東南アジアで起業する流れを解説。日本人が進出する理由やメリットとは

東南アジアでの起業を検討しているけれど、具体的な手続きや進め方がわからないと悩んでいませんか?ビジネスチャンスにあふれる香港やマレーシア、シンガポールなどの東南アジア各国での起業は魅力的ですが、初めての海外進出には不安がつきものです。

現地の法規制や文化の違い、インフラの状況など、クリアすべき課題が多く、どこから手をつけて良いのかわからないこともあるでしょう。

この記事では、そんな悩みを抱えるあなたに向けて、東南アジア各国での起業の流れをわかりやすく説明します。ぜひ参考にしてみてください。

1.東南アジアで起業する日本人が増えている理由

東南アジアで起業する日本人が増えている背景には、地域全体の高いGDP成長率が大きな要因としてあります。しかし、起業にはメリットだけでなく、文化や法規制の違いなど、デメリットも存在することを把握しておきましょう。

  • ・日本よりも高いGDP成長率に注目
  • ・東南アジアで起業するメリット・デメリット
  • ・東南アジアにおけるビジネス上の課題

これら3つの視点からそれぞれのポイントについて解説します。

日本よりも高いGDP成長率に着目

東南アジア諸国の多くは日本より高い経済成長率で推移しており、アジア開発銀行のデータによれば、東南アジア地域の2024年のGDP成長率は4.6%のとなる見通しです。2023年度日本の1.2%と比較すると、非常に高い水準を維持しています。

GDP成長率の高さに加え、今後も人口の増加やそれに伴う労働力・消費人口の増加が予想されており、東南アジアはますます魅力的な市場です。日本企業や日本人が東南アジアに進出し、出資や起業する理由の1つとなっています。

出典:アジア投資開発銀行「ADB、アジア新興国・地域の2024年と2025年の経済成長率を4.9%と予測
出典:内閣府「国民経済計算(GDP統計) – 経済社会総合研究所 – 内閣府

東南アジアで起業するメリット・デメリット

東南アジアで起業する際のメリットとデメリットを把握しておくことは重要です。メリットには成長市場や低コストの労働力が含まれ、一方でデメリットには法規制の違いや文化的障壁があります。

東南アジアで起業するメリット

東南アジアの国々は日本に比べて賃金が安く、若い労働者が多いのが特徴です。そのため、現地で人材を雇用することにより、国内と比べて大幅にコストをおさえられます。また、親日国家も多く勤勉な人も多いため、高いスキルを持った人材を採用できるのが魅力です。

東南アジアで起業するデメリット

著しい経済成長が見込まれる代わりに、環境対策が十分になされていない場合もあります。光化学スモッグなどによって都市での生活に影響が出ているケースもあります。

また、日本よりもインフラが整備されていない国もまだ多いため、ビジネスモデルによっては起業がしにくい状況であることも考えられます。自分が実現したいビジネスモデルと、その国の環境の相性についても事前に調査することをおすすめします。

東南アジアにおけるビジネス上の課題

東南アジアでビジネスを展開する際には、いくつかの課題に直面することがあります。これらの課題を理解し、適切に対処することが成功の鍵となります。

  • ・インフラが日本ほど整備されていない
  • ・法整備が十分ではない
  • ・政情リスクや社会情勢、治安に問題がある

これらの3つの課題について詳しく説明します。

インフラが日本ほど整備されていない

東南アジアは多くの国々で経済成長が進んでいる一方で、インフラの整備が日本ほど進んでいない地域もあります。地方では道路や公共交通機関が都市部ほど整備されておらず、物流や移動に時間がかかることがあります。

電力供給やインターネット接続の安定性も課題であり、ビジネスの運営に支障をきたすことも考慮しておかなければなりません。また、熱帯の地域でもあるため、雨が多く洪水や台風などが多い地域です。しかし、自然災害に対するインフラの耐性が十分でない場合もあり、ビジネスに影響を与えることがあります。

現地のインフラ状況を事前に調査し、適切な対応策を講じることが重要です。

法整備が十分では無い

ビジネス環境が急速に発展している一方で、法整備が十分に進んでいない国も存在します。特にビジネス関連の法規制や契約の執行において、日本と比べると不透明さや一貫性がない部分がある国も少なくありません。そのため、起業時やビジネスを進めていくなかで予期しない法的リスクやトラブルに直面する可能性があります。

さらに、税制や労働法などの規制が頻繁に変更されることもあり、企業はその都度対応を迫られることも考慮しておきましょう。

円滑に起業するためにも、法的な課題に対処可能な現地の法制度に精通した専門家と連携し、常に最新の情報を収集することが重要です。

政情リスクや社会情勢、治安に問題がある

東南アジアの一部の国では、政情不安や社会情勢、治安に関する問題がビジネス活動に影響を与えることがあります。例えば、政権交代や政治的な不安定さにより、規制や政策が突然変更されるリスクが存在します。

ベトナムは社会主義制度を実施している国家であり、インドネシアはイスラム教徒が多い国であるため、思想が日本と異なっていることも理解して置かなければなりません。文化や国のルールの違いにより、自分が考えていたビジネス計画や戦略の再調整を余儀なくされることもあります。

また、一部の地域では治安が不安定なところもあり、社会的な不安や抗議活動が発生する可能性もゼロではありません。犯罪やテロのリスクに対する対策も必要です。

万が一のときのために、従業員の安全確保や、施設のセキュリティ強化が必要となる場合があります。リスクに対処するためには、現地の状況を常に把握し、適切なリスクマネジメントを行うことが重要です。

2. 東南アジアで起業する流れとは?

東南アジアでの起業には、各国ごとに異なる手続きや要件が存在します。起業を考えている国における企業の流れをあらかじめ理解しておきましょう。

  • ・香港
  • ・シンガポール
  • ・マレーシア

3つの国における起業の流れについて詳しく解説します。

香港での起業の流れ

香港で会社設立を行う流れは以下のとおりです。

  1. 使用予定の会社名を予約する
  2. 会社登記に必要な情報や書類の準備をする
  3. 定款(ていかん)の作成と会社登録申請
  4. 会社登記所で会社設立
  5. 税務署で法人登記
  6. 法人銀行口座の開設

使用予定の会社名は中国表記は任意となっています。会社登録申請では、オンラインで行えば1時間程度で、書面で申請する場合は通常4営業日以内に会社設立証明書と商業登記証が発行されます。

法人銀行口座の開設を行う際、商業登記証が必要となり、始めから銀行口座開設完了までに約1〜2ヶ月程度かかると考えておきましょう。

香港で起業、会社設立を行うのは比較的簡単で、最低資本金が1香港ドルであることや、外国人でも自由に就労でき、1人で会社設立することも可能です。

シンガポールでの起業の流れ

シンガポールで会社設立を行う流れは以下のとおりです。

  1. 会社名の予約
  2. 定款の作成
  3. 会社設立登記
  4. 法人用銀行口座の開設

シンガポールでは外資規制のある職種があります。例えば、メディア、電気やガスなどのインフラ、金融に関する業種などです。また、起業の際は法人設立代行会社などを通してサポートを依頼するのが一般的で、自身のニーズを把握し、複数の代行業者と比較検討することが大切です。

会社名の予約は会計企業規制庁(ACRA)のウェブサイトから使いたい商号の予約が行えます。予約した商号は60日間有効で会社設立登記を有効期間内に行います。

銀行口座開設まではおおよそ2、3ヶ月程度かかることを想定して、会社設立の準備を行いましょう。

マレーシアでの起業の流れ

マレーシアで会社設立を行う流れは以下のとおりです。

  1. 会社名の許可申請
  2. 会社設立時の発起人及び取締役の選定
  3. 定款の作成
  4. 授権資本及び払込資本金の決定
  5. 会社設立登記
  6. 銀行口座開設

マレーシアで設立する会社名について、既に同一の会社名や類似商号が存在しないか調べることをネームサーチと言います。許可が出れば、設立時の発起人及び取締役の選定に進みます。

取締役は2017年1月31日付で施行された新しい法律により、マレーシア国内に居住する取締役が1名いれば問題ありません。また、取締役はマレーシア人である必要はありません。

定款の作成を行う際は2部構成で、「Memorandum of Association(基本定款)」と「Articles of Association(通常定款)」が必要です。2つの定款作成を行い、会社設立登記を行う際は専門家に依頼することが一般的です。

3.  東南アジアでの起業に向けて一歩踏み出すためには

東南アジアでの起業は、成長市場と多くのビジネスチャンスを提供しますが、法規制やインフラ、文化の違いなど、さまざまな課題に直面することも少なくありません。

110Financial Supportでは、専門知識と豊富な経験を持つスタッフが、皆様の成功を全力で支援します。専門家のご紹介を含め、東南アジアでの起業に関する疑問や不安を解消し、一歩踏み出すためのアドバイスを提供いたします。

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