してもらうなど、自らアクションを起こすことが必要です。」 新紙幣発行は経済や消費者にどう影響する? 経済への影響 高林:「新紙幣発行によって日本経済全体にどのような影響があるのか教えてください。」 才田:「新紙幣を発行することで市場での通貨の流通量が増えます。発行量は1万円札、5,000円札、1,000円札のそれぞれで異なっていますが、数千万枚〜数億枚発行されました。しかし、これまで流通していた旧紙幣を削除したわけではありません。これがどういうことかというと、流通量は確実に増えているということで、それだけお金の価値が薄まるということです。お金の価値が薄まれば、いま以上にインフレが進む可能性につながります。希少価値がなくなると、そのモノの価値が下がる。これは一般的な経済の法則として言えることですよね。」 高林:「円の価値が下がってインフレが進む。その先にはどのような影響がありますか?」 才田:「インフレは物の値段が高くなることですよね。会社員の賃上げといったニュースも流れていますが、すべての企業がそうではないと思います。結果的に多くの人が生活しにくい状況になる。不動産や車などの高価なモノは、努力は必要ですが、これまでは購入を目指せていました。しかし、買うことを目指すこともできなくなるかもしれない。外貨に対しても円の価値が薄まれば円安が進みます。そうなれば輸入が難しくなる懸念もあるなど、さまざまな影響が考えられます。 お金の量を増やした分だけ個人の懐に入るようになればいいですが、今の社会制度のなかではそれも難しいですよね。例えば、給料が増えてもその分社会保険料や税金が上がったりしますから。」 個人への影響 高林:「新紙幣発行は消費者にとってより厳しい状況になる可能性が高いということでしょうか?」 才田:「インフレの可能性もありますが、負荷はそれだけではないです。新紙幣への切り替えやキャッシュレス化の動きなど、いろんなことが複合的に動いていますから、個人もそれに対応していく必要があります。例えば、手持ち現金の確認や銀行での交換手続き、キャッシュレス化への対応が求められます。人によっては課税の増加も意識する必要があるかもしれません。」 高林:「新しいデザイン・技術の紙幣が発行されたって喜んでいる場合ではないということですね。」 才田:「お金は必要ですけど、お金がなくても大丈夫な生活圏を作ることや、日本以外の生活圏もイメージしておくといいかもしれませんね。その方法のひとつとして、例えば、海外に一歩踏み出してみたり、移住して働いてみたりというのもいいかもしれませんね。」 新紙幣発行により資産管理も変えるべき? 資産保護の方法 高林:「個人には悪い影響も考えられるとすれば、資産を守るためにどのような動きをしていくのがよいのでしょうか?」 才田:「資産を守るためには、日本円の預貯金だけでなく、外貨や投資信託など多様な資産に分散投資をすることが重要です。とくに、日本に居住されている人については、日本円だけに依存せず、通貨を分けることも考えられるといいと思います。ただ、ペイオフといって、日本の預金保険制度ではもしも銀行が破綻しても元本1,000万円までとその利息が保護されますが、保護されるのは日本円の預金のみです。外貨預金はペイオフの対象外なんです。 なので、できる人とできない人がいるとは思うのですが、外国に預金口座等を作り、そこで外貨資産を保有しておければ大きなアドバンテージになるのではないかと思います。ただこれも各人・各家庭の状況によって適する商品や方法が異なりますので、充分に検討する必要はあります。海外移住を検討されている方などはぜひご相談いただきたいですね。」 資産の増やし方…
歴史的な円安による海外機関投資家の動き|海外金融業界の時事ニュースを解説
2024年に入り、進み続ける円安・ドル高に終わりが見えません。2024年4月29日には、1990年4月以来となる1ドル160円の大台まで上昇し、歴史的な円安となりました。この急激な為替の動きによる悪影響を避けるため、政府・日銀は2度に渡って為替介入を実施しています。このドル売りによって若干円高に戻しましたが、その後、また引き続きジリジリと円安に動いています。 従来の輸出大国というイメージとは異なって、現在の日本は輸入に大きく依存する経済になっています。例えば、エネルギーは94%、食料は63%を輸入に頼っており、近頃では日本の各産業で急激に広がるデジタル分野においても、AIやEコマース、クラウドサービスなどを手掛けるのは海外企業です。 こうした海外の物品やサービスを購入するために、日本から海外に流出する資金が増大していることも円安の圧力となっています。こうした構造的な問題により、今後日本には貿易赤字が定着していく可能性があります。 最近物価が上がっているという感覚をお持ちの方も多いと思いますが、現在の日本は輸入依存度が高いため、為替が円安に動くと、物価上昇など国民生活に与える影響が大きくなる構造となっています。 訪日外国人観光客によるインバウンド消費が増えているというニュースをよく耳にしますが、実はこの規模は輸入の増加には到底及びません。この昨今の円安は、エネルギー価格の高騰や物価上昇など、私たちの家計にも大きな影を落としはじめていて、さらなる円安に対する不安の声が高まっています。このまま円安が続けば、いずれ日本経済に深刻な悪影響をもたらすでしょう。 日米の金利差が円安を引き起こしている この歴史的な円安の一番大きな要因は、日本と米国の金利差にあると言われています。高い金利の通貨で運用した方が低い金利で運用するより高い利益が見込めるため、元来お金というものは、金利が低い方から高い方に流れる性質を持っています。 FRBが利上げを続けている一方で、日銀の大規模金融緩和による低金利が続いているため、日本円で運用するよりも米国ドルで運用した方が高いリターンが見込め、円安に動いているという仕組みです。 日米の金融政策の違いによって引き起こされる金利差が、昨今の歴史的な円安の要因となっています。また、2024年から政府が開始した新NISAによって、海外市場に投資する個人の日本人が増えていることも、昨今の円安を後押ししているとも言われています。 円安が引き起こす日本経済の悪化 2月15日に発表された、23年10~12月期の実質GDPの内訳を見ると、円安によって輸出は10.7%伸びていますが、国内需要はマイナス0.2%でした。この内需の失速の要因は円安です。世界的にエネルギー価格は落ち着きを見せはじめていますが、日本では円安の影響で物価高が進んでおり、家計の財布の紐が締まって内需が落ち込んでいます。 政府・日銀が通貨防衛の姿勢を見せることで、海外機関投資家の円売りが減速して円安の流れが止められるはずですが、現状日銀の政策転換も積極的ではない状況となっています。 一方の米国の金利も、当社は24年中に5回の利下げを行うとの観測でしたが、想定以上に米国内の景気が強く、大幅な利下げをする必要性が薄れており、そのシナリオは6月以降にずれ込んでいます。こうした日米の金融政策の違いから、日米金利差は縮まらず、円安が続く状況となっています。 海外投資家の動き 日銀が大規模な金融緩和策を維持していることで、ドルを保有する海外投資家からみると、日本円の調達コストは安くなっています。 このことから、海外投資家による日本市場への資金流入が活発になっています。また、近年の世界的な流れを受けて、日本企業を取り巻く環境や企業文化が、株主を重視する方向に変化しています。 これを受けた海外投資家が、これまで安く放置されていた日本の企業の再評価を進めることで、優良な事業の買収機会にもつながっています。こうした海外投資家のマネー流入に支えられて、2024年日経平均株価は33年ぶりの高値をつけています。 一方で、海外投資家は、保有する日本株の円安に伴う為替損失リスクを回避する目的で、日本株買いと円売りを同時に行っているため、日本株高と円安が連動して起こっています。 さらに、機関投資家は円を調達して高利回りのドル資産を買うキャリートレードを増やしていることもあり、このような海外機関投資家の動きが、さらなる円安を加速させています。 まとめ こうした歯止めのかからない円安の状況の中、海外の機関投資家は円の下落によって著しく割安となった日本の資産を買い進めています。 しかしながら、日本にとってこの円安による海外資本の流入という状況は、日本の経済の高成長や内需拡大による好景気、金利上昇をもたらすチャンスでもあります。 日本としては、昨今の円安傾向によって起こっている海外投資家からの資金流入をうまく利用しながら国内経済を成長させるという、したたかさが求められています。 円安により日本の資産を買い進める令和の黒船…さすがの日本人も身に迫る違和感を直視する時が来ているのかもしれません。 海外資産運用は、110(ワンテン)グループへ 「110 Financial Support」では、海外在住者や海外移住を検討されている方の資産運用をサポートをしています。海外での資産運用では、資金シミュレーションはもちろん、税務知識の専門性や海外現地の情勢、物価上昇や想定外の出費など、多岐にわたる要因を考慮することが必要です。 といったお困りごとがあれば、日本人サポート実績20年以上の「110 Financial Support」までご相談ください。海外在住者や海外移住N-2年前のご準備段階の方も、あなたの資産運用状況を踏まえ、最適な資産運用プランづくり・適正化のサポートをいたします。ぜひお気軽にご相談ください。
アジアの保険に関する最新トレンド|海外金融業界の時事ニュースを解説
アジアの経済は、中国やASEANを中心に成長著しく、保険市場についてもさらなる発展が見込まれています。多くの日系保険会社の進出も進んでおり、保険事業を通じてアジア各国・地域の経済発展に寄与するための活動を行なっています。 一方で、アジア地域は、地震や洪水といった自然災害も多く、経済的な損失の一部を、保険を通じてカバーしてこれに対処することが、非常に重要な要素です。今回は、アジアの生命保険。損害保険の市場やその動向について、考察していきます。 アジアの生命保険市場の現状と展望 アジア市場における生命・医療保険料の成長率は、その他地域を上回っており、約4分の3の人たちが生命保険に加入しているというデータがあります。日本では2022年の加入率は62%となっています。 一方、各国の保険の普及度を国際比較する場合は、GDPに対する保険料の比率が使われることが多く、スイス再保険が公表した2021年における各国の生命保険収入保険料のGDPに対する比率を見ると、中国・インドをはじめとするアジア新興国では、それぞれ2.1%、3.2%と低いという結果が出ています。 つまり、生命保険に加入している人は多いものの、保険料が低い商品に加入しているということを表しています。 まだまだ成長の余地のあるアジアにおける保険市場は、2030年まで成長し続けると想定されています。アジア太平洋地域の新興市場では、2019年から2025年にかけて生命保険料が年平均6~7%成長することが予測され、この地域における成長を牽引することが期待されています。また、先進国でも2〜3%の緩やかな成長が見込まれています。 アジアの保険市場の変化 近年の激しい世相の混乱や不確実性が高まる中で、今後のトレンドとして、保険業界の中心的な役割が、損失の補償からリスク回避への転換や、社会的ニーズに寄り添ったものに移り変わっていくとされています。 また、プッシュ型の営業から、優先課題を適切なタイミングで引き出して解決することで、顧客獲得につなげる方向性へと転換していくと思われます。 例えば、健康管理ツールのサブスクリプション購入などリスク対策サービスに加入した顧客を対象に、保険料の割引や無料健康診断の提供などリスクソリューションを提供するといった営業方法です。 保険会社は、この変化の兆しによる市場機会を掴むために、デジタル化をより一層促進させています。同時に、デジタル化ニーズの高まりにより、インシュアテック企業の市場参入も活発になっています。こうした変化に伴って、保険会社は一歩進んだ消費者の考え方や声に耳を傾けるべき時が来ていると言えるでしょう。 アジアの損害保険市場の現状と展望 一方で、損害保険の状況はどうなっているのでしょうか。2023年、アジア太平洋地域は複数の大地震に見舞われました。また、猛暑も予期せぬ危険な状況となり、アジア地域の一部では異常気温が長期化しています。 特に中国では7月に52.2℃まで気温が上昇し、暑さの新記録を樹立しています。4月と5月には、南アジアと東南アジアの多くの国が数週間にわたる熱波に見舞われ、特に中国とインドに影響を及ぼした干ばつにより、数十億ドルの損失が発生しました。 さらに、アジア太平洋地域では洪水が依然として脅威で、2023年の損害総額の64%以上を占めました。このようにアジア地域と自然災害への対処は、切っても切れない関係にあります。 一般的に、人口が多い地域は投資や潜在的な保険加入率の高さにより自然災害に対する備えが整っている一方で、こうした影響がでている地域の多くは、保険の普及率が非常に低いことも明らかとなっています。 こうした状況を背景に、自然災害による経済損失を保険でカバーできない事態をなくすための枠組みがアジアで動き出しています。保険に関する専門的知見をもつ国際組織がアジア各国に自然災害への保険ノウハウを浸透させ、経済的な損害の軽減につなげる狙いがあります。 中国インターネット保険の拡大 ここで、中国の状況を見てみましょう。中国では、健康意識の高まりからネット保険の需要が更に拡大しています。 従来のように、営業員が一方的に保険を販売するスタイルとは異なって、現在の保険商品と顧客の接点は、SNSや保険会社のアプリ、動画アプリなどが上位となっており、双方向性を重視した販売が広がっています。 SNSのプッシュ通知や保険コンサルなどのグループ機能など、日常的によく使用しているコンテンツから保険商品を理解し、それが加入につながっているのです。 また、自社のアプリ開発による顧客の取り込みや、ショート動画アプリでライブ配信を行って、リアルタイムで保険商品の紹介や質疑応答サービスを提供している保険会社も増えています。 中国保険業協会の統計によると、2013年から2022年の10年間で、オンライン上で販売されたネット保険の保険料収入は290億元から4,783億元へと急増し、保険市場全体の10%を占めるほどに成長しています。 また、社会のデジタル化や新型コロナウイルスをきっかけに、ネット保険を取り扱う保険会社も60社から129社まで増加しています。 このように、アジアでも最大の人口を持ち、ネットサービスが普及している中国では、保険業界もその姿を変えつつあります。このトレンドは、他のアジア地域にも普及していくものと思われます。 先進国においては、保険を購入する事で新規ビジネスへのチャレンジが生まれる。もしくは安心した取引につながると言われています。保険会社が審査・査定をするという事で、ある一定基準の信頼を得ているという根拠にもなり得ます。 世界におけるアジア一帯が占める割合も増えており、今後一層、保険への関心が高まっていくことが予想されます。 海外資産運用は、110(ワンテン)グループへ 「110 Financial Support」では、海外在住者や海外移住を検討されている方の資産運用をサポートをしています。海外での資産運用では、資金シミュレーションはもちろん、税務知識の専門性や海外現地の情勢、物価上昇や想定外の出費など、多岐にわたる要因を考慮することが必要です。 といったお困りごとがあれば、日本人サポート実績20年以上の「110 Financial Support」までご相談ください。海外在住者や海外移住N-2年前のご準備段階の方も、あなたの資産運用状況を踏まえ、最適な資産運用プランづくり・適正化のサポートをいたします。ぜひお気軽にご相談ください。
香港で仮想通貨を始めるには?2026年最新の規制・税金・取引所をFPが徹底解説
香港は2024年にビットコイン・イーサリアムの現物ETFをアジアで初めて承認し、仮想通貨(暗号資産)のグローバルハブとしての地位を確立しつつあります。一方で、2026年に入りOTC取引やステーブルコインに対する規制が急速に整備されており、「自由に取引できる」というイメージだけで参入するのはリスクがあります。本記事では、香港在住のFPとして日本人投資家の資産運用をサポートしてきた110 Financial Supportが、2026年時点の最新規制・税制・取引方法を整理して解説しますのでぜひ参考にしてください。 この記事でわかること 香港における3つの仮想通貨(暗号資産)ホットニュース 2026年4月現在、香港における仮想通貨の3つのニュースが投資家の間で話題となっています。 3つのトピックを理解することで今後の仮想通貨が投資対象になり、一般の人々の認知度がさらに高まると、価格上昇が見込まれます。それぞれの話題について詳しくみていきましょう。 【1】香港の複数の発行体が暗号資産ETFが承認された チャイナ・アセット・マネジメント(China Asset Management)やボセラ・キャピタル(Bosera Capital)などの資産運用会社が「ビットコイン(BTC)ETF(上場投資信託)とイーサリアム(ETH)ETFの上場が承認された。」とWeChat(微信)のようなソーシャルメディアプラットフォームに投稿しました。 このニュースを受けて、ビットコイン(BTC)の価格は66,500ドル、イーサリアム(ETH)は3240ドルまで上昇しました。※ニュース発表当時の価格 インパクトが大きい理由として、現在アメリカの証券取引所に上場されているビットコインETFのみ、仮想通貨ETFは取引されていないため、アジア時間では取引ができていません。しかし、承認されるとアジア時間でも取引が可能になるため、投資家が参加しやすい環境が生まれることになります。 世界中で投資家が参加しやすい環境ができると、取引が活発になり資産価値が増加する傾向です。そのため、アジアで初のETFが承認されると仮想通貨には追い風となると予想されます。 参照:CoinDeskJapan『香港でビットコインETFとイーサリアムETFが承認されたと発行体が投稿──ビットコインとイーサリアムは上昇』 【2】香港でのビットコインスポットETF承認は「一大事」になる可能性がある 4月10日にロイターは「香港の規制当局は早ければ、来週にもビットコインのスポット上場信託(ETF)を承認するだろう」と報じたことにより、承認後の資金流入によって、ビットコイン(BTC)は史上最高値を更新しています。 香港に拠点を置くヘッジファンドやファミリーオフィスだけでなく、中国本土の投資家もアクセス可能になるため、多くの投資家が参加します。そのため、株や不動産、金に投資している中国の投資家やヘッジファンドはビットコインETFも投資対象として投資を始めます。その結果、資金が流入し流動性が高まり、資産価値が高まると予想されています。 元安・ドル高傾向が懸念材料になっていたり、金や不動産以外の投資対象を探している中国の投資家は多いため、ビットコイン(BTC)ETFの期待が膨らんでいます。シンガポールを拠点とする分析会社10xリサーチ(10x Research)の創設者マーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は、2013年に見られたビットコインの強気相場のように、中国の個人投資家の熱狂を後押しする可能性があると述べていることからも、ビットコインスポットETF承認は大きな価格変動の要因となる可能性があるでしょう。 参照:CoinDeskJapan『香港でのビットコインスポットETF承認は「一大事」になる可能性:アナリスト』 【3】香港は仮想通貨でアジアの取引ハブを目指している 香港がビットコインやイーサリアムのスポットETFを承認すれば、アジアで初めての都市として、ビットコインETFやイーサリアムETFの金融商品を扱えるようになります。承認の結果次第では、日本、シンガポール、韓国など他のアジアの国々における規制当局の判断にも大きな影響を与える可能性があります。 香港がアジア全域での仮想通貨取引と投資の未来を形作る重要な事例となりうるのです。香港の動きは、アジア地域における金融イノベーションと市場の成熟を促すことに寄与するでしょう。 2026年最新|香港の仮想通貨規制の全体像 香港の仮想通貨規制は、証券先物委員会(SFC)と香港金融管理局(HKMA)の2つの機関が管轄しています。 SFCは仮想資産取引プラットフォーム(VATP)のライセンス制度を運用しており、2024年6月以降、ライセンスを持たない取引所は香港居住者へのサービス提供が禁止されています。2026年現在、HashKey ExchangeやOSL Exchangeなどがライセンスを取得済みです。 HKMAは銀行セクターにおける仮想資産の取り扱いに関するガイドラインを発出しており、銀行が仮想資産関連企業にサービスを提供する際のリスク管理基準を定めています。 規制の主なポイントを整理すると以下の通りです。 規制領域 管轄機関 概要 仮想資産取引所(VATP) SFC ライセンス制。無許可営業は違法 OTC取引(店頭取引) SFC/税関 2024年に新規制導入。登録制への移行 ステーブルコイン発行 HKMA 発行者ライセンス制度を2024年末に導入 カストディ(保管) SFC ライセンス取得業者のみが顧客資産を保管可能 銀行の関与 HKMA 仮想資産関連企業への銀行サービス提供ガイドライン 国際情報交換(CARF) IRD OECDのCARF枠組みに基づく自動情報交換。2026年以降段階的導入 FPの視点から補足すると、CARFの導入は香港の仮想通貨が「非課税だから何でもできる」という認識を変える可能性があります。日本の税務当局は海外の仮想通貨取引情報を把握しやすくなるため、日本の居住者が香港で取引する場合は日本での確定申告が必須です。…